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(30日用)【疑惑の濁流】ちらつく「わいろ」「政治」 西松建設“裏金”の流れた先は
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投稿者 めっちゃホリディ 日時 2008 年 11 月 30 日 18:10:48: ButNssLaEkEzg
 

11月30日18時3分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081130-00000539-san-soci

 東証1部上場の準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の裏金疑惑は奇妙そのものだ。何のために10億円ともいわれる裏金が海外でつくられ、危険を冒してまで日本に持ち込もうとしたのか。部長級幹部が会社に離反し、検察に“自首”して発覚した疑惑。西松内部では何が起きていたのか。東京地検特捜部の捜査が進む中、「海外受注工作」「国内談合=政治対策」というキーワードがおぼろげに浮かび上がるものの、その輪郭はまだまだ明確にならない。

■なぜ容疑者は内部告発したのか?

 そもそもこの裏金疑惑は、西松建設の海外事業部元副事業部長だった高原和彦容疑者(63)が特捜部に自ら打ち明けたことが端緒となって発覚した。

 「海外で裏金をつくり、副社長の指示で約1億円を無届けのまま日本に持ち込んだ」

 「タイのトンネル工事受注で便宜を図ってもらう見返りに、西松建設からタイ政府当局者に4億円以上のわいろが渡った」

 特捜部に駆け込んだ高原容疑者は、こうした内容を“暴露”したとされる。

 高原容疑者は昨年末まで西松建設に在職していたが、退職後に特捜部に“自首”したようだ。

 裏金疑惑を告発した「正義の味方」であるはずの高原容疑者は11月19日になって一転、特捜部に逮捕されるのだ。

 《平成17年11月、香港の銀行口座で保管していた会社の裏金のうち30万米ドル(当時のレートで約3500万円)を、フィリピンの銀行に開設した自分名義の口座にタイから送金し、着服した業務上横領容疑》(特捜部調べ)

 着服した裏金はフィリピンで購入したマンションの代金などに充てていたというから、相当なものだ。

 自身にこれだけのことがあれば、検察に駆け込む時点で「自分のことを調べられれば逮捕されてしまうかも」と感じるのが自然だろう。それでも高原容疑者は検察に接触した。その理由は何だろうか。

 ひとつには、「他に相次いだ裏金をめぐる事件の摘発を見て、高原容疑者は怖くなったようだ」(検察幹部)という見方がある。

 昨年から今年にかけ、防衛専門商社「山田洋行」と建設コンサル大手「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)で、海外の業務に絡み裏金をつくっていた疑惑が、検察の捜査で相次いで浮上。PCIは中国の事業をめぐる裏金に続き、コスタリカの事業での裏金疑惑も指摘された。

 今春には、ベトナムでの政府開発援助(ODA)事業をめぐり、PCIの元幹部らが現地の公務員にわいろを贈っていた疑いも表面化し、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で刑事事件に発展した。

 こうした事件ラッシュに、西松の裏金を預かる立場だった高原容疑者は“怖くなった”ようなのだが、それだけでもなさそうだ。

 実は、高原容疑者が裏金の一部を着服していた事実は、昨年末の退職前には、西松上層部は把握していたといわれている。このため、背任や横領といった「個人犯罪」で会社側から切り捨てられるのを恐れた高原容疑者が、先手を打って内部告発者を装った、との見方もあるようなのだ。

 とすれば、裏金をめぐって、西松内部で“暗闘”が起きていたことになる。

■10年間で10億円

 高原容疑者を逮捕した特捜部にとっても、同容疑者の横領容疑の追及が主目的ではない。捜査の対象は西松建設そのものだ。

 高原容疑者の“自首”を受けた後の6月、同容疑者が平成17〜19年の間に、当時の副社長(67)=10月24日付で非常勤顧問=の指示で、裏金のうち約1億円を税関に無届けのまま8回に分けて国内に持ち込んだ外為法違反の容疑で西松本社を家宅捜索。同容疑者を逮捕した直後の11月21日にも再び外為法違反の容疑で西松を捜索している。元副社長らの事情聴取を進めるとともに、押収資料の分析を進めている。

 西松の裏金とはどのようなものなのか−。

 関係者によると、西松は10年ほど前から、海外で受注した大型工事で合計約10億円にのぼる裏金を捻出し、香港にあるペーパーカンパニーの口座などにプールしてきた。

 口座は高原容疑者が管理。引き出す金額などは、「管理本部」と呼ばれる本社の経理や総務を総括する中枢セクションから指示が出ていた、という。管理本部は、人事も担当していたとされる。

 西松はフィリピンやタイ、ベトナムなど東南アジアやスリランカ、香港などで受注実績があり、これらの工事が裏金づくりに利用されたとみられている。

 裏金工作は会社上層部の指示の下、組織的に行われた疑いが強い−と特捜部はみている。

 管理本部の事実上のトップは代々、副社長や専務らが兼務していたといい、裏金の運搬を指示したとされる元副社長も当時、管理本部長を兼務していた。11月の再捜索では、特捜部は埼玉県川口市の国沢幹雄社長(69)宅にも捜索を実施している。

■海外受注での工作資金に?

 では、10億円にも上る裏金は何のためにつくられ、何に使われたのか。そのナゾを解くキーのひとつは告発の主、高原容疑者が特捜部に明かした言葉だ。

 「4億円以上の裏金がわいろとして使われた」

 西松は平成15年9月、タイで現地の大手ゼネコンと共同企業体(JV)を組み、バンコクの都庁が発注した洪水防止トンネル工事を受注している。これが高原容疑者の言う工事ではないかとみられている。

 受注の際、西松の現地社員が、受注の便宜を図ってもらう見返りとして、タイ政府当局者や、入札担当者らにわいろを渡したとされ、わいろの提供は、現地大手ゼネコン幹部とも相談して決めた−との情報も特捜部のもとに寄せられているようだ。

 建設業界では、日本の税務当局の監視が届きにくい海外の事業で裏金を捻出することが「公然の秘密」(ゼネコン関係者)とされており、西松の裏金の一部もPCIと同じく、海外での受注工作に充てられた疑いが強い。

 外国であっても、現地の公務員にわいろを提供して職務権限を行使させれば、贈賄(不正競争防止法違反)罪に問われる。とはいえ、日本での摘発例は乏しい。平成10年の制定以来、大手電気工事会社社員がフィリピン政府高官にゴルフセットを提供したとして昨年3月に略式起訴された事件と、PCIの2件だけにとどまっている。

 高原容疑者の“供述”が表面化すると、タイの当局も動く。

 7月、バンコクのアピラック知事=不祥事にからみ11月19日付で辞任=が不正の有無について調査に乗り出す方針を表明したのだ。

 しかし、これが事件化する見通しは暗い。

 アピラック前知事は辞任前、「(調査の結果)不正は見当たらなかった」と言明。バンコク都庁側も「不正はなかった」との見解を表明したのだ。

 さらに、現地の政情が不安定で、当局の調査も不十分なまま中断されているうえ、現地サイドの捜査協力が得られるとは考えにくい状況だからだ。

 タイで不正受注したという高原容疑者の供述を裏付ける証拠は乏しく、立件は困難視されているのが現状だ。

■なぜ日本に持ち込んだ?

 もうひとつ、大きなナゾがある。

 外国での受注工作に使われるはずの裏金の一部が、会社上層部の指示で国内に持ち込まれたのはなぜなのか−という疑問だ。実は、今後の捜査の焦点は、ここにありそうなのだ。

 西松の裏金は海外の受注工作に利用されると同時に、国内でも何らかの「工作」に充てられていた可能性があるのだ。高原容疑者の弁護人によると、高原容疑者は会社の指示で日本に持ち帰った裏金の一部を、「上層部に渡した」と説明しているからだ。

 検察OBはこうみている。

 「特捜部が注目しているのは、国内に持ち込まれた裏金が政界に流れていないかどうか、だろう」

 民間の信用調査機関によると、同社は明治7年の創業で、設立は昭和12年。主に大型土木工事を手がけている。

 従業員数約3600人、資本金235億円余。総売上高4000億円(平成20年3月期)の西松建設は、平成5〜6年のゼネコン汚職事件の際、仙台市長などへの贈賄罪で副社長が検察に摘発された過去がある。

 談合との関係も深い。かつて関西の談合組織を支配し、「ドン」とも呼ばれた故平島栄氏が同社の相談役を務め、和歌山県発注の下水道工事談合事件(平成18年)でも検察の捜索を受けた。

 「談合の背後に政治家や首長の『天の声』があったケースは、これまでいくつも明らかになっている。政治への資金提供と談合はコインの表裏のようなもの。談合の疑惑がつきまとうゼネコンの裏金が、政界に流れた可能性は否定できないだろう」

 検察幹部はこう話すのだが、それが“憶測”ではなく“事実”としてあぶり出されるまでには、まだ時間がかかりそうなのである。

最終更新:11月30日18時3分  

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