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「ウォール街の悪しき輸出品「CDO」−みずほFGが見た悪夢」---(ブルームバーグ)
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投稿者 ミスター第二分類 日時 2008 年 10 月 30 日 09:02:22: syFUAx3Wc1pTw
 

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=ardLucYCe2Xs&refer=jp_japan

「ウォール街の悪しき輸出品「CDO」−みずほFGが見た悪夢」---(ブルームバーグ)

  10月29日(ブルームバーグ):
ウクライナ生まれの数学の天才、アレクサンダー・レケダ氏(34)は、カリヨン(仏銀クレディ・アグリコルの証券部門)の上司にお別れのメールを送ると、10人の同僚とともにすぐ近くのみずほフィナンシャルグループ(FG)の米部門へと移っていった。

  2006年12月8日のことだ。1カ月前にニューヨーク証券取引所への上場を果たしたみずほにとって大勝利だった。しかし、この人材争奪が後に、みずほに悪夢を見させることになる。みずほの米州仕組み金融商品責任者となったレケダ氏とチームはみずほがよく理解できない商品、つまり、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン担保証券への投資に同社を引きずり込み、 6720億円の損失をもたらした。損失額はアジアの金融機関のなかで最大。その大半は債務担保証券(CDO)によるものだった。

  みずほの広報担当者、塩野雅子氏が今年9月16日に述べたところによると、みずほはさらに、破たんした米証券リーマン・ブラザーズ・ホールディングス関連の債券や不良債権で最大200億円の損失が出る可能性がある。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「リスク管理能力とリスク志向に関する疑問」を理由にみずほの格付け見通しを引き続き「ネガティブ(弱含み)」としている。

  フォックスピット・ケルトン・アジアのアナリスト、デービッド・スレッドゴールド氏は「みずほは良い時期にサブプライムから1銭の利益も上げず、『ばば』だけをつかんだ」として、「06年末にサブプライムローンの証券化事業に参入したのは判断の誤り」と指摘した。

              米国産金融工学

  歴史ある日本の銀行が、果敢にも米国のサブプライム関連商品の市場に参入し、自ら作り出した有害資産によって痛い目に遭ったのは、悪い時期に手を広げ過ぎた典型的な例だ。米国で生み出された金融工学が地球の反対側まで悪影響を及ぼしたことを示す例でもある。

  カリヨンはみずほが従業員をひそかに勧誘し移籍させたとして訴訟を起こした。レケダ氏はカリヨンのCDO事業を立ち上げた人物だった。訴訟関連資料によれば、同氏は06年にカリヨンで6案件をまとめた。セタス(鯨座)やオリオンという星座の名前を冠した2つを含め、6件はすべて、のちにデフォルト(債務不履行)に陥り、クレディ・アグリコルもサブプライム関連で65億ユーロ(約8100億円)の損失を出した。

  カリヨンの代理人の弁護士が法廷で述べたところによれば、みずほは06 年10月18日にレケダ氏とカリヨンの同僚らに1100万ドル(約10億7000万円)の移籍金を提示しチームを引き抜いた。みずほは米市場への参入を同年初めに計画し始めていた。みずほは日本の3大メガバンクの先陣を切って米国で金融持ち株会社を設立する許可を獲得。あらゆるサービスを提供する投資銀行となることが可能になった。

               必要あった

  みずほの前田晃伸社長が今年5月15日の記者会見で語ったように、同社は余剰資本があり、米国の住宅ローン関連証券の市場を研究する必要があった。

  みずほは米国のCDO市場では新参だったが、日本と欧州での同様の商品については経験があった。それでも、みずほは、米事業のために経験者が必要と考え、06年初めにカリヨンのチームとの接触を開始した。事情に詳しい関係者2人によると、レケダ氏が交渉に加わってから、移籍組の人数と移籍金の額は膨れ上がったという。

  しかし交渉が成立してチームが移籍したころには、市況は暗転し始めていた。みずほは06年12月11日に、米国に拠点を設置し資産担保証券(ABS)組成に参入すると発表した。格付け会社フィッチ・レーティングスは同じ日に、サブプライムローン担保証券の格付け見通しを「ネガティブ」とした。

  レケダ氏のチームは移籍後10週間以内に最初の案件の条件を決定した。それまでに、全米抵当貸付銀行協会(MBA)はサブプライムローンのデフォルト率が03年1−3月期以来の高水準の12.6%に達したと発表していた。

            「ツチブタ」1号

  レケダ氏のみずほでの1号案件は「アードバーク」と名付けられた。アードバークはブタのような鼻を持ちアリやシロアリを食べる動物「ツチブタ」を意味する語。「アードバーク・ABS・CDO」はひどい商品だった。総額15 億ドルの案件で、構成資産の31%はサブプライムローンが裏付け。23%は他のCDO、33%はオルトA(サブプライムと優良案件の中間)住宅ローンが裏付けだった。

  この案件に詳しい関係者3人によると、レケダ氏がこれを迅速にまとめられたのは1つには、英銀ロイズTSBグループが途中で撤退した案件だったからだ。ムーディーズはアードバークの13億ドル相当の部分に最上級の短期格付けを付与し、みずほは87%に保証を付けた。発生し得る損失の大半はCDOの購入者ではなくみずほが負う仕組みだった。

  みずほは次に、07年3月時点の価値で9億200万ドル規模の「ティグリスCDO2007−1」を手掛けた。フィッチによると、このCDOの裏付けはメリルリンチやリーマン・ブラザーズ・ホールディングス、シティグループなど米国勢が組成した別のCDOの中の投資適格で最低格付けの部分を裏付けとしていた。ティグリスに含まれる証券の80%以上が、フィッチの投資適格最低格付け「BBB−」を付与されていた。

  レケダ氏は07年5月11日付の業界ニューズレター、アセットバックト・アラートで、半年以内に少なくともさらに9件のCDOを組成する計画を示していた。みずほの財務報告によれば、みずほ証券は07年4月1日時点で5500 億円超の住宅ローン担保証券や住宅ローンを裏付けとしたCDOを保有していた。

             「デルフィヌス」

  これらの商品の1つが、07年6月に売り出された「デルフィヌス(いるか座)2007−1」だ。星座の名前を冠しているが、少しも美しくない。フィッチの同年7月23日付のリポートによれば、含まれる証券の4分の3はサブプライムローンに基づいていた。さらに、約80%は米銀JPモルガン・チェースやシティ、ウェルズ・ファーゴなどが販売したクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が裏付け。みずほは同年7月に「堅調な需要」を理由にこのCDOの規模を16億ドルと当初計画の12億ドルから拡大させた。

              最速の没落

  これは、後にJPモルガンに買収されるベアー・スターンズがヘッジファンドを閉鎖する8日前のことだった。わずか3カ月ほど後の9月27日、フィッチはデルフィヌスを、格下げ検討対象のウォッチリストに加えた。フィッチのアナリスト、ケビン・ケンドラ氏は当時、格下げ検討までの時間は同氏が見てきたCDOのなかで最短だっただろうと指摘した。結局、CDOの価格は急落し買い手は見つからず、みずほは自ら損失を負担することになった。

  みずほは保有するリスク資産について、07年11月まで明らかにしなかった。同月になって、サブプライム関連で同年4−9月(上期)に700億円の損失を出したと公表。通期の損失は1700億円に膨らむとの見通しも示した。

  同年12月までには、みずほは米国のCDO事業をやめ、レケダ氏を含む少なくとも5人を解雇していた。同社の1年間にわたる米国製金融技術の実験は終わった。

  08年1月にはみずほのCDOの裏付けローンで延滞が増え始め、アードバーク、ティグリス、デルフィーヌのすべてでデフォルトが出始めた。その後、ティグリスとアードバンクはすべてのトランシェが格下げされ、みずほは評価損計上を余儀なくされた。

  みずほは証券部門に1500億円を注入、みずほ証券と新光証券の合併をいったん棚上げし、300人を削減。株価は今年3月末までの1年で半分になった。

             できることはない

  過去最大の2474人の株主が参加した今年6月26日の株主総会では、経営陣の責任を問う声が上がった。前田社長は、昨年10月以降、証券化商品の市場が崩壊し保有資産を売却することは不可能だったとして、市場が機能しなくなったときにできることはないと弁明した。

  しかし、みずほの米事業に詳しい関係者1人は、サブプライム関連資産をもっと早く売却するとともに、CDSを使ってヘッジをしていれば、損失を半分程度に抑えることができたかもしれないと話す。みずほは利益が出た場合にその3分の2が失われることを嫌い、ヘッジをしなかったという。みずほ側はコメントを拒否している。

  日本のほかの金融機関は最近になって、米事業買収や米社への出資を積極化させた。野村ホールディングスは9月にリーマンのアジアと欧州の事業の一部を買収。三菱UFJフィナンシャル・グループは米モルガン・スタンレーに 21%出資した。KBCファインナンシャル・プロダクツの日本株セールスディレクター、アミール・アンバーザデ氏(ロンドン在勤)は「みずほはチャンスを逃した」として、「海外で積極的に自社事業拡大による成長を目指したが、この野心が逆噴射した」と指摘した。

              立役者は今

  さて、レケダ氏はというと、カリヨンとみずほでの同僚らとともに、今では不良資産化したCDOを割安価格で販売する仕事をしている。

(第4話は「規制緩和への道」です)

 

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