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チベット問題の整理
http://www.asyura2.com/08/idletalk31/msg/511.html
投稿者 ワヤクチャ 日時 2008 年 5 月 14 日 21:35:49: YdRawkln5F9XQ
 

(回答先: Re:ハッキリ言う、チベット問題で、少しでも所謂「亡命政府」を擁護するような徒輩は人間のクズである 投稿者 影の闇 日時 2008 年 5 月 13 日 22:36:32)

チベット問題の整理
http://homepage3.nifty.com/indology/dalailama.file.8.html


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西側ジャーナリストやチベット亡命政府側によって告発される問題点を整理してみると、以下のようになろう:

チベットへの大量移住の問題:中国によるチベットへの漢族の大量移住政策により、人口の逆転現象が起こり、今や都市部ではチベット人よりも中国人(漢族)の方が人口が上回っている。チベットでチベット人が少数民族になりつつある。

失業問題:中国人労働者の流入によって、チベット人の大量の失業が起こった。

教育問題:学校の役割を果たしていた無数の僧院が文化大革命で破壊され、教師の役割を果たしていた僧侶が消失した後、それに代わる学校として「民間学校」の建設が中国政府によって考えられたが、実際にはうまくゆかなかった。小学校すら十分にない状況が続いている。そのため、チベット人の子供の5割は就学できない状況にいる。中等教育に進む者は稀である。まして高等教育や大学教育などは望むべくもない。
教育内容は「漢化」の一言につきる。学校では中国式の教育が行われている。良い学校には中国人が優先的に入る。高等教育はもっぱら中国語でなされる。大学の入学試験も中国語で行われるため、結果的に中国人ばかりが合格する。僧院や村の中には思想教育のために「政治再教育」学校が再開され、中国共産党に対する政治的忠節が誓わせられる。
チベットの教育事情があまりに絶望的であるため、チベット人は子供や青年をインドに亡命させて十分な教育を受けさせたいと願っている。亡命しなければ未来が開けないからである。亡命路は危険であり、亡命の途中で多くの子供が凍死しているが、亡命する者は後を絶たない。毎年数千のチベット人亡命者がインドに逃げる。

文化伝統の維持の問題:チベットの伝統文化・芸能の多くは仏教と結びついていたが、しかし共産党の唯物論は宗教を認めないため、政府はチベット仏教に対してあからさまな抑圧政策をとり、その結果、チベットの固有の文化と精神的な伝統の維持が困難になっている。
チベットの貴重な文化財は宗教的なものが多かったために、文化大革命の運動によって、破壊の対象となった。地方寺院の99%は破壊された。中国政府によればそれは既に「済んだ」ことである。文化大革命のような国家的な破壊運動がいかなる政治システムの欠陥によって引き起こされたのかの反省が十分になされないまま、単に四人組という最高責任者を追放するだけにとどまり、政治システムそのものは温存された。そのために、政治へのチベット人の不信感は今も拭えないままでいる。

信教の自由の問題:「信教の自由」は多くの条件付きで、表面的なものである。僧侶の数は制限されている。各寺院の僧侶の人数の上限が決まっている。僧院の活動も制限されている。

言論の自由の問題:出版物には検閲がある。集会やデモが禁じられる。集会やデモへの参加者に逮捕や無差別の発砲が行われる。騒乱時に街頭にいた人々はチベット人であれば無差別に逮捕され、投獄された。

人権問題:囚人の中に政治犯や「良心の囚人」(非暴力にもかかわらず哲学信条や人種などを理由に拘束されている人)が占める割合が異常に大きい。不公正な裁判が行われ、異常に重い刑が科される。拘留中に拷問や虐待が行われることがある。刑務所や強制収容所の死亡率が異常に高い。
また「離郷の禁止」という法律によって、チベット人の移動の自由を制限している。

司法機関の不備:裁判所は、ほとんどの裁決の場合、行政当局が決めた判決を通過させるだけである。司法機関が十分に機能していない。

自然破壊の問題:チベットの自然環境が無惨に破壊されている。チベット東部の森林地帯の木が無計画に伐採されて中国本土に送られている。伐採後も植林がなされない。またチベットのジャコウ鹿などが乱獲されている。

核問題:中国はチベットで過去30回ほど核実験を行っている。またチベットに核発射基地と核製造工場を作った。またチベットに核廃棄物の処理場をつくる計画もある。


以上はチベット亡命政府が今のチベットの大きな問題点として指摘したものであるが、チベットに住むチベット人にとっては、これらの問題点よりももっと下のレヴェルでの、さまざまな具体的な生活上の不満がある。たとえば食堂にいっても中華料理ばかりでチベット人が食べるものがないとか、職場のうまいポストを全部中国人が牛耳っているとか、中国役人の口のきき方が横柄で、まるで自分たちが二等市民であるかのように感じるとか、ダライラマの写真が禁じられているとか、やたら密告が横行して嫌な雰囲気だとか、数え切れないほどの小さな日常の不満である。このような小さな不満もばかにならない。小さな不満が積もりつもってゆくうちに、中国人一般への憎しみに転化し、デモや暴動になって爆発することになる。

チベット亡命政府が指摘する問題点について、中国政府ももちろん反論があろう。私はもちろんチベット亡命政府の示す数字だけが正しいとは思わない。中国政府側と亡命政府側の両方の資料を使って、ひとつひとつの問題点を再検討する必要があろう。
しかし実のところ、以上の多くの問題点は本当の問題点ではないのである。本当の問題点は、チベット人がチベットの問題点に対して「自分たちだったらもっとうまく出来るのに」という感情をもっていることである。このことこそが問題なのだ。チベット人がチベットの問題においてカヤの外に置かれていること、チベット人がチベットのすべての問題に「自分たちだったらもっとうまく解決できるのに」と叫ばざるを得ないこと、これは悲劇であり、ここに本当の問題がある。チベット人にすべてまかせたらチベットの経済発展は絶望的になると見る学者もいる。しかしそれでもチベットの将来はチベット人が決める問題であるはずだ。うまくゆくか、ゆかないかではなく、チベット人たちにやらせないことに問題があるのである。すべての問題は結局、自治権の問題に帰ってくる。
自治権を得るとは必ずしも独立することでない。ダライラマが88年のストラスブールの議会で主張したように、中国にチベットの独立を認めさせるのは現実的には無理で、チベット人の幸福のためには妥協の道を探らなくてはならない。チベットは中国に外交と防衛をゆだね、自治州として中国の権力の枠内にとどまってもよい。しかし中国はあまりに強力すぎる北京中央集権体制を見直すべきである。チベット人がチベットの内政問題ですら直接管理できない今の状況がつづけば、チベット人は中国を憎みつづけるだろう。チベット人が幸福に中国の中で中国人と共存するしてゆくためには、今の<憎悪と対立の構造>を生み出している中国のシステムが変わらなければならない。もし中国のシステムを中国人自身が変えられないならば、チベットは独立すべきである。
チベットが自治州として中国にとどまる場合にも、チベットが中国とは異なる民主的な政治システムをもつことを中国は認めるべきである-----これが、中国とチベットとの平和的共存を望むダライラマの基本的な考え方であろう。

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