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直接雇用にすると、不当労働行為に対する責任が事業者に発生する。派遣社員を利用した場合には、派遣業者に責任を転嫁できる。
http://www.asyura2.com/08/senkyo51/msg/236.html
投稿者 TORA 日時 2008 年 6 月 16 日 15:00:57: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu170.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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直接雇用にすると、不当労働行為に対する責任が事業者に発生する。
しかし、派遣社員を利用した場合には、派遣業者に責任を転嫁できる。

2008年6月16日 月曜日

◆「派遣社員の問題の本質」について ニュースと感想  (6月15日)
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/main.htm

オタク殺人事件の犯人が派遣社員だった(しかも契約切れになると思い込んでいたらしい)ことが、殺人の動機の一員だったらしい。そのことから、「派遣社員制度をなんとかせよ」という見解が広がっている。しかし、これは妥当ではない。

 (1)
 「派遣はちっとも悪くはない」というフリードマンの理屈はおかしいし、経営者の理屈もおかしい。なかんずく、普通の正社員が言うのは、ちゃんちゃらおかしい。本当に彼らの見解が妥当であるのなら、彼ら自身が派遣社員になってしまえばいいのだ。たとえば、派遣社員としての社長。派遣社員としての新聞社員。派遣社員としての大学教授。  (^^);
 「労働市場は自由化するのが当然だ」なんて主張する大学教授がいたら、彼の身分をさっさと一年限定の任期制教授に買えてしまうべし。ついでに、身分を「派遣教授」にしてしまう。 (^^);
( ※ 「社長の派遣は? 派遣社長? そんなのあるの?」という質問には、「経営コンサルタント会社が送ってくれる」と答えよう。マッキンゼーのような会社が、中小企業向けに社長を派遣してくれたりする。マッキンゼーに支払われる金はべらぼうになるが、派遣社長が受け取る金はあまり高くない。これも似てますね。  (^^); )

 (2)
 「派遣社員の賃金が正社員の社員と同じでないのは、日本ぐらいのものだ。他の先進国では『同一労働・同一賃金』が実現している。だから、そうするべし」
 という見解もある。それはそれでもっともなのだが、日本では「終身雇用制・年功給」というのがあって、「職務給」とは違うから、ちょっと微妙である。
 そもそも、こういうふうに「公定賃金」ふうの制度にするのがいいのかどうかも、微妙である。
 ま、そういうふうにして、悪いことだとは言えないが、問題の根源がそれだとは思えませんね。なぜなら、次のようになりかねないからだ。
 「正社員の賃金を派遣社員に賃下げする」
 こうなる可能性は、非常に高い。「派遣社員が犠牲になっているから、正社員は人並みの生活が送れる」という面がある。「同一賃金」にすれば、「派遣社員が正社員並みになる」と思うのは、早計であろう。

 (3)
 実は、派遣そのものは、「低賃金」を意味しない。実際、バブルのころには、季節工は正社員よりも高所得だった。派遣社員も同様の傾向にあるだろう。それが意味するのは、こうだ。
 「派遣社員は、需給の状況を、鋭敏に繁栄する」
 比喩的に言えば、寿司の「時価」みたいなものだ。もっと正確に言えば、石油の「スポット相場」(その時点での現物市場の相場)みたいなものだ。長期契約の石油は固定されているが、スポット相場の価格は需給を反映して、急上昇したり、急下落したりする。
 派遣社員も同様だ。好景気のときには賃金が上がるし、景気低迷のときには賃金が下がる。それだけのことだ。

 (4)
 以上のすべてを勘案すれば、結論は明らかだ。
 「マクロ政策によって、景気全体を好況にすること」
 本質的に言おう。日本全体では、不況によって、生産効率が落ちている。(稼働率の低迷などで生産効率が悪化する。)
 ここでは、企業に赤字が生じる。その赤字を、誰が負担するか? 
  ・ 企業が負担する。(最初はそうだった。企業の決算は赤字。)
  ・ 中高年が負担する。(次はそうだった。中高年が次々と解雇された。)
  ・ 若者が負担する。(その次はそうだった。中高年の後釜で派遣社員で低賃金。)
  ・ 正社員が負担する。(やがてそうなるかもしれない。全社員の賃下げ。)

 ここまで考えればわかるだろう。問題の解決は、「誰が赤字を負担するか」ということではない。企業か、中高年か、若者か、正社員か? そのいずれでもない。国全体の赤字そのものを解消することだ。「誰が赤字を負担するか」ということではなく、「赤字そのものをなくすこと」だ。
 こうして、「マクロ政策こそが正解だ」とわかる。

 結語。
 派遣社員の問題を解決するために、「派遣社会をなくせばいい」という発想は、根本的に狂っている。もっと根源を解決するべきだ。
 比喩的に言えば、「風邪を引いて病人になるのは、誰にするのが公正か?」と考えるのではなく、「誰も風邪を引かないようにするべきだ」と考えるべきだ。
 しかしながら、たいていの人は、そこに気がつかない。だから今も、「波形社員の待遇を改善せよ」なんてことばかり考えている。

[ 補説 ]
 派遣がはびこる理由については、別の面もある。
 そもそも、単純な派遣というものは、成立しがたい面がある。このことは、次のことからわかる。
 「派遣業者の意義は、ただの労働仲介である。そんなものは情報過剰の現在では、ほとんど意味がない。たとえば、an(元アルバイトニュース)のような雑誌や、ホームページなどで、アルバイトを募集すれば、いくらでも安価にアルバイトを雇用できる。この場合、直接雇用となるが、3割〜5割にもなる仲介料を派遣業者に払わないで済むから、(広告料を差し引いても)、大幅な労働コスト削減が可能だ。だから、本来、雇用主は暴利を得る派遣業者などを利用するはずがない」
 これが原則である。また、この原則を信じた経済学者が、「派遣業者の仲介料は市場原理で極小化されて、せいぜい労働管理コストとしての1割ぐらいにしかならないだろう」という見込みを出すことになる。

 しかるに現実には、そうはならない。3割〜5割にもなる仲介料を派遣業者が受け取る。では、なぜか? 次のことがあるからだ。
 「直接雇用にすると、不当労働行為に対する責任が事業者に発生する。違法な危険な行為をさせて損害が発生した場合、事業者がその責任を負担しなくてはならない。しかし、派遣社員を利用した場合には、派遣業者に責任を転嫁できる。その後、事故や怪我が発生したら、労災に回すので、事業者も派遣業者も負担を免れる」
 この本質は「リスクを自分で負担しないこと」である。つまり、「リスクを国民全体に転嫁すること」である。
 具体的な事例で示そう。旋盤工場で旋盤を動かしていたとする。ただし機械の操作で指を切る恐れもある。正社員を雇用していた場合には、指を切らないように、いろいろと安全面で管理する必要がある。アルバイトでも、同様だ。能率が低いくせに怪我をする危険があるから、下手なアルバイトを雇うわけには行かない。しかし、派遣なら別だ。払う金はアルバイトよりも少し高くなる。しかし、責任は派遣業者に移るから、派遣業者に発注する。その後、実際に指を切ってしまい、指をなくす派遣労働者も出るが、事業主は知ったこっちゃない。派遣業者の責任にする。派遣業者は労災でまかなう。……こういう結果になることがわかっているから、事業主は安全対策に徹底的に手抜きをして、事故が続発するような危険な環境を維持し、その分、コストを下げることができる。
 これは別に、架空の例というわけでもない。「危険な環境で衣服がボロボロになった例」や、「指が怪我をしても治療を受けられなかった例」が、報道されている。(朝日・朝刊・派遣特集 2008-06-12〜13 )
 要するに、このことは、「リスクを国民全体に移転すること」であるが、その本質は、「事業主と派遣業者がグルになって、他者の富を奪うこと」である。そして、誰が奪われるかというと、危険にさらされる派遣社員と、リスク負担を転嫁される国民全体だ。この両者が損をすることで、事業主と派遣業者が利益を得ることができる。
 これは「一部の弱者と国民全体から富を盗むこと」に相当する。しかも、合法的だ。(悪法もまた法なり。)
 要するに、派遣がはびこることの理由は、「合法的な泥棒」である。

 ただし、こういう悪党は、本来は淘汰されるべきものだ。なのに、なぜ、悪党が大手を振ってまかり通るのか? 法律のせいか? そのせいでもあるが、根源は、次のことだ。
 「労働市場における供給過剰」
 つまり、労働供給(労働者)があまりにも過剰だからだ。その理由は、こうだ。
 「労働市場における需要不足」
 つまり、景気低迷により、労働需要が激減している。労働者の総数は 昔よりも減っているのに、労働需要が大幅に減少しているのだ。……このせいで、結果的に、需給は「供給過剰・需要不足」となる。
 かくて、仕事先を見つけなくてはならない労働者は、劣悪だとわかっていても、そういう劣悪な仕事先でイヤイヤながら勤務しなくてはならない。なぜなら、そこをやめても、もっといいところなどはないからだ。(あったとしても、人気殺到で、すぐに埋まってしまう。)

 ついでに一言。物事の根源は、どこにあるか? それは、「市場原理」という発想そのものにある。「市場原理」という概念そのものは成立するだろうが、「市場原理ですべて片付く」という「市場原理主義」は成立しない。なぜなら、次のことがあるからだ。
 「景気の悪化したときには、すべてが劣者となる。劣者だらけのところでは、優勝劣敗などはありえない」(拡大するべき優者がいないから。)
 このことは労働市場の事業者についても成立する。「劣悪な事業者は労働者に見放されるので、劣悪な事業者は淘汰されてしまう」と言うことは、本来ならば成立する。しかし、景気低迷時には、成立しない。なぜなら、「まともな労働環境を提供する事業者などはない」からだ。たとえば、莫大な利益を吐き出す超優良企業のキヤノンでさえ、偽装請負をするほどだ。他は、推して知るべし。(トヨタだって、ひどい労働環境にあることが知られている。)

 結語。
 地獄のなかでどうあがこうと、地獄は地獄だ。個人に解決できるとしたら、良心を捨ててひどい鬼になり、他の鬼の血を吸い尽くすことだけだ。吸血鬼のように。……だから、国全体がなすべきことは、「みなさん努力しましょう」と言って、血の吸い尽くしあいを推奨することではなくて、地獄という状況そのものを解決することだ。


(私のコメント)
バブル崩壊に伴う財政赤字などの様々な問題は、景気を回復させないと出来ないだろうと「株式日記」では書いて来ましたが、財務省は増税による財政再建を目指している。しかし増税が消費に回る分を減らしてしまうから、消費が停滞して税収はかえって減ってしまって消費不況を拡大してしまっている。

アメリカのようにITバブルが終わったら住宅バブルにバトンを渡して、住宅バブルが終わったら石油穀物バブルを発生させて、バブルの軟着陸を目指していますが、政府日銀は一気に潰してしまったから15年にわたる泥沼から抜け出せなくなってしまった。企業も生き残りをかけてなりふり構わぬリストラを行なっている。

小泉首相は青木建設が倒産した時に「構造改革が進んでいる」と発言したように、企業そのものを潰す事を目指した狂気の総理大臣だった。竹中チームの木村剛は「30社リスト」を作って30社を潰す事を目指したようだ。潰れて二束三文になった不良債権をハゲタカが只同然で買いあさって、新生銀行のように再上場させれば数千億円単位でハゲタカファンドは大儲けができる。

それくらい日本企業は狂気の総理大臣によって倒産寸前にまで負い込められて、なりふり構わぬリストラを迫られた。しかし日本企業のトップは年功序列でなったようなサラリーマン社長だからトップダウンのリストラなど出来るわけが無く、決算発表を誤魔化すような備綻策で乗り切るしかなかった。

アメリカの企業トップのように海外から数兆円単位の資金で増資を行なうなどのダイナミックな経営改善などサラリーマン社長では無理だろう。それで小泉総理に泣きついて2004年に製造業にも派遣労働が認められるようになり企業業績は回復するようになった。恒久減税も個人は廃止されたのに法人の減税はそのままだ。

このように日本企業は正規雇用から非正規雇用に切り替えて人件費を半減させて企業業績を上げて政府は景気は回復したと発表しているが、労働者の賃金は年々減ってしまっている。多くが新規採用をストップして補充は非正規雇用で賄っている。だから25歳までの非正規雇用率は50%以上だ。

いわば国民の犠牲の下でバブル崩壊の不況に耐えているのが現実であり、トヨタやキヤノンの好業績は非正規従業員の犠牲の上に立っている。昨日の株式日記では日本の人材派遣会社のピンはね率は40%と書きましたが、なぜ40%のピンはね料金まで払って人材派遣会社を利用するのだろうか?

南堂氏のブログによれば不当労働行為の責任逃れ料らしい。関東自動車で問題社員が出たとしてもそれは日研総業の社員であり、責任は人材派遣会社にあると言い逃れできる。派遣先の労働条件が不当なものであっても人材派遣会社は下請け会社みたいなものだから派遣社員を保護しない。

銀行などにおいてもグループで人材派遣会社を作り、そこから社員を補充しているようだ。だから最近の銀行の窓口は若い女子社員が少なくなった。デパートやスーパーもみんな同じだろう。たとえ正社員であってもマクドナルドの店長のように管理職とみなして残業代を払わないなどといったこともあるようですが、若年労働者が悲惨な目にあっている。

南堂氏のブログに書いてあるように、日本全体が不況な時にだれが赤字を負担するかというと四段階あって、まず企業が赤字を出し、赤字が長引くと中高年のリストラが始まり、さらに長引くと新規採用をストップして非正規雇用に切り替える。やがては残った正社員の賃金カットが始まるのでしょう。

秋葉原の無差別殺人事件などで派遣社員の問題が国会でも討議されるようになれば、同一労働同一賃金ということになるのだろう。そうなると派遣社員が正社員並みの賃金がもらえるのではなくて、正社員が派遣並みの賃金にカットされることになるだろう。

問題なのは日本のマクロ経済が一向に良くならないからですが、日銀のダム理論によれば優良国際企業の業績がよくなれば関連会社の業績も上がり、賃金の上昇が広がっていくはずですが、それが広がらない。株主配当や役員賞与などに行ってしまう。景気が良くなっていないから雇用も回復していない。失業率が減ったと言っても派遣などの非正規雇用が増えているだけで意味がない。

日本経済の90年代からの長期の低迷は中国などの超低賃金との競争に晒されたためですが、ようやく中国経済にも綻びがあちこちに出始めてきた。無尽蔵と言われた労働力も超低賃金では生活できなくなりコスト上昇でベトナムのほうが安くなった。水も電力も問題が多発しており、中国から引き上げようと思ってもままならず夜逃げ同然で逃げ出す韓国企業もたくさんある。

だから最近では外国人労働者を日本に輸入しようと言う動きが出始めてきている。今でも企業研修とか日系人労働者と言う事で認められているが、国際的な人材派遣会社も出来て、インドネシアなどから労働者が派遣されてきている。企業にとっては従業員は日本人だろうが外人だろうがかまわないのであり、中川秀直元幹事長は1000万人の移民を受け入れようとしている。

これでは派遣労働問題は一向に解決せず、企業は従業員の低賃金労働で経営を乗り切ろうとしている。つまり日本人の賃金水準は中国やインド並みにまで下げていって、儲かるのは企業だけということになるだろう。これがグローバリズムの正体であり、10日の株式日記で書いたように、世界的に支配層と被支配層に分かれて、国内に植民地が出来て、奴隷の子は奴隷階級から抜け出せなくなる時代がやってくる。


自殺から無差別殺人に進化してきた。やがては政財界へのテロにつながる。
これが小泉構造改革の歪みなのだ。(ナイフを持った加藤容疑者FNNより)


 

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