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メディアは年金改ざん問題をもっと追及すべき(森永卓郎)
http://www.asyura2.com/08/senkyo55/msg/819.html
投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 11 月 10 日 22:48:00: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/159/index.html

 どうやら解散・総選挙は遠のいたようだが、政局一色だった報道の陰で、サラリーマンにとって非常に重大な問題が、うやむやにされそうになっている。それは、年金の標準報酬が改ざんされていたという、いわゆる「年金改ざん問題」だ。

 これは、経営に行き詰まった経営者が、本来納めなければならない厚生年金の保険料を不当に免れたり、従業員の給料から天引きされたはずの保険料を企業が懐に入れたりしたもので、一種の横領事件である。しかも、そうした企業に対して、社会保険事務所が手引きをしていたことが明らかになっている。

 早い話が、自分が当然払ってきたと信じていた年金が、悪質な経営者と社会保険事務所によって勝手に減らされているのである。こんなばかなことがあるだろうか。

 年金問題というと、昨年大騒ぎになった「宙に浮いた5000万件」を思い浮かべる方も多いだろうが、今回の改ざん問題はそれよりもはるかに悪質だ。

 宙に浮いた5000万件の原因は、何よりも管理がずさんだったことにあった。もちろん、許されるべきことではないが、あくまでも過失の範囲であるといってよい。だが、今回の改ざん問題は明らかに意図的に行われているという点で、比べものにならないほど犯罪性が強い。

 しかも、改ざんの行われた件数が、これまで厚生労働省が発表してきた6万9000件を大きく上回り、100万件というとんでもない数である可能性が高まってきたのだ。

 なぜ、この問題をメディアがもっと取り上げないのか、なぜ大騒ぎされないのか、わたしは不思議で仕方がないのである。

従業員の保険料を資金繰りにまわした経営者

 年金改ざんの手口を理解するためには、まず厚生年金の仕組みから知っておく必要がある。

 サラリーマンが毎月納める厚生年金の保険料は、標準報酬月額を決めるところからはじまる。標準報酬月額とは、毎月の給料の平均額と言い換えたいところだが、ちょっと違う。

 標準報酬月額は毎年7月に決められる。その方法というのは、まずその年の4〜6月の3カ月間の平均給与を算出して、それを標準報酬月額表という表に照合する。その表では、標準報酬月額が30等級に区分されており、平均給与に一番近い標準報酬月額に決められる。例えば、平均給与が27万円以上 29万円未満ならば第17等級の28万円、17万5000円以上18万5000未満ならば第11等級の18万円となるわけだ。

 そして、厚生年金の保険料は、その標準報酬月額に保険料率(今年は15.35%)を掛けて算出する。

 そんな面倒なことをするくらいならば、平均給与にそのまま保険料率をかけて保険料を決めたほうが早いのではないかと誰もが思うだろう。

 なぜ、わざわざ30等級に分けているのかといえば、そろばんを使っていた名残なのだ。そろばんというのは、足し算、引き算にくらべて、掛け算が苦手である。少なくともスピードは遅くなる。だが、30等級に単純化して標準報酬月額表と照合すれば、30段階それぞれについて、すでに保険料率を掛けた答えが一覧表になっているので、掛け算をしないで済むというわけだ。

 コンピューターがこれだけ普及した現代において、いまだにこんな時代遅れなことをしているのはどうかと思うが、これは今回のテーマとは関係ないので、このくらいにしておこう。

 保険料の支払いでミソなのが、従業員と会社が保険料を折半して払うことになっている点だ。例えば、月給が30万円の従業員の場合、会社と本人は、それぞれ約2万3000円ずつ保険料を負担することになる。つまり、同じ30万円の月給の従業員が10人いる会社ならば、会社は毎月23万円も厚生年金保険料の企業負担分を払うことになる。

 それだけではない。従業員の負担分といっても、それを従業員が直接支払うわけではない。給与から天引きされているわけで、実際に納付しているのは会社なのである。簡単にいえば、企業が従業員分と会社分をまとめて支払っているというわけだ。となると、上記の例の場合、一人あたり4万6000円、10 人で46万円を払う形になる。

 経営が苦しい中小企業にとって、この金額は大きい。この支払を回避して、資金繰りにまわせないものかと経営者が考えても不思議ではない。そうして、保険料を滞納する企業が出てくるわけだ。

悪質な経営者と社会保険事務所がグルになった横領事件

 厚生年金の保険料を滞納する企業が増えると、担当する社会保険事務所にとっては好ましくない。滞納が続出してしまうと成績にかかわってくるからだ。

 そこで何をするかというと、これまで明るみになった事例でみると、会社と社会保険事務所がグルになって標準報酬月額を偽装するわけだ。つまり、実際よりも給料を安いことにして、支払う額を減らしてしまうのである。

 そうすれば、会社にとっては納付額が減るので好ましいし、社会保険事務所にしても滞納がなくなって喜ばしい。そのとき、何年もさかのぼって標準報酬を引き下げてしまえば、会社にとっても楽だ。納めるべき保険料が減って、滞納一掃も可能になるからである。

 そうした事例が次々に明らかになったのである。

 一方、滞納している従業員分の保険料(もちろん、従業員はとうに払ったつもりでいる)も、標準報酬引き下げの分だけ支払額は少なくて済むが、それを従業員に還元することはない。保険料滞納の穴埋めに使われてしまうケースがほとんどだ。これでは、経営者による保険料の横領にほかならないではないか。

 すべての事例がグルであるとはいわないが、会社がそうした偽装をすれば、社会保険事務所で簡単にチェックできるはずである。少なくとも、見て見ぬふりがされてきたことは間違いないだろう。

 具体的に、厚生労働省が改ざんの手口として発表したのは次の3つである。

1.標準報酬引き下げと同日か翌日に厚生年金からの脱退処理が行われている
2.6カ月以上さかのぼって標準報酬の記録が変更されている
3.標準報酬が5等級以上引き下げられている

 1は、滞納を一掃したのちに厚生年金から国民年金に切り換えるという手口だ。国民年金にすれば企業の負担分はゼロで済む。企業経営者としては、きれいに逃げられるわけである。

 2も不自然である。標準報酬月額というのは、さきほども説明したように、4〜6月の3カ月の給与から決められる。だから、よほどおかしなことがない限り、6カ月以上も過去にさかのぼって変わるはずがない。

 3がおかしいのは、そんなに給料が下がることはまずないということだ。わが国では労働条件の不利益変更が禁止されており、正社員の給料を勝手に下げてはいけないことになっている。しかも、30等級のうちの5等級も下がっているというのは、明らかに偽装の疑いが濃いというわけだ。

 これまで厚生労働省は、「標準報酬月額の改ざんが疑われる」事例として、6万9000件という数字をあげてきた。じつは、その件数というのは以上の3つの条件すべてを満たす記録なのである。

 本来ならば、この1〜3の一つでも当てはまっていれば、かなりの確率で偽装があったと考えるのが一般的だろう。

正直者がバカを見ないように早急な全容解明が必要

 では、前ページの1〜3の一つでも当てはまっているケースはどれだけあるのか。

 舛添要一厚生労働大臣は、10月3日の記者会見で、1のケースが15万6000件、2が53万3000件、3が75万件の合計143万9000件もあることを明らかにした。重複分を除いても、改ざんが100万件を超えているのは確実といえよう。当然、すべてを調査するのだろうと誰もが思うところだが、舛添大臣は、当面6万9000件だけを調査するという。

 民主党の長妻昭議員が、「サンプル調査でよいから、疑いのある記録全体を対象にして改ざんがあるかどうかを調べて欲しい」と要請した。つまり、この3つのケースのそれぞれについて、本当に偽装があったものの比率を知りたいというわけだ。きわめてまっとうな要請だと思うのだが、これを舛添大臣は拒否した。

 疑わしい記録が100万件もあるのに、6万9000件だけ調べるだけでよいのだろうか。これでは全容解明を進めないと断言したも同然である。本当に国民のことを考えているのか、極めて疑わしい。

 もし、コストも時間もかかるというなら、1000歩も100万歩も譲って、ねんきん特別便のようにして、過去からの標準報酬月額を全員に知らせてはどうか。過去の給料の額を正確に覚えていなくても、30万円だったはずの給料が、ある日突然9万に変わっていれば、誰だっておかしいと気づくはずだ。

 なぜ、それをやらないのかといえば、パニックになるのを恐れているからだろう。そして、政府・与党は選挙への影響を考えているに違いない。メディアであまり報道されないのをいいことに、うやむやに済ませてしまうつもりなのかと勘繰りたくもなる。

 しかし、被害にあったサラリーマンの立場になってみれば、こんなひどい話はない。30万円の給料をもらっていて、それに見合った保険料を支払っていたと信じていたにもかかわらず、もらう段になって、「あなたの給料は10万円だったので、その分の年金しかもらえません」と言われたらどうなるのか。

 偽装を行った経営者は、従業員の金を懐に入れたのだから明らかに泥棒である。罪に問うのが当然だとわたしは思う。そして、それを社会保険事務所が指導していたとしたら、それは泥棒の共犯である。これを見逃すのは、社会的正義に反する。

 さらにこの問題で重要なのは、時間がたてばたつほどデータが消える可能性が増していくということだ。着服、横領をした企業というのは、そもそも経営が危ないところである。その企業がつぶれてしまうと、給与データは散逸して復旧は難しい。

 宙に浮いた5000万件の場合もそうだったが、払った払わないという話になると、証拠がないとどうしようもないのだ。何十年前の給与明細を保存している人は少ないだろう。そうした会社が生きているうちに、早急に全容を解明する必要がある。

 被害を受けるのは、まじめに厚生年金保険料を支払ってきた国民なのだ。正直に働いたものがバカを見るのではたまらない。これは、選挙がどうこうという問題とは別なのである。
 


 

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