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米国当局は、今回の危機を利用して金融業界を再編したいと考えている 【白川 浩道】
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投稿者 愚民党 日時 2008 年 10 月 13 日 19:13:20: ogcGl0q1DMbpk
 

米政府が「公的資金」に二の足を踏む本当の理由  【白川 浩道】


 海津氏は、「新大統領の下で、公的資金の直接注入を含む仕組みを拡充・用意し、不良債権の買い取りと合わせ実施し、同時に追加減税、公共投資拡大などの大型景気対策を打つことになり、その仕組みや中身が十分なものであれば、米国株は上昇傾向に転じるであろう」と論じている。しかし、筆者はこうした見方に賛成できない。世界的な株価の下落基調は向こう1年以上止まらないのではないか、と考える。以下では、順序立てて、その理由を述べる。

 まず、世界的な株価の下落が止まらない最大の要因については、「米国政府の危機対応姿勢が今ひとつ積極性を欠いていること」であるとみている。

 「積極性を欠いている」という意味は、危機対応目的で投入される資金の規模が不十分であるということではない。米国政府が今年2月以降に導入した様々な景気浮揚・金融システム安定化措置の資金規模を合計すると、1兆6000億ドル強(170兆円弱)に上り、米国の国内総生産(GDP)の11%強にも相当する。資金規模だけをみれば、金融危機を解消するのに十分な大きさである。問題なのは、資金規模こそ十分であるが、現状では、「見せ金」が多く、実際の公的資金投入つまり「実弾」が小さい、ということである。筆者の推計によれば、「実弾」は2000億ドル程度に過ぎない。なんと1兆4000億ドル程度は「見せ金」なのである。

 「見せ金」の典型は、総額2,000億ドルの政府系住宅金融会社向け公的資金注入枠と、最近決定された7000億ドルの不良資産買取プログラムである。前者については20億ドルの支出が決まっているだけであり、後者についても、近い将来、第1弾として2500億ドルが準備される予定ではあるが、実際の資金投入はかなり漸進的なものになる可能性が高い。

 なぜ、米国政府は、世界的な金融恐慌のリスクが声高に叫ばれる中にあっても、「実弾」での資金投入に躊躇(ちゅうちょ)しているのであろうか。市場では、国民の安易な金融機関救済に対する反発が強く、膨大な税金投入に踏み切れない、という見方が有力なようである。しかし、それだけではない。米国当局は、今回の危機を利用して金融業界を再編したいと考えているのではないだろうか。

 米国の住宅市場が長期間にわたって低迷する可能性は極めて高い。このため、米国の住宅金融市場はその規模を大きく縮小させるであろう。また、サブプライムローン問題の根源が行き過ぎた証券化ビジネスであったことが明らかになったため、今後は、同ビジネスへの規制が強化される方向にあり、従って、証券化市場も縮小の憂き目に合う。さらに、多額のホームエクイティローンやクレジットカード負債を抱えた米国の個人は、今後、数年間、バランスシートの健全化に取り組まざるを得ない。消費者金融市場も縮小する可能性が高いのである。

 このような状況で、米国の金融業界が現状の規模で生き残れる可能性はほとんどなく、大規模なリストラが必要となる。米国当局はこの点を理解しているのであり、そうであるからこそ、金融業界が現状の規模で残ってしまうような救済、公的資金投入に躊躇している、と考えるべきだ。大規模な「見せ金」を用意することで、金融システムの底割れは防ぐものの、「実弾」を最小限に止め、金融業界の再編を促す、というのが米国政府の基本姿勢なのである。一部には、日本で行われたような、主要行への一斉公的資本注入の必要性を叫ぶ声もある(海津氏も同様の見方をしている)が、米国政府がこうした政策対応を行うことは考えにくい。一斉公的資金注入は金融システム安定化には大きな効力を発揮するものの、オーバーバンキング状態をもたらすリスクがあるからだ。

 米国当局は、金融安定化と金融再編という2つの政策目標を追いかけている。世界の株式市場は、こうした米国政府の対応を「綱渡り」とみなし、不安感を覚え続けるであろう。しかし、米国当局は安易な金融機関救済には簡単には踏み込むまい。金融機関の自助努力によって金融不安が解消されるまで、世界の株価の下落基調が続くと読むべきなのである。

 世界的に株価の下落基調が続く中で日本株のみが浮上する可能性は極めて小さいが、海津氏と同様、日本株が米国株に比べて相対的に底堅く推移する可能性はあると考えている。なぜなら、景気の方向性が向こう1年弱は「悪化」であるにせよ、景気調整圧力は過去に比べて相対的にマイルドなものに止まる公算にあるからである。日本経済が雇用・設備・負債の3つの過剰を是正したという大きな流れに変化はないうえ、純金融資産残高の所得比率が最も高いなど、日本の個人部門の健全性は主要7カ国(G7)の中でも突出している。日本経済には相対的に高い安定性があるとの評価が可能であり、株価の下落余地が相対的に限られるとの見方はできよう


http://auth.nikkei.co.jp/jisetsu/index.aspx



 

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