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「ウォール街の悪しき輸出品「簿外資産」−グリーンスパン氏は眠っていた」---(ブルームバーグ)
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投稿者 ミスター第二分類 日時 2008 年 10 月 31 日 11:55:42: syFUAx3Wc1pTw
 

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aDMq72ZIs3Yk&refer=jp_home

「ウォール街の悪しき輸出品「簿外資産」−グリーンスパン氏は眠っていた」---(ブルームバーグ)

 10月30日(ブルームバーグ):全米証券化会議(ASF)を率いるジョージ・ミラー氏(39)は9月のある夕刻、60人のバンカーらと会合した。

 話題の中心はまだ記憶に新しかったリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破たんではなく、証券化業界の未来だった。

 米財務会計基準審議会(FASB)が、数兆ドル規模の簿外資産を金融機関のバランスシート上に戻させる規則を計画しているというのだ。そうなれば、こうした資産を引き取った機関は膨大な引当金を積み増さなければならない。

 証券化事業の市場規模は今年1−6月(上期)に47%縮小した。業界としてはさらなる悪材料を受け入れるわけにはいかなかった。

 翌日、ミラー氏は業界のメッセージを携えて、簿外資産の拡大について調査している米上院の公聴会に臨んだ。
 同氏はFASBの提案について「悪しきルールを拙速に採用すれば、金融市場と経済に大きなリスクをもたらす」と主張した。


 簿外資産を認める会計規則は、米国の金融機関が有害資産を全世界にまき散らす1つの原因となった。
 米上院の証券関連の小委員会を率いるジャック・リード議員(民主、ロードアイランド州)は、この抜け穴が「今回の危機を増幅させた1つの要因」と指摘している。
 どの程度に増幅されたかは次の数字で分かる。世界の金融機関がこれまでに計上した評価損・貸倒損失の合計は6800 億ドル(約67兆円)余り。その約3分の1は欧州の金融機関が出した。

 見送られた規制

 ロビイストらの活躍によって、FASBの決定は遅れ米金融システムの最重要部分は規制当局の手の届かないところに温存された。
 相対取引のデリバティブ(金融派生商品)への規制は見送られ、米証券取引委員会(SEC)は投資銀行の自己資本比率要件を緩めた。このおかげで、投資銀行は借り入れを増やすことで利益を拡大させることができた。

 住宅金融業界の監督当局も、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場が崩壊するまで、規制を強化しようとはしなかった。

 米国の規制や会計規則の影響は、同国の各地で差し押さえられた住宅の山を経由して欧州各国に及んだ。
 欧州では各国政府が巨額な資金を金融システムに注入して信用危機の拡大に歯止めをかけようと苦戦している。
 この伝播(でんぱ)の道を造り上げた素材には、株主や監督当局の目の届かないところに資産を追いやることを可能にしたFASBの決定などが含まれている。

 会計事務所プライスウォーターハウスクーパースのパートナー、ポーリン・ウォラス氏は、簿外の会計処理について「一種の魔法だといつも思っていた」として、「パーティー会場で物を消して見せる手品のようだ。リスクはどこかにあるのだが、その場所は決して分からない」と話した。

            FRBの権限強化

 納税者の老後資金が目減りするなかでの金融機関救済には批判が強い。これに対応し、米議会は銀行と証券会社への規制を見直し、米連邦準備制度理事会(FRB)の権限を強化する可能性が高い。

 ブルッキングス研究所のエコノミスト、ロバート・リタン氏は「FRBが正式なシステミックリスク監視当局になっても驚かない」と語る。

 その通りになれば、6月30日までFASB委員を務めていたドナルド・ヤング氏にとっては皮肉なことだ。同氏は9月18日にミラー氏と同じ公聴会で、SECとFRBは監督対象の金融機関とともに、簿外資産についての情報開示強化に抵抗したと指摘。

 「金融機関と監督当局からのFASBへの働き掛けはとどまるところを知らなかった」と語っていた。


 同氏はリード議員にあてた6月26日の書簡でも同様の指摘をし、ロビイストらは大幅な規則変更が信用市場の機能を妨げると主張したが、FASBがそれを退けられず、行動しなかった結果「信用市場の機能を妨げる代わりに崩壊に手を貸すことになった」と述べた。

 同氏はインタビューで、簿外資産の問題点は「透明性の欠如」だと説明。「リスクを増やしてもそれをバランスシートに反映させず、見た目を良くする」ことが可能になるとし、それが簿外資産の活用を増やしたとの見解を示した。

             10年越しの取り組み

 FASBは過去10年にわたり、簿外資産をめぐる会計処理の問題に取り組んできた。 証券化される金融商品の大半は簿外資産となる。住宅ローンや消費者ローンなどの債権を証券化する際、基になる債権を創出したオリジネーター(貸し手)は債権を別会社に売却することで、売り上げを計上すると同時に資産(債権)を自社バランスシートから切り離す。
 この結果、資産は膨らまず、対応して自己資本を増やす必要もないため、積極的に融資を増やし利益を高めることができる。

 米銀シティグループは6月30日時点で1兆1800億ドルの簿外資産があったことを明らかにしている。
 このうち8283億ドルは適格特別目的会社(QSPE)と呼ばれる簿外会社が保有していた。
 QSPEの要件は設立者の金融機関が支配権を持たないこと。金融機関はまた、ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)と呼ばれる簿外組織も設立した。SIVはQSPEが発行する住宅ローン担保証券やそれを基に組成された債務担保証券(CDO)を購入していた。


 証券化事業の急成長は1990年代半ばから始まった。今から10年ほど前、ウォール街はインターネット関連株ブームのなかで繁栄を謳歌(おうか)していた。
 当時のFRB議長、アラン・グリーンスパン氏は、市場は自ら問題を解決する能力があるとの説を信奉しており、当時の米議会も規制緩和に前向きだった。

             こぞって反対

 1998年、グリーンスパンFRB議長とルービン財務長官、レビットSEC委員長(いずれも当時)は相対取引のデリバティブへの規制検討に反対した。議会は2000年に、同市場を規制の対象としない法律を成立させた。

 企業の債務を保証するクレジット・デフォルトスワップ(CDS)の市場規模はその後、01年の水準から100倍近くに拡大することになる。

 このデリバティブはリスクを分散させる一方で、不安も呼んだ。ニューヨーク連銀のデータによると、CDS取引はその90%が17の大手金融機関に集中。1社が破たんすれば他社は巨額損失に直面する。このような不安は、最近の信用逼迫(ひっぱく)の中心である銀行間市場での貸し渋りの一因となった。

 FASBは証券化事業の拡大に対応するため、1996年6月に簿外資産向けの会計基準を発表していた。
 2000年には、より多くの情報の開示を求めるとともに担保に関する規則を盛り込んだ「FAS140」ができた。
 規則によると、外部からの出資が3%以上ある組織は、簿外会社とすることができる。
 エネルギー会社エンロンの破たんで簿外会社への批判が高まったことを受けて、FASBは03年1月にこの比率を10%まで引き上げる新規則「FIN46」を提案した。

              銀行の反撃

 銀行側は反撃した。米銀行協会(ABA)は同年7月のFASBあて書簡で拙速を戒めた。
 結局、同年12月にFASBは銀行が手数料を受け取って運営する簿外のインベストメント・ビークルに関する規則を緩やかにした改訂版の「FIN46R」を発表した。

 さらに、ウォール街の大手投資銀行は04年、ブローカー・ディーラー部門が準備を義務付けられる損失引当金の規模を30%縮小させることに成功した。

 この結果、金融機関はレバレッジ率を高め、米サブプライムローン関連証券への投資をさらに増やすことができるようになった。ベアー・スターンズのレバレッジ率は規則変更後に33.5倍と、変更前の26.4倍から高まった。

 簿外資産をめぐるFASBの行動の遅れや規則変更のおかげで、金融機関は資産の大きな部分を世間の目から隠すことができた。
 サブプライム危機が表面化し始めた後の07年5月、FASBはQSPEの廃止を提案。今年4月に承認された。

        爆発した時限爆弾

 FAS140では、QSPEの資産はその活動が出資金融機関の支配の外にある場合に限り、簿外とすることが認められていた。
 しかし、貸し手による「能動的な管理と大規模な再編」が必要なサブプライムローンの登場が、QSPEの概念を押し広げたとFASBのロバート・ハーツ会長は振り返る。
 9月18日の講演で「今となってみれば、QSPEとされていたものの多くは時限爆弾だった」として、サブプライムローンのデフォルト(債務不履行)という「爆発が起こり始めた」ことを指摘した。

 FASBは今年7月、QSPEの廃止の時期を09年11月15日まで先送りすることを決めた。大手銀行や議員、業界団体などが、急激な変化は投資家を混乱させると主張した結果だった。

 アラン・ブラインダー元FRB副議長はインタビューで、FASBは「業界から強い圧力を受けていた」とした上で、「業界も監督当局も、簿外組織に疑いの目を向けることを怠り、最悪のシナリオになった場合の影響の大きさに気付くことができなかった」と述べた。

 今月23日の米下院の公聴会でサブプライムローン拡大に歯止めをかけなかったことについて糾弾されたグリーンスパン氏は、証券化商品の発行者に多くの部分を保有させる規制に賛成の考えを示した。

 米下院金融委員会のバーニー・フランク委員長(民主、マサチューセッツ州)も27日、「証券化というこの偉大な発明の行き過ぎを抑えるため」に規制に賛意を表明した。

 一方、ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授は21日の公聴会で「米国は有毒な住宅ローン資産を海外に輸出した。

 輸出していなかったら、問題は米国内でさらにひどくなっていただろう」との見解を示した。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:アムステルダム 木下 晶代 Akiyo Kinoshita akinoshita2@bloomberg.net Editor:Masami Kakuta, Akiko Kobari 記事に関する記者への問い合わせ先: Ian Katz in Washington at ikatz2@bloomberg.net ; Alan Katz in Paris at akatz5@bloomberg.net .

更新日時 : 2008/10/31 10:49 JST
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(コメント)
 米国の金融機関はすべて「時限爆弾」と知りつつ「輸出」していたとする説を裏付ける記事です。
 グリーン・スパンは、実は百も承知していたと見ています。
 結局、それは米国と米ドル、米金融資本の利益に適うからだと思われます。

 結果的には投資をした欧州や中国、新興国が「損失」と言う形で米国に対する債権(米国の負債)を無くす事となります。これは「ドル資金の消滅」、「米債務の減少」を意味します。
 また金融危機によって「ユーロ」諸国の金融機関(これこそがユーロ資金の担い手です。)は大きなダメージを受けます。
 これは結果的には「ドル基軸通貨制」の温存(勝利)を意味しますが・・・・どうなりますか。  

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