★阿修羅♪ > 社会問題6 > 108.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
大卒の価値低下を意味する4年制大学の定員割れ割合の上昇(KlugView)
2008/08/01 (金) 09:51
日本私立学校振興・共済事業団は、今春の2008年度入試で、4年制私大の47.1%で入学者数が定員に届かなかった、いわゆる定員割れになったと発表しました。定員割れの割合は、2007年度に比べ7.4%ポイント上昇し、過去最高を記録しています。
定員割れの割合は、1998年度くらいまでは10%未満で推移していましたが、1999年度に20%、2006年度に40%に到達しています。18歳人口が減少しているほか、大学の数が依然として増加していることで定員割れの割合は高まる傾向を続けています。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、出生率、死亡率ともに中位とした場合、2005年に136万人だった18歳人口は、2008年に124万人、2011年に120万人、2020年には116万人と減少し、2026年には99万人と100万人を割り込むと推計されています。18歳人口が減少を続ける可能性が高いのであれば、今後の定員割れの割合は、大学の数が減少するか、大学の数が維持もしくは増加するのか、によって変わることになります。
大学の数が減少する(定員割れの割合は現状維持もしくは低下する)シナリオの場合、地方の大学や規模の小さい大学が減り、日本の大学は大都市に集中し、大規模化することになります。大学の志願倍率を地域別にみると、東京都が9.96倍である一方で、北海道、北関東、甲信越、北陸、中国、四国が2倍台と低迷しており、地方の大学の人気が低いことが分かります。
入学者を定員で割った「定員充足率」を大学の規模別にみると、定員3千人以上の大学が平均113.8%である一方、定員800人未満は100%を割り込んでいます。特に定員300名未満の大学では、定員充足率が80%台と、1割以上も定員割れしています。私立大学の場合、入学者数と収入が連動する傾向が強いことを考えると、人気の低い地方の大学や規模の小さい大学では、経営環境が厳しいといえ、(市場原理を前提とすれば)こうした大学が姿を消す傾向が高まると考えられます。
大学の数が維持もしくは増加する(定員割れの割合は上昇する)シナリオの場合、「大学卒業」という肩書きの価値は低下することになります。大学の数が減らない以上、大学の学生獲得競争は厳しくなるため、大学は収入確保のために大学入試のハードルを下げる傾向を強めると思われます。
学力の低い学生が、大学で学ぶことによって学力が向上する可能性を否定するわけではありませんが、低い学力で入学した学生は、低い学力で卒業する傾向にあるといわれていることも無視できません。あくまで一般論を前提としているものの、定員割れの割合が上昇するシナリオの場合、大学を卒業した方の学力が以前に比べ低くくなる可能性は高いと思われます。
この場合、学生を採用する企業にとって、「大学卒業」の価値や意味はあまり重視されないのでしょう。代わりに企業は、学力の高い学生を輩出する大学に価値を見出し、その大学を卒業した学生を求める動きを強めるのでしょう。これは、社会の一部で否定的とされていた「学歴重視」の企業姿勢が消え、「学校(大学名)重視」が新しい価値観になることを意味するのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今春2008年度の大学入試で、
定員割れとなった4年制私立大学の割合はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
47.1%
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/08/01/003371.php