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第80回 小泉政権最後の8月15日 南原繁の声に耳を傾けよ (2006/07/25)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/753.html
投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 09 日 18:01:58: Dh66aZsq5vxts
 

(回答先: 第79回 小泉路線の継承か修正か 次期総理・安倍晋三の決断 (2006/07/24) 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 09 日 17:51:34)

第80回 小泉政権最後の8月15日 南原繁の声に耳を傾けよ (2006/07/25)
http://web.archive.org/web/20060820221228/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/060725_815/

2006年7月25日

 先にこの8月15日に、私が、東大で「8月15日と南原繁を語る会」という会を催そうとしていると述べたが、その会について説明しておく。

 南原繁と聞いても、いまの若い人は、それがどういう人であったか、「ぜんぜんわかりません」という人が大多数だろうが、この人は、戦後日本がこのような国になる上で、きわめて大きな役割を果たした人なのである。

 
戦後日本のファウンディング・ファーザー、南原繁
……………………………………………………………………
 南原繁は、旧制の東大(東京帝国大学)最後の総長で、新制東大最初の総長だった。前後6年間にわたって、総長を務め、ほとんど毎月のように、安田講堂で開かれるさまざまの式典で演説をしたが、演説をするたびに、それが新聞に大きく報ぜられた(ときには1面丸々つぶすくらいの取り上げ方がなされた)。

 いまは東大総長といっても、社会的にそれほど存在感がなく、どこかで演説をしてもそれが新聞に取り上げられるなどということは無きに等しいが、当時の南原繁は、全く別格の人だった。

 それというのも、敗戦によって、日本全国が、茫然自失、意気消沈の極にあり、これからどうしたらいいかわからない状態にあったときに、南原だけは、いつも明確に日本の新しい生きる道を指し示すという役割を果たした人だったからだ。

 いってみれば、南原繁は、戦後日本(現代日本)のファウンディング・ファーザー(建国の父)といっていい人なのである。

 終戦後すぐに学識経験者として貴族院の勅撰議員になり、新憲法、教育基本法など、国家の基本的重要法案の審議にすべて参画した人でもあったから、文字通り戦後の基本的諸制度を作った人なのである。そういう意味でもファウンディング・ファーザーそのものなのだが、南原の果たした役割で最も大きかったものは、敗戦でへたりこんでいた日本人を精神的に立ち直らせたことだろう。

 
国民に滅亡した国家再建の意欲を与える
……………………………………………………………………
 たとえば、1946年2月10日紀元節の日に行われた新日本文化の創造という演説がある。占領下のこととて、祝日に日の丸を掲揚する人もいなければ、紀元節を祝おうとする人も、誰もいなかった。ところが、南原は正門に堂々と日の丸をかかげさせ、安田講堂に学生教職員を全部集めて、例年通りの紀元節の式典をおこなった。

 
next: そこで南原はこんなことを語った…
http://web.archive.org/web/20061108080411/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/060725_815/index1.html

 そこで南原はこんなことを語った。

 かつて紀元節は、日本の神話的起源(神武天皇による建国)を祝う日だった。

 そのような精神、すなわち国家の紀元を神話に求め、それ故、日本には「神の子(天皇)」が統治する「神の国」であるとし、それ故に日本は世界の他の民族国家すべてを支配する世界帝国を築く使命があるとする誇大妄想的考え(いわゆる「八紘一宇」の考え)が、日本をあの無謀で破滅的な戦争に導き、ついには国を滅ぼすにいたった。

 しかし、そのような日本は根本的に生まれ変わった。

 本年(1946)1月、天皇の「人間宣言」によって、日本は神の国であることをやめ、日本人は世界市民の一人となった。

 これから日本は、新しい国、新しい道義国家を創っていなかければならない。世界普遍の中で通用する新しい文化を創造していかなければならない。日本の歴史は過去においてあるのではなく、未来においてある。

 本日の紀元節は、日本国の神話的紀元を祝う日ではなく、いまここに新しい国が生まれたことを祝う日だ。これから新しい国作りを行っていくことを宣言する日だ。新しい「国生み」を祝う日なのだ。あの戦争で一度は滅んだ国が、新しい国作りを行うことで、これから「民族の復活と新生」を果たしていこうという日だ。

 この日、安田講堂で行われたこの講演は、新聞でも大きく報道され、敗戦でガックリきて、無力感にとらわれていた国民に、これから国を再建していこうという意欲とエネルギーを与えた。

 その後、ほぼ毎月行われた南原の演説はそのたびに新聞に報道され、国民をはげましつづけ、国を再建する方向づけを与えた。

 毎年、年末には、その年行われたた演説を全部まとめた小冊子が発行され、それが学生らの手で全国各地にもち帰られ、むさぼるように読まれた。

 それらの文章を読んでいくと、なるほどこの国は、この人によって新しい国作りの礎石が置かれたのだなということがわかってくる。

 
南原はどのような国として戦後の日本を構想したか
……………………………………………………………………
 小泉改革の過程で、日本という国のあり方(基本構造)は大きく変化し、平等主義の放棄、海外派兵など、これまでタブーとされてきたことが堂々と行われるようになってきた。

 次の安倍政権下でも小泉改革の延長上の改革がどんどん行われ、憲法改正もすでに視野に入っていると考えられる。

 戦後61年を経て、いま日本は、大転換期入っている。これから日本をどのように変えていくにしろ、ここでいまいちど、戦後日本の再出発にあたって、ファウンディング・ファーザーたる南原がどのような国としてこの国を構想し、その構想がその後どれだけ実り、どこが欠落してしまったのか、といったことを、もう一度じっくり見直してみようではないかというのが、この日の会の趣旨である。

 
next: 会は第1部と第2部にわかれ、
http://web.archive.org/web/20061108080411/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/060725_815/index2.html

 会は第1部と第2部にわかれ、第1部では、「東京大学の8月15日と南原繁の時代」を、歴史的証言者に語ってもらう。

 あの8月15日、本郷キャンパスにとどまっていた学生、教職員はみな安田講堂に集められ、演壇の上に置かれた1台のラジオから流れだす天皇の声に耳を傾けた。

 その日講堂にいた教員のうち2名がこの会に出て、当時の学生の心境を語る。1人は、国際的免疫学者として著名な石坂公成(元ジョンス・ホプキンス大学教授。文化勲章受賞。元米国免疫学会会長)氏である。また、終戦直後の混乱状況の中で、共産党国際派に属して過激な学生運動をして処分された経験を持つ堤清二氏がそのころの学生と総長の交情について語る。

 
大江健三郎、石坂公成、堤清二、高橋哲哉らが南原を語る
……………………………………………………………………
 第2部の「南原繁の歴史的意義と現代的意義」では、佐々木毅・前東大総長が「政治学者南原繁」について語り、姜尚中・東大教授(政治)が「南原繁と憲法9条」について語り、高橋哲哉・東大教授(哲学)が、「南原繁と靖国問題」について語る。最後は、南原に教えを受けたこともある作家の大江健三郎氏が、大きな視点からの南原繁論を語る。

 私は全体のコーディネート役で、NHKに作ってもらったビデオクリップを利用して総論を語り、あとは総合司会役をつとめる。

 この8月15日に何が起こるかわからないが、「靖国問題」(ちくま新書)の著者である高橋哲哉氏はこの問題でいちばんの論客であるから、何があってもこの日何を語るかが注目される。

 この会のホームページ「8月15日と南原繁を語る会」には、演者のプロフィール紹介、南原の果たした歴史的役割の解説、沢山の配布資料の説明等々、沢山の情報がすでに盛り込まれているほか、この日の会への出席登録ができるようになっている。

 ただし、参加多数の場合は、一定数で登録が打ち切られ、自動的にキャンセル待ちの行列に入ることになっている。多数の参加をお待ちしている。

 
立花 隆

 評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月 -2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。2006年10月より東京大学大学院情報学環の特任教授。 2007年4月より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。

 著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
 

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