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神経変性は「脳の糖尿病」 インスリン異常がアルツハイマー病などに関連しているらしい(日経サイエンス)
http://www.asyura2.com/08/health14/msg/152.html
投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 8 月 22 日 21:32:44: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkei-science.com/topics/bn0809_2.html#1

 糖尿病患者や糖尿病について知っている人ならだれでも,インスリンの重要性を知っている。インスリンは細胞が糖や脂肪をエネルギー源として蓄えるのを助けるホルモンで,体内で十分に生産できなくなったり(これが1型糖尿病),身体の反応が不十分になったり(2型糖尿病)すると,循環器や心臓にさまざまな問題が生じる。
 だがそれだけではない。インスリンは脳にも不可欠だと考えられる。アルツハイマー病やパーキンソン病,ハンチントン病などの神経変性疾患にインスリンの異常が関連しており,最新の研究では,インスリンの処理にかかわる遺伝子がパーキンソン病に関係する染色体領域にあることがわかった。

アルツハイマー病は“3型糖尿病”

 以前は,インスリンは膵臓だけで作られ,中枢神経系には無関係だと考えられていた。だが1980年代半ば,複数の研究グループが脳にもインスリンとその受容体が存在することを突き止めた。インスリンは血液脳関門を通り抜けるだけでなく,少量だが脳でも作られているようだ。
 その後間もなく,インスリンが学習と記憶に重要な役割を果たしていることがわかった。注射や経鼻スプレーでインスリンを投与された人はすぐに,物語の回想や記憶テストの成績が上がる。また,学習によってもインスリン値が上がる。空間記憶テストの課題を学習したラットは,あまり動かなかったラットと比べて,脳のインスリン値が高まった。
 こうした観察をきっかけに,ブラウン大学の神経病理学者デラモンテ(Suzanne de la Monte)らは,重度の記憶喪失を特徴とするアルツハイマー病にインスリンが関係しているのではないかと考えた。健康な人とアルツハイマー病患者について,死後解剖を行って脳内のインスリン濃度とインスリン受容体数を比べたところ,学習と記憶に関連する脳領域のインスリン濃度平均値は健康な脳のほうが4 倍も高く,受容体の数も10倍多かった。
 デラモンテは「脳にも通常の糖尿病とまったく同じ問題が生じることがわかった」といい,アルツハイマー病を“3型糖尿病”と表現する。脳のインスリンは血液脳関門を介して身体の他の部分にあるインスリンと関連しているので,糖尿病患者はアルツハイマー病にもなりやすい。2002年のある研究によると,発症リスクは2倍近くになる。記憶障害と学習障害を患う率も,一般人に比べて高い。
 デラモンテはカハール研究所(マドリード)の神経内分泌学者トレス=アレマン(Ignacio Torres Alema´n)らとともに,アルツハイマー病と脳内のインスリン様成長因子1(IGF-1)およびその受容体の少なさとの間にも関連を発見した。IGF -1はインスリンに,IGF-1受容体はインスリン受容体によく似た構造のタンパク質なので,ときどきインスリンがIGF-1受容体に結合したりする。
 「IGF-1が失われて脳細胞を支援できなくなるのがアルツハイマー病の原因ではないか」とトレス=アレマンはいう。

受容体と相互作用する怪しいタンパク質

 最近のいくつかの研究では,インスリンおよびIGF-1がパーキンソン病とハンチントン病にも関連しているようだ。ハンチントン病患者では糖尿病の罹患率が平均より7倍も高く,パーキンソン病患者の過半数は糖代謝に問題を抱えている。
 ブラウン大学の神経内分泌学者スミス(Robert Smith)は最近,インスリン受容体やIGF-1受容体と相互作用する「GIGYF2」というタンパク質を発見した。その働きを詳しく調べようと,スミスはこのタンパク質を作る遺伝子がゲノムのどこに位置するかをマッピングし,「PARK11の位置とぴたりと一致した」とAmerican Journal of Human Genetics誌4月11日号に報告した。PARK11は2番染色体にあり,パーキンソン病に関連する領域だ。ただし,GIGYF2の遺伝子がパーキンソン病にどんな役割を果たしているのかはわかっていない。
 実際,残る最大の疑問は,インスリンとIGF-1のシグナル伝達欠損が脳をどのように傷つけているのかという点だ。「まさに重大問題であり,私たちも全力を挙げて解明に取り組んでいる」とデラモンテはいう。
 アルツハイマー病やパーキンソン病の患者の脳には大きなタンパク質斑が見られるが,その形成にインスリンが関係していると考える研究者もいる。
 スミスがニューロンに正常値を超えるGIGYF2を加える実験をしたところ,大きなGIGYF2塊ができて神経細胞が死んだ。別の研究では,アルツハイマー病患者の脳に見られる斑を作っているアミロイドβというタンパク質の生成・分解をインスリンが調節していることが明らかになった。
 詳細まですべてわかっているわけではないが,インスリンとIGF-1が神経変性疾患に深く関係していることを疑う研究者はほとんどいない。神経変性疾患の緩和や予防を目指して,インスリン機能を正常に戻す方法の開発に多くの研究者が取り組んでいる。例えば脳と身体のインスリン応答を高める化合物が,初期のアルツハイマー病患者の認知機能低下を遅らせることがわかっている。「とてもエキサイティングだ」とデラモンテはいう。
 


 

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