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30年間、「市場は万能」というのが経済の常識だったが、世界を支配したアングロサクソンモデルは崩壊し、経済の新時代が始まる
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投稿者 TORA 日時 2008 年 10 月 09 日 12:25:53: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu177.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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30年間、「市場は万能」というのが経済の常識だったが、世界を支配
してきたアングロサクソン型モデルは崩壊し、経済の新時代が始まる。

2008年10月9日 木曜日

◆金融不安の裏にある覇権国・米の構造問題=信州大 真壁氏 10月8日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPnTK017225320081008

(前略)
 <低下した米金融テクノロジーの神通力>

 ところが、それは「ITバブル」と「住宅バブル」によって支えられていたことが明らかになった。しかも、米国自慢の投資銀行部門のオペレーションの多くは、借入や派生商品を使うことによって、単純にレバレッジを掛けていただけだったことが露呈してしまった。それが明らかになると、それに追随する投資家の数は極端に減少するはずだ。米国流のファイナンシャル・テクノロジーが神通力を失い、米国の信用力が低下したのである。

 米国の信用力低下のもう1つの理由は、米国の財政状況だ。米国の財政状況は、減税の実施などによって短期的にかなり悪化している。しかも、金融機関の救済などによって、今後一段と悪化することが予想される。救済資金ねん出のために米国政府は、多額の国債を発行することが避けられないからだ。今後の焦点は、増発される国債をだれが買うかだ。従来のよう、わが国や中国、産油国が積極的に購入してくれれば問題は顕在化しない。

 しかし、米国発の金融市場の混乱を目の前で見せられてしまうと、増発される米国債に対する食指は動き難くなるはずだ。増発国債の消化がうまく行かず、発行できない事態に追い込まれると、それは間違いなく、米国自身の覇権国としての神通力の失墜につながる。

 <米国債の信認維持に欠かせないISバランスの好転>

 それを阻止するためには、増発される国債の多くを国内で消化することが必要になる。実現には、米国民の消費カットによる生活水準の引き下げと貯蓄の増加が必須の条件になる。米国のIS(投資・貯蓄)バランスが好転するからだ。問題は、高い生活水準に慣れてしまった米国民が、果たして、生活水準を落とすことができるか否かだ。

 おそらく短いタイムスパンで考えると、答えは「ノー」だろう。1度慣れ親しんだ高い生活水準を低下させることは、口で言うほど容易なことではない。短期間に、それを成就することは困難と見るべきだろう。増発される米国債の国内消化がおぼつかないとなると、金利水準を引き上げてでも、海外投資家に購入してもらうしか有効な選択肢はない。それは米国にとって、大きく威信を傷つけることにほかならない。

 こうして考えてくると、今回の金融危機は単なる金融市場の混乱ではなく、むしろ米国という覇権国が持つ本源的な問題点が、世界中の人々に明確に示されたということができるだろう。その認識が正しいとすれば、今後、われわれは、世界経済が米国ひとりに依存する米国一極集中型の構造から、次の新しい構造への移動プロセスを歩まなければならないことになる。早期に発想の転換が必要になりそうだ。そうでないと、適切な対応ができないからだ。

 真壁昭夫 信州大学・経済学部教授

◆ポスト金融危機のグローバル資本主義 10月8日 ニューズウィーク日本版
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20081008-00000000-newsweek-int

−世界を支配してきたアングロサクソン型モデルは崩壊し、経済の新時代が始まる−

 文字どおりドラマのような1週間だった。米連邦議会は最大7000億ドル規模の金融安定化法案を議論し、投票にかけ、修正し、最終的には10月3日に成立させた。

 法案を下院が一度否決した9月29日には、ダウ平均株価が過去20年で最大の下げ幅を記録。その後、世界の株式市場はまるでジェットコースターのように乱高下を繰り返した。銀行間取引金利は過去最高になった。誰が危ない資産を保有しているのかわからず、金融機関は疑心暗鬼に陥ったからだ。

 個人投資家たちは強迫観念にとらわれている。ロンドンの高級ビル、サボイ・プレイスには、現金をゴールドに換えようとする人が殺到。1オンス当たり100ドルという割増料金を支払い、金貨や金塊を持ち帰っている。「少なくとも(金は)安全だから」とあるバイヤーは言う。「銀行は私たちのカネでいったい何をしているのか」

 誰もがそんな疑問を口にするようになった。銀行の支払い能力だけでなく、アングロサクソン型の資本主義制度全体に対する疑いが日々強まっている。

 この30年間、「市場は万能」というのが経済の常識だった。だから、今回の銀行救済策に一般国民は怒り狂った。懸命に働いて支払った税金のうち1兆ドル近くを投入して救う相手は、真の価値を何も生み出していないようにみえるからだ。

 こうした国民の怒りに政治家が屈服したことは、「ウォール街にとっていいことは一般市民にとってもいいこと」という考え方が通用しなくなったことを示している。

 ロナルド・レーガン元米大統領やマーガレット・サッチャー元英首相が推し進めた新自由主義の影響力が、今まさに消えつつある。私たちは自由な市場での容易な借り入れとリスクの高い取引、巨額の報酬に象徴される「黄金時代」に別れを告げ、融資の絞り込みや規制の強化、投機の縮小、政府の市場介入などが一般的になる新しい時代に突入しているのだ。

 世界中の政治家が、金融システムに対する新たな規制や「改革」を求めている。一方で、中国のような統制的な資本主義国家や、ドイツやフランスのような社会民主主義国家では、アメリカ発の金融危機に対して安堵する気持ちと「だから言ったじゃないか」という感情がない交ぜになっている。

 ドイツとフランスは、アングロサクソン型の金融システムに怯えていた。だがウォール街の崩壊は、彼らの経済モデルが生き残り、むしろ繁栄するかもしれないことを意味している。

 フランスのニコラ・サルコジ大統領は「金融システムの運営に公的権力が介入することの正当性に、もはや疑問の余地はない」と宣言。「資本主義を再検討する」国際会議を計画中だ。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は先週、「グローバル化した世界では政府の力が弱くなる、そう語るのが数年前の流行だった。私はそんな見方をしたことはない」と述べた。ペール・シュタインブリュック独財務相は、今回の危機は「アメリカが金融超大国としての役割を終える」ことにつながるとさえ述べた。 (中略)

「終焉」を迎える投資銀行

 まず、従来型の投資銀行はもうおしまいだ。FRBの規制により、これまでのようにレバレッジで高い収益をあげることはむずかしくなるだろう。

「基本に立ち返ることになるだろう」と、モルガン・スタンレー・アジアのローチは言う。「コンサルティング業務が増え、レバレッジの高い取引は減る。取引はクライアントの戦略的ニーズに沿って進められるようになり、取引そのものも金儲け一辺倒ではなく、より戦略的になるだろう」

 金融関係者の報酬にも上限が設けられる可能性がある。アメリカでは、ライシュをはじめ多くの人が、報酬を5年ごとの業績目標に連動させることを求めている。目先にとらわれて過度のリスクを犯すことを防止するためだ。

 それに、金融関係者の巨額の報酬のもととなった複雑なデリバティブ市場も縮小傾向にある。アメリカでは取引の透明性の向上のために、デリバティブの取引機関の整備を求める声がある。EU(欧州連合)はすでに、デリバティブ規制に動いている。欧州委員会は先週、債務担保証券を禁止もしくは制限する規制案のたたき台を作成した。

 ドイツのシュタインブリュック財務相は、金融市場の「教化」にも乗り出した。週刊誌の取材に対し、彼はこう述べた。「現在のような欲望むき出しで野放しの資本主義は、自らを食い尽くす運命にある」。シュタインブリュックは金融機関の自己資本比率を増やし、空売りを禁止し、金融関係者のボーナスに上限を設け、そして何より、簿外取引をなくそうと必死だ。

「過度のリスクを負うか、他の市場参加者に意図的に損害を与えないかぎり、25%のリターンは達成できないことを、明確にすべきだ」と、シュタインブリュックは先週、ドイツ連邦議会で語った。(後略)


(私のコメント)
テレビや新聞などのマスコミは現在何が起きているのかを報道するのが公的な使命なのですが、芸能やスポーツなどでは裏の事まで克明に報道するのに、経済の事になるととたんに通信社任せになってしまう。専門家にインタビューしようにも質問するだけの基礎学力が無いからだ。

相手が政治家なら突撃インタビューしていればいいのだろうが、経済はそうは行かない。普段から自分でも株式投資やFXでもしていればいいのだろうが、記者は株式やFXは出来ない。NHKの職員が株をやっていてインサイダーで捕まりましたが、だからマスコミの記者は経済に疎くなってきてしまう。

政治家も株はご法度だから、どうしても経済に関心が薄くなり、経済政策通といわれる政治家も少なくなりました。昔は議員バッチをひけらかして証券会社に出入りして、確実に儲かる株式売買をしていたようですが、最近はそのような事が出来なくなった。日本の証券会社の悪口は書けばきりがないのですが、外資系証券会社も詐欺師まがいの商法がバブル崩壊でばれてしまった。

外資系証券会社の言う金融工学は、分かりやすくいえばレバレッジを効かせた投資法ということなのだろう。デリバティブなどもノーベル賞学者を採用して科学的合理性を追求していたのでしょうが、経済は数学ではない。

ファニーメイやフレディーマックにしてもAIGにしてもCDSをよく理解しないまま売買していたから、現在のような金融恐慌になったのですが、住宅価格が下落して全国の住宅ローンが破綻すれば債務保証を引き受けたところが代位弁済を一斉に引き受けなければならなくなる。その金額は数百兆円にもなる可能性がある。


◆ファニーメーの悲劇 その2 10月9日 宮崎正弘の国際ニュース
http://www.melma.com/backnumber_45206_4250411/

「なにを我々は売っているのか、よく理解していなかった」と経営幹部

ファニーメーとフレディマックが売買して、不良債権と化したCDSの総額は、540兆円に達する(CDSはCredit Debt Swap)
 今頃になって「なにを我々は売っているのか、よく理解していなかった」と経営幹部が発言している。

 ファニーメーは05年から08年までに「怪しげな借り手が銀行から借りた住宅担保証券」を2300億ドルを購入した。

 「途中から銀行がわれわれを経由しないで投資家に担保証券を売却していて、焦燥と不安が広がった」とCEOのマッドはインタビューに答えた(ヘラルドトリビューン、10月6日付け)。

 市場の仕組みが変わった。
 迅速に流れが変わっていたのだ。
過去八年間で住宅ローンを担保として、ファニーメーは米国全体の40%を購入し、投資家へ売ってきた。ファニーメーが扱った主業務は一種の住宅保険で、銀行から担保物件を買うが、もし借り手が債務不履行に陥った場合にファニーメーが保証するという一種の保険機構なのである。

 要するに借り手が大挙して債務不履行となった場合、全額保証を求められるのだ。だが、同社は強気で、2010年まで2兆ドルを目指した。住宅価格は右肩上がりだったし、政府も議会も低所得層が住宅を購入するというアメリカンドリームが実現させる基軸の機構なのだから、誰もファニーメーを責め立ててはいなかった。
 不良債権かの恐れがでた07年でも議会民主党は、「もっと低所得層にローンを提供するべきだ」とファニー目に噛みついていた。
 
 ある日、ファニーメーは自身の会社がきわめてファニーなビジネスモデルの陥穽に陥っていることに気がついた。
年収の十倍以上もの物件を低所得層がつぎつぎと購入しているが、これは風向きがかわれば、突如不良債権かすることは明らか、その不良債権が自社に累積しているではないか!と。

 危機を正確に認識できたとき既に遅く対応をとる時間はなかった。


(私のコメント)
日本でもバブルの崩壊で住宅価格の下落が一斉に起きたのですが、日本人は実直だから住宅ローンを払い続けて焦げ付くローンは少なかった。だからローン保証会社も破産せずに済んだ。ところがアメリカはノンリコースローンだから買った住宅を銀行に返せばそれ以上遡及される事は無い。

アメリカでは4軒も5軒もローンを利用して不動産投資している人がいたようですが、失敗したら銀行にカギを送りつけるだけですんでしまう。これほど確実な投資法があるだろうか? もし株式投資に例えればローンで買って株が上がれば利益は自分のもので下がれば株の所有権は放棄すればいいのだから、これほどの「金融工学」はあるだろうか?

これでは銀行も商売にならないから保証会社の債務保証を付けて貸すのですが、債務保証も証券化されて転売されてファニーメイやフレディマックが一手に引き受けてしまった。両者が保証している残高は5兆ドルで500兆円にもなるわけですが、両社の発行している債券残高は5兆3000億ドルで600兆円にもなる。両社の債券は政府系金融機関ということで米国債並みの信用があった。だから外国政府が沢山所有している。

まさにファニーメイとフレディマックが破綻すれば1100兆円の焦げ付きが発生するわけですが、アメリカの金融そのものの破綻だ。さらにはAIGなども巨額のCDSを抱え込んでおり、CDSそのものの残高は6600兆円にもなる。債券に保証をつければ格付けが上がるからですが、それだけの保険金を払える金融機関は無い。

そんなことが分からないくらいアメリカの金融マンの頭のレベルは低いのですが、これがアメリカの「金融工学」の正体なのだ。まさにアングロサクソン型の経済モデルは崩壊してヨーロッパ諸国も巻き込まれてしまっている。だから欧米の金融市場はマヒ状態になり、銀行同士の金融も信用不安で中央銀行しか貸し手はない。

最近は日本人のノーベル賞の受賞が相次いでいますが、全く関係ないことなのですが、日本人の金融に対する賢さも評価されてきているのではないだろうか? 日本人はバブル崩壊で市場の恐ろしさを体験していたのですが、アメリカはソ連崩壊でアメリカの資本主義の勝利と錯覚して市場原理主義がアングロサクソンのイデオロギーとなった。

その市場原理主義を日本に取り入れたのが小泉・竹中内閣ですが、竹中平蔵氏はいまだに日本は構造改革が進んでいないとテレビで言っていますが、構造改革すべきなのはアメリカであり、だからこそアメリカ政府はアメリカの金融機関を相次いで国有化して社会主義的政策を行なおうとしている。自民党の言っている「小さな政府」は理想論であり、アメリカの金融破綻は「小さな政府」のプロパガンダの破綻でもあるのだ。

 

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