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原田武夫 「オバマ躍進の影に見え隠れするもの」IT2.0時代における“スモール・アンド・リッチ・ビジネス”に関する覚え書
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投稿者 新世紀人 日時 2008 年 3 月 16 日 16:29:17: uj2zhYZWUUp16
 

http://blog.goo.ne.jp/shiome/c/ff522164af049621d6ab6ec1a6ed3ddf

IT2.0時代における“スモール・アンド・リッチ・ビジネス”に関する覚え書き

BREAKING NEWSコラム / 2008-03-12 16:55:51

オバマ躍進の影に見え隠れするもの

米国大統領選に向けた民主党予備選でバラク・オバマ候補(上院議員)の躍進が止まらない。11日に行われた米国南部・ミシシッピ州でもヒラリー・クリントン候補(上院議員)に勝利。4月22日に行われる「ペンシルヴァニアでの決戦」に向けて大手をかける形となっている。


こうした情勢を受けて、米国大統領選を巡り日本では大手メディア、そしてそこに出てくる「有識者」たちがオバマ候補の勝利をすでに確信しているかのような発言を繰り返している。特に目につくのが「ヒラリー=保守、オバマ=革新」という単純な構図を念頭においた発言だ。もっともそうした勧善懲悪の図を頭に刷り込んでしまったのは「有識者」たちだけではないようで、私のところには経済同友会の某幹部からもメールにて同様の「熱狂的オバマ支持」なるメールが届くようにすらなっている。

選挙はフタをあけてみないと分からないものであり、「そのようなもの」であるとの留保をつけてあえて申し上げおきたいが、これまでの情報収集と分析に基づくIISIAのスタンスはこれと大きく異なっている。情勢を見る限り、この点に関する発言で当該人物の「インテリジェンス能力」、いや、そのレベルが最終的には計られる結果となるようである。果たしてどういう結末となるか、今から非常に楽しみである(ちなみに拙著最新刊「北朝鮮VS.アメリカ」(ちくま新書)で冒頭より研究素材とさせていただいた“小説”の著者であり、高名なジャーナリスト氏はIISIAの分析予測と同趣旨の結論を周囲に漏らしているとの情報に接している。この点について、深く”敬意”を表する次第だ。)。

さて。
結果の正しさはともあれ、今回の米国大統領選(予備選)を見ていて大変気になることがある。それはオバマ候補のWEB選挙戦略が際立って“成功”しているということである。WEB2.0というスローガンが叫ばれて久しいが、オバマ陣営が当初よりyoutubeを用いた若年層へのアウトリーチに大変意を用い、実際それに成功していることは、これまで日本でも何度か報じられてきた。対するヒラリー・クリントン陣営はというと、目立ったネタが取り上げられることはなく、むしろWEB戦略上の守旧性が暗に広められるような結果となっている。

もっとも、問題は果たして選挙参謀たちの「巧拙」にあるのかという点にある。この点について考えるべき際、まずもって参照すべきなのは“オバマは一体誰からカネ(選挙資金)をもらっているのか”を示すデータであると考える。

米国大統領選挙に関する献金動向を公表しているCenter for Responsive PoliticsのHPによれば、2008年2月現在でインターネット産業関係者による両候補への献金額は次のとおりである:

●バラク・オバマ候補:1,686,155米ドル
●ヒラリー・クリントン候補:1,464,825米ドル

ここに来てややヒラリー・クリントン候補が追い上げてきた感があるが、去る1月までのデータではオバマ候補への献金額がこのセクターではダントツに多かったのである。

このことは、他の多くのセクターにおいてヒラリー・クリントン候補への献金額が優勢である場合が多いことを併せ考えると、大変気になるところだ。そして、「カネを出すからには口も出す」というのが古今東西、選挙における鉄則である。そのことを考えれば、オバマ候補はインターネット産業のためにこれを代表して「インターネット選挙」を展開しているというニュアンスは否めないのではなかろうかという分析を導き出すことが出来よう。

ポイントは、「正大統領」であれ、「副大統領」であれ、ホワイトハウス入りした場合のオバマ候補は当然、政治献金をめぐるこうした“しがらみ”をバックにそこでの政治活動を展開するだろうということである。上記のような事情を見る限り、そこで「インターネット」が前面に押し出されてくることはほぼ間違いない。そしてその結果、人々はまたインターネットへとより強くコミットするようになり、オバマ候補を支持した米系インターネット企業群の懐が豊かになっていく。――――それではそこで展開される政策とは、一体どのようなものになるのだろうか?

「全ての“秘密”をインターネット上に」という潮流と日本のメディア界

紙幅の都合もあるので、ここでは詳細は差し控えたいが、これまで行ってきた情報収集・分析に基づき、IISIAとしてはホワイトハウス入りした暁にオバマ候補の下、強力に展開されていくであろうインターネット政策を次のようにイメージしている:

●インターネットについてはほぼその「インフラストラクチャー」が整備されてきたものの、とりわけ産業界を中心に“インターネットは労働生産性を上げるどころか、むしろ下げたのではないか”という疑念が高まりつつある(ITコンサルティング業界はだからこそ日米を問わず、非常に苦しい状況にある)。そうした状況を打開するためには、“とにかくインターネット上でほとんど全ての情報を探すことができる”というパーセプションを流布させるのと同時に、実態としてそのような現象が発生するように米国が率先して従来の極秘情報をインターネット上で開示していくという動きに出る。

●オバマ候補がブッシュ政権によるイラク戦争に対する批判を強め、ブッシュ政権以前の国家機密を徐々に開示していく方向を既に示していることはこうした文脈の中でとらえるべきである。つまり、既にインフラは整ったITについて「リッチ・コンテンツ」を提供するための情報開示ポリシーを選好する可能性が高いと見るべきであり、こうした動きは次期政権全体、さらにはそれに対抗する各種勢力へも相互(反発)作用を生み、相乗効果としてWEB全体の「リッチ・コンテンツ」化が進むことになる。

●その一方で今や「リッチ・コンテンツ」を抱えることになるインターネットが競合相手として撃滅しようとするはずなのが既存のメディアおよびその周辺にある産業群(特に広告代理業界)である。そのため、影に日向に既存メディアの排撃を目標とした手段が講じられていくのであって、その方向性は大きくいって次の二つとなろう。

(1)インターネットにおける「リッチ・コンテンツ」に即時性を付与する
 国家機密を次々に開示し、それによってインターネット上のコンテンツを「リッチ化」したところで、そこに即時性がなければ多くの人は寄ってこない。しかし、既存メディアは典型的には「取材する記者⇒担当デスク⇒編集権限者⇒媒体の技術的管理者⇒消費者」という階層構造をどうしても経るのに対し、インターネットは第一次的にWEBへ当該情報をアップする人物さえ急げば、それで即時性が確保できるという利点がある。そのため、官民を問わず「ネットへのアップは即時に行う」とのモラル、(法)制度、あるいはトレンドを巻き起こすことで、既存メディアが抱えている階層構造という致命的欠陥を突くことができる。

(2)既存メディアが抱える歴史的な資本構成を大幅に変動させる

 かつてGHQが日本のメディアを強制的に再編成させたように(参考:「「日本封じ込め」の時代」(PHP新書)拙著)、世界各国における既存メディアの構造、とりわけその資本構成には高度に政治的かつ歴史的な経緯がある。たとえば日本でここ数年間騒がれてきた大手テレビ局の買収騒動(ライブドアVS.フジテレビ、楽天VS.TBS)が結果として頓挫したのは、これらテレビ局が抱える政治的・歴史的経緯をバックとした資本構成の変更に米国自身が同意してこなかったためである(そのため、ウォールストリートであってもそうした買収のためのファンドにファイナンスが出来なかった)。
 したがって逆にいえば、米国が国家として高度に政治的な判断の下、こうした経緯を抱える資本構成の変動にゴーサインを出すこととなれば、世界各国の既存メディアは文字通り「百家争鳴」、大変な騒ぎとなる。日本における具体的な流れとして例を挙げるならば:

・米国の民主党系ファンドが在阪大手テレビ局の株式をかねてより買い集めてきている。これに米系大手投資銀行が追随する展開となっている。

・日本を代表する新聞の多くが、2010年を目処に「赤字転落」の公開を余儀なくされるとの社内情報が既に出回っている。

・2011年に日本では地上デジタル放送へと切り替わるが、これに伴い「実際の視聴率」があからさまになることとなり、放送事業外収入以上に広告収入に依存するビジネス・モデルを維持せざるをえなかったテレビ局がもはやこれに頼れなくなり、崩壊する(その仲介役として隠然たる力を持ってきた広告代理店についても右に同じである)。

・一方、出版業界でもWEBとの連動性が高い単行本をめぐるビジネス展開はいわば個人・企業の“名刺代わりとしての単行本”としての地位が維持され、クロスメディアの一つとして温存されるのに対し、WEBとの連動性が低い雑誌セクターはまたぞろ沈没していく。そのため、雑誌セクターに依存度が高い出版社から順番に経営統合、そしてマーケットからの資本調達を余儀なくされる事態へと突入していく(◎◎ホールディングスという形で出来上がった持ち株会社がさらなる買収の危機にさらされることはいうまでもない)。


IT2.0時代におけるビジネス・モデルとは?

以上のとおり、米国における民主党政権の成立と共に、私たちの世界はいわば「IT2.0」とでもいうべき時代へと突入する。ヒルズ族を生んだ2000年からのITバブルがインターネットのインフラストラクチャーをつくる役割を担う時代であり、言ってみれば「道路建設」の時代であったのに対し、「IT2.0の時代」とはそうやってできた立派な道路の上を走る“車”を選ぶ時代だということになるだろう。

IT2.0の時代とは、リッチ・コンテンツの時代である。多少の技術発展はあるだろうが、それよりもコンテンツに対しその作り手が流し込む情熱が問われる時代となるだろう。かつては新しい技術を少しでも早く導入すればそれにかけて課金できたWEB上のビジネス・モデルが次々に崩壊し、ブロードバンドやWEB2.0に典型的なツールを駆使しつつも、そこでまずは課金を行わず、無償提供でリッチ・コンテンツをクライアント(TO BE)に試させ、そこからむしろリアル・ワールドにおける接触へと誘導していくというビジネス・モデルが既に主流になりつつあるのはそのためである。

一方、リッチ・コンテンツとなったWEBの世界ではあるが、宿命的に抱える構造的な問題が無いわけではない。それは、現代人の忙しさが加速度的に高まりつつあるにもかかわらず、WEBには続々と即時性をもって重大コンテンツが(無償で)アップされるため、多くの人が結果として情報収集、そして分析、さらにはそれに伴う行動戦略の立案、実施というサイクルをギブ・アップしかねないという逆説的な状況の到来である。要するに、「忙しい。だからWEBは見ない」となりかねないのだ。――――だが、「情報」は必要である。どうすればよいのか?

IT2.0の時代においては、こうした問題状況を抜本的に解決することを仕事にするセクターが登場するであろう。すなわち、クライアントのためにまずはWEB上で無限に広がるサイトから有益なものを拾い出し、さらにはそこでアップされている情報を定点観測する中で取捨選択し、それが意味する内容を分析するというセクターである。ついでにいえば、消費者であるクライアントにとって「この情報に基づけば、このように行動すれば良いでしょう」という戦略・戦術上のアドバイスをしてくれればなおのこと嬉しいはずだ。

そしてこうした一連の作業に対し、クライアントである人々はますます対価を払うようになっていく。公開サイトとはいえ、どこにあるかをまず探し出し、しかも時に外国語であるその内容を適時的確に訳出した上でそれに基づく最適戦略を考えることは、いってみれば貴重な高級魚を遠洋まで採りにいき、しかもそれを一流の料理人の手で料理するというプロセスにも等しい。人は既に後者に対して高額を支払う以上、前者のビジネスにも相応の対価を支払うことは完全に“それもアリ”ということになるだろう。

このように既存メディアが崩壊し、いたずらにリッチ・コンテンツを抱えるにいたったWEBが織りなすIT2.0時代で登場する新しいビジネス・モデルは、高度に知的な産業である。これに従事する人材には、次のような能力が必要とされるはずだ:

●即時対応能力
●(英語のみならず、複数言語の)外国語能力
●(複雑な事柄であっても混乱せずに読み解くことのできる)卓越した理解力
●(金融資本主義化がインターネット化とコインの両面にあるため)金融資本主義への理解
●戦略構築能力
●(他者であるクライアントに対する)プレゼンテーション能力

残念ながら、こうした能力を持った人材を育成する場は日本のみならず、世界中にそれほど多くはない。そのため、これを兼ね備えた人材に対する需要は高まりこそすれど、供給が追いつかないという状況がしばらくは続くことになるであろう。

もっとも、これはこれで問題ではないのかもしれない。なぜならば、上記のようなIT2.0時代におけるビジネス・モデルとは、大量の設備投資を行い、そこに労働力を大量投入すれば良いというものではないからである。利潤率を上げるためであれば、基礎的なIT投資は行った上で、むしろ「高度な情報収集・分析能力を持った少数精鋭を集め、これを同じく高度なデリバー能力を持ったサポート・スタッフで支える」という体制を整えたほうが良いからである。その限りにおいてこのビジネス・モデルを実践するのは一般的にスモール(小規模)な事業体となろう。

また、意外に聞こえるかもしれないが、情報収集の後に行う分析は相応な客観性を結果において確保するということを前提にしつつも、一定程度、その方向性において“個性”があったほうがクライアントにとっては往々にして受け入れやすいものでもある。なぜなら、結局において「リッチ・コンテンツ」の海であるWEBの世界での情報収集の次に行う分析とは、未来予測であり、たぶんに分析者の個人的な価値観が反映されるべきものだからである。そして、最終的に導かれる分析とそれに基づいて提示された戦略とが、その後に生じる現実との間で一定程度合致することを確認する中でクライアントたちは、そこで前提とされている分析者の個人的な価値観に自己を投影し、より深い理解へと到達していくことになる。その結果、このスモール・ビジネスは相応な対価を伴うものとなるのであって、いわゆる「リッチ・ビジネス」となるのである(その反射的効果として、クライアント数も相対的に少なく(1000名以上、10000人以下のイメージ)、それでも濃いロイヤリティーの集団となる)。

・・・・以上、2009年以降に本格始動するIT2.0時代の骨子、そしてそこで登場するであろうスモール・アンド・リッチ・ビジネスのあり方について考察してみた。
何かと騒々しく、些事に時間をとられることの多い今日この頃であるが、今年はぜひ、このことについて実体験を交えつつ、まとまった形で論ずる機会を設けたいと考えている。

2008年3月12日
東京・国立市にて

原田武夫記す


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