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日本政府・・・ 臨時資金調整法を公布し、「民間貯蓄を吸収」  【日本銀行 「貨幣に見る近代日本金融史」】
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投稿者 hou 日時 2008 年 4 月 08 日 00:20:52: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/feature_gra3-6.htm

『金融研究』巻頭エッセイ 第3シリーズ 「貨幣に見る近代日本金融史」
3−6 戦時経済体制


 1938(昭和13)年、「臨時通貨法」が制定され、以後法律改正を行うことなく新素材・新形式の補助貨幣を発行できることになった。こうして素材を節約した小額貨幣・紙幣が次々に発行された。

 1944(昭和19)年11月発行開始。戦局の悪化により補助貨の素材金属が極度に不足してきたため、小額貨幣のかわりに小額面の日本銀行券が発行された。

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 1936(昭和11)年2月の2.26事件、1937(昭和12)年7月の日中戦争勃発を経て、日本は本格的な戦時体制に移行したとされる。

 財政面では、軍事費の膨張を主因に国債依存が高まり、国債の発行額は1936年度の6億8500万円から1937年度には、22億3000万円に増大した。こうしたなかで、インフレ率の高まりや国際収支の悪化など、多くの経済的問題が表面化した。

 これらの問題に対応するため、金融、為替、物価、産業活動等の経済活動全般について政府による統制が強化された。

このうち金融面では、1937(昭和12)年9月、臨時資金調整法が公布された。

 同法は、日本興業銀行の債券発行限度の拡張、日本勧業銀行による割増金付貯蓄債券の発行等を通じて、民間貯蓄を吸収するとともに、金融機関の設備資金供給に対する統制により軍需産業への投資資金の集中を企図していた。

また、1938(昭和13)年4月、国家総動員法が公布された。

 同法は、全ての国力を戦争目的に利用することを政府に委任するものであった。1939年9月に欧州で第二次世界大戦が始まり世界的にインフレが加速すると、日本国内では投機資金を運転資金の名目で金融機関から借り入れるケースが増加した。このため、

1940(昭和15)年10月、国家総動員法に基づいて、銀行等資金運用令が公布され、臨時資金調整法の対象外であった運転資金を含め、金融機関貸出全般が統制の対象となった。


  太平洋戦争開始(1941年12月)後の

1942(昭和17)年2月、戦時金融金庫と南方開発金庫が法律により設立された。

 これらは、債券発行によって資金を調達する金融機関であった。前者の貸出先は軍需産業を中心に水力、電気、造船、石油など多岐にわたった。また後者は、日本軍の占領地域で金融業務を行い、南方開発金庫券(「南発券」)は事実上軍票として用いられた。1942年12月に4億7000万円であった「南発券」の発行残高は、1945年3月には130億円に達した。

  1942年4月には金融統制団体令が公布され、

 日本銀行が中心となって運営される全国金融統制会が発足した。これを通じて、従来の資金統制が強化されるとともに、銀行合同の推進や内国為替集中決済制度の設立など、金融機関の業務運営への関与が強まった。

また、同年5月には金融事業整備令が公布され、

 政府に金融機関の整理統合を命令する権限が与えられた。この結果、普通銀行は1942年の148行から1945(昭和20)年には61行へと減少した。

日中戦争以降、軍需の増大により貨幣素材となる金属が不足し始めたため、
1938(昭和13)年6月に臨時通貨法が公布施行された。

 同法により、五十銭政府紙幣が制定されるとともに、貨幣法の改正によらず臨機に「臨時補助貨幣」の発行が可能となり、その素材・品位は勅令で決められることとなった。この結果、さまざまな素材の小額通貨(1円未満の通貨)導入が可能となり、青銅、黄銅、アルミニウム、錫を素材とする金属貨幣が発行された。
なお、同法は、戦時の臨時法であり、「臨時補助貨幣」は戦争終了後1年を経過した後は発行しないことが付則に定められていたが、戦後になって削除された。

 一方、1897(明治30)年に制定された貨幣法(金0.75g=1円と定めるとともに、二十円・十円・五円金貨、五十銭・二十銭・十銭銀貨、五銭白銅貨、一銭・五厘青銅貨の額面・様式等を制定)は廃止されたわけではなかったが、戦後は貨幣法に基づく貨幣の発行は行われなかった。

このため、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」が施行される1988(昭和63)年4月まで、臨時通貨法が硬貨および政府紙幣発行の根拠法として機能した。

 なお、小額紙幣のうち、五十銭のみが政府紙幣として発行され、十銭、五銭は日本銀行券として発行された。これは、五十銭以外の額面の政府紙幣発行は臨時通貨法の改正が必要となるため、日本銀行法に基づく大蔵大臣の告示という行政手続きですむ日本銀行券として発行することとされたとの経緯によるものである。


[大貫摩里、日本銀行金融研究所研究第3課]
『金融研究』第21巻 第2号, 日本銀行金融研究所, 2002年
【参考文献】
江見康一、『長期経済統計財政支出』、東洋経済新報社、1977年
大蔵省昭和財政史編集室編、『昭和財政史』第6巻、東洋経済新報社、1954年
玉置紀夫、『日本金融史』、有斐閣、1994年
日本銀行百年史編纂委員会、『日本銀行百年史』第4巻、1984年
----、『日本銀行百年史』資料編、1986年
日本銀行調査局、『図録日本の貨幣』第8巻、東洋経済新報社、1975年
----、『図録日本の貨幣』第9巻、東洋経済新報社、1975年
----、『日本金融史資料 昭和編』第28巻、1970年
----、『日本金融史資料 昭和編』第29巻、1971年
----、『日本金融史資料 昭和編』第30巻、1971年

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