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第35回 決戦は月曜日!国民が祝福する「郵政法案」否決・解散総選挙 (2005/08/05)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/590.html
投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 18:57:30: Dh66aZsq5vxts
 

(回答先: 第34回 NHK番組改変の取材メモ流出で問われる報道の使命と政治介入 (2005/08/05) 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 18:53:39)

第35回 決戦は月曜日!国民が祝福する「郵政法案」否決・解散総選挙 (2005/08/05)
http://web.archive.org/web/20051219153006/nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050805_monday/

2005年8月5日

 政界は完全に解散モードに入ったようである。

 どこで「引き返し不可能地点」(ポイント・オブ・ノー・リターン)を通りすぎてしまったのか。

 おそらくそれは、8月4日。もともと5日に予定されていた採決を3日のばして、週明けの8月8日とすることが決定された時点といってよいだろう。

 
政治の修羅場はチキン・ゲーム
……………………………………………………………………
 それまで郵政法案賛成派も反対派も、半分地下に潜ったまま説得工作をつづけ、どちらも表面上は、ギリギリで自分たちが勝つ見込みであることを装い、強気の姿勢をくずさなかった。

 政治の修羅場は、しばしば、チキン・ゲームとして展開される。チキン・ゲームとは、ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」で有名になった、猛スピードで車を断崖絶壁まで走らせ、怖気をふるって先に車を止めたほうを負けとする、臆病者(チキン)ゲームのことである。

 8月4日の「採決3日引きのばし」という政権側の決断は、まさに、「政権側のチキン宣言」だった。

 チキン・ゲームにおいては、目の前にさし迫ったギリギリの勝負から「自分は降りる」という宣言は、どんな理由をつけようと敗北宣言に等しいものとみなされる。「降りたわけではない、後で決着をつける」という勝負の引きのばし宣言も、ほとんど敗北宣言に等しいものとされる。

 2つの党派がチキン・ゲームを繰り広げ、互いに威勢のよさを競い合っている場面で、一方の側のリーダーがそのような宣言をしたら、それは実質的敗北宣言となり、その党派はたちまち足なみが乱れ、いわゆる算を乱した状態になる。

 8月4日から5日にかけて起きた事態がそれだろう。

 なにしろ、「採決しても勝ち目がないから継続審議にすべし」と迫る、森派幹部たちの説得を小泉がはねのけた時点で、森派は派閥として解散総選挙準備態勢に入ることを指示した。

 そしてその情報が外部に流れたとたん、政界は一挙に解散へ解散へという流れになり、代議士たちはいっせいに選挙区に向かいだした。

 ここまできたら、バッファローの暴走と同じで、8月8日に、参議院における法案否決とともに、衆院解散総選挙へと向かう流れを何ものもとどめることはできないだろう。

 小泉首相は、解散総選挙になったら、自分が勝利すると思っているらしいが(前に述べたように、その上、大勝利したあげく自分が自民党総裁任期を延長できると思っているらしいが)、あらゆる指標が示すところ、その可能性はほとんどない。小泉首相は郵政法案で討ち死にという結果に終わる可能性のほうがはるかに大である。

 
next: 新しい利権になだれこむ自民党議員…
http://web.archive.org/web/20051219153006/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050805_monday/index1.html

 新しい利権になだれこむ自民党議員
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 小泉首相はなぜこのような自滅路線に、しゃにむに突入してしまったのか。

 一言でいえば、権力者のおごりがもたらした誤算としかいいようがない。

 小泉首相はもともと度胸だけは人一倍すわった人で、チキン・ゲームの達人だった。

 相手と自分をのっ引きならない窮地に追いこみ、相手に先にネを上げさせるというのが、小泉首相の得意業だった。

 小泉首相が幼少期から最も尊敬し、「大事なことはみんなジイサンに教わった」とかねがねいっていた祖父は、刺青を背負った政治家で、もともとは組をひきいて請負仕事などをする親分(といってもヤクザではない)だった。サイコロ、花札などの勝負ごとにも強く、純一郎少年は小さいころから、祖父から勝負ごとに勝つコツを仕込まれたといわれる。

 勝負ごとは、勝ち目がないゲームは早目に思いきりよく捨ててしまう代わり、ここ一番の大勝負では、ひるまずに思い切って大きく賭けるほうが勝つ。

 勝負ごとはすべからく、肝心の場面は一種のチキン・ゲームであるから、自分の命すら惜しまずに賭けることを辞さないような度胸のよい者が勝つ。

 小泉首相のように度胸のよさをもって鳴る人間は、基本的に勝負に強い。しかし、強気一辺倒の人間がいつでも勝ちつづけることができるかというと、もちろん、そんなことはない。誰だって、ある確率で負ける。

 小泉首相だって、総理になる以前は、何度も勝負に出ては手痛い敗北を喫している。

 自民党総裁選だって、はじめの2回はあっさり敗れている。

 総理大臣になってからの小泉は勝負に強かった。旧経世会勢力を中心とする小泉改革反対派との政争では、これまで小泉首相の側がいつも相手に有無をいわせぬような勝ちをおさめてきたことはよく知られている。

 しかし、これは実は小泉首相という政治家がその地力の強さを発揮して勝ったというよりは、総理大臣という椅子(あるいは自民党総裁という椅子)が制度的に持っている権力の強さによって、相手をおさえ込む、あるいは、権力者ゆえに配分できる利権、ポストなどによって相手陣営を切り崩すことで勝ちえてきた勝利である。

 しかし、小泉政権の制度的終わり(自民党総裁任期の終わり)が見えてくるに従って、小泉首相が武器としてきた権力者の利権・ポスト配分機能の魅力は失せたとまではいわないが、著しくその価値を滅じはじめた。

 政治家たちは小泉首相にへばりついて獅子の分け前にあずかるより、自分たちで新しい政権を作る側にまわったほうがより大きな政治的利益(政治家としての自分の未来)がえられることに気がつきはじめたということである。これが、今回の政争で小泉政権側が敗北したいちばんの背景だと思う。

 つまりこれは、小泉時代の終わりのはじまりを明白にさし示す敗北である。このあとの政治展開で、あるいは一時的に小泉首相が政治力を盛り返す場面があるかもしれないが、すでに小泉時代は基本的に終わってしまったのだと思う。

 
next: 小泉長期政権の腐敗と驕り…
http://web.archive.org/web/20051218072848/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050805_monday/index2.html

小泉長期政権の腐敗と驕り
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 権力が長期化すると必ず起こる二つの現象がある。一つは権力の腐敗であり、もう一つは権力の驕りである。

 小泉政権にもその二つの現象が明白にあらわれている。権力の腐敗のほうは、最近の鉄橋談合、経済産業省ぐるみ(らしい)ウラ金作り疑惑などいろいろあってならべきれないが、かなりの部分が自民党長期政権がもたらした腐敗で、小泉首相の責任とばかりはいえない。しかし、これらの事件は、小泉首相の強力政権下で起きている事件なのだから、小泉首相の監督不行き届きの責任はまぬがれがたい。

 権力の驕りのほうは、特にこの郵政国会審議過程に明白にあらわれており、反対派が小泉をヒットラー、独裁者呼ばわりしたほど、その党内審議過程、院内審議過程は、無茶苦茶の強権によるルール破り、慣例破りの連続だった。

 郵政法案に対する反対派の団結が強固な理由はいろいろあるが、一つは、この小泉首相の強引きわまりない強権による強行突破の連続に対して、議会主義の危機を感じとった人々が法案の中身より、小泉政治の在り方そのものに対して、一致団結して抵抗しはじめたということにある。

 1960年の安保闘争が、突然爆発的に大きくなったのは、5月19日〜20日にかけて、岸首相が、議会会期の大幅延長と、新安保法案の安保委員会採決と本会議採決を一晩のうちに警察官部隊を院内に導入した上で全部まとめて一挙にやってしまうという、日本の憲政史上かつてない暴挙(後にこれは岸首相によるクーデター事件とまで呼ばれるようになった)に対して、国民の怒りが爆発したからである。

 それまで、安保条約問題などというものは、国民一般の階層には、どこがどう問題なのか、さっぱりわからず(いまの郵政法案に対する理解とそっくり)、反対運動もあるにはあったが、もうひとつ盛り上がっていなかったのに、岸首相のわかりやすい暴挙によって、一挙に、運動が登り上がったのである。

 運動の主たるスローガンが「安保反対」から「民主主義を守れ」に変わったことが、この運動の本質の変化を何よりもよく物語っている。

 
解散総選挙で小泉政治全体が争点に
……………………………………………………………………
 郵政法案をめぐる議論は、いまだにグチャグチャしすぎて、どこがいいのか悪いのか、一般国民には理解しがたいところがあるが、議員のレベルでは、かなりの部分、すでに「小泉政治横暴」「民主主義を守れ」的なものに反対運動が変質しつつある。

 これが解散総選挙になったときの争点にも大きな影響を与える。もはや、郵政法案の可否が選挙の主たる争点ではなくなり、小泉政治全体(政策から政治手法まで含めて)が争点になる。そうなると、一方的なサラリーマン増税、年金問題など、もっとわかりやすい問題が争点の中心におどり出てくる。

 世論調査で、郵政法案に対する賛否にリンクした形ではなくて、とにかく郵政法案をきっかけとして、解散総選挙をやれという声が強くなっている(朝日新聞で53%)。これは、郵政法案についてではなくて、とにかく、小泉政治のあり方について、投票行動によって全般的に一言いわせてもらいたいという国民の声のあらわれということであろう。

 そういう意味では、これは国民に祝福される解散総選挙なのである。

 
立花 隆

 評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。

 著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。

 

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