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心が震えるほどの感動的な記事に遭遇した(天木直人のブログ)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/343.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 11 月 29 日 20:23:58: twUjz/PjYItws
 

http://www.amakiblog.com/archives/2008/11/29/#001261

2008年11月29日
心が震えるほどの感動的な記事に遭遇した


 このところブログで政局がらみの事を書いていない。

 というよりも、あまりの馬鹿馬鹿しさに、書く気がしなくなった。

 解散・総選挙とか政権交代などという事は、もはやどうでもいいことのように思えてきた。

 所詮は、政治屋や、政治屋になりたいと思う、権力や利権に物ほしげな連中の間で繰り広げられている茶番ではないのか。

 そういう連中が、官僚と、つかず、はなれず結託し、国民の税金と司法、検察、行政という国家権力をほしいままにしている。

 そう考えると、腹立たしく、だからこそ政治から目が離せないのであるが、最近はそれさえも克服しつつある。

 人は正しく、強く、生きていかなければならない。

 自分自身が、そう生き生きていくことを目指す、それでいいのではないのか。

 この世の中には、およそ政治とは無縁の世界で、そのように正しく生きている人が無数にいる事を私は知っている。

 そこに希望を見る。

 11月29日の読売新聞に、久しぶりに心が震えるほどの感動的な記事に遭遇した。

 「時の余白に」というコラムだ。

 編集委員の芥川喜好という人が、アスベスト問題について書いていた。

 その要旨はこういう事だ。


  ・・・新聞社の図書室で調べ物をしていた芥川氏は一冊の本を見つけ懐かしく手に取る。それは彼が文化担当の若かりし頃に新刊紹介で著者に取材した事のある「労働基準監督官日記」(日本評論社)という本である。

  その本は、戦後誕生した労働基準監督官の一期生だった井上浩という人の、労働現場の報告である。

  それは芥川氏に言わせれば、成長を謳うこの国の経済政策の裏で、戦前と変わらぬ過酷な労働と低賃金にあえぐ『民』の現実をつぶさに綴った、静かな憤りの書である。

  官の立場と民の現実とのはざまで苦悩する井上浩という一役人の情熱に引かれて若かりし芥川は取材をした。そんな昔の事を芥川氏すっかり忘れていた。

  偶然に見つけたこの本のページをめくるうちに、芥川はあのアスベスト問題の箇所を見つけて「脳天を打たれたような衝撃」に襲われる。

  その箇所の日記の日付は昭和51年12月。

  32年も前に、行政の現場でアスベストの危険性を訴え、みずから患者を探し出し、救済に奔走した役人がいた、その役人こそ井上浩さんであった。

  アスベストについては、36年前に世界保健機構が発がん性を指摘し、欧米を中心に早々と厳しい規制が敷かれたのに、「民」への真の愛情と想像力を欠いているこの国の行政は手を打たなかった。

  そんな行政の最前線で、心を砕いてすばやく動いていた「官」がいた事は、いまさらながら感銘的であると芥川氏は書く。

  そして芥川氏は取材から29年経った今、井上さんを埼玉県に再訪する。

  アスベスト問題は、行田労働基準署長を最後に退官する間際の井上さんの最後の仕事だったという。

  下請け工場に肺がん死が出ていた事を突き止め、半年かけて調査報告書をまとめ、それを埼玉労働基準局に提出して対策を求め、後任の署長と会社の労組幹部に引き継いだ上で、井上さんは退職した。

  しかし、後事を託した人たちは動かず、井上さんの仕事が内部で生かせられる事はなかった。

 予測できたこの危険を、なぜ避けられなかったのか。それは人の命が経済活動よりも絶対に優先だという考え方が日本にはなかったからだ。そして、隠蔽という病がこの国を蝕んでいたからだ。

 芥川氏はその記事をこう締めくくる。

 アスベストの製造、輸入、使用等は、曲折の末、2年前に全面禁止になりました。しかし潜伏期間30年ー40年の病気の方はこれからが本番です。「だからこそすべての情報を開示し、一人一人を救わなければならないのです」と、退官後も労働問題に携わる井上さんは言います。

 アスベスト問題は、現代日本に生きている以上、ひとごとではない。その事を戦慄とともに語られている書に、「アスベスト禍」(粟野仁雄著・集英社新書)という書があります。アスベスト被害の現実、国家的不作為の実態など、アスベスト問題を徹底的に検証したこの書は自分の身の安全を守るためにも必読の書です・・・


 労働基準監督官であった井上浩さんの正しい生き方に感服する。

 その井上さんを取材し、それを記事にして称える芥川編集委員のジャーナリスト魂に感服する。

 それにしても、行政は、その後アスベスト対策に万全を期しているのだろうか。

 アスベストの製造、輸入、使用は確かに禁止されたが、今度急増してくるであろう被害者の救済は万全か。

 アスベストを使用して作られた建造物の解体対策は万全か。

 これは官僚としての私の勘であるが、あの耐震偽装問題の時と同じように、問題が表面化しない限り

 官は適切な対策を講じていないのではないか。

 被害者が次々に出てきて大騒ぎするのではないか。

 ドサクサにまぎれてアスベスト建築物を解体している事が発覚して大きな社会問題になるのではないか。

 これ以上官の不作為、隠蔽を見たくは無い。

 官もまた、正しく、強くあらねばならない。

 

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