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高橋洋一『さらば財務省』の裏読み試論 (ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 )
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 3 月 20 日 17:08:41: twUjz/PjYItws
 

http://amesei.exblog.jp/7525522/

2008年 03月 20日
高橋洋一『さらば財務省』の裏読み試論


 アルルの男・ヒロシです。

 藤巻健史の新刊を立ち読みしようと、書店を巡っていたら、この高橋洋一氏の新刊『さらば財務省』(講談社)を見つけたので購入。むろん、タイトルは天木直人氏の『さらば外務省』の続編を意識したものだが、内容は全然違う。

 高橋洋一氏の新刊については、詳しくは、別のところで書評したい。ただ、ここで言っておきたいのは、この本は非常に私の研究テーマからすると、非常におもしろい本、ということである。

 私のテーマとは、日本政治における「合理的選択論」的な政策形成誘導というものである。私は、専門的に公共選択を学んだわけではないが、「プリシンパル−エージェント理論」というものについては、一応知っている。プリンシパルの利益を実現するように、エージェントは動くのだが、そこには「情報の非対称性」という壁が存在している。

 一般には、例えば次のように説明されている。

  「個人や組織に対して、他者の為に行動するように動機(インセンティブ)を与えることに関わる問題。利害が一致しないとエージェンシー (代理人。仕事を引き受ける人。) はプリンシパル (依頼人。仕事を依頼する人。) が望んだように行動しない。受託者のプロセスが不明確な場合、または委託者が受託者を監視するコストが負担できない場合など情報が非対称な状況でエージェンシーコストが発生する」
(はてなダイアリー)


 よって、「プリンシパルは,自分の目的に合うように,エージェントの行動をコントロールする必要があり、プリンシパルは,エージェントに契約を提示して,エージェントの行動をコントロールする必要がある」ということになるわけだ。

  しかし、私はこの「PA理論」で重要なのは、往々にして、プリンシパルが情報の非対称性をエージェントに認識させず(=つまり、エージェントが、情報は対称的だと誤解するということ)に、欺いて、プリンシパルが合理的だと判断する政策アジェンダを実現させる際に利用することがある、という点だと思う。

 この実例を私は、前著の『ジャパン・ハンドラーズ』(日本文芸社)の中で取り上げたり、このブログで、竹中平蔵問題を取り扱うときに指摘してきた。

 この「PA理論」を意識しながら、高橋洋一氏の財務省暴露本を読むとこの本は非常におもしろい。
 
 アメリカ(あるいは欧米金融界)との関係では竹中平蔵は「プリンシパル・エージェント」の関係にある。(この点については本人は否定するだろうが、桜井充参議院議員の国会質問でのゼーリック書簡、ピーターソン国際経済研究所との関係を傍証としておきたい)

 ところが、高橋洋一氏との関係では、竹中平蔵は、プリンシパルの立場に立つのである。

 そのことに私が気が付いたのは、ところどころ、竹中平蔵が、高橋洋一氏を、誘導していることが高橋氏の記述によって、浮き彫りに為ってくるからである。

 例えば、郵政問題に関わる前、竹中平蔵が経済財政担当大臣に為ったときの会話。

 (引用開始)

 竹中さんが、「高橋君は、アメリカで何を勉強してきたの」と私に問うので答えると、「こういうのに使えるのかな、使えるんだったら手伝ってよ」。こんな感じで、なんとなく竹中さんの仕事を手伝うことになったのだ。

 最初は物価連動国債の導入など、単発の仕事の依頼だった。まさに手助けという感じである。

 竹中さんは不明点があると、私の職場によく電話をしてきた。最初の頃は、受話器をとった女子職員が「竹中です」という事を聞いて、「もしかして、あの竹中大臣ですか」と尋ねている。

『さらば、財務省!』(講談社)p80 
 (引用終わり) 

 それ以外にも、竹中平蔵は高橋氏に対して、プリンストン大学(これが上の引用文にある留学先)にいた、今のFRB議長のバーナンキの最新論文を貸してあげたりと、ずいぶんと面倒見がいい。これは師匠の加藤寛氏ゆずりかもしれない。

 そもそも竹中平蔵と高橋氏が知り合って、意気投合したのは、高橋氏が書いているように、互いに東大法学部に対する反発心があったからなのである。(p43)竹中平蔵は一橋大出身、高橋洋一氏は、東京大学だが理系の理学部数学科出身である。キャリア官僚のインナーサークルは、東大法学部だから、二人は「傍流」にいたわけである。

 しかも、この本を読んでいると感じられてきたのだが、高橋氏は理系がゆえに、政治的争いには無縁であるといしているが、そのために巧く派閥争い、省益争いに利用されていたようである。悪い言い方をすれば、「計算屋」である。だから、彼は、財投のリスク管理モデルを作るなどの、優秀な官僚でもあった。ただし、大きな制度設計はやっていないようだ。

 さらにいえば、竹中平蔵の参謀として、郵政民営化準備室に配属されたときなど、幾つかの場面で、高橋氏がやっているのは、ある程度の「変数」「枠組み」を竹中サイドから与えられて、その「宿題」に万全な答案を計算して出しているのではないかと思える部分もあった。

 アメリカのエリート政治経済学者に竹中平蔵が指導され、
 その竹中平蔵が、数理学系の高橋氏をコントロールする

 という、みごとなほどの「P−A関係」が出来上がっているように私には見えたのである。
 
 ただ、このような読み方をすることは、著者の高橋氏も担当編集者も臨んでいないことだし、思いも寄らない事だと思う。しかし、合理的選択論に従うと、そういう風に読めてしまうのである。

 あと、一つ、郵政の4分社化のモデルを竹中平蔵にアドバイスしたのは、高橋氏だけではなく、アメリカのコンサル会社のマッキンゼーだったということである。マッキンゼーはドイツポストの民営化も担当していたとも書かれている。(p117)これが、竹中平蔵の「琴線に触れた」(本文の表現)ようなのである。

(余談)

 ドイツポスト、マッキンゼーとくれば、数週間前にリヒテンシュタインの隠し口座問題で税務当局から追及を受け、ドイツ国内のさらし者になった、ドイツ・ポストCEOのクラウス・ツムヴィンケルの名前が思い出される。彼がひとり、マスコミの放火を浴びたのは、隠し口座の事実ももちろんだが、彼のドイツ財界での唯我独尊的な行動が問題視されていたからである。いわば、ツムヴィンケルを「血祭り」に上げて、他の隠し口座を持つドイツ財界関係者への警告としたのである。ツムヴィンケルは、日本でいえば、日本郵政の西川善文のようなポジションにある人であり、財界の重鎮であったわけだ。マッキンゼー出身の彼は、ドイツポストという植民地に居すわろうとして、マッカーサーのように振る舞ってしまったためにやられたのだろう。

 そういえば、マッキンゼーと言えば、以前、フルフォード氏のブログのコメント欄で、年次改革要望書の担当をしてきた、外務省経済局の課長補佐がマッキンゼーに転職したという未確認情報が書かれていた。外務省職員録を調べてみたが、該当する人物は見つからなかったのだが、この情報は一体何だったのだろう?

 そういえば、竹中平蔵は、最近、「東大の民営化」を講演で主張したそうだが、民営化って何だ?株式上場でもするのか?意味不明でした。結局、竹中さんという人は「東大法学部エリートに対する怨念!」が原動力なのかもしれないですね。


(Klaus Zumwinkelの自宅前に待ちかまえていたドイツ報道各社のカメラ。ツムヴィンケルは、一番左の人物)

Zumwinkel quits amid tax-dodge probe
By Gerrit Wiesmann and Richard Milne in Frankfurt and Hugh Williamson in Berlin
Published: February 15 2008 11:22 | Last updated: February 15 2008 22:54
http://www.ft.com/cms/s/0/103d7108-dbb6-11dc-bc82-0000779fd2ac.html

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