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英ノーザン・ロックのような住宅ローン銀行の中堅どころが破綻した時、そこには「モラル・ハザード」が大いに発生しているFT紙
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投稿者 TORA 日時 2008 年 2 月 18 日 14:36:02: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu162.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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英ノーザン・ロックのような住宅ローン銀行の中堅どころが破綻した時、
そこには「モラル・ハザード」が大いに発生しているということになる。

2008年2月18日 月曜日

◆英政府が全額保証 ノーザン・ロック公的債務債券化 国有化回避へ救済策 FujiSankei Business i.  2008/1/22
http://www.business-i.jp/print/article/200801220002a.nwc

【ロンドン=木村正人】英財務省は21日、サブプライム(高金利型)住宅ローンによる信用収縮で経営危機に陥っている英中堅銀行、ノーザン・ロックが公的債務返済のために発行する債券を、政府が全額保証する異例の救済策を発表した。イングランド銀行(中央銀行)による総額250億ポンド(約5兆3500億円)の緊急融資を債券に転換することで、難航していた民間主導の経営再建計画を後押しし、英国内で批判を集めている国有化を回避する。

 英主要メディアによると、計画では、同行が債券発行で投資家から集めた資金は、昨秋に同行の取り付け騒ぎに対応したイングランド銀行の緊急融資返済などに充てる。英国政府による金融支援としては過去最大規模。

 同行の再建をめぐっては、買収に名乗りを上げている英ヴァージン・グループなどとの調整が資金面で難航。このため、買収企業の資金調達額や納税者の負担を減らそうと、資金面のアドバイザーを務める米証券大手、ゴールドマンサックスが計画をまとめた。

 これを受け、買収企業は2月4日までに新たな再建計画を政府に提出するが、ヴァージンはノーザンへの出資比率を当初案の54%から45%に引き下げる検討に入った。

 ノーザンは当初、国有化案が有力だったが、英メディアを中心に「途上国ならまだしも金融先進国の英国で国有化は時代錯誤も甚だしい」(フィナンシャル・タイムズ紙)などの批判が高まり政府は国有化回避に全力を挙げている。ただ、期限までに買収交渉がまとまらない場合は一時国有化が避けられなくなる。


◆金融危機は、暗い部屋で暴れるゾウのように フィナンシャル・タイムズ 2008年1月22日
http://news.goo.ne.jp/article/ft/business/ft-20080124-01.html

(前略)
この論はつまり、自由化された金融システムは、尋常ならざる利益を上げるチャンスを提供する一方で、間違いが間違いを生む、ミスの自己増殖を可能にするシステムでもある、という主張だ。これはよく聞く話だ。つまり、金融のイノベーションとリスク歓迎の風潮は、信用の急速な拡大を生み、それがひいては資産価値の上昇を呼び、それがさらなる信用拡大を可能にし、またさらに資産価値を押し上げるのだというものだ。どんどん高騰していった挙げ句に資産価値が天井に到達してしまい、パニック売りが発生し、信用は凍り付き、あちこちで連鎖倒産が起こり、そして不況がやってくるのだという。とするとつまり、規制されていない信用システムというのは、その内包している性質からして、不安定なのだということになる。

この主張は、米ワシントン大学で教えていた故ハイマン・ミンスキー教授が提唱したもの。UBS銀行のジョージ・マグナスはかなり早い段階で、今のこの危機は「ミンスキー理論そのもの」だと主張して高く評価された。

つまりここで言うミンスキー理論とは、資産価格の下落に伴う債務構造や債務者の破綻、銀行の「通常」業務の崩壊、そして中央銀行による積極介入??のことを言う。この流れは、直近の周期で信用拡大への依存度が過剰に高まった後に、起きる。

金融システムのこの脆弱性について、エコノミストはそれぞれに相反する解説をしようとするだろう。インセンティブに対する合理的反応を根拠に説明しようとしたり。あるいは、人間は基本的に目先のものしか見えない近視眼的な生き物なのだと説明しようとしたり。今の事態は果して、方向を誤った知性によるものなのか、それとも愚かさによるものなのか。対照的な結論だ。

人間の合理性を強調する人たちは、過剰なリスクにもチャレンジするだけのインセンティブが、金融業界にはあるのだと指摘する。この場合のリスクに対するインセンティブとは、「情報の非対称性」が「モラル・ハザード」と交錯することによって生まれる。「情報の非対称性」とはつまり、インサイダーは誰よりも圧倒的に内部事情に詳しいということ。「モラル・ハザード」とはつまり、もしも複数の金融機関が同時に経営難に陥ったりしたら政府が助けてくれるはずだ、という思い込みのことだ。どちらも、それなりの妥当性はある。たとえば英ノーザン・ロックのような住宅ローン銀行の中堅どころが破綻した時になんとか救済しなければと英国政府がそう思うのなら、そこには「モラル・ハザード」が大いに発生しているということになる。

しかし当事者は誰でも(債務者も債権者も規制当局も)、実に人間くさい興奮やパニックにさらわれて、そのままのみこまれてしまうことだって、十分にあり得る。誰でも間違いはする。人間とはそういうものだ。規制当局の操作が、反周期的であったためしはほとんどない。それはつまり、規制担当者でさえ、その時の興奮やパニックに流されてしまいがちだということだ。直近の周期で起きた金融緩和と証券化の促進は、あまりにも多くの人に、自分たちは勝ち組になれるとぬか喜びさせただけだった。ぬか喜びした人たちは、リスクとコストをいずれ背負うのは自分以外の誰かだと、そう思い込んだのだ。(中略)

私はこの見方に賛成だ。これにもとづくと、FRBが長期的な景気後退や株価下落をよしとしていれば、あれほど過剰に拡大的な金融政策の追求は避けられたかもしれない、ということになる。しかし実際には、FRBには景気後退を是とするつもりもなかったし、是とする権限もなかった。米国で、(民間・公的両方の)資金流入を相殺するだけの国内需要を維持するには、信用ブームを維持するしかほかに方策がなかった。それがFRBのジレンマだった。信用拡大の持続によって、資産価格は過剰に高騰。とりわけ住宅価格が過剰に値上がりした。そしてこの住宅バブルの後に残った苦い遺産は、金融セクター・非金融セクターの両方でパンク寸前のバランスシート。悲しいかな、負債デフレよ、いざ。今はそういう状態なのだ。

こうした様々な分析を読むと、私はあの有名なことわざを思い出す。暗い部屋に入った4人が、何でもいいから手に触れたものをつかんで、それが何かあてようとしたという、あの話だ。ひとりはそれはヘビだと言い、もうひとりはそれはザラザラした帆布だと言い、3人目は木の幹だと言い、残りの1人は紐(ひも)だと言った。

正解はもちろん、象なのだ。4人が触っていたのは。つまり、現状を正確に分析するには、i様々な要素の組み合わせが必要だということだ。グローバルなマクロ経済の不均衡は、金融政策の決定に多大な影響を与えた。そしてそれが回りまわって、住宅バブルにつながり、証券化資産を中心とした資産価値の膨張につながったのだ。今となっては政策決定者は、現状の諸症状に対処していかざるを得ない。と同時に彼らは、今よりさらに大きな混乱を食い止めるため、根本的な原因の解決にも取り組まなくてはならない。国レベル、そしてグローバルなレベルで具体的に何をするべきかについては、ダボスの世界経済フォーラムの後に書く予定だ。


(私のコメント)
欧米で現在起きている事と、90年代に日本で起きていた事とはまったく共通するものがある。それは住宅バブルの崩壊に伴う金融危機が起きているということだ。それは住宅ローン会社の経営危機のみならず、サブプライムローンの証券化に伴う他の金融機関への波及が全世界的に広がってしまったことだ。

イギリスでは中堅銀行のノーザンロック救済に政府が動き始めましたが、問題はノーザンロックだけに収まらないだろうと言われていることだ。アメリカではすでに数兆円もの資本増強をしなければならない金融機関が続出している。それは今期だけでなく住宅価格が値下がりが収まらない限り、評価損が出続けて資本増強が求められる。

最終的には何処も救済に名乗りを上げなければ、ノーザンロックのように政府と中央銀行が救済に乗り出さざるを得なくなるだろう。欧米の場合は日本の時のように全部の金融機関がおかしくなるということは考えられなかったのですが、金融が多様化してイギリスでもどこかが救済に名乗りを上げるものですが、ノーザンロックを救済に名乗りを上げたのはヴァージングループぐらいでそこも難航している。

今まではアメリカやイギリスの金融機関が勝ち組であり、日本の金融機関は負け組とされてマスコミやエコノミストに叩かれ続けてきた。しかし日本の金融機関は含み資産経営であり資産を売却などすれば何とか経営危機を乗り越えてきましたが、米英の金融機関には売れるような資産は残ってはいない。リストラによる合理化経営で一旦おかしくなると簡単に倒産してしまう。

だからこそBIS規制で8%もの自己資本が求められたのですが、時価会計なども資産デフレが欧米の金融機関を苦しめることになるだろう。このようなノーザンロックのような破綻した金融機関が続出した場合には信用不安が広がって次はどこかといった記事が書かれるから、破綻していない金融機関も倒産に追い込まれるかもしれない。

このような状況でアメリカの株式が高止まりをしているのが不思議でならない。債券市場が信用不安で機能が停止しているために、株に資金が流れているのかもしれない。確かにドル安で輸出が好調で企業業績はいいところもある。消費も今のところさほどは落ち込んではいない。このように企業実態は悪くなくとも金融のダメージがだんだんと広がってくるだろう。債券の借り換えなどにおいて企業は20%もの高利で借り換えをしなければならないところもでてきている。それほどアメリカは金詰りなのだ。


◆経済速報(とうとう20%も登場した借換え債) 2月17日 NEVADA
http://diary.jp.aol.com/fcybbrnndg/

日本のサラ金でもさえも今では真っ青になる位の高金利で借金をした公的機関があります。
『ニューヨーク港湾公社』です。
今まで4%台の金利で借り換えするとなっていましたが、金融収縮のあおりを受けてなんと20%もの金利を払わないとお金を調達できなかったのす。

シティがアラブに払った11%がなんといい条件だったのか?と思えるようになってきているアメリカの金融状態ですが、いつまでこのような異常な状態が続くでしょうか?

FRBが金利を下げようが、バヘット氏が救済策を発表しようが金融メルトダウンは進んでいっており、このままいけば2月末から3月始めにかけて世界的に金融大崩壊が進むかも知れません。


(私のコメント)
日本人なら90年代に体験したことだから分かることでも、欧米人にとっては現在の状況は「群盲象をなでる」状況であり、バブル崩壊がどういうものか実感がないのだ。世界的なバブル経済の中で日本だけがカヤの外に置かれていましたが、だからこそ新自由主義経済論者はアメリカを見習って構造改革しろと言って来ましたが、FT紙にも書かれているように信用ブームを継続するしかなかったのだ。

1971年のニクソンショック以来、アメリカの輪転機はドルを刷り続けてばら撒いてきた。実体経済以上のドルがばら撒かれればバブルはどこかで発生するものであり、バブルの崩壊によってばら撒かれたドルは価値を失って実体経済に均衡するようになるのだろう。永遠に信用を増え続けさせることは不可能だ。

欧米の過剰な債務は穴埋めできる資本が調達できれば埋まるが、ほとんどの負債は実体経済によって穴埋めするしかないだろう。しかしアメリカやイギリスにそれだけの経済的体力があるのだろうか? アメリカ人は危機に立てば立つほど強気になって現状を認識するのに遅れてしまう。

デリバティブなどの金融テクノロジーが裏目に出ると疑心暗鬼が広がって、銀行が銀行を信用しなくなって債券市場の機能が停止してしまった。アメリカ国債も短期のものしか売れなくなった。今までお得意さんだった日本や中国もアメリカへの輸出が停滞すれば米国債を買えなくなる。となると高利で資金を調達しなければならなくなり、「ニューヨーク港湾公社」のように20%で資金調達しなければならなくなってきている。それでようやく「象」の実態が見えてくることになるのだ。

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