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[民主主義の危機]日本に欠ける「アーカイブとフィッシュ・アイ・リアリズム」重視の視点
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投稿者 鷹眼乃見物 日時 2008 年 6 月 30 日 14:44:49: YqqS.BdzuYk56
 

[民主主義の危機]日本に欠ける「アーカイブとフィッシュ・アイ・リアリズム」重視の視点


<注記>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080630


円周魚眼レンズの風景
[f:id:toxandoria:20080630142122j:image]
ウイキメディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Fisheye_photo.jpg)より


我が国のアーカイヴの問題については、政府の「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の中間報告全文が6月21日に明らかになり、あの「経済財政諮問会議」(市場原理主義の巣窟と化している 大本営司令部)が発する「骨太の方針08」にも盛り込まれたと報じられており、今後も、その具体化への道筋を注目する必要があります。→  http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080621-OYT1T00415.htm


それによると、政治的な意思形成過程におけるやりとりに関する文書も最大限作成・保存するとして、政府の政策決定の透明性を確保するため途中経過も文書化し、それを保存する方針を掲げ具体的な方策の検討を求めているとしている点は評価できると思われます。


しかし、一方で何らかの形でアーカイヴに対する国の関与を強める(操作的関与の可能性を高める?)ことが検討されており要注意です。権力による「アーカイヴ」と「公正な捜査活動」へ の「政治的圧力」が強まるか、弱まるか、あるいは公正・中立が保たれるかは紙一重の問題と見なすべきであり、このような時にこそ重要なのが“政治権力に中立・公正を求める強固な国民の意思の存在”です。


フランス革命後に創設された「フランス国立中央文書館」の理念(下記●)を参考とすべき(その啓蒙主義的な理念は世界中の文書館法の中で現在も生きている) と思われるにもかかわらず、我が国では単に国の関与をより強める方向へ傾けようとする政治的意図の窺えることが懸念されます(参照、 http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050306)。無論、我が国の過半以上の一般国民とジャーナリズムが、このことについて問題意識を持つことができなければ、最早、どうしようもないということになりますが・・・。


●役所が作成した公的な文書に限らず、民間資料も保存・管理の対象とする(国または自治体は民間側からの積極的な寄贈・寄託を受け入れる)


●フランスの一般国民は、このように定義された「公文書」の保存・管理を国家(政府および地方自治体)に要求する権利を持つ ・・・逆に言えば、フランス国民は「公文書」の保存・管理に積極的に協力する責務がある。


それに、政府の「公文書管理のあり方等に関する有識者会議」の座長が尾崎護・元大蔵事務次官であることも気がかりな点です。なぜなら、財務省(旧大蔵省) が、重要文書(おそらく自らにとって都合が悪い)を本庁舎の中庭で燃やし処分していた(おそらく恣意的に)という“名高い話”が残っているからです。そう いえば、渦中の“居酒屋タクシー問題”も、この財務省が震源地であり、それもできればもみ消したかったはずです(関連で下記記事◆も参照乞う)。


◆2008-03-04付toxandoriaの日記/『心眼、アーキビズム、市民意識、ジャーナリズムの役割』についての考察、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080304


7月14日付けの人事発令で法務省が八木宏幸・東京地検特捜部長を福井地検検事正に移動させること(後任は佐久間達哉・東京地検総務部長)が“小さ くヒッソリ”と報じられています(2008.6.23付・時事通信、http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/20080623008362008、および3008.6.24付・日本経済新聞)。おそらく、これで“防衛疑獄事件の政界ルート捜査”は幕引き(無事に一巻の終わり)になると思われます。また、これに先立ち、下記▼のような「国民の政治参加の権利」を冒涜するような不可解な事件も起こっています。


▼「自民党の農林部門担当・党政務調査会の職員が、企業献金を自分自身の個人口座に振り込ませるという不祥事が発生、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080528


やはり、この類の権力的な“幕引き”や“もみ消し”に一般国民が対抗できる(公正・中立な捜査を確保できる)とすれば、それは正しい意味でのアーカイヴの整備ということになります。ちなみに、この問題意識を主軸(権力による「アーカイブ」と「公正な捜査活動」への「政治的弾圧」がテーマ)にした作品が、下の記事★でご紹介した映画『幻影師アイゼンハイム』(公式HP→http://www.geneishi.jp/)です。


★2008-06-26付toxandoriaの日記/日本社会のバランサーを破壊した自公政権の重罪(シミュラク−ル化する日本の深層)、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080626


また、アメリカのウエブ・メディアでは下▼のような「ブッシュ政権についての検証」が行われています(この情報はluxemburgさんのブログ、http://luxemburg.blog112.fc2.com /blog-entry-76.htmlから入手)。例えば、日本のメディア界で、ブッシュ政権のピークにほぼ同期する「小泉劇場」について、ここまで真剣な検証報道が行われたことはないようです。その殆どは断片的にテレビのニュース映像で見たことがあるものばかりですが、このように適切に編集して見せられる と小泉劇場時代の日本政府の“錯誤ぶり、小泉政治の詐欺師ぶり”が透けて見えて恐ろしくなるはずです。


▼How did the U.S. government lead its people to war?  A Mechanism for War.


http://www.leadingtowar.com/


http://www.leadingtowar.com/mechanism_war.php


一方、2008.6.29にNHKの番組に出演した額賀財務相(元・防衛相)は、“社会保障費で日本経済は沈没するので、ドイツと同様に一律20%前後の消費税にすべきだ”との尤(もっと)もらしい論陣を張っていました(参照、http://www3.nhk.or.jp/news/k10015559311000.html#http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080629-00000032-jij-pol


しかし、「ドイツ憲法は国家財政が「国会中心財政主義」(総計予算主義)に徹することを明確に規定しており、「特別会計」の設置も原則として認めていない」ことなど、ドイツの徴税原則とその使われ方の現状(つまり、ドイツでは国民の目にハッキリ見える形で公正に税金が使われているという事実)を棚上げにしつつ、自らの再度の不祥事や無駄遣いの改善については殆ど触れず、一般国民に向かって、まるで脅しをかけるような発言をするのは怪しからぬことです。言い換えれば、この点もアーカイヴを重視する国民意識の有無にかかわることです。つまり、アーカイヴ意識が希薄な国民やジャーナリズムを政治権力は小バカにするのが世の常と見なすべきなのです(関連参照、下記▲)。


▲2008-05-24付toxandoriaの日記/“一院制”を持ち出し自らの「失政」を偽装する「小泉的なるもの」の不誠実、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080524


無論、「上で述べた“一連の流れ”(政治権力とアーカイブ的・捜査的役割を担うべき官僚組織(中立・公正を実現すべき職掌>)との力関係の変化)」と、この「財務省発言」などとの関係を“歴然たる証拠”もないのに“状況的材料”だけで軽々に結びつけて論ずることはできません。


しかし、懸念されるのは、メディア一般も一般国民も、このような論点が自分(個々の国民一人ひとり)と無関係だと思い込んでいる(情報操作的に思い込まされている)節があることです。そして、このあたりの「他人任せで暢気な日本国民の偏ったリアリズム意識」こそが日本の民主主義の進化を妨げ(それどころか、逆に劣化を促進しつつある!)、時の権力に暴政的で横柄・横暴な態度を許していることは間違いがなさそうです。ところで、この「偏ったリアリズム意識」について、もう少し詳しく述べると次のようになります。


考えてみれば、人間は二つの内面的機序のメカニズムをバランスさせて「現実認識」を行いつつ生命を維持し、日常生活を送っててきたと思われます。それは、「アフォーダンス型認識(喩えれば、フィッシュ・アイ・リアリズム(円周型魚眼リアリズム)) → 感覚器官を介して外界から直接的に情報を与えられることで認識できるリアリティ」と「デカルトト型(脳内表象操作型、記号操作型、 デジタル型)認識 → ヴァーチャル・リアリティへ進化する方向」の二つです。そして、実はこの考え方は、先端的な人工知能の研究分野へブレーク・スルー(飛躍的進歩)の視点を与えた新しい着眼でもあるのです。(アフォーダンスについての詳細は、下記■を参照乞う

■2007-05-10付toxandoriaの日記/改憲論に潜入するカルトの誘惑(3)、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070510


一つのリアリズムの方向性だけでは、いずれも単独で個体のエクリチュール(行動および認識内容の軌跡) を客観的に自覚できないと考えられるため、個体の軌跡の在るがままに放任すれば共存・協働・調和的な人間社会の維持は困難となります。つまり、そのようにして一つのリアリズム方向へのめり込むことが自由原理主義へ傾くということになるのかも知れません。従って、より重要なのは、これら「二つの方向性が異なるリアリズム感」をバランスさせることで客観性と総合的な現実認識が確保できる(=一般国民・市民の安定的な日常生活が確保できる)ということです(エクリチュールについての詳細は、下記★を参照乞う)。


★2008-05-01付toxandoriaの日記/【復刻版】『小泉ポルノ劇場』が毒牙にかけた日本社会のエクリチュール、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080501


従っ て、「one of them」としての個々の人間が日常生活を送る社会空間のリアリズムを常に冷静かつ客観的に共有・認識するために必要となるのが、「アーカイヴ、ジャーナリズム、歴史教育」などであり、それらには「正義を保全する文化装置としての役割」があるはずです。つまり、民主的な国家における政府・行政の仕事の根本には、このような意味での総合的な現実認識の在り方について、これら「二つのリアリズムの方向性の間で発生する過剰な揺らぎ」を抑制する役割が存在するはずです。


このようなリアリズム認識の観点からすると、多発し続ける連続通り魔などの「異常事件」、「腹黒き大物政治家絡みの疑獄事件」、「高級公務員の天下り意識(神懸かるまで肥大化したという意味での特権的な地上(民間)への降臨意識)=固定観念化した特権・エリート意識」、あるいは「世襲・寄生ボンクラ政治家らの利権・特権階級意識」などには明らかな共通点が隠れています。それは、これらの事件の当事者たちが「デカルト型(脳内表象操作型、記号操作型、デジタル型)認識 → ヴァーチャルリアリティへ進化する方向」のリアリズム世界へ過剰に“のめり込み過ぎている”のではないか、ということです。


このような観点からすれば、ゲーム脳化した通り魔事件等の犯人、腹黒い大物政治家、世襲・寄生型ボンクラ政治家、特権的エリート(天下りの降臨)意識に嵌った中央省庁の高級官僚、あるいは過酷な派遣・外注型の臨時雇用形態に安住した経営者などのリアリズム認識は、明らかにバランスが崩れています。つまり、彼らのリアリズム感(現実認識能力)は「デカルト型(脳内表象操作型、記号操作型、デジタル型)認識 → ヴァーチャルリアリティへ進化する方向」のリアリズム世界に過剰に取り込まれており、本来であれば生身の人間(一般国民、市民)の「生き様」を認識すべき彼らのインターフェース装置は壊れています。


かくして、そこで続々とオゾマしく出現しつつあるのが、国民・市民生活の実情(人権、社会権、労働権、日常生活権、食糧主権)と現実的な実体経済や労働現場のあり方などを無視した「政治家・高級官僚らによる税金(公金)の浪費・着服・横領」、「非人道的な労働・福祉・医療行政」、「官民の別を問わず際限なく繰り返される偽装工作社会=偽装政治、偽装行政、偽装経営、偽装労働契約、偽装人生」ということになります。当然ながら、既述の額賀財務相(元・防衛相)の“社会保障費で日本経済は沈没するので、ドイツと同様に一律20%前後の消費税にすべきだ”との尤(もっと)もらしい発言(一般国民への恫喝?)も、この視点から見れば、そのインタ−フェースが壊れたことによる錯乱かも知れません。


ところで(先にも触れたことですが・・・)、リアリズムについてのアフォーダンスの考え方は先端的な人工知能研究分野へ「ブレーク・スルーの視点」を与えた新しい着眼でもあった訳です。しかし、元来、アフォーダンスの考え方は従来の人工知能研究の源流とされるデカルト的な考え方(絶対に疑問の余地がない個(自己)から科学的認識を基礎づけようとした)とは真っ向から対立するものです。


つまり、デカルトの立場では「我われ人間の外界認識能力は乏しく誤りやすいものなので見えるものをそのまま信用はできず、理性による推論の積み重ねで初めて正しい結論に到達すると考えます。たとえば、地球上から見てほぼ同じ大きさに見える太陽と月は幾何学的な知識によって異なる距離に位置するものであることが認識されます。しかし、問題はこの“理性による推論の積み重ね”のプロセスにあります。もし、そのプロセスに些かでも恣意的・作為的条件が入り込めば、その結果は科学的認識であることが保証されません。


そこで、我われ人間と外界とのインタ−フェース(人工知能)の研究領域では、これら二つのリアリズム認識の方向性が互いに補完し合うことの意義が漸く理解されるようになってきたのです。つまり、デカルト的リアリズムは、人間の感覚では直接的に捉えにくい世界の認識に適しており、アフォーダンス的リアリズムは、我われが日常生活で殆ど無意識に行っている行動での認識に適しているということになります。従って、我われが安全かつ安定的に日常生活を送るための環境を提供するのが政治の役割であると見なすならば、このような意味での総合的な現実認識の在り方について、これら「二つのリアリズムの方向性の間で発生する過剰な揺らぎ」を抑制するのが政治の重要な役割であるといえるはずです。


いずれにせよ、そこで先ず重要なのが、デカルト的リアリズム認識のプロセスにおいて正当な条件投入が保証できるアーカイヴ・システムの存在だということになります。この条件整備があってこそ、デカルト的リアリズムの認識機序の科学性が保証される訳です。しかしながら、生身の存在である我われ一般の国民・市民は、同時にフィッシュ・アイ・リアリズム(アフォーダンス的リアリズム)の中で日常を送る存在でもあるので、当然のこととして、これら「二つのリアリズムの方向性の間で発生する過剰な揺らぎ」を抑制することが保証されなければ生活の安全や安心が損なわれることになります。


従って、政治権力者、高級官僚あるいは企業経営者ら日本社会のエスタブリッシュメント層に属する人々が第一に心がけるべきことは、先ず自らが、この「二つのリアリズム」の平衡を保つことによって、普通の国民(勤労者・生活者ら)の日常生活の重み(現実的な総合的リアリズム)に理解を示しつつ、絶えず、適切にその理解が保持できるよう努力することです。それは、決して、ゲーム脳化した通り魔事件等の犯人らと同じ次元という意味での「デカルト的リアリズムの世界」(それは、必然的にヴァーチャル・リアリティへ限りなく接近する)、つまり米国流市場原理主義型の冷酷で非人間的な労働管理手法などに嵌りまくって(までして)“阿漕(アコギ)”な利益を上げることではないはずです。


また、我われは、この「二つのリアリズム」の平衡を保つ努力が、その実行レベルでは、まさに紙一重の問題であることも肝に銘ずるべきです。それは、我われ一般国民レベルから政治権力などに対する耐えざる監視の眼が必要だということでもあります。見方を変えれば、現代はグローバル市場原理主義の時代であるからこそ、各地域にあるものや各地域に住まう個人の日常生活・地域文化・地域経済などは、そこにあるものとしての、その個性や位相関係(生身の人間のフィッシュ・アイ・リアリズムが捉えた固有の外界情報)を絶対に破壊しないという強固な意志を持つことが重要になると思われます。


ちなみに、フィッシュ・アイ・リアリズムの観点から作られたユニークな「魚眼地図」(Fish-Eye)があるのでご案内しておきます。これは、名古屋工業大学(高橋直久・片山喜章研究室)がEmmaを利用しつつALPSLABと共同研究したものです。それは、一つの地図画面の中で、空間(道路)の連続性を保ったままで、利用者が注目する任意の場所を拡大し詳細表示することができる新たな地図表現技法です(情報源:http://www.alpslab.jp/2008/03/fisheye.html)。未だ日本地図だけですが、使う立場を考えた、とても使い勝手が良いウェブ地図です。下記URLから入ってお試しください。

http://base.alpslab.jp/

http://joint.alpslab.jp/fisheye/  

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