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岩国基地問題:1空爆の後ろ側 米世界戦略に直結 /2沖縄の教訓 米運用、効かぬ歯止め(中国新聞)
http://www.asyura2.com/08/senkyo46/msg/472.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 1 月 25 日 14:43:01: twUjz/PjYItws
 

1 空爆の後ろ側 米世界戦略に直結
   被爆地近く 重い意味


 在日米軍再編に伴い、米海兵隊岩国基地(岩国市)に空母艦載機部隊を移す計画の波紋が 広がっている。反対を続けた井原勝介前市長(57)は容認派が多数を占める市議会との対 立の末に辞職し、二月の市長選で民意が問われる。その一方で、受け皿となる沖合移設事業 の滑走路は新年度に完成予定だ。機数が倍増し、極東最大級に膨らむ基地は地域をどう変え るのか―。地域の視点から、日米安保体制を問う。(岩国基地取材班)

 アフガニスタンの首都カブール。少数民族のハザラ人女性オリファさん(39)は、米軍 の空爆で家族八人を一度に失って七回目の新年を迎えた。

 世界を震え上がらせた米中枢同時テロから一カ月後の二〇〇一年十月に始まった報復攻撃。 米軍機が落とした爆弾で自宅は四散し、じゅうたん職人の夫、もう一人の妻とその子五人、 オリファさんの子一人が犠牲になった。タリバンの拠点を精密誘導爆弾で攻撃した際の「誤 爆」とみられる。

 屋外にいたオリファさんと幼い六人の子は助かったが、窓もドアもない借家で食事もまま ならない生活へと一変。「空爆は脳裏に焼き付いている。私たちは戦争には加わっていない のに…」

 米国の戦争のかたちは9・11テロを境に変わった。アフガニスタン、続く〇三年のイラ ク戦争では、「テロとの戦い」を掲げて市街地の建物に「ピンポイント爆撃」を重ねた。そ の空爆戦略の先兵が艦載機部隊だ。

5000回を超す出撃

 厚木基地(神奈川県)から岩国へ五十九機が移転する艦載機部隊「第五空母航空団」。乗り込むのは横須賀基地(同)を母港とする空母キティホークだ。アフガニスタン空爆に加え、イラク戦争では五千回を超えて艦載機を出撃させた。

 昨年十一月、沖縄本島沖で展開した日米統合演習。最新鋭のFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機などが激しい離着艦訓練を展開した。「アジア太平洋地域の安全保障の重要性を理解しているからこそ、空母と艦載機部隊で八千五百人もの隊員が日本に行きたいと志願する。訓練のためにはアツギ、イワクニは不可欠」。艦載機を指揮するリチャード・レン少将の言葉に自国の世界戦略を支える自負がのぞく。

 世界に展開する空母を支える日本の基地。十二年前に大宅壮一ノンフィクション賞を受けたジャーナリスト吉田敏浩さん(50)=川崎市=は昨夏から、所属するアジアプレス・インターナショナル(東京)のサイトに厚木基地の艦載機の騒音被害のルポを掲載する。

 激しい訓練、騒音に苦しむ住民の素顔…。昨春の基地開放日に会ったパイロットはアフガニスタンやイラクに出撃した時の思いを明かした。「ただ仕事をするだけ。ほかのことは考えない」。空からスイッチを押すだけで地上の悲惨な被害が実感できない戦争に、厚木基地の滑走路がつながっていることを実感した。

やりの先の役割

 空爆の歴史を追う吉田さんは「近海に空母を出動させ、言うことをきかなければ空爆する。艦載機はまさにアメリカ外交の『やりの先』だ」とみる。艦載機部隊の移転先の岩国基地は被爆地・広島から三十キロ余り。原爆という二十世紀最大の空爆の痛みを知る都市の近くに現代の空爆の最前線を支える機能が移る意味を、吉田さんは問い掛ける。

 空爆を受けたオリファさんは、女性の自立を進める日本の「アフガン難民を支える会」の支援で裁縫教室を始め、ようやく生活を立て直した。アフガニスタンでは今も空爆が続き、家族を奪った米国への憤りは消えない。「日本政府は米国の手助けではなく、アフガンの貧しい人たちを救ってほしい」と願う。

 広島大大学院国際協力研究科で学ぶアフガニスタン人留学生シャムスル・ハディさん(23)=東広島市=も、カブールの自宅で空爆を体験した。被爆地の復興の理念を学ぼうと留学した昨年四月以降、原爆資料館(広島市中区)に十回以上足を運んだ。「アフガン空爆は原爆と同じ無差別攻撃だったと思う。だから、留学先の近くに艦載機部隊が来るのは何とも複雑な気持ち」

 米軍再編の完了予定は一四年。その時から好むと好まざるとにかかわらず、基地と地域は「空爆のスイッチ」の後ろ側に立つ。

(写真説明)空母キティホークの甲板上から発進する艦載機。超大国の軍事戦略を最前線で担う=昨年11月、沖縄本島沖の太平洋(撮影・坂田一浩)
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010101.html

2 沖縄の教訓 米運用、効かぬ歯止め
    国に頼らず騒音調査を

 十二月三日正午、沖縄県の米空軍嘉手納基地を見下ろす「安保の丘」(嘉手納町)に住民ら約百人が集まった。「訓練をやめろ」。FA18ホーネット戦闘攻撃機が次々と飛び立ち、爆音が抗議の声を覆った。

岩国からも参加

 日本では初めての空軍と米海兵隊の統合訓練の初日。岩国基地(岩国市)からも約三十機が飛来し、嘉手納所属の空中給油機などと離着陸を重ねた。

 「次々と新たな訓練が強行される」。抗議に加わった又吉清喜さん(64)が漏らした。「岩国も機能が増え、使いやすくなれば米軍がどんどん無理をしてくるかもしれない。この嘉手納と同じ道をたどりはしないか」]

 又吉さんは五千五百人以上が飛行差し止めや賠償を求める「新嘉手納爆音訴訟」の原告団副会長。一昨年、空母艦載機部隊移転が決まった岩国基地を視察した。沖合移設で基地が拡大され、嘉手納を上回る百三十機の常駐機数へ膨らむ岩国の近未来を実感した。

 嘉手納基地は海外の基地の中でも米国が絶対に手放さないとされる最重要拠点だ。面積は羽田空港の二倍で、四千メートル級滑走路が二本。F15戦闘機を主力とする約百機が所属し、他の基地との中継地の役割も果たす。負担軽減を掲げる在日米軍再編でも、一部の訓練が本土の基地に移るだけだ。

 町域の83%を基地が占める嘉手納町の渡嘉敷通晃基地渉外課長(57)は、町役場で頭を抱えていた。「基地の使い方が乱暴すぎる」という地元の三市町の抗議が今回も受け入れられなかったからだ。「長年、米軍が無理を通してきただけに使い勝手がいいんでしょう」

健康被害を立証

 歯止めがないわけではない。日米安保を揺るがした少女暴行事件が起きた翌年の一九九六年、日米政府は午後十時から午前六時までの飛行を「必要最小限」にするなどの協定を結んだ。

 ところが、嘉手納町の二〇〇六年度の調査では、この時間帯の騒音は年間三千九百回以上。運用次第で地域への影響はいくらでも拡大する―。それが嘉手納の現実だ。

 関西空港の環境アセスも手がけた航空機騒音の第一人者、山本剛夫京都大名誉教授(82)=京都府=はそんな嘉手納の騒音被害と向き合ってきた。九九年に沖縄県が出した嘉手納、普天間両基地周辺住民の健康影響調査の報告書。山本さんは会長としてまとめた。

 「高血圧、低出生体重児(未熟児)、心身症、難聴の影響が出るのは明らか」。防音工事の対象となるWECPNL(うるささ指数)七五以上の地域の健康被害を科学的に立証、嘉手納の訴訟の理論的支柱にもなった。

変わる飛行経路

 山本さんは今、岩国に目を向けている。市中心部で幼少期を過ごし、旧制岩国中(現岩国高)時代に旧海軍時代の基地の滑走路補修工事にも動員された経験がある。

 米軍再編後の岩国基地の「標準的な飛行経路」を基にした国の騒音予測図。だが、「住民に説明できる材料とは認められない」と感じる。状況次第で米軍機の飛行経路が変わり、騒音範囲がアメーバのように自在に広がることは長年の経験からよく知っている。

 岩国で騒音の影響調査が十分でないことがもどかしい。国に頼らず調査してデータを積み重ね、国の言い分が正しいか検証する―。沖縄県が地道に続けている取り組みは岩国もできると考える。

 「できれば力を貸したい」。山本さんは騒音研究の後輩たちがいる京都大の研究チームとして、岩国で調査に協力できればと思い始めた。

(写真説明)嘉手納基地で統合訓練に参加した空中給油機などの米軍機。基地のそばに市街地が迫る(12月4日、沖縄県嘉手納町)
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010301.html

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