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米国の証券取引委員会(SEC)が<粉飾決済>を指示 SECからの手紙
http://www.asyura2.com/08/hasan56/msg/663.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2008 年 5 月 28 日 23:09:02: KqrEdYmDwf7cM
 

FAS157の適用について、SECが米国の全上場企業のCFOに送付した手紙
http://cfonews.exblog.jp/7766166/

米国の全上場企業の最高財務責任者(CFO)に米証券取引委員会(SEC)から手紙が届いた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻になるなか、盛られていたのは実質的な時価評価の後退だった。
手紙が取り上げているのは米財務会計基準審議会(FASB)が2007年11月に導入した新会計基準「FAS157」。企業がこれに基づくSEC提出書類(フォーム10−K)を作る際の考え方を示している。
FAS157は有価証券を性質に応じて三つに分類。流動性が高く時価が測れるレベル1、参照できる指標があるレベル2、取引が薄く時価がないレベル3だ。
手紙は広範な有価証券をレベル3に分類できるとしている。本来レベル2に入るものでも今は市場がゆがんでいるとの解釈だ。そのうえでレベル3について、どういう方法で評価したかのモデルを開示するように求めている。
例えばサブプライムローンを組み込んだ証券化商品などレベル2の参照価格はトリプルA格でもとの価格の50%程度。それをレベル3と見なし、開示モデルによる評価を公正価格(フェアバリュー)として構わないというわけだ。開示モデルさえしっかりしていれば70%と評価することも可能になる。
これによって金融機関のサブプライム関連損失の抑制効果が見込める。レベル2には債務担保証券(CDO)やLBO(借入で資金量を増やした買収)融資などかなりの資産が入る。
一部の会計士はレベル2を市場の参考価格を使って厳格評価する姿勢だった。その場合、債務超過に陥る金融機関が出て、連鎖破綻がおきかねなかった。SECは会計士へのけん制も狙ったもようだ。
市場原理主義者から見れば時価会計の後退は許せない。しかし、会計士ショックによる金融メルトダウンは防がねばならない。いまは理想論をふりかざせるような生やさしい局面ではない。
(2008年4月17日 日本経済新聞夕刊9面 十字路)
【CFOならこう読む】
手紙(リンク↓)はレベル3インプットを利用して公正価値を評価した場合の開示の
充実を要請する趣旨で書かれているのですが、中に次のような記述があります。
Under SFAS 157, it is appropriate for you to consider actual market prices,or observable inputs, even when the market is less liquid than historical market volumes, unless those prices are the result of a forced liquidation or distress sale. Only when actual market prices, or relevant observable inputs, are not available is it appropriate for you to use unobservable inputs which reflect your assumptions of what market participants would use in pricing the asset or liability.
市場がゆがんでいる場合にはレベル3インプットに分類できる場合がある、ということが書かれているわけです。

3月28日のNew York Timesは、これに対し” If Market Prices Are Too Low, Ignore Them”と強烈な皮肉を込めた記事を掲載しています。FAS157は会計上公正価値をいかに測定し表示すべきかについて規定した会計基準です。そこでのポイントは、公正価値を、時価がある場合にはそれに基づき測定し、ない場合には内部データ(レベル3インプット)に基づき測定することを求めているところにあります。

サブプライムローン関連の証券化商品がどのように評価されるかについて、新日本監査法人の情報ポータルサイトに次のような記載があります。
「一口にサブプライムローン関連の証券化商品といっても、いろいろなものがあり、格付けがあるものと、ないものによっても状況が違います。格付けのある債券については、それと同一格付債券の気配値や、売買実績など、市場で根拠となるもの(レベル2インプット)が取れれば、それを使って評価することになります。格付け機関はこの問題の初期段階では格下げの必要はないといっていましたが、その後、全面的に
格下げを行った結果、債券の保有者は大きな評価損を計上することになりました。投資家は、債券が売られ気配値が下がることと、格下げの両方で評価損の拡大に見舞われました。こうした市場価格を推計するデータも市場からまったく得られなくなった場合、レベル3インプットによって、評価することになります。」
http://www.a2msn.jp/portal/column/single/subprime/story/02.html
このコラムはSECからの手紙以前に書かれています。SECからの手紙は、このコラムでレベル2インプットを取れるものと位置付けられているものを、市場価格が歪んでいると認められる場合にはレベル3インプットを用いて公正価値の評価を行うことを認めると言っているわけです。これは4月12日に当ブログで私が指摘した(http://cfonews.exblog.jp/7724804/)ように、”状況が悪いときには、それを測るモノサ
シを変えてやり過ごそう”ということに他なりません。

言うまでもなく、今は、実態をルールに従い正しく把握した上で、それに対し適切に対処していくことが求められている時です。場当たり的にモノサシを変えてやりすごそうという姿勢は全く持って間違っていると私は思います。
一方私自身は、全面時価会計が会計の正しい方向性であるとは思っていないので、これを機会に会計基準を見直すための議論はあってしかるべきであると考えています。

それにしても十字路の「市場原理主義者から見れば時価会計の後退は許せない。しかし、会計士ショックによる金融メルトダウンは防がねばならない。いまは理想論をふりかざせるような生やさしい局面ではない。」とは一体何を言いたいのでしょうか? 少なくとも、私は市場原理主義者かもしれませんが(笑)、時価会計の信奉者ではありません。

情緒的なだけで中身がない議論を公の場ですることは厳に戒めてもらいたいものです。

【リンク】

SECからの手紙
http://www.sec.gov/divisions/corpfin/guidance/fairvalueltr0308.htm

New York Times 3月28日記事
http://norris.blogs.nytimes.com/2008/03/28/if-market-prices-are-too-low-ignore-them/

 

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