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投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 2 月 04 日 22:38:00: mY9T/8MdR98ug
 

(回答先: 投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 2 月 04 日 22:35:33)

http://www.magazine9.jp/taidan/005/index.php

その1
米国金融危機とオバマ大統領へのきたいの大きさ

リーマン・ブラザースの破綻をきっかけに、アメリカの金融崩壊が表面化してから、約半年。
「100年に一度の危機」と言われながらも、何をどうしていいのか、
不安は募るばかりです。
そこで「アメリカ市民が直面している本当の危機について」、また
「アメリカだけでなく、世界を席巻していた金融資本主義とは、どういう社会だったのか」について、
アメリカでの生活経験、取材経験のある、お二人に改めて語っていただきました。
堤 未果●つつみ みか著作家・ジャーナリスト。国連婦人開発基金、アムネスティインターナショナルを経て、米国野村證券に勤務中9.11に遭遇。帰国後は、アメリカー東京を行き来しながら執筆・講演活動を行う。著書に「グラウンド・ゼロがくれた希望」(ポプラ社)、2006年に「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」(海鳴社)で日本ジャーナリスト会議新人賞を受賞。2008年「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)で、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。30万部を超すベストセラーに。韓国・台湾でも翻訳、出版され大きな話題になる。
森永卓郎●もりなが たくろう経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1957年東京都生まれ。東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三和総合研究所(現UFJ総合研究所)を経て2007年4月独立。テレビ番組のコメンテーター、ラジオのパーソナリティーとしても幅広く活躍中。近著に『平和に暮らす、戦争しない経済学』(アスペクト)、『萌え経済学』(講談社)、『年収120万円時代』(あ・うん)、「こんなニッポンに誰がした」(大月書店)など多数。「マガジン9条」発起人の一人。

2008年『貧困大国アメリカ』のその後

編集部
 堤さんが昨年出された『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)が、大変な話題になり、またたくさんの方に読まれました。この本のタイトルは、現在のアメリカの状況をストレートに表していますが、最初この本を手にとった時は、「あのアメリカが貧困大国?」と、すごくショッキングだったものです。堤さんは、本を出された後にも、アメリカに行かれてらっしゃいますが、どんな印象を持ちましたか? 


 『貧困大国アメリカ』は、2008年の1月に出しましたが、その2年前から取材をしていました。金融危機については、本の原稿をまとめていた最後にサブプライムローンの問題が表面化してきたので、急遽追加取材をしてエピローグに書き加えました。アメリカでは多くの人が住宅ローンを担保に車のローンを借りています。住宅ローンが破綻し担保である家が差し押さえられれば車のローンもドミノ式に破たんする。そうすると車が売れなくなって会社は人を切る、失業者が沢山出る…。これは大変なことになるんじゃないか、という嫌な予感がありました。

 本が出版された昨年の夏に、再び渡米しました。大統領選挙の取材が中心でしたが、私の中ではアメリカの二大政党制がちゃんと機能していないのではないかという疑問がずっとあったのでオバマの民主党、マケインの共和党ではなくあえて第三党を取材したんです。

 不況が加速する中で、大手メディアが取り上げる二大政党以外の候補者と、彼らを支持する人たちに話をききました。
 それについては「世界」(岩波書店)を始めとする雑誌に記事を掲載したり、著書としても今まとめている途中ですが、メディアの在り方と暴走する二極化が深く結び付いていることがよくわかりました。これもまた、日本にとってすでに他人事ではなくなってきている問題の一つです。

 七億五千万ドルという史上最高額の資金を集めたオバマさんが行った選挙キャンペーンは、すみずみまでお金のかかったエンターテイメントとして完璧でした。何だかよくわからないうちに生活がどんどん苦しくなるアメリカの国民は、自分達が失ってしまった「未来への希望」と「国への誇り」という二つを切望していた。オバマさんはそれを「チェンジ」という言葉にくるんで、あらゆる人にわけ隔てなく振りまいてくれたんです。あの選挙は政治に無関心な若者を投票所に向かわせ、過去三十年で最大の投票率をもたらし、何より国民に自分達が政治に参加するという意識を持たせました。候補者と有権者が共にひとつの夢を見た見事な選挙でした。その一方で、二大政党以外の候補者たちや帰還兵たちをはじめとする少数派の声は届かなくなりました。

 日本でも、年末年始に「年越し派遣村」のことがメディアで大きく取り上げられましたが、あの時30代、40代の元派遣社員の人たちがTVで言っていた、「自分がこうして炊き出しに並んでいることがすごく惨めだし信じられない」という言葉を聞いて、びっくりしたんですね。何故ならそれはアメリカで取材をした人たちの言葉とあまりにも同じだったからです。

編集部
 中流階層があっという間に落ちていく、そんなところまでアメリカと同じ状況になっているんですね。


 中間層の人が落ちるとまず何より誇りが傷つきます。落ちてしまった人への生活保護など目の前の応急処置は待ったなしです。でもそれだけではない、長期の対策を考えなければいけないと思いました。
 人間は動物と違って、ただ生きていればいいというものじゃない。生活保護で飢え死にさせないだけではなく、誇りを取り戻して自分の力で生活できるところまでサポートをしていかないと、人というのは救えない。生活保護を受けなければならない人をこんなにも急増させた構造とは何だったのか。国民が生活保護を受けなくてもいい社会を作るために、何と何が必要なのか。そこまでやることが政治の役目だとつくづく思いました。

 報道も、派遣村に集まった人たちを「一部の」可哀そうな人々にしたり、逆に彼らが怠惰だから自己責任だとか、バックに組織的な臭いがしたなど刺激的な伝え方が多かった。メディアの役目は国民と政治をつなぐこと。派遣村の人たちという固有名詞にせず、普通の暮らしと生活保護の間にセイフティネットが全くないこの国の現状を伝えて問題提起しないと国民には本当の問題が見えなくなるようにおもいます。アメリカが同じだからです。
 アメリカでは国民の多くがもう熱狂的にオバマさんを「私たちの抱える問題を全ていい方向に変えてくれる救世主」のように思っているんです。黒人だから、マイノリティーの、貧困層の味方だから、もう全部これでうまくいく、とにかく待ってればチェンジがやってくると。

 私の弟が今サンフランシスコに住んでいるんですけど、あそこはもともとリベラルで民主党が強い地区で、訪ねて言った母も驚いていましたがとにかく街中がまるでロックコンサートの時のような高揚感に覆われているんだそうです。わあオバマさんこれから大変だなあ、胃が痛いだろうなあと思うんですが、それよりも選挙中あんなに政治に参加した国民が、当選した後はリーダーに全部丸投げでうっとりしているというのは、彼らの意向とは逆方向にわかりやすく暴走したブッシュ大統領の時よりも、逆に危険に思えます。

 今のアメリカの状況は、金融危機があったからこうなったというよりは、ずっと続いてきたことが悪化し続けるところにウォール街がとどめをさしたという状況です。今はそこにオバマ大統領という求心力がある人が出てきて、「チェンジ」というぴかぴか光るものにみんなが陶酔しているけれど、アメリカをここまで引っ張ってきた、根本的な方向性が変わるかどうかは、彼の政策を見なければわかりません。

この25年間、インチキがまかり通った金融の世界。

森永
 実は、この10年ではなくて、もっと深刻なのは、ちょうど1986年にサッチャーが金融ビッグバンをイギリスでやるんですけれども、それ以降のアメリカで言えばレーガンの時代から、25年間ぐらいに起こってきたことのほぼすべてが、インチキだったんです。

 要するに、すごく単純に言うと、お金が、お金を稼ぐんだというふうにみんな思い込んじゃったんですけど、お金は、お金を稼がないんです。お金は人間が汗水垂らして働くことによって初めて稼げるのに、結局、そのころからアメリカはものづくりを捨てて金融と情報に走ってしまった。東海岸の「金融」と西海岸の「情報」ビジネスというところで。どっちも実態がないところで、お金を稼いでしまったんです。
 企業の資金繰りをつけるために、銀行が融資をするというような金融はいいんですけれども、お金がイナゴの大群のようにいろいろなところを襲っていって、次から次に企業とか国がずっと長年培ってきた内部留保を強奪していくという海賊のようなことをし続けてきたんですね。

編集部
 金融市場主義における投機マネーですね。

森永
 その投機マネーをあまりにもやりすぎて、もうイナゴが食う畑がなくなっちゃった。最後が原油と穀物の投機だったんですけど、ここから逃げ出した資金というのが行き場を失ったんですよ。行き場を失うとお金が消えるんですね。だから、この25年間、常識として通用してきたことが、全部砂上の楼閣、虚構の世界だったんだということを、まずきちんと認識するというところから、アメリカの「再生」は始めないといけないんだと思うんです。

 ただね、このインチキ金融商品を金融機関が持ったというだけでは済まなくて、これから第2ステージに入っていくんです。それは何かというと、アメリカ人は、この金融資本主義が世界を席巻する中で、稼いでもいないお金を借金して使っちゃっていて、それが400兆円もあるわけですよ。小国だったら、デフォルトっていう国の自己破産ができるわけです。だけど、アメリカは自己破産ができないんです。そんなことをしたら世界が終わりになってしまうので、返さざるを得ないわけです。だけど、これは家計を一生懸命節約して返しても10年近くはかかる借金です。

 これは家庭に例えれば、インチキして右から左に金を動かすだけで、濡れ手に粟のお金が入ってくるというのに浮かれているうちに、借金を山のようにつくっちゃった家計というのが、今のアメリカの状態なんですね。これを万歳して、もうだめですというのができないとすれば、あとはまじめに働いてまじめに返していくしかない。私は、オバマがスピーチで言っていることというのは、そういうことなんだと思うんです。
 ところが、今、みんな浮かれているんですけれども、要するに次に何が来るかというと、超緊縮、節約、地味生活に長期間耐える生活がやってくるということです。

編集部
 アメリカ市民全員が、耐える生活をしなくてはならないということですね。


 そこが一番難しそう。

森永
 アメリカ人って、わりとそういうのに向いていない性格をしている人が多いんです。だから私は、オバマは4年後が危ないと言っているんです。要するに、やらなきゃいけないことと、みんなが考えていることのギャップがあまりにも大きいんですよね。

 最初からこんなことを言っていいかどうか、よくわからないんですけど、私が密かに一番恐れていることが、4年後の選挙を乗り切るためにオバマが戦争を起こすという可能性。私はないと信じたいんですけど、ゼロとは言えないんじゃないかなという気がするんですよね。

アメリカ国民は、節約生活に方向転換できるか?

編集部
 えっ、そうなんですか? 森永さんの悪い予想はよく当たるので、心配になってしまいますが。オバマ大統領は、グリーン・ニューディールを掲げ、環境産業を打ち出していますけど、それでもとうてい間に合わないというか、それをやりながら、ものすごい節約をアメリカ国民がちゃんと認識してやらないと、借金の返済はできないということでしょうか?

森永
 環境産業について、よく気をつけておかないといけないのは、本当に必要な環境政策っていうのは、みんながむしろ地味な生活をすることなんです。ところが、一部の人たちがその環境をネタに、もう1回バブルを起こそうとしている。特に排出権取引なんかを言っている人は、かなりの部分がそうでしょう。


 森永先生の言う通りだと思います。「環境」という看板にかけかえても、結局バーチャルなものを取引するという手段はウォール街と変わらない訳ですよね。ブッシュ大統領が石油依存脱却にエタノール政策を掲げた時と同じ違和感があります。あれも、「車社会というライフスタイルを変える気はないよ、足りない分?南米からとって来た別なもので埋めればいい」という発想。公共交通手段をもっと充実させるという発想はない。そもそも環境排出権も、やらないよりやった方がいいと言われるけれど、森永先生のように意識を変えるより手っ取り早く売り買いしちゃえという考え方が疑問です。

森永
 そうなんです。そんなの、売り買いしちゃだめなんですよ。

編集部
 あれもなんだかインチキ金融商品と似ていますよね。

森永
 だから環境政策を掲げたところで、本当にまじめにやるのかな? という疑問はあります。だって表面的にはあまり楽しくないわけですよ。超貧乏生活を続けていかなきゃいけない。今、ただでさえ、1人当たりで言うと日本の2倍以上エネルギーを使っているわけじゃないですか、アメリカ人は。それをやめて、ヨーロッパの人たちみたいに、休みの日はみんなでサンドイッチを持ってピクニックへ行きましょうとかっていう人って、私、偏っているかもしれないですけど、私の知り合いのアメリカ人では、あまりいないんです。みんな車に乗って出かけちゃうんですよ。


 私も知り合いでそういう人は1人だけですねえ、しかもヒッピー(笑)。

編集部
 あとの人は、みんなやっぱり、車でショッピングモールに出かけていく?


 はい。消費が生活の基本になってますからね。ショッピングモールでは、「最初の10カ月何にも払わなくていいです!11か月目から楽々にお支払い!」などというふざけた文句の看板が沢山かかっています。お金が無くても借金して買えばいいという考えが定着していてみんなそれを不思議にも思わない。クレジットカードを1人10枚持つのは当たり前、私の周りには、クレジットで買ったものの返済を別なカードで借りたお金で返すというようなことを平気でやっている人が沢山いました。

編集部
 アメリカは、そういうことを、国も社会も認めてしまっているんですよね。

森永
 そうやって大量消費をするんですよ。私は、小学校1年生のときにアメリカに1年間住んでいたんですが、当時の日本には、アイスクリームって、少なくとも私の住んでいるところには、本物はありませんでした。ホームランバーみたいな、いわゆるラクトアイスはありました。それがアメリカへ行ったら、アイスクリームをブロックで売っているんです。大きなかたまり全部がアイスクリーム。最初に見たときは感動しましたね。そして、毎日アイスクリーム食ってたらこんなでぶになっちゃったんですけど(笑)。そういう感じで、長年しみついているんですね。ばんばん消費しちゃうという癖が。

 だからそんな習慣を切りかえて、ヨーロッパ人みたいに、けちけちした生活をするというのを、彼らが転換できるかというと、これは結構厳しい。いばらの道ですよね。


 まったくです(笑)。節約したくない、買い物はしたいというその国民性につけこんだのが99セントショップですから。オバマさんはずっと、中流層への減税を掲げているんですが、あれを最初に聞いたときに、“中流に減税”というのは、要するに国民に消費させるスタイルを変える気はないんだなと思いました。今まで消費してくれていた中流層が今経済的に苦しくて消費できなくなっているからそこは減税をする。でも医療費や住宅ローン破たん、失業などでどんどん貧困層に転落している中流層に多少減税してもそれほど消費には回らないです。むしろ医療や失業保険など、彼らに消費をできなくさせている元凶の方にメスを入れないと、効果はあまり期待できないと思います。

 今言ったような医療や福祉などは別な政策、戦争経済政策のしわ寄せで予算削減され続けている分野ですが、オバマさんはテロとの戦い、アフガニスタン戦線拡大を最重要政策に掲げているためなかなか難しいように思います。生活が苦しくなって消費できなくなっているアメリカの中流層を取材すると、アフガニスタン増兵と自分たちの状況が結びついていないんですね。別々のことだと思っています。増兵は、「テロリストを捕まえるなら必要でしょう?」って言うんです。でも生活は苦しいから、「何とかしてほしい、オバマに助けてほしい」と言う。戦争にあれだけお金を使って更に増兵して今後もっと使う、どこに国内の社会保障に使う予算が残るんですか? と聞くと「わからないけど、どこかにあるんじゃないか」と言うんです。

森永
 オバマは、選挙期間中には、一応、高額所得者にも増税すると言ってましたけどね。

編集部
 森永さんは、オバマさんがこれまで言ってきた経済政策というか方針については、おおむね賛成だとテレビ番組でコメントされてましたね。

森永
 基本的にはそうですね。彼が選挙キャンペーンで言った一番典型的なセリフは、「アメリカで車をつくろう!」と。韓国でもなく、日本でもなく、アメリカでつくるんだと騒いだわけですよ。その政策は、私は真っ当なんだと思います。「車」というのは、選挙目当ての部分もあったんですけれども、きちんと物やサービスを自分たちで働いてつくってそれを消費する、という当たり前の話なんですけど、今までその当たり前がおかしくなってしまっていた。そこにアメリカ経済を戻そうという、彼の基本政策は正しいんだと思うんです。
 ただそうすると、「濡れ手に粟」のこれまでと違い、真っ当な仕事で稼げるお金というのは、おのずと限度があるわけですよね。しかし既に莫大な借金を背負っちゃっているので・・・。

編集部
 真っ当に汗水たらして働きながら、同時に緊縮生活をしなくてはいけない・・・・。

天文学的な年収を得る人たちが生まれるシステム

森永
 一度、芸能界で甘い汁を吸っちゃったタレントが、なかなかかたぎの生活に戻れないみたいなことがあるんじゃないかな。例えば、アメリカの投資銀行の日本法人で働いていた人たちの話を聞くと、私はおかしいと思うんですけど、「戻せない」と言うんですよ。三つ星レストランとかしょっちゅう行ってて、東京湾一望みたいなすごい眺望のペントハウスに住んでいて、自宅のキッチンにシェフが材料を持って料理しに来るわけです。そういう生活をしていると、普通の生活には、もう戻れないと言うんです。だから、良心の呵責があっても三つ星レストランに行かざるを得なかったんだと言うんですけど、「そんなもの、吉野家だってすき家だっていいじゃないですか、牛丼食ってりゃ」って言ったら、「それはできないんだよ」ってみんな言うんですよ。

編集部
 それは、日本法人に勤めている外国人の方?

森永
 いえ日本人です。大体、彼らは年収3000万から2億円ぐらいかな。でも、まだ20代の若造が1億円も年収を稼ぐなんていうことは、普通あり得ないです。だって、日本は社長だって平均年収3000万円ですよ。それを、お金を右から左に動かすだけで、付加価値を生んでいない、仕事をしていないのに、そんな年収もらっているんですよ。


 じゃあ、たとえば湯浅誠さんがやっている「もやい」に1000万円ぐらい寄付するとか…。

森永
 絶対に寄付はしないですよ。私、さんざん言ったんですけど。

編集部
 えっ、どうしてでしょう? 寄付するよりは、自分で使いたいということでしょうか?

森永
 使うんでもないんですよ。お金中毒なんです。お金が減るのが嫌なんです。


 マイクロソフトのビル・ゲイツはポンポン寄付してますね。そうすると、平和賞やトロフィーを沢山もらうんです。アメリカではキリスト教の慈善精神もありますが、何より税金対策と企業イメージアップという一石二鳥でお金持ちはよく寄付します。一方でチャリティは免罪符にもなる。途上国の子供のための病院を立てた大企業が実はその途上国の児童労働によって巨額の利益を得ているというパターンも多いので複雑です。お金持ちの寄付は称賛されるけれど、あんなに異常な稼ぎ方をする人が出てくるシステムが変だとはだれも言いません。

編集部
 これだけ格差が作られたシステムについては、「がんばって能力がある人が報われる社会だからいい。イチローみたいに」という言い方がさかんにされましたが、それについては賛成しちゃう人、未だに少なくないですよね。イチローと投資銀行の社員とは、能力も資質もまったく別の次元の話だと思うんですけど・・・(笑)。


 イチローまでいくと「夢」の象徴、憧れなんですよね。
貧困層の人も大スターについては「何だこの格差は、おかしいぞ!」とは言わずに「自分もいつか、、、」とまぶしいような目で見てますよ。

森永
 私なんかは、袋だたきに遭うんですよ。要するに、自分たちよりちょっと上の人はたたくんだけど、けた違い上に行くと実感がなくなっちゃう。


 その間をつなぐ森永さんのような存在は日本にとってとても貴重ですよ。大変な役だけど(笑)

金融資本主義の終焉

編集部
 1億とかの年収を言われても、私もまったく想像がつかない。しかし、それはほんとにおかしいシステムだと思いますし、だからここにきて、ついに崩壊しちゃったんでしょう?

森永
 そうなんです。この四半世紀は、ずっと”金融戦国時代”が続いてきたんだと私は思っているんです。戦国時代は、弱い人に全部しわ寄せが行くんですよ。だから、戦国時代のドラマで庶民が描かれることはほとんどないですね。農民はばんばん年貢を召し上げられて、戦争に駆り出されると、刀や鉄砲を渡され、自分の領地で殺し合いをする。
 そういう時に何が起こっているかと言ったら、必ず田畑も荒らされているはずなんです。戦争をやっているんだから。だから、農民はたまったものじゃないわけですよ。多分ね、それ以外にも、いろいろとひどい人権侵害は絶対行われているはずなんです。

 戦国時代の時代劇って、常に人気があってテレビでもやっているんですけれども、庶民の視点から見て、戦国時代と江戸時代はどっちが幸せだったかといったら、私は、江戸時代のほうがずっと幸せだったんだろうなと思うんです。
 江戸時代って、戦争もしてなかったし大して経済成長もしていないんですけれども、ものすごく環境に優しい暮らしを、みんなしているんですね。江戸という都市は、リユースもリサイクルもきちんとしている都市だし、地方分権でもある。地元のことは地元で決めていて。だから、地方政府が中央政府をひっくり返すぐらいの力を持っていたから、だれも支配されていないんですね。そして基本的には地産地消なんですよ。その地域でつくられたものを、その地域の人たちが食べているから、偽装食品をつくったとか、そんな話にはならないわけです。

 それで、江戸時代には、戦争をしない武士階級というのがずっと何をしていたかというと、一生懸命にたくさんの雇用を作りだしていたんです。所得がある程度ある人は、いかにそれをうまく分配するかを考え、きちんと家来たちの生活の面倒をみたり、地元の人たちの雇用を考えていた。だからすごく尊敬されていたんですね。本当は武士自体は、生活は苦しいんですよ。だけど、それでも見栄を張って、人をいっぱい雇って暮らしていた。でも、今までの四半世紀っていうのは、力のある人だけが生き残ればいいという、まさに戦国時代の考え方だったと思いますね。

 

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