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<ビラ配布の自由と憲法 (上)>いまなぜ言論弾圧か ― 渡辺治・一橋大学大学院教授 
http://www.asyura2.com/08/senkyo53/msg/741.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 9 月 20 日 20:13:17: KbIx4LOvH6Ccw
 

日本国民救援会機関誌「救援新聞」2008年9月15日号から直接貼り付け。

 ここ数年間、私たちの言論に対し弾圧が加えられています。それらの弾圧は、憲法改悪や自衛隊のイラク派兵、「構造改革」といった支配層の攻勢、それに反対する運動の攻勢と絡み合って出てきています(別表参照)。

《弾圧の特徴》

 新たな言論事件には、共通する4つの特徴があります。

 【第1の特徴】日本共産党や立川テント村といったような、改憲反対や「構造改革」反対の組織やそのメンバーを対象とした弾圧だということです。これは重要な注目すべき特徴です。

 【第2の特徴】この弾圧が組織的計画的なものだということです。一番典型的なのは堀越事件です。1年以上にわたって公安警察が尾行し、ビデオを何本も撮って、組織的に逮捕・起訴に持ち込んでいます。葛飾事件や世田谷事件は、最初は偶然かもしれないけれど、ただちに警視庁公安部が乗り出し、組織的に捜査しています。

 【第3の特徴】ビラ配布をターゲットにして、これをやめさせようとしている点です。

 【第4の特徴】取締りの対象を拡大していることです。たとえば、堀越事件と世田谷事件は国家公務員のビラ配布を弾圧しました。「確実」に立証できる、有罪の事例も積み重ねられている国家公務員法違反で処罰していく。まず公務員で有罪に持ち込んで、萎縮効果でびびらせながら、同時に住居侵入で弾圧して、市民のビラ配布活動に大きな打撃を与えています。


《弾圧の狙い》

 90年代初頭以来、日本の保守支配層が一貫して狙っていた2つの大きな課題がありました。

 その1つは、アメリカが大企業の安全や特権を守るために「世界の警察官」と名乗りをあげ、「ならず者国家」を力で抑えようとする、それに日本がついていくために、憲法を改悪する、自衛隊を海外に出動させるという軍事大国化の課題です。

 もう1つは、日本の大企業が、もっと労働者を搾取し、大儲けをできるようにするための「構造改革」という課題です。

 保守政治は改憲と自衛隊の海外派兵、そして「構造改革」の実現を追求してきた。しかしうまくいかなかった。イラク派兵も去年の秋には一度は帰ってこざるを得ないような状況に追い込まれている。他方の「構造改革」の方は、日本の社会に大きな格差と貧困を生み出し、安倍自民党は大敗をしてしまった。一連のビラ配布、市民の運動に対する、とくに共産党などにターゲットを絞った弾圧事件の背景に、支配層の焦りといらだち、改憲と「構造改革」をなんとかしたいとの思いがあります。

 彼らは、市民や労働者の運動を目の敵にしています。多くの市民が国会に押し寄せたり、いろんなところで集会を開く。こういう大衆の運動を1つにまとめ上げてコミュニケーションさせるビラ活動がなければ、こんな大きな運動はできない。ここに、言論弾圧事件に込められた大きな狙いがあると思います。

 それでは、ビラ配布に対する一連の弾圧の狙いについてもう少し詳しく見ていきます。

▼狙いの第1は、改憲反対運動の昂揚を抑えたいということです。

 反対運動の昂揚で、改憲が頓挫させられてしまった。とくに「9条の会」に対する危機感と、労働組合や共同センターなどの改憲反対運動をなんとかしないと改憲策動を立て直すことはできないというのが、攻撃の第1の狙いだと思います。

 「9条の会」の運動は、2003年11月に自民党や民主党、公明党が、憲法の見直しを約束したところからスタートし、04年6月、「9条の会」がつくられました。当時、読売新聞の調査では憲法改正に賛成する人が65%、反対する人は22・7%しかいなかった。改憲に賛成する人が一番多い時代でした。ところが、「9条の会」の呼びかけから1年で、全国津々浦々に「9条の会」が生まれました。集会を開いたり、ビラまきをしたりと組織が活動をはじめた。いま7千ある「9条の会」が、大きく国民の世論を変え始めた。そのことは、読売新聞の世論調査でもわかります。憲法改正に賛成する人は、直線的に減っていき、今年4月には、なんと改憲賛成派が42・5%と反対派の43・1%を下回りました。

 これを、保守の支配層が知らないはずがありません。改憲体制を立て直すべく、新憲法制定議員同盟が今年3月に総会を開き、「9条の会」に対抗する国民運動を、というスローガンを出しました。「9条の会」の主たる活動はビラ配布です。いまのビラ配布への弾圧を食い止めなければ、必ず「9条の会」にむかっていきます。

 実は改憲策動に絡んだ弾圧の狙いで、もう1つ注目しなければならないことがあります。それは、近年の言論弾圧は、改憲手続法による改憲反対運動規制の予行演習の狙いもあるという点です。

 同法は103条で、公務員や教員の「地位を利用した」運動を禁止しています。公務員や教員を抑えれば何とかなると改憲勢力は考えています。今度のビラ配布事件で2人の国家公務員が弾圧の対象になったこととも関係があるのです。

 もう1つは、109条の「組織的多数人買収及び利害誘導罪」です。これは何かというと、「9条の会」が改憲反対で集会を開く、そのときに「利害誘導」したら弾圧しようという話です。現実に衆議院の憲法調査特別委員会の審議のなかでは、その利害誘導の1つの例として、改憲反対運動が行うコンサートが利害誘導に当たるかどうかが問題になっています。とにかく、国民投票の期間、「9条の会」や公務員、教員を黙らせれば、一気に改憲賛成派のキャンペーンが成功するという形で、この改憲手続法はつくられているのです。この予行演習を本番で使うぞということが、現在のビラ配布の規制問題と密接に結びついていると思います。

▼狙いの第2は、「構造改革」に対する大きな反対運動を抑え込むことです。

 90年代までの日本は、企業社会と地方に対する自民党の利益誘導政治でなんとか社会の安定を守ってきた。ところが、小泉首相の「構造改革」がこの企業社会を直撃し、この10年間になんと500万人の正規従業員をリストラして、非正規労働者を労働現場に入れました。自民党の大票田であった地方に対しても公共事業投贅や福祉を切り捨ててしまい、おまけに、そうでなくても不十分な社会保障に大きな穴を開ける後期高齢者医療制度をはじめとした「構造改革」を行った。その結果が社会の大きな破綻となって現れています。つい数年前までは、「日本に貧困はない」「格差と貧困なんてテレビ番組にならない」と言われていたのですが、いまでは貧困や格差の問題がどんどん報じられる。反貧困や反「構造改革」運動を抑え込まなければ、もう1回「構造改革」を元の軌道に戻して強行することはできない。

 いま自民党のなかには、2つの考え方がでています。強硬派は、ここで「構造改革」の手綱を緩めたら、せっかくの大企業大儲けの体制が潰れてしまう、まだ濡れ雑巾を絞り切っていないと言っている。しかし福田首相を中心とした自民党の多くは、もう無理だ、後期高齢者医療制度でこれだけ大きな怒りが出てきた、地元に帰れない、「構造改革」の手直しが必要だ、そのためには消費税増税が必要だ、と思っています。自民党のなかに、消費税を上げて手直しをするか、このまま濡れ雑巾をさらに絞りきるか、こういう対立が起こっています。けれど、共産党や社民党、労働組合の運動を抑え込まなければ「構造改革」への怒りは食い止めることはできないし、衆議院選挙に突っ込むわけにはいかないという点では意見が一致しています。

▼狙いの第3は、警察・検察の再活性化です。

 警察・検察が、冷戦後の自分たちの失地を回復したい、盛り上がってきた反対運動を抑え込んで自分たちの存在意義を確立しないとリストラにあうかもしれないということで、改めて共産党などにターゲットを絞った弾圧を行うことで存在理由を示したいというものです。

 以上の3つの狙いが合流して、一連のビラ配布への弾圧が行われていると思います。


(※つづきは9月25日号の予定)

 

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