★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板3 > 421.html
 ★阿修羅♪
量子重力が予言するビッグバウンス宇宙(日経サイエンス)
http://www.asyura2.com/08/nature3/msg/421.html
投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 11 月 22 日 00:16:12: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0901/200901_040.html

 アインシュタインの一般相対性理論によると,私たちの宇宙は密度が無限大の1点「ビッグバン特異点」から始まったとされる。だが,無限大が登場した時点で一般相対性理論そのものが破綻することを意味する。宇宙が非常に小さかったビッグバンの瞬間に何が起こったのかを説明するには,量子論の助けが必要だろう。
 量子論と相対性理論の融合は多くの研究者によって試みられている。その1つが「ループ量子重力理論」だ。この理論では,物質が原子からできているように,時空は“時空の原子”からできているという。この理論の驚くべき帰結の1つは,宇宙初期のような超高密度な状況では,重力が引力ではなく斥力に変わってしまうことだ。空間の原子に蓄えられるエネルギーに上限があるため,上限を超えてエネルギーが詰め込まれようとすると空間の原子は反発し,斥力が生まれるからだ。この反発的重力のために,ビッグバン特異点のように1点に集中し密度が無限大になるといったことがなくなる。
 時の始まりと考えられていたビッグバン特異点が存在しないなら,ビッグバンよりも過去の宇宙が存在したということになりそうだ。ループ量子重力理論が描き出す私たちの宇宙の誕生物語は,次のようなものだ。ビッグバンの前,宇宙がある1点に向かって収縮し始める。宇宙の密度はどんどん高くなりやがて重力は斥力に変わる。その結果,宇宙は収縮をやめ,再び膨張し始める。つまり,ビッグクランチが起こった後に,ビッグバウンス(大反跳)を経てビッグバンが起こったのだ。
 こうしたはるか昔の出来事を実証するには,どうしたらよいだろうか? 重力波やニュートリノが手がかりを与えてくれるのではないかと著者は言う。これらは物質とほとんど相互作用しないため,ビッグバン期やさらに前の時期に関する情報を保持している可能性があるからだ。原子の存在がブラウン運動の観測で証明されたように,“時空のブラウン運動”が観測されて,時空の原子の存在,ひいてはループ量子重力理論の正しさを証明される日は近いのだろうか。

著者
Martin Bojowald
ループ量子重力理論がもたらす宇宙論に携わる先駆的研究者。ペンシルベニア州立大学重力宇宙論研究所に所属。2003年に重力研究財団の論文コンクールで1位を獲得,2007年に一般相対論・重力国際学会のサナソプロス賞を受賞している。趣味は古典の読書とペンシルベニア州中部にあるアパラチア山脈でのマラソン。

原題名
Follow the Bouncing Universe(SCIENTIFIC AMERICAN October 2008)


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 環境・エネルギー・天文板3掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。