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日銀に無利子で預けいれて目を白黒にして居る。   ” 資金偏在の変態的現象 ”  【東京朝日新聞】  
http://www.asyura2.com/08/hasan56/msg/279.html
投稿者 hou 日時 2008 年 4 月 23 日 21:54:50: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00800768&TYPE=HTML_FILE&POS=1

新聞記事文庫 資金(15-151)
東京朝日新聞 1928.7.11-1928.7.12(昭和3)


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有り余る資金に悩む大蔵省の預金部

金繰術

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(上)
有力銀行が四億から四億五千万円にも達する金を日銀に無利子で預けいれて目を白黒にして居る。アッチに回そうかコッチに回すか資金偏在の変態的現象に頭痛鉢巻で池田成彬君や串田万蔵君が飛び歩く。それでもなおあり余る資金を持てあまして投げ込み預金を断ったり、預金利下を企てたり『金のあり余る』のに悩んで居る。結構な苦悩だ。ぜい沢な苦悩だ。


有力銀行なみに資金がうなる
だが金があり余って苦しんで居るのは有力銀行許りではない。預金部もそうだ。と言ったらあの不良貸の本家本元、ボロ会社の救済引受業のあの預金部が、と驚く人があるかも知れないが、論より証拠現在日銀に三億近くの金が預けてある。そして人並いや有力銀行並に資金の余剰に悩んで居る。だがその悩みたるや、有力銀行のそれの比に非ず、もうかろうが損をしようが、唯預金部委員会を通じて何々応急資金――救済金――政友会の党政拡張資金に融通してしまえば消えて無くなるのだから。


下手なりにも悩む金ぐり
とはいうものの資金を使うには『国家公共のために有利かつ確実』でなくてはならぬ。いくらもうける必要はなくとも損をする必要は断じてない。貸した金の取立をやらねばならぬし、所有有価証券の運用せにゃならぬし、短期資金も回さにやならぬ。今でこそ資金の余剰に『ぜい沢な苦悩』を味わって居るが資金の少ないときには、ねん出もせにゃならん。何しろ二十四億円の大世帯だから、下手は下手なりにもそれ相応の金ぐりもある。


金看板のお蔭で郵貯は増す許り
そこでその金ぐりの遣り方だがまず預金部の貸方勘定――平たくいえば預金部運用資金の内容から眺めて見る、銀行の運転資金は払込資本金、積立金、各種預金、借入金なのだが、官設預金部銀行の運転資金は郵便および振替貯金、復興貯蓄債券収入金各特別会計その他の預金、預金部積立金に同部の収入金である。郵便貯金は銀行の諸預金に相当するもので、二十四億円のうちの十七億円はこの郵便および振替貯金で預金部にとってももっとも大切な資金だ。これには御承知の通り年四分八厘の利子を払って居る。ところがその利払は片落計算だから実際は四分四、五厘というところ。こんな安い利子でも金融恐慌に基き銀行不振のお陰でどんどん殖えてくる。そして有力銀行並に資金の過剰を来す昨今では、コスト引下などといって郵貯利下の調査をやって御座る。それでも郵便貯金は年々に増加する。有難い話だ。これも『国家の経営』の金看板があるからだ。時には金看板のききめが薄くなって郵貯が増加しないときもある。そんなときには睡眠カードの『たたき起し』か勤倹貯蓄の奨励を遣る。こんなことが預金部資金吸収策ともいえばいえる。銀行の様に広告をした預金協定違反見たいなことをして郵貯の吸収を遣らなくとも資金が集まってくる。金看板の七光のお陰だ。


二種に区別せる特別会計の預金
郵貯の次に有力な資金となるものは各特別会計預金である。これは公債金、国際整理基金、簡易保険、鉄道その他の諸特別会計預金で、郵貯が銀行の定期預金に相当するなら、特別会計預金は預金部の当座預金に当るものだ。特別会計預金には二種類がある。一は普通預金と称するものでありその二は定期預金だ。普通預金は全く当座預金と同様で何時でも引だし得るもの。これには年二分五厘の利子を払って居る。定期預金は六ヶ月以上引きださぬこととなって居る預金で各特別会計が年度始めの歳入で年度末まで不必要な歳入を預けいれてある。これには預金部で年五分の利子をつけて居る。普通預金の利子を年二分五厘としたのは預金部の日銀預金利子が年二分であり、金ぐりを巧にやっても五厘位にしか回せないからというにある。また定期を五分にしたのは銀行の定期預金利子を高くしたのと同様だとのこと。


二億三千万円の創設以来の益金
積立金は現在二億三千万円からある。これは預金部創設以来の益金の集成で全くコストのかからない金だ。それがこんなにもあるのだから不良貸が沢山出来たり、元利払が無かったりしても平気で居られる。黙って居ても日銀からは二分の利子がはいるのだから。それから預金部の資金となるものに保管金や供託金がある。保管金は無利子預かり、供託金には三分六厘の利子を払う。復興貯蓄債券収入金は運用使途のきまったものだからこれは除外するとして、大体以上が預金部の運転資金となって居るものだ。
さてこうして集まった預金部資金をどんな方面に回して利鞘をかせがせるかを見る。預金部は先にも記した通り国家公共のために有利かつ確実でさえあればよい、だから富田預金部長は池田成彬君式の台銀コール回収や東電の内外債に演じた様な際どいそしてあくどい芸当を演ずる必要はない。ただ有利確実に石橋をたたいて渡れば良いのだ。ところが預金部の石橋的理想はいつも預金部銀行頭取となるべき大蔵大臣の情実不良貸で実現は難かしいが兎にも角にも理想はここに置いてある。


もうかるはずだがそこが士族の商法
そこで最近の預金部資金のやりくりはどうなって居るかというと二十四億円の資金中十二三億円は公債、地方債、勧業、興業その他の債権に投じられて居る。この利子は最低が公債利子だからまず平均して五、六分はかせいで居る。


勘定は合っても常に銭が足らない
殊に公債はこの頃の様に黄金時代を出現すると、その直上りで相当にもうかる勘定になって居る。又発行当時の利回りで引受けるから可なりもうかって短期物で五分、長期で五分二厘位には回して居る。こんな時に手際良く池彬君の真似でもしたらウントもうかるのだが、そこはそれ士族の商法で『士魂商才』とは参らぬ。そして今度の様に市中銀行に公債は持ってゆかれるし、また不況時などには政府から嫌という程負込まされる。弱きものよなんじの名は預金部なりか。公債は何といってももつとも確実だから預金部ではいつも四、五億円は持って居る。それに資金が不足して金が無いときには直に売飛ばして所要資金の調達も出来るそこでこうした有価証券には割合に多くの資金を回して居る。その次にもうかるのは何とか救済金とか、応急資金とかいって一二年乃至三、四年の期間で回す各種の資金だ。例えばこの間の資金地方還元策からだした高利金借換資金一億四千万円の利子は年六分だ。その他の応急資金は五分乃至五分五厘見当はかせぐ。また震災当時の大工業資金なんかは八分で貸した奴もあるし、また七分で回したものもある。こうした資金はかせぐこともうかることには間違いないが『安かろう悪かろう』の類で危険率が多い。


株式会社ならとうの昔に破産
その適例が朝鮮銀行台湾銀行や国際汽船に対する貸付だ。もっとも最初からもうける積で貸したのでは無いけれど、今は台銀の五千万円、鮮銀の丸百万円は僅に年二分だ。国際汽船の二千九百二十万円は三分だ。四分八厘の郵便貯金の利子を払って二分や三分のはした利子で貸してはましゃくに合ったものではない。それに支那に対する交通銀行借款二千万円江西南港鉄路その他東亜興業関係の千数百万円、漢治萍その他の四千万円は元利払さえ無い。こんな奴があるから二十四億円の大金を運用しても一ヶ年の純益が普通二厘乃至五厘、沢山もうかって一分という所。もし株式会社だったらとうの昔に富田勇太郎君などはたたきだされて居ることだろう。


四分八厘で貸す郵貯運用の利益
預金部は毎年沢山の地方低利資金を貸だす。この貸付利子は年四分八厘である。郵貯の利息に四分八厘を払いそして四分八厘で貸だす。手数料も何もあったものでないと思うと違うそうだ。預金部のお役人の話『郵貯は四分八厘だがその利子計算は片落計算であって預けいれが十五日後だとその月の利息をつけない。又払戻しの月には利息をつけない。所が預金部が地方に四分八厘で貸つける場合は貸出の翌日から返す当日までの利息をとるのだからその間にチャンともうけて居ますよ』何ともうかることよ!!


預金部唯一の誇 在外正貨で大もうけ
もうけるといえば真実に預金部がボロイもうけを遣ったことがあるそれはこうだ。預金部は正貨政策の必要から英、米両国の大蔵省証券、米国自由公債、預金などの形式で主として英、米両国に在外正貨を保有して居る。最近の保有額は約七、八千万円だ。大戦当時円価が大暴騰して五十三ドルにもなったことがある。その当時から当分の間預金部は保有在外正貨を貿易銀行に払下げた。安く買ったドルを高くなってから売ったのだから実にもうかった。大正十三年頃には五千万円ももうけた。「在外正貨の運用ではいまだ損をしたことが無い」とは預金部唯一の誇りだ。長期資金の金ぐりは大体以上の通りだが、長期資金の外に短期資金の運用がある。これは委員会で融通が可決されても実際資金を貸だすまでには相当の期間がある。この間に資金を遊ばせて置くのはもっ体ないというので、一ヶ年を限りにかせがせる資金だ。その貸出には三年以内の公債、一ヶ年以内の諸債券引受、各会計への貸付と制限があるので、そんなに巧くは利子をかせげない。それでも巧く金ぐったら相当なもうけがあろうとのこと。

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