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血税の投入による県民の一方的な負担によって,紀陽銀行と公社を実質救済 【市民オンブズマン わかやま】
http://www.asyura2.com/08/hasan58/msg/615.html
投稿者 hou 日時 2008 年 10 月 01 日 00:21:45: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: 「コスモパーク加太」(和歌山市加太)・・・ 債権者は紀陽銀行、県信用農業協同組合連合会、三井住友銀行  【産経新聞】 投稿者 hou 日時 2008 年 10 月 01 日 00:14:42)


http://www.naxnet.or.jp/~wa_obz/Topics/cosumi_ikensho-1.htm

2003年12月1日


 コスモパーク特定調停地裁「決定」に対する意見書


     市民オンブズマン わかやま  
代表 阪 本 康 文  
代表 松 井 和 夫  


 

 

1 はじめに

 

 県土地開発公社が「コスモパーク加太開発事業」に関して5つの金融機関から借り入れた約438億円の債務支払い方法をめぐる特定調停において,和歌山地裁が,民事調停法第17条に基づいて調停に代わる決定を下しました。そして,かかる決定を「妥当なもの」として県知事は,決定に関連する議案をこの県議会に上程し,審議に付しています。

 当会は,当該決定が巨額の県民の血税の投入による県民の一方的な負担によって,紀陽銀行と公社を実質救済するものであり,そのことに公益性がなく必要性もなく妥当性に欠ける不合理かつ不当なものであることから断じて許してはならないと考えるものです。

 とりわけ,県が借り換え後に債務保証する265億円もの巨額の血税の支出は,2033年3月31日または,本件土地売却完了時のいずれか早く到来したときに支払責任が生じるというもので,私達の子供や孫の時代にそのツケを先送りし負担を負わせるというとんでもないものです。

 このようなことに鑑み,決定の不当性を広く県民に知っていただく意味で,本意見書を公表致します。
  


 

 

2 決定の内容

 

  裁判所の決定の内容を要約すると次のとおりです。

 a 借り換え弁済
 ・ 7月1日〜12月25日までの遅延損害金の免除。
 ・ 新規借入金をもって,公社負債約438億円を弁済。
 b 新規借入金約438億円の貸付条件

  @ 弁済期限  2033(平成45)年3月31日。

  A 利  率  03年12月25日から08年6月30日まで0・6%。
          その後の利率は,5年ごとに上記利率を見直し協議,決定する。

  B 利息の免除 上記利息の内,2007年6月30日までの間は免除。

  C 約438億円のうち約65億円の弁済方法と質権設定
          2004年9月末日から2024年3月末日までの20年間での分割弁済。
    県は,公社所有土地の一部を賃借し賃借料を公社に支払う。公社は,県から受領した賃料を分割弁済金と利息金の支払いに充てる。
    当該賃料債権に質権を設定する。

  D 約438億円のうち108億円の弁済と根抵当権の設定
          2033年3月31日までに,公社保有土地を売却し,売却金をその都度弁済に充当する。余剰がある場合,残債務金265億円の弁済に充当する。
    公社所有地に根抵当権を設定する        

  E 約438億円のうち残額265億円の弁済と県の債務保証
    金265億円について県は債務保証する。
     2033年3月31日または,本件土地売却完了時のいずれか早く到来したときに,これに対する利息や遅延損害金とともに履行(県が弁済)する。

 

 

3 県議会上程議案の概略

 

 県知事は,この27日,概略次のような関連議案を提案し,議会の承認を求めています。

 a 決定に異議申し立てをしないこと。
 b 今年度の追加費用8990万円(主に来年2月と3月の公社保有土地借り上げ代金)
 c 将来に亘って支出が予定される費用(債務負担行為)として,
     @ 公社借入金265億円の債務保証,
     A 公社保有地の20年間の借り上げ賃料121億5000万円
     B 用地整備20億2000万円

 

 

4 県知事の根本的な誤り

 

法的義務が一切ないことから債務負担の必要性がない債務の引き受け

 ア 借り換え前の債務について和歌山県は,公社が,県とは別の独自に登記された特別法人であり,当該借り入れがコスモパーク加太開発事業に関して借り入れたものであるが,これは公社が自主事業として行ってきたものであり,そして,その借り入れに際し,県が一切の保証もしていなかったというものでした。そういうことから負担の拒否は法的にも可能というものであり債務負担の必要性がないものでした。

 イ 調停に代わる決定は,公社保有の土地から弁済される108億円を除く330億円もの巨額を県民の血税により,借り換え前の法的義務がなく債務負担を負う必要性のない債務を,法的義務を負う形にしてあらたに負担を引き受けるものです。 このような法的責任がまったくない債務を,しかも,330億円という途方もない巨額な債務を県民の血税で法的責任を負う形にして肩代わりすると言うこと自体許されることではありませんし,このことを押し進める県知事の姿勢は,県民の利益に対する裏切り行為であり,根本的に誤っています。

 

国の公的支援のあり方を示す指針に反する

 ア 地方公共団体が出資・出捐を行っている第三セクターの経営悪化に伴う債務整理に係る公的支援のあり方に関して,自治大臣官房総務審議官の「第三セクターに関する指針について」(1999年5月20日付自治政第45号)と題する通知があります。

 この通知において,自治大臣官房総務審議官は第三セクター自体は法的に独立した事業主体であり,その債務について地方公共団体が出資者として負う法的な責任はあくまでも出資の範囲内(有限責任)であることから,地方公共団体は,出資の範囲内の負担,損失補償契約に基づく負担又はあらかじめ定められたリスク分担に基づく負担を負うにとどまるのが原則であり,上記有限責任の範囲を超えた損失補償契約等の債務負担行為の設定は,将来の財政運営への影響を考慮して,真にやむを得ない場合に限定し,地方公共団体が過度の負担を負うことのないようにすべきである、と定められています。

 イ 公社は,第三セクターではありませんが,今回の問題において当該指針が準用されると考えられます。この指針に従うと,今回の場合,出資者である和歌山県が負う法的責任はあくまでも出資の範囲内の有限責任ということになり,それ以上の責任は負うことのないようすべきということです。

  巨額の債務肩代わりを押し進める県知事の姿勢はこうした点でも根本的に誤っているというものです。

 

 

5 経営悪化のツケとその責任を県民にかぶせるもの

 

三当事者の責任

 決定に関し県は,「当事者がそれぞれ痛みを伴う」ものなどと説明しています。しかし,これはとんでもない誤った説明です。むしろ決定の内容は,一方的に過大な負担を県が負うものとなっています。過大か否か,誰がどれだけの負担を負うのが正当かについて吟味する際必要なことは,誰がどれだけの責任を負っているかという責任の重さに比例して負担を考えることが求められます。そこで,それぞれ当事者の責任をまず明確にすると次のとおりです。

県の責任

上述したとおり県は,公社とは別法人であり,これまでの債務には一切保証しておらず法的責任がないというものであり,負うとすれば,出資した出資金の範囲の責任のみというものです。

公社の責任

公社は、コスモパーク加太開発事業を自主事業として行ってきたものであることから,経営悪化を招き債務の返済を不能に至らした根本的かつ重大な責任があります。

金融機関の責任

    公社に貸付を行った金融機関には,貸付時に,公社が独立した法人であり,自主事業であることを認識した上で,土地に担保を設定せず,県の債務保証を得ずに,自己の損益計算の下に,その責任で公社に貸し付けを行っています。故に,返済される目算を誤ったとしても,自己責任の問題だというものです。 なお,金融機関側からすると,担保を設定せず債務保証も得ずに貸し付けた責任が問われても致し方のないものです。

 

三当事者の負担の概略

県の負担

 県の元本に対する負担は、上記2の決定の内容のとおり438億円のうち,土地を借り上げ賃料から支払う65億円と,2033年3月31日または,本件土地売却完了時のいずれか早く到来したときに生じる265億円の範囲内の負担です。

 なお,265億円の範囲内の負担ということは,公社保有の土地の売却代金が108億を上回った場合,265億円の部分に充当弁済されることになっているからです。しかし,将来当該土地が高騰するとは到底考えられません。むしろ,ほぼ,同額の負担が生じるであろうことは想像に難くないというものであり,とんでもない巨額の危険な責任を負うことに何ら変わりがありません。

 県の利息に対する負担は,残元本に対する2007年7月1日から完済されるまでの利息と遅延損害金の負担です。この間の利率は,2008年6月30日までが0・6%。その後5年ごとに見直すというものです。そして,この利率は,現在の利率が最低水準にあり,将来上昇することが充分予想されても低下することなどまったくといてよいほどに考えられないものです。

 ちなみに,利息金について参考までに,単純に元金438億円の利率0・6%で県が完済までの支払い責任を負う期間25年9ヶ月で算出すると,約金 67億6000万円ということになります。 また,借り換え前の利息金として,県は県民の血税を公社に貸し付けるという形を取っていますが,金融機関にその全額を支払ってきました。その負担額は105億円にも及びます。そして,現実には,これら以外にも用地整備費などとして今後3年間の支出としてすでに20億円が予定されていることからしても,その後もこのような名目で支出が追加されるであろうことも想像に難くないものです。なお,ここに言う県の負担は,県民の血税による負担を意味するものです。

公社の負担

 公社には,負担がまったくありません。県は,3者に痛みの伴う内容と言う。とすると,公社にも負担を負わしていると見なしているのであろう。しかし,果たしてどの部分をさしてそう言うのであろうか。

 土地は売却して返済に充当することにはなっています。しかし,これはコスモパーク事業がそのような内容のものであり,自分の借金の保有資産を売却して返済に充てることは当然のことです。そして,残債務の全額を県民の血税で,しかも,利息は一部免除,残利息すべてを県民の血税で支払われる仕組みとなっているのですから公社には負担のないことが明白です

金融機関の負担

 金融機関の元本に対する負担は,108億円の元本部分に県の債務保証を得ていないことから,仮に,公社保有の土地売却代金が108億円以下だった場合に,その部分を負担するという危険負担だけです。しかし,当該危険負担は,公社が保有している土地の時価を165億円とみなしているにもかかわらず108億円の部分だけにとどめています。そう言うことから,108億円は100%回収可能な額となっていることが明らかなものです。つまり,元本部分には金融機関の負担がないというものです。

 金融機関の利息に対する負担は,借り換え前の6ヶ月間の未払い利息と借り換え後の3年6ヶ月間の利息を免除という形で負担することになっています。 ちなみに,決定で決められている上記利率の0・6%でこの間の利息額を算出すると,約10億5000万というものであり,県民の血税による負担と算出した上記利息金67億6000万円と比較しても僅かなものと言えます。

 さらに,これまで金融機関が収受してきた105億円の利息金は懐にいれたままです。そうであるのに,単に10億5000万円の利息の免除という負担だけではいかにも軽いと誰もが思うでしょう。そして,これら以外の負担は,元本も利息も県民の血税で完済される仕組みですから金融機関の負担が極めて軽いことが明白です。これでは,金融機関にも負担があるかのように装っていますが実質負担がないにも等しいと言わざるを得ないものです。

 

県民への一方的で過大な負担は明らか 実質は金融機関等の救済策

 以上述べてきたとおり調停に代わる決定には,公社に負担がまったくなく,金融機関にも実質負担がないに等しいものです。そういうことから,一方的に過大な負担を県民が負うものであることが明らかです。しかも,公社や金融機関には責任があると言うにもかかわらず,何らの責任もない県民が,その血税で負担を強いられるという極めて不平等な扱いが生じるものです。このように,金融機関や公社にとっては至れり尽くせりのものであることから金融機関や公社の責任をも不問にしようという意図が見えるというものです。つまり,調停に代わる決定の本質は,これら2者の救済策と思料されるものです。この点でも県知事が押し進める調停に代わる決定は,極めて妥当性に欠ける不合理なものと言わざるを得ないものです。

 

6 公益性の不存在

 

 県民の血税の支出には,公益性が求められます。公益性とは,県民の福祉の増進に有益か否かという観点から判断されるものです。単なる公社と金融機関の救済策の支出に何の公益性もありません。県は,賃借した土地を構造改革特別区域計画に基づき整備・推進するとなっていますが,債務返済の先送り策にすぎず,このことをもって公益性を存在つけるものとはなり得ないものです。このような点でも県知事が押し進める調停に代わる決定は許されません。

 

7 まとめ

 

 県知事が押し進める調停に代わる決定が,債務弁済を先延ばしする形で県民に一方的に巨額の負担を強いるものであることが理解されたのではないでしょうか。

 私達は県民の一人として,調停に代わる決定の内容が,単なる公社や金融機関の救済にあり,妥当性や必要性かつ公益性に欠ける不当なものであり,断じて許してはならないと考えるものです。これに関する議案が現在県議会に上程されて審議されています。「決定に異議申し立てしない」ことが否決されると,異議申し立てせざるを得なくなり,その効力が否定されると言う段階にあります。

 是非多くのみなさんが,「裁判所の調停に代わる決定は許さない」と言う声を,県知事や近くの県議会議員に寄せられることを訴えるものです。

以  上

 

 
 

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