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りそなの会計士はなぜ死亡したか(6)(植草一秀の『知られざる真実』)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 12 月 13 日 09:49:50: twUjz/PjYItws
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-a54f.html

2008年12月13日 (土)
りそなの会計士はなぜ死亡したか(6)


渡邉恒雄氏は『文藝春秋2009年1月号』掲載の御厨貴東大教授によるインタビュー記事「麻生総理の器を問う」のなかで次のように述べている。


「僕は竹中さんから直接聞いたことがあるんだが、彼は「日本の四つのメガバンクを二つにしたい」と明言した。僕が「どこを残すんですか?」と聞くと、「東京三菱と三井住友」だと言う。あの頃はまだ東京三菱とUFJは統合していなかったんだが、「みずほとUFJはいらない」というわけだ。どうして三井住友を残すのかというと、当時の西川善文頭取がゴールドマン・サックスから融資を受けて、外資導入の道を開いたからだと言う。「長銀をリップルウッドが乗っ取ったみたいに、あんなものを片っ端から入れるのか」と聞くと、「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と言った。今つぶれかかっているシティを連れてきて、日本のメガバンクを支配させていたらどうなったか、ゾッとする。」


竹中金融相は金融行政を「事前調整型」から「事後チェック型」に転換すると主張していた。上記記述から読み取れる金融行政の基本スタンスは、金融産業の国家による統制管理である。「事後チェック」はむろんのこと、「事前調整」をはるかに飛び越えた行政当局による強権支配の構図である。民主主義国家の行政とは完全に異質の、国家による金融市場の独裁的支配=「権力の横暴の構図」が鮮明に浮かび上がる。


2002年10月に竹中金融プロジェクトチーム(PT)が「金融再生プログラム」を決定した際、強烈な反発を示したのはメガバンク首脳だった。竹中氏が金融行政の根幹ルールを突然、強権によって変更しようとしたのだから、銀行首脳が猛烈に反発するのは当然だ。強烈な反発を示した筆頭が三井住友銀行頭取の西川善文氏だった。


繰延税金資産の自己資本への組み入れが5年分認められてきた。この上限が1年に変更されれば、ほとんどの大銀行が自己資本比率規制をクリアできず、破たんしてしまう。2002年10月に検討し始めた重要事項の変更を2003年3月期決算から適用するというのは、意図的な銀行潰しとしか言いようがなく、正気の沙汰ではなかった。


竹中金融相は結局、繰延税金資産計上ルール変更を断念したが、その後、スケープゴートを選定し、公認会計士協会と監査法人を活用して、大銀行破たんシナリオを演出していったと考えられる。


りそな銀行がいけにえとなって毒牙にかかったとき、私は西川善文氏がどのように金融庁に対して抗議するのかを注目した。しかし、西川氏の姿勢は2002年10月とは別人のものになっていた。金融行政に対して一切の反発を示さない、恭順の姿勢だけが観察されたのだ。


その裏側に、2002年12月11日の竹中金融相、西川善文氏、ゴールドマン・サックスCEOのヘンリー・ポールソン氏らによる密会があった。竹中氏は日本のメガバンクを二つにし、そのメガバンクを外国資本の手に渡すことをミッション(任務・使命)としていたと推察される。渡邉恒雄氏の証言は、この推論を明確に裏付けている。西川氏はこうしたプログラムに完全に取り込まれたのだと考えられる。


竹中金融行政の深い闇の第1幕が「りそな疑惑」だとすれば、第2幕が「新生銀行上場承認疑惑」であり、第3幕が「意図的なUFJ銀行潰(つぶ)し疑惑」である。


UFJ問題については、菊池英博教授、森永卓郎氏が記述し、また「Electronic Journal」様がさまざまな指摘をされている。


りそな問題に話を戻す。竹中金融相は表向き、「りそな銀行の自己資本不足はプロフェッショナルの監査法人が独立に判断したもので、金融庁は監査法人の判断に介入しなかった」と説明しているが、2003年5月17日のりそな銀行による公的資金注入申請に至る経緯を詳細に追跡すると、この公式発言を信用することはできない。


そもそも、なぜ「りそな銀行」の繰延税金資産だけが5年計上を否認されたのかについての合理的な説明が存在しない。りそな銀行だけが、「スケープゴート」として選定された可能性が高い。その理由の一部はすでに述べてきた。


りそな銀行の繰延税金資産5年計上の否認には、木村剛氏が密接に関わっていると見られる。木村氏は竹中金融PT、および金融問題タスクフォースのメンバーであり、朝日監査法人と新日本監査法人の海外提携監査法人であるKPMG系列の日本法人代表を務めていた。


『月刊現代2009年1月号』の佐々木実氏の論文によると、2003年3月17日に木村剛氏が朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食した理由は、亀岡氏が木村氏に株式会社オレガの代表取締役落合伸治氏を紹介するためだったという。


落合氏はその後、銀行設立の申請を金融庁に提示し、金融庁は異例のスピードで銀行設立の許可を出した。この銀行こそ、「日本振興銀行」である。日本振興銀行は当初、落合氏が社長で発足したが、その後に木村氏が名目的にも支配者の地位に就任した。しかし、発足時点から「木村銀行」の本質を内包していた。


落合氏は木村氏の協力を仰いだ理由について、木村氏がいつも「金融庁と竹中さんがバックについている」ことを述べていたので心強いと思ったからと述べている。この点も佐々木氏が『月刊現代』で指摘している。


2002年10月30日に発表された「金融再生プログラム」には、中小企業向け銀行の新規参入促進に関する記述が盛り込まれていた。


「中小企業の資金ニーズに応えられるだけの経営能力と行動力を具備した新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化や・・・」との記述が唐突に盛り込まれた。


木村氏は中小企業向け銀行ビジネスに強い関心を有していたと見られる。「金融再生プログラム」に中小企業向け銀行設立促進に関する条項が盛り込まれ、落合氏を社長とする銀行設立の申請が提出された。金融庁は異例のスピードで銀行免許を付与した。設立された銀行=日本振興銀行では、結局木村氏が支配者の地位に就任した。「日本振興銀行」の深い闇についても、解明しなければならない問題が多い。


りそな銀行の自己資本不足を最終的に確定する役割を担ったのは新日本監査法人だったが、12月11日付記事に記述したように、新日本監査法人はりそな問題の着地点について公認会計士協会の奥山章雄会長に相談し、奥山氏は金融問題タスクフォースで金融庁の了解を何度も確認したとのことだ。


りそな銀行処理の着地点は竹中金融相、公認会計士協会、新日本監査法人との間の協議により決定されたと考えられる。実態としては、竹中氏の意向が最終決定に反映されたと考えられる。


りそな銀行の自己資本不足を強制する理論的根拠を提供したのは木村剛氏であると考えられる。木村氏は裸の自己資本が2%以上ある場合に繰延税金資産計上を1年認めるとの原則論に固執して、「将来の収益回復を前提に一定年数繰延税金資産計上を認める」との1999年11月の公認会計士協会指針第4項但し書きを認めないとするものだった。ここでいう「一定年数」とは5年以内の年数を指す。


木村氏の主張を採用するなら、りそな銀行の繰延税金資産計上はゼロないし1年しかありえなかった。木村氏は2003年5月14日の段階で、なお、強硬にこの主張を提示していた。


ところが、最終決着は「3年計上」だった。私は『知られざる真実−勾留地にて−』第一章第16節に「1・3・5の秘密」と題して、この問題を記述した。りそな銀行への公的資金投入の根拠とされた預金保険法第102条には第1項措置から第3項措置まで規定が存在した。このなかの第1号措置が「抜け穴規定」だった。「Electronic Journal」様が、この点についてのわかりやすい解説を示してくださっている。


「退出すべき企業を退出させる」=「自己責任原則」、を根本から否定する、「退出すべき企業を税金で救済する」=「自己責任原則の破壊」を意味する抜け穴規定が預金保険法第102条に盛り込まれていたのだ。


竹中金融庁はこの「抜け穴規定」を利用した。「抜け穴」を利用することを前提とすると、繰延税金資産計上「ゼロないし1年」の選択肢はなかった。「4年ないし5年計上」では、りそな銀行は決算をクリアしてしまう。これも選択肢から除外された。「3年計上」が「抜け穴」を利用する唯一の選択だった。

 

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