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今日の日本で語られる「危機論」や「このままでは没落する論」は、むしろ自己暗示的な自縛や閉塞を生んでしまっている。
http://www.asyura2.com/08/kokusai2/msg/214.html
投稿者 TORA 日時 2008 年 3 月 13 日 15:32:22: CP1Vgnax47n1s
 

(回答先: 危機感駆動型ニッポンの危機!?【ネガティブなニュースの濁流に流されるな】---(日経NB) 投稿者 ミスター第二分類 日時 2008 年 3 月 12 日 19:07:51)

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu163.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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今日の日本で語られる「危機論」や「このままでは没落する論」は、
むしろ自己暗示的な自縛や閉塞を生んでしまっている。

2008年3月13日 木曜日

◆危機感駆動型ニッポンの危機!? 3月12日 竹中 正治
http://www.asyura2.com/08/kokusai2/msg/213.html

(前略)
○悪いニュースを求めるのは生き延びるための本能?

 行動ファイナンスの研究によると、人間にとって「損」と「益」に対する感覚は対称的ではない。

 損が生じる苦痛は同額の益が生じる喜びを上回ることが実験で確認されている。

 これから類推すると、悪い情報と良い情報についても、同様に人間の感覚は非対称的のように思える。

 これは、進化──淘汰と適応──の結果生じた人間の性向だと考えると納得できる。

 特定の場所に「実をつけた木がある」という情報(良いニュース)と「捕食動物がいる」という情報(悪いニュース)のどちらに強く反応する性向の方が生き延びる確率が高くなるだろうか。

 「木の実情報」を聞きもらせば、食べ損ねるだろうが、すぐに餓死するわけではない。一方、「捕食動物情報」を聞きもらせば、今にも襲われて死ぬ確率がぐんと高くなる。

 しかし、米国人より日本人が「危機」に代表されるネガティブ表現を好むのはどうしてだろうか。

○「危機感駆動型」の日本と「希望駆動型」の米国

 この違いを類型化すると、日本人に多い類型は「危機感駆動型」であると言える。

「このままではお前(日本)はダメになる!」「危機だ!」と言われると強く反応して動き出すわけである。

 一方、米国人に多い類型は「希望駆動型」である。

 「できるじゃないか!」「ステップアップできるぞ!」と励まされると強く反応して動く。こうして考えると、日米の様々な違いが説明できる。

 例えば、米国のエコノミストには毎度楽観的な見通しを言う連中がなぜこうも多いのか。

 反対に日本のエコノミストには、どうして「危機の預言者」みたいな連中がわんさといるのか。

 日本の歴代首相や政治家は、まず危機感の強調から始まるタイプが多い。

「日本はこのままではダメになる!」方式だ。一方、米国の大統領、政治リーダーたちはどんな困難な状況でもまず希望を語ることから始める。

「私のリーダーシップを受け入れるならば、難局は打開できる」と、まず希望を語るのが米国のリーダーの資質だ。

 「危機・没落に直面しているのだから構造転換(改革)しないと日本はダメになる」なんて議論は、戦後を通じて何度も形を変えて繰り返されてきた。

 1960年代から70年代初頭に東京大学のマルクス経済学者らによって編集・発刊された代表的なシリーズは「日本資本主義の没落」である。

 高度経済成長の真っ只中で「没落」を強調する感性はピント外れを通り越して、超先見性とでも呼んだらよいのか。

○臥薪嘗胆、富国強兵、輸出立国に共通する危機感のエートス

 なぜ日本で「危機感駆動型」が主流になったのか。

 実証的に語ることは難しいので、これは筆者の空想的な仮説に過ぎないが、日本のたどった現代の歴史的な環境、「生い立ち」に負うところが大きいのかもしれない。

 幕末、明治の日本人を駆動したのは危機感だった。

 幕末の攘夷論に始まり、明治には「臥薪嘗胆、富国強兵で欧米列強に伍していかねば、日本は立ち行かなくなる」という強烈な危機感をバネに展開してきた。

「臥薪嘗胆」や「富国強兵」は中学の歴史の教科書で習い、私自身の心にも深く刻まれた。

 戦後の日本経済の「輸出立国」もやはり危機感駆動型を下地にしたものだ。

 「日本は天然資源の乏しい小さな島国。だから資源を輸入して高品質の製品を製造、輸出して外貨を稼がなくては経済が立ち行かなくなる」

 これは戦後の日本人の多くが共有した一種の「教条化された危機感」である。「臥薪嘗胆、富国強兵」は「輸出振興、高度成長」に代わったが、下地にあるエートスは同じ「危機感」である。

 一方、米国は欧州で食いはぐれ、あるいは宗教的に迫害された人たちが「新大陸での希望」に賭けて移民してできた社会だ。

 16世紀には北米の植民者の半分ほどが最初の厳しい冬を越えることができずに死んだと言われるが、それでも彼らを突き動かしたのは「危機感」ではなく、「希望」だった。

 東海岸地域であぶれた人たちも、西部・フロンティアへの希望に導かれて西海岸まで広がった。

 カリフォルニアのゴールドラッシュは、そうしたフロンティアでの希望の実現を象徴する出来事だったのだろう。

 地理的なフロンティアが消滅しても、新ビジネスや技術開発がもたらすフロンティアの希望に駆られて走り続けてきた。

 現在でも、毎年不法入国も含むと100万人近い移民が「職を得る希望」に導かれて米国に流入する。

○「危機感駆動型アプローチ」では日本は良くならない

 ともあれ、危機感をバネにすることでしか変革できない性分ならば、「危機」や「没落」を強調する今日の風潮も、日本的な変革志向の一環ということになるのだろうか。

 しかし、どうも今日の日本で語られる「危機論」や「このままでは没落する論」は変革機運に結びついているというよりも、むしろ自己暗示的な自縛や閉塞を生んでしまっているような気がしてならない。

 日本が今日直面している1つの問題は「危機感駆動型アプローチ」の限界それ自体なのではなかろうか。

 危機感駆動型の限界は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことにある。

 幕末の西欧列強が武力で植民地獲得競争をしていた時代、あるいは戦後日本のほとんどの都市が空襲で焼け野原となった状態では、事態は切迫した危機そのものであり、危機感をバネにした変革も頑張りも長期に持続するものとなった。

 ところが、なんだかんだ言っても豊かさを実現した今日、不良債権問題と不況が終焉するや大した改革もしていないうちに「改革疲れ」を語り、変革機運は後退してしまった。

 財政赤字、年金不安、少子高齢化、地球温暖化──。今日の日本の諸問題は放置しておけばやがて大禍となろうが、何もしなくても今日、明日に困るものではない。

 危機感駆動型アプローチが最も苦手とする代物なのだ。

 アプローチを切り替えて希望駆動型にシフトし、個人レベルでは各人の弱点を強調、矯正するよりも、強みを伸ばす姿勢を取るべきではないだろうか。

 組織や社会のマクロレベルでは長期的な将来の目標を掲げて牽引する方策の方がよいのではなかろうか。

 そのようなビジョンを持った国政レベルのリーダーシップが不在であることは困ったことだが、各層でできることはあるだろう。

 「お父さんの良い点を挙げなさい」。8歳と12歳の自分の子供に言ったら、まるで気乗り薄で「別に〜。働いていることかなあ」「まあ、お金ないと困るしね」とのご回答。

 「じゃあ、お父さんの悪い点を挙げなさい」と言うと、急に目を輝かせて「ビール飲み過ぎ!」「ワインも飲み過ぎかも!」「暖房の温度上げ過ぎ」「冷房の温度は下げ過ぎ」などとポンポン飛び出してくる。

 う〜ん、どうやら自分の家庭の意識変革から取り組む必要があるようだ。

(私のコメント)
「株式日記」で「21世紀は日本の世紀だ」的なことを書くと、きまってネガティブな反応が返ってくる。日本全体が慢心している時は警告を発する事は必要ですが、日本全体が鬱状態になって閉塞感にさいなまれている時は、ポジティブな面を強調して良い所を伸ばしていくべきなのだ。

出版社から見れば、本の題名に危機感あふれる題名のほうが売れるからそうするのでしょうが、本や雑誌のタイトルには「危機」や「崩壊」の文字があふれかえっている。むしろそのような「危機」に馴れっこになってしまって、本当の「危機」がやってきた時に危機感を抱かない時のほうが「危機」なのだと思う。

現在の日本は外交も防衛もアメリカに丸投げで、この事に対する日本人の危機感はまるでない。外交も防衛も丸投げすることに対する日本人の鈍感さは、本当の危機に直面すると現実を直視しない国民性は戦争中の日本を連想させる。

本や雑誌で警告されている「危機」や「崩壊」はもっぱら経済面のことであり、国防面で「危機」や「崩壊」を書きたてている本や雑誌はごく一部だ。北朝鮮が核武装しても核ミサイルが日本に飛んでくると予想している日本人はどれだけいるのだろうか? 

冷戦時代は、欧米などでは核攻撃に耐えられるような防空壕が民間でもたくさん作られた。しかし日本では核攻撃用の防空壕を作った人などごく一部だろう。さらに大震災や台風などの自然災害に対する防災に備えている人はどれだけいるのだろうか?

それに対して経済などは「円高」で大変だとテレビや新聞で書き立てていますが、通貨が強い事は喜ぶべき事であり「危機」でも「崩壊」でもない。むしろ円が安くなって石油や原材料が高くなった時のほうが日本経済にとっては「危機」なのだ。確かにバブル崩壊以降の日本経済は停滞気味ですが、それで日本が滅びるわけではない。

むしろ日本が自分の国を自分で守ろうとしない事のほうが「危機」であり「崩壊」をもたらすだろう。3月8日の「株式日記」でアメリカから16隻の戦艦がやってきた事を書きましたが、ヨーロッパでは日米が開戦するかのような騒動があったのですが、日本では大歓迎して米国の大艦隊を迎えた。

もしこの時に日米開戦は不可避だという「危機感」を持ったならば、大陸に侵攻して行く事の「罠」に気がついただろう。大陸に深入りすればするほど日本は二正面作戦を強いられるからだ。ところが日露戦争の勝利に慢心してしまって、アメリカがフィリピンの次は日本を狙っている事に「危機感」を持つ人はいなかった。アメリカの侵略性を見れば分かるように、日本が罠にはまった時にアメリカが襲い掛かってきた。

経済では株価が暴落すれば明日にでも大不況がやってくるような気になるから、「危機」や「崩壊」を煽れば本や雑誌は売れるだろう。ところが憲法9条や日米安保などは明日どうなるものでもないから「危機感」を煽っても本や雑誌はあまり売れない。明日にでもミサイルが飛んでくるような状況にならなければ日本人の国防意識は目覚めない。

竹中正治氏は、財政赤字、年金不安、少子高齢化、地球温暖化といった問題は明日どうなるといった問題ではないから危機感駆動型のアプローチは成功しないと指摘していますが、国防問題も明日どうなるという問題ではないから危機感駆動型の問題提起では上手く行かないだろう。長期的問題は危機感を煽るだけでは危機意識は持続しない。北朝鮮の核実験もミサイル実験も2,3ヶ月すれば国民は忘れてしまう。

長期的戦略的な問題は危機感を煽っても持続しないから成功しない。それよりかは希望駆動型の「21世紀は日本の世紀である」とか、「アメリカがアジアから撤退した後は日本が穴を埋めるべきだ」といったポジティブなスローガンを掲げて、政治家は国民に呼びかけるべきなのだ。

財政赤字、年金不安、少子高齢化、地球温暖化といった長期的問題もこうすれば解決できるという道筋を見つける事が問題解決に繋がる。危機感を煽る事はその場限りになってしまう。財政赤字も年金不安も経済が活性化すればすぐに解決する問題であり、少子高齢化の問題もコンパクトシティーで解決できる。地球温暖化もテクノロジーの進歩で解決できると前向きな意識改革を持てば成功するだろう。

ところが本や雑誌は財政赤字で日本は破産するとか、年金不安で年金が破綻するとか、少子高齢化で日本人は何年には半減するとか、地球温暖化で日本は沈没するとかいった流言飛語で自己暗示にかかってしまったような状況だ。これが閉塞感につながって日本人の心を萎えさせてしまう。しかしこれらの問題は外国でも同じ問題を抱えているのであり日本だけの問題ではないのだ。

それに対してアメリカ人はサブプライム問題でも強気で楽観的なコメントが目立ちます。アメリカ人は危機に立てば立つほど強気になる国民性を持っている。だから何事も悲観的な日本人と何事も楽観的なアメリカ人とでは対照的であり、足して2で割れば丁度よくなる。小さい時からの教育方法が全く違うからだろう。アメリカ人は長所を伸ばす教育であり、日本人は欠点を直す教育ばかりしている。

日本人のように悪いところばかり言い立てるといじけた子供が出来るし、アメリカ人のように褒めてばかりいると自己主張の強い傲慢な人間が出来上がる。これも足して2で割れば丁度よくなるのでしょうが、国民性の問題だろう。


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