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日高義樹 ワシントンレポート第160回 2009年世界はどうなる〜キッシンジャー博士〜第1部2部3部【訂正版】
http://www.asyura2.com/08/hasan60/msg/1035.html
投稿者 Ddog 日時 2009 年 1 月 11 日 03:39:19: ZR5JcjFY1l.PQ
 

日高義樹 ワシントンレポート詳細
@ウォルドルフ・アストリア・ホテル
日高義樹:全体的に2009年はどのような年になりますか?
キッシンジャー博士:非常に複雑な年になる。大きな危険がある。だが大きな機械に恵まれる。私は驚くほど楽観的で2009年初めには多くの困難があるが終わりまでには進展がある。

第一部オバマ大統領はアメリカを救えるか?

日高:去年と同じように2009年がどのような年になるか伺います。まず、アメリカの問題です。オバマ大統領はなぜ国民にこれほど人気があるのでしょうか?

キ博士:アメリカの人々はアフリカ系アメリカ人が大統領に選ばれたという事実に誇りを持っている。アフリカ系アメリカ人が大統領が候補になった事はなかったが、「変化」というメッセージを携え彼は候補になり当選した。彼はアメリカジンの心構えや希望、そして民主主義システムが驚くほどうまく機能した事に対する誇りを反映している。

日高:彼は変化をもたらす、経済を変えるといっています。公共事業に予算を投じるといいましたが、マスコミは彼の新しい政策が、Fルーズベルトと同じように経済を活性化させるといっています。彼はルーズベルトが1930年代にやったような事を実行するのでしょうか?
キ博士:オバマ大統領が経済を活性化させようと努力するのはそのために選ばれたのだから間違えない。ルーズベルトとの比較はむしろ心理的なものだ。ルーズベルト大統領は非常に難しい時期に大統領になり、大胆な計画でアメリカ人に希望を与えた。わたしもそう思うが、オバマ大統領はおなじ機会を与えられたと信じている。おなじ問題ではないし、方法も同じではないだろう。だが、アメリカ人に新しい希望を与え、アメリカ社会に新しい方向を与えた点でルーズベルトと非常によく似ている。

日高:この経済状況は1297年に似てますか?それとも大きく違っている?
キ博士:貪欲が常識的な計算を圧倒し大きな危険を冒させる点では、どの危険の原因も同じだ。その点では同じだ。だが、ある点では違う、1930年代には大きな工場があった、経済が回復するにつれ産業も回復した。今我々のいる時代は非工業化が進んでいる。今度の危機はほとんど金融界で起きているが、雇用を推進するような大きな工業が無い、サービス分野で経済を推進するのは、工業分野でおこなうよりも難しい。

日高:ルーズベルトは経済を回復させるためにニューディール政策を実施したといわれてますが、世界の活性化の決定的要素になったのは、第二次世界大戦でした。第二次世界大戦と同じ効果を与えるには何をしたらよいでしょうか?
キ博士:また戦争をおこすわけにはいかない。問題は経済が戦争無しに回復したかどうかだ。徐々に回復していたか、あるいは戦争が起きたときにまさに回復をはじめていたのかもしれない。だが戦争によって工業製品の膨大な需要が生まれたのは事実だ。問題は今回の莫大な好況資質が人々の購買意欲を刺激し、銀行が貸し出しを開始するような心理効果をもたらすかどうかだ。銀行の貸し渋りという現況をあらためなければならない。

日高:博士はよく歴史をご存知でいらっしゃる。歴史上2009年に似た例がありますか?2008〜2009年をどう分類されますか?

キ博士:歴史上、類似する例はみあたらない。世界各地で同時に変化が起きしかもお互いに関連しあっている。19世紀のおわりまではアジアの発展はヨーロッパの発展とは無関係だった。あるいは単一的にヨーロッパの影響を受けていた。だが今、アジアで起きている事、中東で起きている事、ヨーロッパで起きている事はすべてお互いに関係しあっている。動きが同時に起こる、これは以前にはなかったことだ。中国が興隆し、世界の重点がアジアに移ると同時にイスラム聖戦革命が続く。その上に、エネルギー、環境、核拡散と言った重要な世界的問題が立て続けに起きる。

日高:では2009年には何が起きるでしょうか?1971年を覚えておられますか?金本位制を撤廃し、1980年には広大な国有地をサウジアラビアに売りました、今度は何ができますか?オバマに何ができるでしょうか?

キ博士:彼に何が出来るかわからないが、彼が金融システム改革の責任者にした人々は極めて優秀だ。ラリー・サマーズはアメリカで最も優れた頭脳を持つ一人だ。ティム・ガイトナーは私の下で働いていたのでよく知っている。ポールボルカーは誰もが認める偉大なエコノミストだ。我々は国際金融体制を立て直さねばならない。第二次大戦後につくられた国際金融体制は、おおむねアメリカが単独で決めたもので優勢なドルが基盤になった。この状況は変るだろう。各国の通貨が、同等の地位を持つようになる。アメリカ以外の国々が金融体制でより重要な役割を務めるようになる。2009年に、この新しい体制の構築が始まるだろう。

日高:オバマ政権の金融チームは信頼できる。2009年に何かすると期待されるわけですね?
キ博士:並外れて優秀なチームだ!勿論、これは新しい状況で、間違いをやるかもしれないが、これ以上優秀なチームは考えられない!

第二部:中国は混乱するか?

日高:今度の経済危機に対する中国の反応についてうかがいます。中国はどうするでしょうか?
キ博士:他の国々と同じように経済危機は中国にとって大きな衝撃だった。中国は米国が時々政治的に常識外れの事をやるのは知っていた。だが、国際金融システムは米国によって効率的に運営されていると考えていた。今や彼らの投資と世界的なシステムが投機の対象にされたために、世界的な重大事を引き起こした。中国にとっては衝撃的な経験だ。中国の輸出が根本的な影響を受け経済体制を、ある程度作り変える必要が出ている。海外投資を国内の雇用とインフラに回して、問題を解決しようとしている。米国と同じ努力をしている。

日高:輸出奨励策がなくなった?
キ博士:なくなったわけではない、他に優先してやるべき事が出てきた。
日高:国内で?
キ博士:国内の優先事項だ。
日高:どうやって国内消費を促進するのですか?依然としてまずしいでしょう?
キ博士:中国の国内消費が少ないのは、中国人が貯金を沢山するからだ。国内に資金が流入しても、危機が来るとわかれば、さらに貯金してしまう。国内消費を増やすのはやさしいことではない。他にも問題がある。中国内陸部では一人当たりの収入が非常に少ない事だ。中国は難しい時代に入るが、何とか乗り越えると思うが難しい。

日高:外国から輸入を迫られるという問題もあります。中国は金本になり国内消費が増えていると思われています。「我々の製品を買わねばならない」と迫られるデトロイトの車を・・・?
キ博士:あらゆる国にとって試練なのだ。無論、我々は中国の状況を理解しなければならない。日本・中国、誰もが態度で示さねばならない。国際化というのはお互いの国を考える事を意味しているのだ。中国は米国の必要とするものを理解しなければならない。だが今、起きている問題を利用していると思われないように注意せねばならない。「西側はいつも中国を利用する」という印象を中国が持つ可能性がある。中国は出来る限り輸入政策を維持しなければならない。だが、我々も中国にかける圧力を規制しなければならない。

日高:するとデトロイトの中国叩きをあまり心配してはおられない?
キ博士:中国叩きには断固反対する。中国は4000年を生き延びた国だ、将来にわたってこの同じ地球上で中国と共にある。中国叩きは短期的な政策で長期的な政策ではない。

日高:2009年米中関係はどうなりますか?ブッシュ政権は貿易とビジネスでは中国を甘やかしましたが、ブッシュ大統領は核拡散問題では厳しい姿勢をとりました。どのような関係になるでしょうか?
キ博士:米中関係は多かれ少なかれ今の状態が続くだろう、さらに良くなるかも知れない。ニクソン大統領が中国を訪問してから8つの政権を経過したが、どの政権も最初は中国と距離を置こうとした。だが指導者達は、中国は世界のなかでカギとなる国の一つであり、良い関係を持つことがアメリカの為になると悟るようになった。従って中国との対話はオバマ政権の外交政策の重要な部分になり、協力して問題をかいけつしていくと期待している。

日高:すると米中関係は、オバマ大統領の下で安定を続ける?
キ博士:安定を続けると期待している。オバマ大統領が半年のうちに中国に対して積極的に動かなかったら私は驚く、中国を訪問するかもしれない。

日高:それは世界のために良い事ですよね?
キ博士:そう思う。私は彼が任命した政府高官達を大勢知っている。その何人かとははなしをしたがオバマから直接連絡を受けた事はない。

第三部:イランは核兵器を持つか?

日高:2009年イランは核兵器を持つようになるでしょうか?
キ博士:持たないよう願っている。イランの核化は世界平和に対する脅威だ、そう考えなければならない。アメリカだけの問題ではない。我々よりロシアインド中国などは距離的に近く、危険な立場に立たされる。

日高:イランの宗教指導者は核兵器の製造を決意しています。どうやってやめさせますか?
キ博士:アメリカではイランと交渉するべきだという統一見解がでてきている。圧力を強めるにしても、米国民にあらゆる努力をしている事を示す必要がある。話し合いの努力をするべきだ。だが、イランに圧力をかける場合は国際社会の意見統一を図らねばならない。今、言ったように国際社会の方が米国よりも脅威に曝されるのだから・・・。また、話し合いにはイラク・アフガニスタンなど同じ懸念のある地域を加える必要がある。だが、イランのシャーに友好的だった米大統領達について、批判される覚悟しておかねばばらない。
そうだとしてもこれは個人的名問題ではない。イランのシャーに便宜を図ったわけではない。国際体制安定の要素として強力で豊かなイランが大事だという考え方を反映しただけだ。イラン現政府は、我々が国際社会の利益を基盤として同じ様な関係を新しいイランと結ぶ用意がある事を理解しなくてはならない。数十年の記録から見て、私が話し合いに希望を持つ理由がここにある。

日高:イランは中東全体に影響を及ぼしたいと思っています。これが彼らの究極的野望ですか?
キ博士:究極的な野望にはなり得ない。1つはっきりさせておくが、世界のいかなる先進工業国も、中東の石油生産、エネルギー生産を一つの政権に独占させることは許さない。そうした前提から出発すればエネルギー消費国が協力し合う基盤が出来る。イランともだ・・・イランの原子力発電に反対する必要がなくなるからだ。我々が反対しなければならないのは、核燃料の再利用だ。だがこれは世界中で問題になる。我々がイランに譲歩すれば、サウジアラビアやエジプト、トルコもやりだして収拾がつかなくなる。

日高:オバマ大統領はイラン指導者と直接話し合いたいといっています。もっとニンジンをやれば核兵器開発をやめるだろうと言っています。そう簡単にいかないと思うのですが・・。
キ博士:ホワイトハウスの外にいる時は中にいる時よりも事が簡単に見えるものだ。勿論話し合いは複雑なものになる。イランの安全保障、周辺の国々に絡むイランの利益や、産油国にかかわる米国や他の国々の利益も絡ませなければならない。だが、歴史を見ると、新しい国際体制を作らねばならない時がある。他の時代の方が良かったとはいえないのだ、これが現在、我々が住んでいる時代なのだ。

日高:でも、キッシンジャー・チームとも共和党ブッシュ・チームともかなり違っているようです。敵対的名な中東の国に対して十分に強い姿勢をとれない・・。
キ博士:私はブッシュ大統領の友人だ、大統領には幾度となく会い、それを名誉だと思っているし、大統領を高く買っている。彼は任期が始まった当初に厳しい試練があった。間違いをやったかもしれない・・・。オバマ大統領はブッシュ大統領がイラクで遂げた成功を基盤に出来る恩恵を与えられた。イラクについてはやるべき事をやった。今後は、さらに厄介なパキスタンやインド、アフガニスタンに取り掛からねばならない。
 

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