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飯尾潤の「衆院優先原則の確立」は本末転倒であり、(解散権に対する)国民世論優先原則の確立があれば事足りることです。
http://www.asyura2.com/08/lunchbreak11/msg/135.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2008 年 5 月 13 日 18:22:28: 4sIKljvd9SgGs
 

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080513-02-0501.html
衆院優先原則の確立が政治劣化を救う処方箋だ=飯尾 潤(その1)
2008年5月13日 中央公論
二院制の国会運営の問題。政権交代が現実味を帯びてきていることによる与野党の対立の激化。そして、政府機能の劣化。ーー日本政治は今、この三つの危機に直面している。政治の劣化を救うシナリオを示す


日本政治が陥った三つの危機

 「ねじれ国会」という言葉が躍っている。政府あるいは自民党や公明党にしてみれば、物事がうまくいかないのは、すべて「ねじれ国会」のためである。民主党など野党にしてみれば、「ねじれ国会」は「政府の好きなようにはさせない」という合い言葉である。
 
 実際に、国会運営は難しくなって、誰にとっても先の読みにくい政治状況となっている。そのうえ、ガソリン税問題など、政治が国民生活に影響を及ぼす例も出てきた。これを受けて、支持する政党を問わず、「政治の混迷」を憂える声が増えてきている。
 
 問題は、出口が見えない議論が多いことである。与党の政治家が、小沢一郎民主党代表は信用できないと怒りをあらわにし、野党側が福田康夫首相のリーダーシップ不足を笑っているなどという非難合戦が不毛なのはいうまでもない。また、起こっている事態をそのまま受け入れ、憲法上の規定でどうにもならないとあきらめるのも、早計であろう。それどころか、混乱に嫌気がさして、民主主義や政治そのものを邪魔者扱いする発言を耳にすることもあるが、これではいけない。
「ねじれ国会」がもたらした問題の解決のためには、事柄を整理して順に障害物を取り除くという我慢強さが必要とされる。このときに、注意すべきは、現在の日本政治が陥っている危機が、重層的なものだということである。
 
 こうした危機は三つの問題群からなっている。
 第一には、二院制における国会運営の問題がある。
 第二には、選挙による政権交代が現実味を帯びてきたことによる与野党対立の激化に関わる問題がある。
 
 そして、第三には、政治運営を基層において支えているはずの官僚制などが弱体化し、行政上の不祥事が続くという、政府機能の低下問題がある。
 これらの問題は相互に連関しているが、それらをひとくくりにしていても解決の道筋が見えないどころか、かえって事態を悪化させてしまう可能性がある。
 
 たとえば、国会審議の手順として、衆議院が再議決を行おうとしても、再議決のルールに両院の合意がなければ、再議決という行為が糾弾の対象となってしまう。野党側は、この機を逃さず、再議決という議会運営の問題を、政権の信任問題に転化しようとする。しかも、政権の足元で、年金記録問題をはじめとする日常的な行政運営における問題が発覚し続け、政権の信任が揺らぐという状況もある。それを野党側は最大限に利用する。政府・与党側は筋が違うと応戦するが、与野党で、かみ合わない非難合戦が繰り広げられるだけとなる。
 
 しかし、そうした問題の拡大は、攻めているはずの野党に都合のよいことばかりではない。政権獲得を目指しているはずの政党が、獲得すべき政権の値打ちを下げるのは合理的ではないからである。しかも「何でも反対する」政党だというイメージの広がりは、支持率を下げるほうに働くだろう。
 
 その意味で、議論がかみ合ったほうが生産的である。そこで、衆参両院の間においても、与野党の間においても、立場の違いを超えて競争のルールを確立してゆくことが望まれるはずである。ここでは、そうした問題の重層構造を指摘して、それらを区別して問題を処理することが、与野党双方に意味があることを指摘したい。


奇妙な国会の停滞

 さて、第一の危機は、国会運営の危機、つまり、表面に華々しく議論されているように「ねじれ国会でものが決められない」という危機である。
 
 日本銀行の総裁職が空席になるなどの失態もあった。これは、何も民主党の勝利ということではない。国会同意人事は、少なくとも両院の多数がともに賛成する人物を任ずるということである。そうであるならば、民主党が望む類型の人物を政府が認識し、双方が受け入れられる人物が任命されるというのが、与野党を超えて求められるはずである。意見が一致できないというのは、民主党のコミュニケーション能力の不足をも意味する。政府がもたついたときに、民主党から目を見張る打開策が提示されたなら、民主党は大きく得点を稼いだはずである。
 
 また、暫定税率の失効問題においては、与野党の攻防が時間切れという形で、とりあえずの結論を迎える。しばらくすると、再議決のための六〇日規定に基づく時間の経過が、次の与野党攻防を引き起こすというように、時間が主役であった。つまり、合意による決着や多数決による決着という形で、意識的に結論が導き出されていないのである。
 
 政府側が大きな痛手を被ったのは明白であるが、さりとて、民主党が事態を主導して望む結論を得たというものではなかった。もともと、問題は経済や財政の問題であり、一般財源化など、双方の主張が交差する論点まであった以上、早くから議論しておれば、もう少し建設的なやりとりができたのではないか。そう考えると、国会における攻防が不毛だというのは、もっとよい国会運営ができるはずだという期待の裏返しである。
 
 さらに、政府側が与野党対立を起こしそうな法案を出さないという傾向もあるが、議論されるべき案件が、国会に出てこないのは、政治全体の損失である。逆に、民主党が積極的に法案を提案するという傾向もなく、それを実現させる政党間協議の基盤もないから、民主党には「抵抗に成功している」という以上の積極性が見えないといわざるをえないだろう。 
 
 そもそも、与野党の立場が違うので、国会審議が混乱して、ものが決まらないというのは、奇妙なことである。議会政治は、多様な意見が討論や採決を通じて何らかの結論へと変換されることを前提にしている。そこで、意見の違いがあっても、それなりの決着がつくように運営されるべきであろう。
 
 衆参両院の多数派が異なれば国会が機能しないと考えるのは、国会での議論の可能性を考慮せず、政党別の議員数だけでものを考えるからであり、別に必然性があるわけではない。
 
 諸外国を見ても、二院制をとれば二院の意見が違うこともあり、また大統領制をとっておれば、立法と行政のねじれなども起こる。むしろ、ねじれ自体は異様なことではない、というところから出発すべきである。
 
 実際に、昨年秋の臨時国会でも、与野党が歩み寄って成立した法律もあり、審議を通じての決定は、今回の通常国会でもみられる。こうしてみれば、憲法の規定がそのままでも、あるいは政権政党側が衆議院の三分の二を持っていなくても、それなりに立法活動を展開できるというのは根拠のない期待ではない。ただ、それを支える手順が未整備であり、与野党の思惑から、双方が思いもよらぬ形で激突したり、手詰まりになったりしているのが、現在の姿ではないか。


"党利党略"は民主政治と組合せよ

 さまざまな解決策があるが、「討論と説得」によって、事態を打開せよといっても始まらない。議院内閣制をとり、政党が政権を目指して競争している現在の状態では、政権をめぐる争いが、ある程度「党利党略」になるのは仕方のないことである。もっともらしい「党利党略に走るな」などという忠告も、政府案を野党が受け入れることを前提にするのでは、一方的に政府あるいは与党を利するわけで、とても与野党を通じた議会政治のルールにはなりがたい。
 
 むしろ「党利党略」は、民主政治と組み合わせることで、意味が変わってくることに注目したい。自分のことばかり考えているという意味での「党利党略」なら、いずれ有権者から愛想を尽かされる。たとえば「党利党略」で野党が政権を総選挙に追い込んでも、その選挙でそうした政党が負けることになって、意味をなさない。しかし、選挙で勝とうとすることを根本に据え、そのために有利な状況を作ろうと各党が励むことは、それほど悪いことではない。
 
 もちろん、事柄はどこかで決着がつけられなければならない。その点で、衆議院の総選挙は、政権のゆくえを決める重要な機会である。そして、政権公約(マニフェスト)が、総選挙によって選択されたとするならば、政策の大枠も、衆議院総選挙によって決着するのが望ましい。もちろん、参議院選挙も、国政の重大な審判の機会であるが、政権の成立を左右することができない点で、これを総選挙よりも重く見るのは間違いだろう。
 
 もちろん、参院選で示された民意は重いから、参議院や参議院で多数を占める政党が、存在意義を発揮しようとするのは結構である。しかし、それが「何でも反対」になれば、参議院があるから政治が動かないということになり、「参議院無用論」が出てきかねない。
 
 参議院の存在意義は、衆議院やそれに基礎を置く内閣が、あまりに一方的な立法を行おうとするときに再考を求めたり、与野党対立になじまない問題をじっくりと議論して結論を得たり、あるいは法案を修正によってよりよいものに変えていくといったところにあるのではないか。参議院を「良識の府」にしようという、さまざまな提案は、たいてい参議院が「数の論理」を超えることを求めてきた。
 
 その点で、衆参のねじれが起こったときには、できる限り両院で妥協のための努力を行い、参議院の意見も入れながら最終的に法案が成立するのが望ましい。このことは、政府あるいは与党側にも、何が何でも原案通りの議決を行うのではなく、修正の余地を残しながら、法律を提案してゆくということを義務づける。そして参議院は、それに応じて、建設的な態度を示すということになる。
 
 もっとも、何でも妥協すればよいというのではない。政権をかけた与野党の激突の要因となる政策分野においては、議会での話し合いによって問題が解決しなくてもよい。むしろそれらは、次の総選挙の政権公約に含まれることにより、どちらの政党が勝ったのかによって決着をつけるのがよい。
 
 求められるのは、総選挙での決着を尊重するという参議院の基本姿勢である。もちろん、何の見返りもなしに、参議院が自己抑制を行うことは期待すべくもない。そこで、衆議院側は、参議院が判断するのが望ましい問題については、判断を参議院にゆだね、参議院の結論を尊重するということがなければならないだろう。
 
 結局のところ、国会で結論を出すべき問題について、与野党の妥協が可能かどうか、衆議院を優先するのか参議院を優先するのかという、事柄の仕分けが、ねじれ国会の難問を解くためには必要なのである。
(その2へ続く)
いいおじゅん (政策研究大学院大学教授)

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