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希望 - 関根秀一郎が、本田由紀が、「内部留保」がテレビ゙に出た(世に倦む日日)潮目?
http://www.asyura2.com/08/hasan60/msg/737.html
投稿者 あ+ 日時 2008 年 12 月 22 日 22:17:18: 8WlTWJKy3iQ86
 

希望という名のあなたをたずねて遠い国へとまた汽車に乗る。いずみたくが作曲して岸洋子が歌った『希望』は、大阪万博があった1970年にヒットして、その年の暮に日本レコード大賞歌唱賞を受賞している。当時は、アイドル歌手や阿久悠の楽曲で歌謡界が盛り上がる直前の時期であり、テレビの歌番組も多かったが、歴史に残る名曲をヒットさせながら、岸洋子がテレビに姿を見せる出番は少なく、この曲はラジオで聴く機会が多かった。部屋で聞き始めたばかりのラジオからこの曲が流れると、自然と曲に神経が集中し、最後まで耳を澄まして歌のストーリーとメッセージを拾っていたのを思い出す。この曲がイメージさせる季節は12月で、雪が降り落ちて来そうな寒い夜に、人気のないローカル線の暗い駅のホームで、黒いコートを着た背の高い女性が一人で夜汽車を待っているような、そういう情景が思い浮かんで来る。もの哀しさはありながら、生きる希望へ向かう力強い響きがあり、聴く者を捉えて離さない感動があった。80年代以降の日本から消えた文化性と思想性。

筑紫哲也が生きていて「NEWS23」の放送を続けていたら、派遣切りの報道をスクランブル体制で毎晩続けていたかも知れない。ハーフコートを着た佐古忠彦が、すぐに大分キャノン工場の現地に飛び、いすゞ栃木工場の現地に走り、雇い止めに遭った派遣労働者を現場から生中継で映し出し、カメラの前で苦境を訴えさせていたかも知れない。多事争論では、「私たちの国の憲法25条にはこのような規定があります」という切り出しで、国が国民の生活を守る責務があることを滔々と説明して、派遣労働者が難民化するのを放置している政府の過誤と不作為を弾劾していただろう。故郷のことだから猶更気がかりという側面もあり、あるいは週末の金曜日には自ら出張って、杵築市や大分市の市長たちと直接対談していたかも知れない。それこそが、本来のテレビ・ジャーナリズムと言えるはずだが、今はそこまで緊張感を持った報道キャスターの存在がなく、一色清が見苦しく手を回しながら「企業も苦しいですから仕方がないですよねえ」と言うのを、ニュースの視聴者は「正論」として聞かなくてはならない。

12/18に放送された「クローズアップ現代」で、初めて関根秀一郎が中継出演した。これまで、「7時のニュース」では映像で出てきて話をする場面もあったが、生放送の報道番組でインタビューされたのは最初の出来事である。新宿にある派遣ユニオンの事務所にカメラが入り、そこから国谷さんの質問に答えていた。少しずつ「反貧困」のエクスポージャーが上がっている。マスコミの中で存在が認知され始め、「反貧困」の主張と運動が取り上げられるようになった。関根秀一郎は、その翌朝は午前8時前に上尾に着き、日産ディーゼルの工場の門の前で派遣労働者のビラ配りに立ち会っている。関根秀一郎は彼らの労組結成を支援、ずっと交渉を支える活動を続けてきた。週末の12/19は、上尾工場の派遣労働者が解雇される日だった。湯浅誠と河添誠と関根秀一郎、この3人の個性が各様で見ていて面白く頼もしい。湯浅誠はスローでソフトな知識人肌、河添誠はナイーブで熱く、関根秀一郎は最もアグレッシブで突撃型。攻めダルマの現地軍司令官の雰囲気がある。3月の反貧困フェスタでも、関根秀一郎の弁舌が最も威勢がよかった。

常に戦場の前線で指揮して攻勢に出ようとする。敵に突撃する切り口を探している。攻めの手を休めない。攻撃を続ける中で考え、敵の弱点を見つけ、具体的戦果を上げて翳し、戦い全体の楽観論を導き出そうとする。弱音を吐かない。悲観的にならない。強気で押しまくる。この男は戦闘服を着た指揮官であり、生まれながらの戦闘者である。久しぶりに日本の労働運動界に闘う男が出現した。軍人であり、英雄である。岩大中退の44歳。日産ディーゼル上尾で労組を結成した3 人のうち、1人は派遣元の日研総業が期間内の解雇を撤回して契約期間の今月中の賃金を保証したが、残る2人は派遣元が異なるため、今週さらに交渉が続く。関根秀一郎に休息する暇はない。録画出演と中継出演まで踏んだから、次はスタジオ生出演だ。湯浅誠はすでに報道番組の顔になった。3人目の河添誠がテレビに出る日はいつだろうか。年長者のこの男が出て来ると、視聴者はまた違う印象を持つだろう。「反貧困」運動のぶ厚さを感じ、運動の評価は安心感と信頼感を増すはずだ。そしてまた、「反貧困」のサブカル的表象が後退し、政治的な方向性が鋭く浮き上がると思われる。

12/19 のNHK「地域発、どうする日本」では、本田由紀が生放送で登場した。6月の秋葉原事件を取材したNHKの番組では取材映像で出ていて、その後もNHKの番組に出演していたようだが、生放送で見るのは初めてだった。番組のテーマは「ゆとりから学力重視へ・義務教育はどう変わる」で、一緒に出演していたのが、金子郁容と茂木健一郎だった。この放送と出演者は実に興味深く印象的に思われる。まさに、教育論の過去と現在と未来を代表する3人。言わずもがな、過去は金子郁容、現在は茂木健一郎、未来は本田由紀である。教育を含めて全ての論壇がようやく正常な方向に回帰してきたと、そう心強く思って安堵した人間は多かったのではないか。金子郁容こそ、80年代末から現在まで日本の思想を支配してきたイデオロギーの象徴そのものだった。そのイデオロギーとは、すなわち「新自由主義=脱構築主義」結合。マルクスもケインズも読んだことがない金子郁容が経済学者として持て囃され、社会教育学者の大家となった時代。通常はどちらかに傾く「新自由主義=脱構築主義」が、これほど濃密に均衡している例は珍しい。金子郁容の空疎さと浮薄さと米国盲従こそ、この20年間の日本の「理想」だった。

12/20朝のフジテレビ「報道2001」の放送を見ていると、須田哲夫が何と大企業の内部留保の金額を表にしたクリップを出し、黒岩祐治が園田博之に対して派遣切りの不当性と反社会性を厳しく追及するという一幕があった。その討論の場には共産党の小池晃が出ていて、通常なら、小池晃がクリップなしの口頭で内部留保を根拠に園田博之を批判し、それを黒岩祐治や須田哲夫が行事役で宥めて裁くという図が想定されるが、12/20の討論は全くそうではなく、黒岩祐治が猛然と「構造改革」を批判し、現在でも党政調会長の立場で「小泉改革」を推進している園田博之を血祭りに上げていた。報道のキャスターが大義名分を振りかざし、失政した政権与党大物に噛みつく場面というのはリーズナブルで、それによって報道キャスターは「中立」や「不偏不党」の表象をカバーするわけだが、保守の報道局であるフジの番組で大企業の「内部留保」が槍玉に上がったのを見るのは初めてで、時代が変わったことを痛切に感じさせられた瞬間だった。そこでは、トヨタやキャノンを始め、派遣切りで名を馳せた大手10社ほどの内部留保が暴露されていた。普通は隠される内部留保の情報がテレビで出たら、一般世論への影響は測り知れないほど大きい。

その事実を正面から報道しているのは赤旗新聞くらいで、日本の報道では企業の内部留保はタブーであり、その言葉さえも画面や紙面には出ないことになっている。内部留保という概念を使って経済を説明するのは共産党だけだ。それは霞ヶ関の埋蔵金と同じで、日本社会においてアンタッチャブルな存在であり、その言語を公然と口から吐いた人間には共産党の烙印が押されるという恐ろしい言葉であり実体である。本来は企業会計の用語であり、何もイデオロギー的な意味はないが、その言語で経済を説明するのが共産党だけであるために、内部留保という言葉が出た途端に、聞く者は心中穏やかでなくなる。警戒して身構える。日本のタブーだ。内部留保がタブーにされているため、国民は企業について、表に出る会計期間の業績情報だけでしか判断できなくなり、半期が赤字とか、通期が赤字とか、そうした期間業績で経営を判断するようになる。株主と同じ論理と基準が企業観としてインプリメントされ、その企業観で経営者の経営を評価するようになる。内部留保のタブー化は、まさに新自由主義の社会経営にとっての鍵となる情報操作で、イデオロギー支配の成否がかかった要素であると言っても過言ではない。これが暴露されるということは、難攻不落の大坂城の内堀が埋められるのと同じだ。

湯浅誠を、河添誠を、関根秀一郎を後衛の位置から援護する。希望のために。


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