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アジアの幻想(新興国バブルの終焉)GSのBRICsリポートは正しいしいのか?〜人口動態に見る「アジアの時代」の終焉
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投稿者 Ddog 日時 2008 年 7 月 19 日 03:41:14: gb2b4T9TetGkU
 

アジアの幻想(新興国バブルの終焉)フラット化した世界〜日米中人口動態俯瞰〜ゴールドマンサックスBRICsリポートは正しいのか?〜人口動態に見る「アジアの時代」の終焉

■フラット化した世界

私の机の奥にゴールドマンサックスのルーパ・プルショサーマン (Roopa Purushothaman)が2003年10月に書いた投資家向けのレポート「BRICsとともに見る2050年への道」(Dreaming with BRICs: The Path to 2050) が話題になっているという2003年秋バロンズに掲載されたダイジェスト版レポートをファイルしてある。最初にこのレポートを読んだ衝撃は少なからずあったが、今日と比べるとその実感に乏しく実現性を疑った。私は、現在でも必ずしもレポートの通りになるとは思わないが。ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国の頭文字をとったBRICsという言葉はあれから5年が経ちすっかり市民権を得て、21世紀はBRICsの世紀であるとのようなレポートが巷に溢れている。< http://ja.wikipedia.org/wiki/BRICs >

確かに、BRICs諸国それに続くVISTA< http://ja.wikipedia.org/wiki/VISTA >やNEXT11< http://ja.wikipedia.org/wiki/NEXT11 >と呼ばれる新興国の経済規模は、現在G6(米国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア)の経済規模は、まだ比べようも無いくらい小さいが、2040年頃には先進国を上回り、その後は次第にG6の規模を大きく凌駕するとみられている。

ベルリンの壁が崩壊し、WWWインターネットが発達した現代は、国境がだんだん低くなり世界はフラット化しているといえよう。世界が個人ベースで同じフィールドで自由に競争をすれば、地球規模で、同質化が進むのはエントロピーの法則からすれば必然といえよう。同容器の中で水と油で分離していたものが、界面活性剤(触媒)を入れてかき混ぜれば交じり合う原理に似ている。同じ当然今まで豊かな国G7の中産階級以下の富が、新興国へ移転していくのは経済学的にではなく、物理学的な自然科学の法則に従っても必然なことだといえよう。

G7の中産階級に属する人々にとっては、かつてグローバル化自由貿易は経済の発展を意味したが、フラット化した現代においては、逆に没落を意味する。しかし日本は、資源も無く食料の自給率も低く、自由貿易を反対することはできない。

G7の中産階級に所属する私としては、日本が生き残るには、クールジャパンに代表される世界に歓迎される日本の洗練された文化と、世界の最先端唯一の技術を持つことを発見すると喜び、既成概念を覆すような技術革新を日本企業が次々に行っていることに希望を見出している。そして、BRICsの弱点を見つけても、やはり喜び、新興国が永遠に開発途上国に留まるよう呪詛している。

■日米中人口動態俯瞰(ゴールドマンサックスBRICsリポート)
2003年のリポートで、その後2050年の世界では、GDPは中国44.5兆ドル 米国35.2兆ドル インド27.8兆ドル 日本6.7兆ドル ブラジル6.1兆ドル ロシア5.9兆ドル 英国3.6兆ドル 独3.6兆ドル 仏3.1兆ドル 伊2.1兆ドルと。BRICs全体の経済規模はG6(日米英独仏伊)を追い越すと予測し、新興国投資ブームを生み出した。

このリポートはいち早く今日のBRICs諸国の隆盛を指摘した先駆的レポートして評価できるが、BRICs諸国に対して楽観的過ぎると思っている。なぜなら、新興国は永遠に人口が増えていくことはなく、やがて人口が減少し人ロオーナス期を迎えるという視点に欠けていると思う。

アナリストの経済分析手法に人口動態を鍵としてマクロ経済の成長を分析する手法がある。
人口ピラミッドというのは社会科で習われたかと思いますが、一国の人口変動のなかで、戦争や伝染病等の理由で人口が減少した世代が存在し、戦争終了直後の世代経済発展や医療技術革新で乳幼児の死亡率が下がり、人口が増加した世代。いわゆるベビーブーマー世代などがあり日本や米国などの先進国の人口は、インドのような開発途上国とは違いピラミッドのような形ではなく、釣鐘型になっているとなっています。もっともインドも近年完全なピラミッド型ではなくなってきています。
[[attached(画像番号,center)]]
出所)U.S. Bureau of the Census, International Data Baseのデータより野村アセットマネジメント作成 (2004年)

生産年齢人口が激増する一方、高齢人口がまだ少ない時代を人ロボーナス期といいます。
企業は豊富な労働力を安く使えるため成長が促進されます。
かつては20代で結婚し30歳前後で子どもが出来、子どもが成長し40歳前後で家を購入するとされました。人生において最大の買い物は家であるならば、人口ボーナスのピークを最大のベビーブーマー世代に当てはめて、経済を眺めると、その国の経済の隆盛と一致します。

ところが、かつて成長を支えた現役世代が50代60代そして後期高齢世代になり、少子化で生産年齢人口が相対的に少なり人口ピラミッドが崩れ頭でっかちな釣鐘状態となります。これを人ロオーナス期といいます。

オーナス(onus)とは英語で「重荷」を意味し、人口オーナスとは人口が経済発展にとって重荷となった状態をさします。人ロオーナスが経済成長に与える影響は、生産年齢人口が急減し、同時に高齢人口が急増する事態のことで、年金など高齢層向けの財政支出が拡大し、現役に高負担を強いる事になります。@将来の労働人口減少により成長率予測が鈍化し、貯蓄の担い手である労働人口の比率低下が、A国民貯蓄率を押し下げ、その貯蓄を原資とする投資率の低下が資本蓄積を押し下げ、成長も阻害されやすくなります。人ロオーナスが、B技術革新や経済改革の勢い、そして経済活力を低下させ、生産性(を押し下げる効果についても同様である。

★日本の人口動態。
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出所 国立社会保障・人口問題研究所 http://www.ipss.go.jp/

1945年が終戦で1946年〜1950年にかけて生まれた世代が団塊の世代で、団塊の世代が40歳前後が日本のバブル経済1986年〜1990年にかけてピークであったことが分かります。
もう一つの人口のピーク団塊ジュニア世代実は別の名をロスジェネ世代でもある。彼らが40歳を迎えるのは2010年から2015年であるが、彼らの結婚出産はずれ込み、家を取得するのは2015年〜2020年頃になるか、家を取得することができる人間が限られる可能性があることを考えると、ここからの日本の政府の舵取りは重要である。今後の日本経済の成長、いやどれだけ希望が持てるかが重要である。(この話は人口動態に見る「アジアの時代」の終焉でまた取り上げる。)

★米国の人口動態
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http://www.china-europe-usa.com/level_4_data/hum/011_7c.htm

米国の最初のベビーブームは第一次世界大戦直後の1919年〜1925年に最初のピークがある。米国の黄金の60’sはまさに、この第一次ベビーブーマー世代がこれに当たる。
もう一つ付け加えるならば、この第一次ベビーブーマー世代が20代の時に第二次世界大戦があり、米軍が強かった理由でもあるかもしれない。

その60年代に生まれた人達が40歳を迎える2000年〜2005年が当にアメリカのスーパーパワーの時代であったと思う。

★中国の人口動態。
[[attached(画像番号,center)]]
http://www.china-europe-usa.com/level_4_data/hum/011_7a.htm

中国は、毛沢東が支配した時代、イギリスを抜き去り世界第2位の大国となるべく大躍進政策を計画した、経済政策は失敗したが、人口は爆発的に増え続けることに成功してしまった。毛沢東は、「人多力量大」(人口の多さが力の大きさ)、「人不但有一张嘴,还有一双手,可以创造世界」(人の口は一つだが、手が二本あるので、世界が創造出来る)とも言い、10人以上子供を生んだ母親を、「光荣妈妈」(栄光の母親)の称号を与えた。
その結果、1970年代中国は年に1700万人からの人口が増える人口爆発状態となってしまった。そして1979年ケ小平は4つの近代化を実現すべく、一人っ子政策に政策転換した。これは、天津の一女性労働者が1978年に「一人っ子宣言」をしたのを契機に、天津医学院の女性医師が連名で「一人っ子提議書」を提出した。これを1980年党中央委員会と国務院が国策と位置づけ政策へ転換したのが人口計画育成法、所謂一人っ子政策である。

中国政府は、2007年の報告書の中で、今世紀半に迎える総人口のピークを15億人前後に抑え、その後、緩やかに減少していくように出生率を2・1以下に安定させるとしている。


■ゴールドマンサックスBRICsリポートは正しいのか?

ゴールドマンサックスBRICsリポートは、中国ロシアの高齢化や少子化による。生産年齢人口が急減し、同時に高齢人口が急増(人ロオーナス)の経済成長への影響につい、考慮されていないようだ。GSの成長見通しは、その点で楽観的だといえる。

人ロオーナスが経済成長に与える悪影響は十分に検討されていないように見える。国連や世界銀行の統計では、中国の人ロオーナス期を迎えるのは2015年とされ、中国経済の発展は、楽観的に見てあと7年〜10年に過ぎない。2020年には中国は日本同様高齢化社会へ早くも突入するのだ。

GSの2006年2月のリポート「Will China grow old before getting rich?」において2003年のリポートでは平均GDP成長率を4.5%としていたものを5.3%に上方修正している。その根拠として、教育水準の向上効果、一人っ子政策の緩和などをあげている。
国連や世界銀行の統計に比べ、人口オーナスの影響を低く捉え、恣意性が感じられる。


■人口動態に見る「アジアの時代」の終焉

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一般にアジアは世界経済のエンジンとして今後も高成長を持続するイメージが先行しているが、上のグラフを見て意外に早く人口ボーナス期は終了してしまう。
人口動態を見る限り、アジア経済は今後、成長が減速し、「人口オーナス時代」を迎える。
日本はアジア諸国に先駆け、人口ボーナス期⇒出生率の低下⇒少子化の進展⇒高齢社会への移行⇒労働力人口の滅少⇒総人口の減少という順序で人口が変化してきた。2005年には総人口が減少を始めてしまった。今後は後続のアジアの国々でも同じことが、ほとんど同じ順番で起きる。

韓国、シンガポール、タイ、中国など国々では既に出生率が低下しており、今後急速に高齢化が進む予定である。ASEAN諸国、インドでは、今後所得水準の上昇とともに出生率
が低下し、2025年から高齢化が進む。

こうした人口変化の下でアジアの経済成長率は、労働力、資本(貯蓄率)、生産性(技術進歩)の3つの要因で決まると考える。高齢化が進展すると、老後に備えて貯蓄を積み増す人よりも、貯蓄を取り崩す人が多くなるので、経済全体の貯蓄率は低下し、これが資本蓄積を制約する。

日本では1950年〜1970年が典型的な人ロボーナスの時代だった。これは高度成長の時代に当たる。人ロボーナス状態だったことが日本の高度成長を支えた大きな要因の1つだったのである。労働力の伸びが成長を支え、団塊の世代をはじめ、現役勤労者層が多かったため貯蓄率も高かった。さらには高齢者も少なく、そのための負担も小さかったため、手厚い賦課方式(高齢者の年金を現役世代の保険料収入によって支払う方式)の年金制度を作ることもできた。

日本の人ロボーナス期に幕が下りたのは、バブル崩壊と重なる1990年。1995年以降は人ロオーナスの時代に人っている。まず成長率が鈍化⇒労働力人口は減少⇒貯蓄率も低下している。何よりも、年金・医療などをめぐって勤労世代の負担が高まり、将来不安が増大してる。今日の日本の状況は人口動態から鑑みて必然性がある。

アジアに目を転じれば、現時点が人口ボーナス期であることが分かる。新興国アジアの高成長は人ロボーナスの時期に位置しているのである。
しかし、人ロボーナスの時期は間もなく終わってしまう。シンガポール、タイは2010年頃から、中国、韓国は2015年頃からという具合に、順番に人ロボーナスから人ロオーナスヘと移行していく。アジアの時代が終わる可能性があるのは、まさに人ロボーナスから人ロオーナスヘの局面変化によるものなのである。


これからのアジアの課題は、人ロオーナスに伴う諸問題にいかに対応するかである。日本は1970年〜1995年にかけての25年(これは世界でも異例に速いスピードだった)をかけたが、アジア諸国も日本並みもしくはそれ以上のスピードで高齢化が進むと予測される。見通しではシンガポールと韓国は20年、ベトナムは15年で高齢化に備える準備期間が短いことも意味している。

また多くの国では、人ロボーナスが終了した時点でのー人当たりGDPがそれほど高くないと予想される。予想されるー人当たりGDPは中国9722ドル、インド7758ドルと日本の半分以下。十分な豊かさを達成できていない段階で人ロオーナス社会に人っていくことになる。

今後アジア地域では、今の日本に現れている人ロオーナス問題など人口変化によってもたらされる諸問題が次々に顕在化することになるだろう。
人口構造の変化によって成長率が低下するのは運命的なもので「アジアの時代はまもなくが終わるだろう」

【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/13147348.html  

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