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地球温暖化のウソ・マコト:原発推進でよいのか 2007/07/14   JANJAN
http://www.asyura2.com/08/nature3/msg/234.html
投稿者 スパイラルドラゴン 日時 2008 年 6 月 01 日 06:03:04: 0zaYIWuUC0gac
 

(回答先: ↑訂正: 2ワット/u(W/u) →  2ワット/m2(W/m2) m2は平方メートル 投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 5 月 31 日 23:08:32)

http://www.asyura2.com/07/nature2/msg/355.html より転載。

地球温暖化のウソ・マコト:原発推進でよいのか 2007/07/14

 地球温暖化の問題は、アル・ゴアの映画「不都合な真実」やIPCCの報告書(AR4)などにより、近年、特に注目を浴びるようになった。しかし、中にはマスコミのセンセーショナルな報道をもとに誤った情報が蔓延している。

 温暖化問題が声高に叫ばれることによって、他の問題が見過ごされてはいないだろうか。過度に原発に依存した高放射能社会へと進んでいって良いのだろうか。


 南極は温暖化しているか

 まずは、南極やグリーンランドの氷床が溶けて海水面が上昇しているとの指摘だ。南極半島が昇温しているのは事実だが、半島が南極大陸に占める面積の割合は2%程度である。IPCCの報告書によれば、南極は全体としては昇温していないとされている。実際、ここ最近の南極は寒冷化傾向にあるのだ。IPCCの政策決定者向け要約(SPM)にはこう書かれている。

 【南極の海氷面積には、引き続き年々変動と局地的な変化は見られるものの、統計学的に有意な平均的傾向は見られない。これはこの地域全体で平均すると昇温が認められないことと整合している。{3.2、4.4}】
 IPCC 第4次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約

 ・南極の寒冷化に関する論文
 Nature 415, 517(2002)
 Science, 295, 476(2002)

 一方で、IPCCの報告書によれば1993年から2003年の南極氷床による海面水位の上昇率は、0.21±0.35(mm/年)とされている。南極では寒冷化しているにも関わらず、南極氷床による海面水位の上昇率はなぜか正の値を示している。もちろん誤差範囲の方が大きいという指摘も同時になされるべきだろう。IPCCの報告書によれば、南極の氷による海面上昇の寄与は、力学的な氷の減少による寄与が主な原因と結論付けられている。

 【そのような力学的な氷の減少は、南極の氷の正味減少量の大部分と、グリーンランドの氷の正味減少量のおよそ半分を説明するのに十分な大きさである】
 IPCC 第4次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約

 それでは、近年の海面水位の上昇の要因は何かというと、熱膨張による寄与が大きいとされているようだ。IPCCの報告書によれば、特に、1993年から2003年までの海面水位の上昇率では、熱膨張の寄与が半分以上を占めている。南極やグリーンランドで一部地域で氷棚の崩壊や氷床の減少があっても、その地域全体としては寒冷化し氷床が増加している地域もあるために、海水面の上昇に与える影響は今のところ限定的なものになっている。

 また、氷棚の崩壊は温暖化や寒冷化に関係なく中心部から力学的に押し出されることで常に起きている自然現象であるが、安易に温暖化と結びつける報道も多い。その一方で、南極の氷床が増加しているなどの南極の寒冷化と結びつけた事実に関する報道は皆無と言っても過言ではないだろう。


 シミュレーションではローカルな気温変化を再現できない

 南極やグリーランドの内陸部のように、地球温暖化とはいっても、地球が一様に暖かくなっているわけではなく、寒冷化している地域もあり、その気温分布は決して単純なものではない。そこで、大規模なコンピュータを用いたシミュレーションにより、20世紀の気温の再現実験が行われている。しかし、平均気温が上昇していることは何とか再現しているが、この全球の気温分布になるとほとんどお手上げ状態のようだ。南極やグリーンランドはシミュレーションの再現実験によると温暖化をしていなければならない地域なのだ。

 ・南極の気温は気候モデルの予測と不一致
 Antarctic temperatures disagree with climate model predictions

 温暖化のシミュレーションの創始者の一人でもある真鍋淑郎氏のモデル(1985年)では、二酸化炭素の濃度が2倍になると、極地では10℃以上も上昇するとされている。もちろん最新のモデルでは南極における昇温の幅はこれよりも小さく見積もられるようになってきているが、それでもモデルが南極で温暖化を示すことに変わりはなく、実際の気温変動の定性的な説明が十分に出来ているとはいい難い。
 Journal of Geophysical Research, 90(C6), 11,689(1985)

 モデルの不一致は南極やグリーンランドだけではない。アラスカ大学の赤祖父俊一氏によれば、IPCCのモデルでは北半球のシベリア、アラスカ、カナダなどで特に顕著に見られる特異的な温暖化が再現できていないと指摘する。この北半球の大陸部に見られる特異的な温暖化は北極振動や太平洋十年規模振動、エルニーニョなどの数十年振動(multi-decadal oscillations)による自然要因の影響が強く、それと人為的な温暖化を一緒くたにすることには大変な不備があるとも指摘している。
 Why has “global warming” become such a passionate subject?

 また、日本では暖冬や厳冬などが起こると、これまでは異常気象として片付けられてきたが、最近の研究によって自然現象として起こる北極振動に少なからぬ影響を受けていることが分かってきた。この北極振動が提唱されたのは1998年と、まだごく最近のことである。この北極振動の励起因子として近年注目されているのが太陽活動との相関である。このような気候と太陽活動をむすぶ振動現象(テレコネクション)の研究はこれまでのモデルでは想定していなかったことだから再現できなくて当然のことでもある。
 Geophysical Research Letters, VOL.32, L22703(2005)
 Geophysical Research Letters, VOL.32, L23817(2005)


 センセーショナルな報道をうむ不確かな計算結果

 もちろんシミュレーションは完全ではなく、あくまでもモデルなので、当然のことながら実際の現象を全て定性的に説明ができるわけではない。しかし、その不確かさがあるなかで、グリーランドがすべて溶けると海面が7mも上昇するとのセンセーショナルな報道もなされている。アル・ゴアの映画で都市が水没していくシーンを見た人もいることだろう。

 しかし、これはあくまでシミレーションの結果であり、しかも何千年も先のことだ。そんなに先のことになれば、太陽活動などの影響次第で、いつ次の寒冷化が訪れてもおかしくはない。歴史的に見れば小氷期には大飢饉や食料を求めた民族の移動に伴う戦争などがしばし起こっていたと考えられる。
 夏が来なかった時代

 温暖化の研究では南極やグリーランドの氷床を掘削機によって掘り出した氷床コアから何十万年も前の気温変化を間接的に見積もったりもしている。これまで何度も氷期と間氷期の気候変動を記録し続けてきたグリーランドの氷床がすべて融けてしまうとの非現実的ともいえるシミュレーションに果たしてどれだけの信頼性があるのだろうか。

 しかも、北極の海氷の減少は自然要因である北大西洋振動による北大西洋の暖流の流れ込みの影響も指摘されている。極地では太陽放射の入射量も少なく、地軸の傾きがあるために極夜ともなればまったく日が射さない季節が続く。極夜になれば太陽からのエネルギーの入射は全くなくなるため、南北の熱輸送が主なエネルギーの供給源となり極地の気温を形成している。

 20世紀の気温の再現実験ではローカルな気温分布が再現できないにもかかわらず、グローバルな平均気温の変化は再現できるから、100年後の気温の予測も可能であると喧伝されている。また、たとえ不確かさがあったとしても予防原則から何らかの対応を早期にとるべきだとの論調もしばし見受けられる。しかし、その温暖化の対策として原発や高速増殖炉の推進が積極的に行われるようになってきている。原発や高速増殖炉のリスクに対しては予防原則が果たしてどれだけ働いているだろうか。


 温暖化対策として世界中で進められている原発の推進

 日本や欧州では温暖化対策として安易に原発の推進が行われているが、この現状を把握している人がどれだけいるだろうか。代替エネルギーの開発も行われていはいるが、標準的な原発一基分の電力である100万kWを太陽光発電でまかなうとすると、山手線の内側面積程度のパネル面積を必要とするなど課題も多い。

 しかしながら、地熱エネルギーは自然エネルギーの中でも有望視されており、中国ではすでに地熱エネルギー開発利用で世界トップとも言われている。日本でも NEDOの試算によると6,930万kWものポテンシャルをもつともいわれており、これは100万kW級の原発69基分に相当する。しかし、日本における地熱の利用は中国やインドネシアに比べて余り積極的とはいえないようだ。

 中国、地熱エネルギー開発利用で世界トップ[日中経済通信]
 今月の環境: 4月3日:インドネシア、地熱発電増強
 地熱発電を扱った小説「マグマ〜小説国際エネルギー戦争」について書評を紹介

 一方、日本政府は「エネルギー政策基本法」を掲げ、『エネルギー基本計画』の中で「第一に、自立した環境適合的なエネルギー需給構造を実現するため、原子力発電を積極的に推進し、新エネルギーの着実な導入拡大を図ること」とされている。また資源エネルギー庁では、原子力立国計画が策定されている。
 エネルギー基本計画
 資源エネルギー庁 施策情報 原子力政策の現状について

 この他にも、日米原子力エネルギー共同行動計画、ハイリゲンダム・サミットでは日米で原発推進を明記するよう提案するなど、いまや原子力が温暖化問題解決の中核手段になっていることを認識しておく必要があるだろう。

 原子力、温暖化問題解決の「中核的手段」に−原子力白書
 サミット議長総括、原発推進明記提案へ・日米、温暖化対策で方針
 Business Media 誠:原発がやってくる

 しかし、なんといっても温暖化でもっとも注目されるのが欧州の動きだ。地球温暖化防止の観点からイギリスでも原子力推進に政策転換がなされてきている。原発大国であるフランスではさらに意欲的に高速増殖炉の積極的な建設計画がなされている。ピークウランが過ぎれば原発も採算が取れなくなってくるとも言われており、高速増殖炉はこれからの核燃料サイクルに必須の構成要素として政策に組み込まれている。

 原子力推進に政策転換か―地球温暖化防止の観点から英国ブレア首相―
 2040年以降、仏が高速炉40基以上建設へ
 フランスの高速増殖炉研究開発 (03-01-05-05)
 WorldChanging: Nuclear Energy: Not a Climate Change Solution?
 Sunday Herald: Lower grade uranium could hasten climate change pace


 多発する原発事故と報道されない海外の重大事故

 日本でも高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」があり、運転再開については段階を踏んで進めていくことになっている。しかし、高速増殖炉は世界中でトラブルが続いており、さらに地震に弱いという致命的な欠陥も抱えている。
 世界の高速増殖炉

 日本では、志賀原発が臨界事故隠しで運転停止に追いやられているときに、丁度、能登半島沖で地震があった。この地震の規模は志賀原発の建設時に想定した「海底の断層による地震」の規模を上回っていた。もしこれが運転中の高速増殖炉で起きていたら、重大な事故につながる危険性もあっただろう。
 東電原発不正事件と臨界事故

 2005年には、イギリス、セラフィールドの再処理工場で使用済み核燃料の溶解液である硝酸溶液、83立方m(83000リットル)が漏えいするという事故が起きている。その溶液には20トンのウランと160kgのプルトニウムを含んでいた。

 河野太郎議員は日本でまったくといっていいほど、セラフィールドの事故が報道されていないことを問題提起している。セラフィールドでは他にも核爆弾7、8個分のプルトニウムを紛失したこともあった。
 ソープ再処理工場漏えい事故
 英セラフィールド再処理施設から漏れ出る放射能汚染(1)

 温暖化対策やアジア地域の急成長に伴い世界中に原発が建設されている。これは毎年の交通事故による死傷者数がある割合で起こってしまうのと同じように、原発事故の確率も原発の総数が増えれば統計的に高まるのは必然ともいえる。しかも、中国では原発を100基以上増設するとも言われている。しかし中国では放射性廃棄物をチベットに不法投棄するなど核の管理に対して余りにも不十分といわざるを得ない。
 中国、2030年までに原発100基超を建設へ
 チベットの核 /放射性廃棄物

 1986年にチェルノブイリ事故があり、原発産業はしばらく停滞していた時期もあったが、その後、二酸化炭素の排出が少ないという主張を広めた結果、最近では地球温暖化問題とともに急成長が見込まれるまでになった。

 ただし、日本の一連の電力不祥事には、海水温データの改ざんなどが含まれる。また、原発が「二酸化炭素の排出が少ない」という主張そのものも、放射性廃棄物の処分などを考慮したものかどうかは疑問だ。脱石油社会や低炭素社会という言葉も聞かれるようになったが、世界は今、過度に原発に依存した高放射能社会へと進もうとしているのが現状だろう。

 特集 原子力は地球温暖化対策のエースです(原子力発電四季報32号)
 特集 地球温暖化防止は人類の課題 (原子力発電四季報38号)

 臨界事故・トラブルを筆頭にしたトラブル隠しやデータの改竄などの数々の不正行為、高速増殖実験炉「常陽」に関連してJCOではバケツでウランを扱い臨界事故がおきた(※)など、日本の原発に対する危機管理能力の欠如や隠匿体質が改善されている様子は一向に伺えない。

 テレビなどもスポンサーに不都合なことは余り報道できない。原発産業に蔓延する「不都合な真実」は闇に閉ざされたまま、不透明な業界の体質は温存され続けてきた。地球温暖化問題が声高に叫ばれることによって、他の何か大事な数多くの問題が余りにも見過ごされてはいないだろうか。

※ 編集部・注
 ただし、杜撰な取り扱いそのものが臨界事故の原因ではなく、40リットルもの大量の硝酸ウラニル溶液を混合均一化しようとした、(旧)動燃の注文そのものに無理があり臨界事故を招いた、とする見方が根強い(望月彰『告発!サイクル機構の「四〇リットル均一化注文」』(世界書院)、「動燃が臨界管理逸脱の契約を強要」、など)。

(南部真幸)

     ◇

特集:原発を考える

【おもな関連記事】
・『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』のウソ
・放射能を含む土ぼこり・英核燃料再処理(3・終)
・安全神話の闇に葬られる原発被曝労働者
・署名88万筆 原発震災対策を政府に申し入れ 浜岡原発
・横須賀港12号バース浚渫裁判〜原子力空母母港化問題その後(4・終)
・“walk9”は終わり、そしてそれぞれのウォークが始まる(3)

【おもな関連サイト】
・明治大学軍縮平和研究所
・はんげんぱつ新聞
・東電原発不正事件と臨界事故
・原子力資料情報室
・脱原発と、環境破壊のない社会をめざす・たんぽぽ舎

JANJAN
http://www.news.janjan.jp/world/0707/0707078546/1.php

 

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