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【書評】 カネも居場所もない。でも生きなきゃいけない〜『「生きづらさ」について』雨宮処凛・萱野稔人著【日経BP】
http://www.asyura2.com/08/senkyo53/msg/695.html
投稿者 ブッダの弟子 日時 2008 年 9 月 19 日 11:54:44: WrVq5GKL9DWTY
 

全文
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080912/170374/


 雨宮処凛がプレカリアート界のジャンヌ・ダルクとして中央論壇に登場した時、彼女の心身が、社会学者や知識雑誌の編集者らによる“食うための言説”の餌食にされないことを、老婆心ながら祈った。

 1975年生まれ。中学時代のいじめられ体験に始まり、自殺願望、ビジュアル系バンドの追っかけ、そして右翼運動から労働者運動へと、ドロップアウトを繰り返しながら展開されてきた人生。そんな経歴を彩るキーワードと、ゴスロリ・ファッションとのミスマッチは、いかにも現代社会の「何か」を象徴していそうだ。ニートやフリーター問題を、書斎から論じる知識人にとって、彼女が体現する「何か」を勝手自由に解釈していくことは、かなり誘惑的な作業だったはずだ。

 本書も最初、一抹の不安を抱きながら読み進めた。が、対談の相手である若き哲学者、萱野稔人の姿勢が誠実で的確だったゆえに、プレカリアート問題にさほど詳しくない私にも、内容が理解しやすく、彼女が何に苦しんでいるのかも伝わってきた。

 年間3万人を超える自殺者。心の病の増加。経済のグローバル化に伴う労働市場の流動化と使い捨て労働、貧困、格差──。経済の環境変化が生んだ「生きづらさ」もあるし、経済とは直接関係ない「純粋な生きづらさ」もある。この本では、二人がそんな「さまざまな『生きづらさ』の要因を解きほぐし」、「それを生き延びていくためのヒント」を語り合う。

 萱野が規定する「生きづらさ」には二つのレベルがある。
〈一つはもちろん物質的なレベル、つまりカネがないということです〉
〈もう一つはアイデンティティのレベル、つまり社会からまともに扱われない、自分の存在を認めてもらえない、居場所がないといった状態です〉
 この物質的なレベルとアイデンティティのレベルが、つねに混在したところで「生きづらさ」というものは生まれる、と萱野は説く。

 アイデンティティと物質。少なくともどちらかが補償されていれば「生きづらさ」への意識は、かなり変わってくるだろう。が、雨宮は団塊ジュニア世代として、まさにその二つの混在にめぐり合ってしまった。

 93年に高校を卒業し、大学を目指して2浪するも失敗。そして就職氷河期の中、19歳でフリーターに。「どこにも属していないし、どこからも必要とされていないし、どこに何を求めていいかもわからない」と、彼女が語る状況は、確かにつらそうだ。「そういう境遇じゃなければ、絶対に政治運動や右翼とかにいかなかった」という述懐も、そうだろうなあ、と腑に落ちる。

 ではアイデンティティと物質では、どちらが個人の努力で手に入りやすいのだろうか。少し前の共同体社会では、アイデンティティは自明の前提だった。
〈たとえば親子という共同体のなかでは(中略)その親の子供であるという関係そのものが、子供に「無条件に認めてくれる居場所」というのを与えてくれる〉(萱野)

 自分を無条件に愛してくれる存在があれば、人はかなりの困難にも耐えて生きていける。かつてのムラ的、牧歌的な社会には、親子でなくとも、大人がその辺の子供をかわいがる、子供がそういう大人の言うことを聞く、他人が他人を受け入れる、というコミュニケーションが普通にあった。しかし、大量消費時代を経て、新自由主義経済やネットが浸透した現代の日本は、かつての共同体とは質の異なる「コミュニケーション重視型」の社会に変化した。

〈そこでは、流動化した人間関係のなかでそのつど他人から認められるよう努力しなくてはいけない。(中略)イケメンだったりキレイだったり、トークが冴えていたり、あるいは他人にアピールできるような特別な能力や資格、ステイタスをもっていないといけません。つまり、最近よくいわれるコミュニケーション能力や人間力というものが備わることで、初めて人は他人から認めてもらえる可能性を手にする〉

 と、「普通のこと」から「能力」に変質してしまったコミュニケーションを解き明かす萱野の観察は、切れ味がいい。
 それに呼応して雨宮も、派遣労働をする若い男性が、社交的な性格やカッコよさを駆使して、友達の家にころがりこんだり、ヒモになったりして、ネットカフェ難民やホームレスをまぬかれている例を挙げる。
〈格差の問題って、経済だけじゃなくて顔面格差やコミュニケーション格差など、いろいろあるんです〉(雨宮)
 思わず笑ってしまうような、しかし、冷徹な雨宮の認識は、体験からにじみ出たものだ。

 雨宮自身こそ、家庭という原初的な段階で無条件に与えられるコミュニケーションを味わえない子供であった。親の望むいい子であろうと必死に努力し、いじめにあっても、その苦しさを体の内側に押し込めて我慢をしていた自分。高校時代にその鬱積が爆発し、家出やリストカットを繰り返したわが子を、「いい子」であったからこそ理解できなかった親。

〈いじめは、子供や若者たちのコミュニケーション能力が下がって、人間関係が希薄になったから起こっているのではありません。逆に、コミュニケーション能力がここまで要求されて、何らかの緊張緩和がなされないと場を維持することができないから起こっている。そこで実践されているのは、空気を読んで、相手の出方を先回りし、まわりに配慮しながら場を壊さないようにする、という高度なコミュニケーションです〉

 もう一つの物質的な「生きづらさ」。これに関しても、即効性のある明るい解決策などはない。世の中が新自由主義経済の動きに巻き込まれている以上、労働力の流動化はもはや避けられないからだ。だが、そこから派生した、人間の労働を食い物にするような「ビジネス」だけは、許しがたい。

 たとえば消費者金融、人材派遣会社、ギャンブル、ネットカフェ、フリーター向けドヤ・飯場、敷金・礼金・仲介料不要物件、保証人ビジネス──。社会にとって何の益ももたらさない「貧困ビジネス」について、雨宮は生々しい実例を挙げて糾弾する。

 たとえば「エム・クルー」という会社。都内には同社が経営する「レストボックス」という宿泊施設が約20カ所あり、一泊1800円程度で労働者を泊め、その人たちに仕事を斡旋する。
〈レストボックスは二段ベッドがならんだ相部屋で、「寄宿舎」という位置づけになっています。それで宿泊者をおもに建築関係の仕事に派遣するわけですが、作業服を買わせたり、「安全協力費」「福利厚生費」という名目で給料から毎回五〇〇円をピンハネするんです。しかも違法派遣を繰り返している。貧乏人の弱みにつけ込んだ、究極の貧困ビジネスです〉

 「スマイルサービス」という、社名とは裏腹のえげつない会社もある。
〈敷金・礼金ゼロをうたう不動産会社なのですが、法律上は通常の賃借契約ではなく、「鍵の一時使用契約」などという怪しげな契約を入居希望者と結びます。で、家賃を一日でも滞納したら高額の違約金を支払わせたり、鍵を開けて勝手に侵入したりする。これも究極の貧困ビジネスです〉

萱野「ところで雨宮さんは、なぜいまこれほどまでに『生きづらさ』が広がっていると思いますか?」
雨宮「それは連帯できないからですよね」


記事の評価
http://business.nikkeibp.co.jp/fb/putfeedback.jsp?_PARTS_ID=FB01&VIEW=Y&REF=/article/life/20080912/170374/

「生きづらさ」について
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A5%E3%82%89%E3%81%95%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-358-%E8%90%B1%E9%87%8E%E7%A8%94%E4%BA%BA/dp/4334034616/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1221792219&sr=1-1
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コピペ

格差社会負け組み「貧困の再生産など起きない。彼らは子供さえ持てないからいずれいなくなるだろう」発言は世耕だったようだ。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2007/08/post_299e.html
写真
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/images/2007/08/04/image1.jpg

2006年9月12日(火)発売の週刊SPA!2006年9月19日号(49ページ)のインタビューで格差社会の負け組みについての発言
「貧困の再生産など起きない。彼らは子供さえ持てないからいずれいなくなるだろう」と発言。

朝生で田原と世耕が、湯浅誠に言いくるめられ世耕豚の暴言を引き出す
http://www.veoh.com/videos/v14811277ef784BeM
http://www.megavideo.com/?v=1HGWRK2S    

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