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深刻化するマンション不況と政府の責任(植草一秀の『知られざる真実』)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 8 月 27 日 18:49:03: twUjz/PjYItws
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_e7f9.html
2008年8月27日 (水) 日本銀行・金融政策・経済政策

 深刻化するマンション不況と政府の責任


戸建住宅事業者の創建ホームズ(東証第1部上場8911)が8月26日、民事再生法の適用を東京地裁に申請し、受理された。負債総額は338億円。不動産市況の悪化で金融機関からの借り入れが困難になり、資金繰りが悪化した。前日の8月25日には首都圏を中心に分譲マンションを開発・販売するセボン(東京・新宿、山崎喜久男社長)が民事再生法の適用を東京地裁に申請し受理されている。負債総額は621億円。


不動産会社の経営破たんが相次いでいる。6月にスルガコーポレーション(東証第2部上場1880・負債総額620億円)、7月にゼファー(東証第1部上場8882・負債総額950億円)、8月13日にはアーバンコーポレイション(東証第1部上場8868・負債総額2558億円)など上場不動産会社の倒産が続発している。


マンション事業を中心とする不動産会社の相次ぐ経営破たん発生は三つの要因を背景としている。@不動産価格の下落への転換、A金融機関の貸し渋り、および貸し剥がし、B建築行政の混乱、である。米国サブプライム問題の余波で日本の不動産市場が変調を来したことが根本的な背景になっているが、行政の混乱が問題深刻化の重大な要因になっている点を見落とせない。そのなかでの不動産事業者を狙い撃ちにした銀行の貸し剥がしがとどめを刺している。


問題の最大の背景は米国のサブプライム問題の余波を受けて、日本の不動産価格が下落に転じたことだ。不動産価格の下落に連動してマンション販売が深刻な不振に陥っている。本年7月のマンション発売戸数は前年同月比44.5%も減少し、11ヵ月連続の減少を記録した。また、同月のマンション契約率は53.5%で6ヵ月ぶりに50%台に低下した。


小泉政権が株価暴落を誘導したのちに欺瞞に満ちた税金によるりそな銀行救済を実行した2003年以降、2007年にかけて首都圏を中心とする大都市の地価は急騰した。外国資本が多数のファンドを組成して首都圏の不動産を買いあさった。


新興不動産デベロッパーは、テナントや借家人のいる物件や権利関係の複雑な不動産を取得、権利関係を調整したうえで収益物件を建ててファンドに売却するビジネスモデルを構築し、急成長した。


円安誘導と日本の資産価格暴落誘導は、外国資本に巨大な利益獲得機会を提供した。2001年から2003年にかけての経済悪化誘導政策は日本国民に塗炭の苦痛を与え、戦後最悪の失業、倒産、自殺を生み出したが、その裏側が外国資本に対する巨大な利益供与政策であったとの構造を有していた。


2007年半ば以降、米国で顕在化したサブプライム問題に連動して、外国資本が一斉に日本資産売却に動いた。連動して日本の不動産価格が急落した。不動産価格が下落に転じると不動産販売は一気に逆風にさらされる。不動産の買い手が価格下落を見込んで買い控えに転じるからだ。


不動産流動化ビジネスを手掛ける新興デベロッパーだけでなく、一般の住宅建設・販売会社の業況が急速に悪化し始めた。とりわけマンション建設・販売業者の経営不振が深刻化している。


マンション事業に深刻な打撃を与えたのが昨年6月の改正建築基準法施行だった。耐震構造偽装問題を踏まえて、安全性を審査する「建築確認」が厳格化されたが、政府の準備不足が露呈して住宅着工が激減した。


改正法成立から施行まで1年の準備期間があったにもかかわらず、法改正を所管した国土交通省の対応が杜撰であったことが建築確認行政停滞の主因である。


法改正の詳細を説明した技術解説書の発刊が法施行の2ヵ月後にずれ込んだ。また、建物の耐震性点検に使う「構造計算プログラム」の開発が大幅に遅れた。プログラム開発業者に法改正の詳細が伝えられるのが大幅に遅れ、大臣認定が与えられる新しいプログラムの完成が大幅に遅れた。


8月29日に7月の新設住宅着工戸数が発表される。前年比増減率は昨年6月以来、13ヵ月ぶりにプラスに転じる見通しである。その理由は昨年7月の新設住宅着工戸数が改正建築基準法施行の影響で激減したことにある。


前年比上昇率はプラスに転じるが、法改正前の水準を回復するとは見込まれていない。不動産経済研究所によると7月末の首都圏のマンション販売在庫数は前年同月比48%増に積み上がっている。不動産市況が下落に転じたために、不動産取得者の行動が著しく慎重化しているためだ。


さらに、不動産事業者の経営を圧迫しているのが、金融機関のマンション開発業者への融資姿勢の硬化である。上記破綻企業のケースでも、破たんの引き金を引いたのは、主要取引銀行の融資引き揚げだった。


銀行は税金による救済に加えて、超低金利政策による支払い金利軽減の優遇策を政府の政策から得ている。これに対して、一般事業者は金融機関が自らの損失回避を優先させて融資資金の貸し剥がしを実行すると、防衛する手段を持たない。


しかも、マンション事業不振の引き金を引いたのは、改正建築基準法施行に伴う政府の対応不足にある。行政責任をまったく示さない政府、政府の施策に庇護される一方、一般事業者に対しては利益追求のみで対応する金融機関。2003年の平成大不況においても名も無き市民は阿鼻叫喚の灼熱地獄に放置された。


民間事業者の自己責任は厳しく問われなければならないが、行政に重大な瑕疵(かし)があり、その結果として事業活動に重大な問題が発生したマンション不況に対して、大手企業が次々に破たんする現状のなかで、政府がただ呆然と無策を決め込んでいることは糾弾されなければならない。


日本経済の不況への転換のきっかけを形成したのは住宅投資の激減である。環境関連利権に付随する住宅投資優遇措置ばかりが検討されているが、政府の行政責任が極めて重大な住宅建設激減に伴う不況深刻化、企業倒産多発に対する政府の適切で迅速な対応が求められる。

 

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