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小泉純一郎元首相、音楽を語る(毎日新聞)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 8 月 12 日 13:32:34: twUjz/PjYItws
 

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080808dde012040024000c.html

特集ワイド:小泉純一郎元首相、音楽を語る
 そわそわモードの永田町にあって、元首相の小泉純一郎さん(66)は相変わらずマイペースである。回顧録は封印したまま、音楽への偏愛をつづった「音楽遍歴」(日経プレミアシリーズ)なる本を出した。趣味の世界を語れば、ワンフレーズにとどまらないはず。なら、あれもこれも聞かせてもらいましょうか。【鈴木琢磨】

 ◇郵政民営化…純愛、悲恋、裏切り、復讐 まるでオペラ政治
 ◇♪たとえ傷つくとも力ふり絞り我は歩み続けん…
 ◇総理なら、舞台の感じで
 「ついこの間、クルマに乗ってたら、カーラジオからじーんとくる曲が流れてきたんだ。山下達郎の『ずっと一緒さ』。知らなくて、さっとメモし、すぐCDを買ってきた。いいんだなあ、ホント。なんべんも聴いてるよ。日々、新しい音楽との出合いがあるね」

 東京が雷まじりのゲリラ豪雨に見舞われた5日、衆院第1議員会館の応接室に小泉さん、やあ、お待たせ、と機嫌よく現れた。約束の時間を20分過ぎていた。就任したばかりの自民党の麻生太郎幹事長と会っていたらしい。出版から3カ月、売れてますか?

 「3刷だって。意外に売れてるんだね。オペラだけじゃなく、クラシック全般についてもあんなに詳しかったのかって驚かれる。ま、音楽以外のところが面白い、と言ってくれる人も多くて(笑い)」

 私の人生には、いつも美しい旋律があった−−。いささか自己陶酔気味に記すごとく、12歳でバイオリンを習ってから、自らの耳を頼りに音楽の旅を続けてきた。もう半世紀。「朝、新聞を読むときから、夜、眠りにつくまで、いつもBGMが流れてるね。そりゃ、生演奏が一番だけど、生で聴いて、またCDを聴くのが面白い。オーディオにはこだわらない。だって生にかないっこないでしょ」

 いまもオペラやコンサートに足しげく通っているらしい。そんなに好きなら、首相を退任したとき、いっそ永田町もサヨナラすりゃよかったのに。こんな短歌を詠んでいるじゃないですか。<警護なし横須賀線に一人乗る 大臣やめてホッと一息>。「そうそう。俵万智さんに、いい歌ですね、といわれたよ。率直な気持ちを表しているって。でも、人間、毎日が日曜日だと、休みの楽しさがわからない。忙中閑ありが最高!」

 ふと浮かぬ顔をした。どうしたんです? 「いや、イタリアのミラノ市長からスカラ座への招待状が届いたんだけどね。オペラ『ドン・カルロ』」。それは、それは。「オープニングの12月7日に」。ほう。「おとといだったか、行けないってお伝えしたんだ。12月だよ、政局がどうなるかわかんない。解散あったらどうするの。衆院議員でいる限り、最優先しなくちゃいけないし」。年内解散? 「……。行きたいんだけどねえ」

    ■

 この本を読んでいて、はたと気づいた。5年半に及ぶ小泉政治はオペラだったんだ、と。主役は「郵政民営化」に執念を燃やす壊し屋、小泉純一郎。純愛あり、悲恋あり、裏切りあり、復讐(ふくしゅう)あり……、絢爛(けんらん)豪華な舞台に観客の国民は酔った。「そんなこと想像してやったわけじゃないよ。必要なことはやらなきゃいけない、その一念。ただドン・キホーテを描いたミュージカル『ラ・マンチャの男』には励まされてね。主題歌の『見果てぬ夢』を口ずさんでいた」

 ぐぐっと身を乗り出し、その目に力を込めた。「抵抗勢力に囲まれてただろ」。なんだか懐かしい言葉、ずいぶん昔の気がする。「法案が参院で否決されて。解散は非常識と言われたけど、やらざるをえなかった。乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負。♪たとえ傷つくとも力ふり絞り我は歩み続けん……。力ふり絞りのところの英文は、ラスト・オンス・オブ・カレッジ。オンスは金なんかの単位に使うオンス。これだ、と感じたね。ラスト・オンス・オブ・カレッジ。ラスト・オンス・オブ・カレッジ」

 本の帯で<「真実のうそ」は感動的だ>とうたう通り、マジカルな小泉オペラは幕を下ろした。主役は安倍晋三さんから福田康夫さんへ移った。気がつけば、郵政民営化に反対し、刺客を放たれた野田聖子さんが、目玉閣僚として消費者行政担当相に抜てきされた。壊したはずの自民党は元に戻りつつあるかに見える。「戻っているようで、進んでいるんだよ。これでいいんだ。野田さんだって郵政民営化賛成に転じたんだから。恥を忍んで。もう過去のことだよ。なにもかも……」

 そうかしら。あとに残されたのは荒涼とした風景だった。格差社会が深刻さを増し、ちまたでは「蟹工船」が読まれるようになった。「批判的に貧富の格差を言うとき、いい材料なんでしょうね。でも、世界で最も格差の小さい国ですよ」。聴衆は酔いからさめたとはいえ、メリハリなき福田政治にも耐えかねている。

 「淡々として、ものごとを冷静、客観的に見られる人だけどね。総理は自分の考えを国民に伝えなきゃいけない。同じ台本でも演者によってがらっと変わる。いかに発信するか、態度や言い方なんですよ、要は。舞台に出ている感じでやらなきゃ」。できますか? 「持ち味があるからね」

    ■

 もっと音楽のこと聞いてくれよって顔をした。クラシックは難しい。歌謡曲なら。お好きな曲は? 「いっぱいあるねえ。初当選したころはやっていた『宗右衛門町ブルース』。♪さよなら〜さよなら〜。すっごく調子がよくてさ。♪く〜ろい、おも〜かげ〜。『硝子のジョニー』。アイ・ジョージだ」。いきなり場末のスナックになってきた。廊下で耳をそばだてている記者も驚いているに違いない。「やっぱり、桂銀淑(ケイウンスク)かな。あのハスキーな声、うまいよ。日本人よりも日本語の歌詞に情感込めて。薬物で逮捕されちゃったね。惜しいなあ。♪あほやねん、あほやねん……」

 まるで思い出のメロディー状態である。人間ジュークボックスというべきか。おしまいにひとつクイズを出してみた。世界で小泉さんのほかに音楽本を書いたリーダーをご存じ? 「知らない。誰かいるの?」。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記。「えっ?」。はい。オペラ大好き、私の初恋は音楽です、とも述べていますよ。小泉さんと同い年、イニシャルも同じKJ。「あ、ほんとだあー」。今年2月、平壌でニューヨーク・フィルのコンサートもあった。「なるほど。金正日がOKしなきゃできないよな」

 本の締めくくりはこう書いている。<……もう数多(あまた)の敵と闘う必要はない。これからは埋もれている名曲や新しい名曲を求めて遍歴の旅に出かけようと思っている>。「そうね。サンサーンスの3番バイオリン協奏曲が有名なんだけどさ、その1番、2番がいいんだ。発見したんだよ」。すみません、こちらに素養がないもので。次はたっぷり政界秘話をお願いしますよ。

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 ■人物略歴

 ◇こいずみ・じゅんいちろう
 1942年、神奈川県横須賀市生まれ。72年に衆院初当選、現在12期目。2001年4月〜06年9月、首相。

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t.yukan@mbx.mainichi.co.jp

ファクス03・3212・0279

毎日新聞 2008年8月8日 東京夕刊

 

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