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中川秀直氏著『官僚国家の崩壊』を批判する(神州の泉)
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投稿者 JAXVN 日時 2008 年 7 月 20 日 18:14:17: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「中川秀直氏著『官僚国家の崩壊』を批判する

 今日のサンデープロジェクトには小泉チルドレンの女性代表格として、小池百合子氏、佐藤ゆかり氏、猪口邦子氏が出ていた。これと同時に民主党・凌雲会の代表格の前原誠司氏が出ていた。この顔ぶれ自体が、植草さんの言う「偽装CHANGE」勢力の筆頭格である。、この番組は田原総一郎氏が主導する御用番組であるが、植草さんが指摘するように、解散総選挙を目標とした、「偽装CHANGE」勢力が、にわかに活発化していると見ていいだろう。この勢力の影の中心人物の双璧は小泉純一郎氏と竹中平蔵氏である。そして、月9テレビドラマ「CHANGE」のシナリオを書いた人物が飯島勲前秘書官である。つまり、福田政権の底流で実際に蠢いているのは、小泉政権の亡霊ではなく、形を変えてしぶとく生き残っている小泉政権そのものである。つまり、植草さんが警鐘を鳴らす「偽装CHANGE」勢力とは、この日本に小泉政権が目指したものを完全敷設するための売国勢力と断言しても差し支えない。新勢力を装っているから「偽装」であり、その実態は植草さんが指摘する通り、自民党買弁勢力(売国勢力)の別働隊なのである。

 来るべき総選挙を睨み、彼ら「偽装CHANGE」派の精力的な布石がメディアで始まったという感じである。彼らは新興勢力として政界再編を目指しているが、その実態は日本にネオリベ導入を行って、格差階級社会を実現し、海外資本に徹底的に利益供与を行う亡国的グループと断じて差し支えない。一年前の参院選敗北で小泉構造改革にマイナスのイメージが付いたことを憂慮した売国自公勢力は、そのイメージ悪化を払拭するために、装いだけを変えて国民を欺く方針を固めた。それが偽装CHANGE作戦なのである。重要なことは、その偽装作戦を成功させるために、自民党内に『増税派vs上げ潮路線派』という党内対立を演出していることだ。この上げ潮派の代表格が中川秀直氏である。

 最近、中川秀直氏の書いた『官僚国家の崩壊』を読んでみた。この書は全編を通じて「官僚亡国論」に終始しており、戦前から現在まで続く官僚支配体制を熾烈に糾弾しており、一見すれば、植草一秀さんの主張と強くオーバーラップするものがある。特に財務省(旧大蔵省)主導の官僚主権構造の弊害の説明に縷々明け暮れているところは植草さんのテーマに共通するところがある。もうひとつ指摘したいことは、日本経済復活の会・会長の小野盛司会長と中村慶一郎氏が出版した積極財政振興論の著書「お金がなければ刷りなさい」の出版記念パーティに中川秀直氏が来場して、積極財政論に熱いメッセージを送っていることである。しかし、私は植草さんと同様に、中川氏のこれらの動きに関しては強い疑念を抱かざるを得なかった。理由は単純である。中川秀直氏が上げ潮路線を言い出したのが2006年からであることと、彼が小泉官邸主導政治の中核を為していた人物の一人であったことだ。言うなれば、小泉官邸主導という独裁政権を造った表の最大の功労者が中川氏なのである。(裏の功労者は飯島勲氏)

 2006年と言えば、竹中平蔵氏など、小泉政権の幹部連中も上げ潮路線に鞍替えしたころである。あれほど植草さんを敵視していた竹中氏が、郵政公社分社化や実質的民営化スタートを見守ることなく政治家を廃業して野に下ったのもこの年である。私は中川氏や竹中氏のこの反転的な動きは、小泉政策の間違った出力が国民生活をどん底に陥れ、その怨嗟が自分達に降りかかることを、あらかじめ予測して防御線を張ったのではないかと考えている。それと同時に、植草さんの言う偽装CHANGE勢力を成功に導くために、人気の低落した福田政権とは違う風が吹くぞという新しいイメージの作出を狙っているのである。それにしても、私は中川氏の『官僚国家の崩壊』を読んでいて非常に、腹立たしい箇所があった。それは「東大法学部卒が官庁に入らなくなった理由」という項目の中に、「現代の若者が官僚機構に求めているものは『非金銭的インセンティブ』である」という箇所である(P100)。アメリカに扇動されて、日本の社会構造を新自由主義に転換した中核的人物である中川氏が、今の若者の価値観が非金銭的インセンティブを求めていると指摘すること自体が、強い違和感を持って迫ってくる。市場原理至上主義を強引に導入した人物が、いまさら非金銭的インセンティブを強調することはおかしい。日本の文化や伝統感性を足蹴にし、金銭的唯物主義の価値観に社会を特化することに尽力した人物が精神性を謳うことはどうかと思う。

 中川氏はこの本で、竹中平蔵氏と小泉純一郎氏を一貫してべた褒めしているが、それここそが偽装CHANGEの最たるものであろう。彼は語る。あの当時、自民党政治に見向きもしなかった、二十代、茶髪、フリーターが、あの郵政選挙で自民党に投票したのは、小泉氏の「殺されてもいい」という捨て身の姿勢に、お金で買えない価値を見出したからだと言っている。まったくこれは真実を糊塗していると言うしかない。あの郵政選挙はメディアが米系保険会社の資金を背景に世論誘導したものであり、小泉氏の「命がけ」の真剣さはアメリカに追い込まれていたからに他ならない。つまり、国民のための真剣さではなく、国益を明け渡す約束の履行を迫られた上での真剣さであった。過去を美化する傾向は誰にもあるが、小泉政権には美化の要素はまるでない。この政権が五年半稼働したせいで、本来なら生じなかった尊い人命の犠牲が多数起こっており、避けられた多くの企業倒産が起こっている。結果的に国民生活は逼迫した状態に置かれた。

 また、中川氏の言い方で許せないのは、三浦展氏が使った国土のファスト風土化という言葉を使って、安部前総理の言った美しい日本路線を語っていることだ。いわく、コンクリートを剥がし、自然の美しい光景を取り戻すために公共工事を考えようということを、安部政権時代に幹事長を務めたときに訴えていると書いていることだ。私はその構想を“まっさらな土台”で提唱できる人物は植草さんや城内実さんしかいないと確信している。米国に阿諛追従して国益毀損をする政治体制に切り替えた人物が、ファスト風土化をやめて美しい国土に切り替えようと提言することは許しがたい偽装思想にしか見えない。中川氏は偽装CHANGE勢力の要注意人物ではないだろうか。

 彼が小泉・竹中継承路線の方向性を切り替えるとは到底信じられないのである。記憶に新しいのは、安部政権時、郵政造反組の復党問題が起きた時、安部氏が平沼赳夫氏ら造反組への確信的容認論を打ち出している時に、中川秀直氏は異常な反意を示した上、「詫び状」という踏み絵を復党組に迫ったことだ。しかし、その要求を毅然として拒んだ平沼氏は立派であった。内に小泉政治の熾烈な情念を秘めている中川氏が、「CHANGE」を旗印にして、小泉・竹中路線と訣別することはあり得ないことなのだ。もし本気で新しい政治の風を目指すのであれば、小泉・竹中路線にノーを突きつけることを最初の儀式的政治見解とすべきである。しかし、中川氏は小泉・竹中路線を賞賛していることで、彼が真に望んでいる政治風景が透けて見えるのだ。

 1994年、自社さ連立政権時に、中川秀直氏は総理補佐として活躍した。そのとき、彼が村山富市と会談した時に手渡した極秘文書には、「国民を衆愚視して専制的政治を目指す発想を排し、「賢い民意」による“賢い政治と政府”をめざし、「議会制民主主義」を確立する」と書いているそうである(P37)。しかし、小泉官邸主導政治を確立した中川氏に、この理念が微塵もないことは明かである。中川の上げ潮路線提唱は2006年からである。植草さんがいみじくも指摘しているように、なぜその前の小泉政権時にこの方策を提唱しなかったのか。彼は充分に実行できる権限を持つ立場にいる時、それをまったくしなかったことは致命的である。従って、彼が今唱えている上げ潮路線や官僚主導打破の政治をというスローガンが、リップサービスである可能性は非常に高いのだ。

 小泉構造改革の要点は、アメリカ型の小さな政府推進であり、自由と自己責任原則を柱とする考え方である。ところが、「障害者自立支援法」や「後期高齢者医療制度」の内実を見てもわかるように、小泉構造改革が謳う「自由」とは、弱者に対するセーフティネットをすべて取り外し、その中で自由競争原理を如何なく発揮できるシステム創りであった。これは資金の多さや、既得権保持者の優位性がそのままベース的展開となって弱者を駆逐し、一握りの金持ち連中がますます儲け、有利な立場になっていく方向性を持った。出発条件の公平性がまったくない絶対格差が前提の競争社会である。競争性の健全な条件を整えないままに弱肉強食原理を野放しにした市場原理至上主義である。これが導く社会の姿とは際限のないモラルハザードである。ネオリベラリズム(新自由主義)の拙速的適用は社会規範の加速的な崩壊を招くのだ。すでに、その証左は昨今の連続的に頻出するさまざまな偽装事件にはっきりと示されている。

 小さな政府とは、経済に占める政府の比重を限りなく小さくするという行政形態であり、お上の負担を減らすことであるから、当然、国民の税負担は減らす方向になる。減らした分の税金は可処分所得として消費に回るので経済は成長することになる。簡単に言えばそういう理屈である。ところが、小泉政権は財務省の方針に従って、財政均衡政策を堅持した。そのために国民に対しては、減税どころか、その逆の増税傾向が露骨に出た。問題は国民の税負担を軽減するはずの「小さな政府」が、いわゆる「強者」に相当する大企業や法人に対して行われていることだ。大多数の庶民階級には増税になっている。国民生活の恒久的な安定性を担保していた定率減税を廃止して、「逆累進課税」的な収税構造を帯びてしまった。国民年金や国民健康保険の値上がり、住民税の値上がりなどである。 医療負担金、各種年金、介護負担金など、庶民層の負担は確実に増大し、生活保護や児童扶養手当が無機的に削減された。セーフティネットを取り外し、増税しながら国民に自己責任を要求しているのである。これでは国家が国民の生存権を保障するどころか、力のない者は早く死ねと言わんばかりである。

「民にできることは民で」というスローガンで行われた、いわゆる「聖域なき構造改革」とは、国民をペテン(詐術)にかけ、大資本家に利益供与をするためだけに行われた大掛かりな偽装政策であった。共産党の小池晃議員も言っている様に、小泉構造改革は大企業を減税してますます強くすることによって、一般庶民の経済を底上げするという方向性が完全に間違いであったことを露呈した。ハイエク的手法が完全に破綻していることを示しているのだ。ハイエク的手法とは、わかりやすくイメージ的に言えば、機関車、動力車(=大企業や大資本家のこと)が強くなれば、客車(=中小企業や一般庶民のレベルのこと)を牽引する力も増して全体的に良くなってくるという一種の経済神話である。しかし、この理論を恒常的な統治政体で適用すれば、完全に破壊的な作用をおよばすことは70年代のアメリカで実証済みである。その実例を知りたいなら内橋克人氏の「悪夢のサイクル」によく説明されている。ここでは航空機業界に行ったネオリベ導入が完全破綻した実例が紹介されている。小泉政権のポピュリズムに幻惑され、今の日本は、アメリカがかつてたどった愚を何も学ばずに体験しているということである。

 大企業などの資本強者を優遇することによって、何が起きたか。それは経済底辺層(一般庶民)を救済するどころか、それとは真逆の国民底辺層の犠牲を強いる最悪の結果を招いたのである。「年次改革要望書」、つまり、アメリカが押し進めるグローバル・スタンダードによる国際的同調圧力と言うのは、国家秩序の緩みを意味すると私は考える。これは単に経済問題のみならず、国家特有の自立性、文明の特有性の崩壊に繋がることになる。宍戸駿太郎氏は、真の構造改革は単線的指向ではなく複線的指向で長期的視点でやらねばならないと言っている。小泉構造改革の不自然な性急性、拙速性は有効需要を無視してサプライサイドに収斂した。構造改革はデフレ下でやってはいけない、もしやるなら完全雇用が達成され、インフレ加熱の傾向が出てくる、いわゆる「ハイプレッシャー・エコノミー」の状況でやるのがいいと宍戸氏は語っている。小泉構造改革はこの真逆の破壊的道程をたどった悪政の見本である。中川氏の『官僚国家の崩壊』についてはまだ書きたいこと、警鐘したいことが多々あるが、本記事ではこの辺にしておく。

偽装とは、いかにも、もっともらしいことを打ち出して中身の嘘を隠蔽することだ。国民は政策理念にも大掛かりな偽装が存在することを見抜かなければならない。それにうっかり乗せられてしまうと、小泉政権の悪夢が再び現出することになる。この視点で最も信頼できる人物が、植草一秀さんである。」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/07/post_b4fb.html#comment-32471239

関連
「偽装CHANGE」VS「真正CHANGE」(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/08/senkyo51/msg/863.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 7 月 14 日 14:22:00: twUjz/PjYItws  

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