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平和をたずねて:南京−沈黙の深い淵から/5止 存在丸ごと愛するために(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/08/wara2/msg/220.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 4 月 19 日 21:33:19: KbIx4LOvH6Ccw
 

(回答先: 平和をたずねて:南京−沈黙の深い淵から/4 自分の青さが嫌になった(毎日新聞) 投稿者 gataro 日時 2008 年 4 月 19 日 21:31:06)

http://mainichi.jp/select/wadai/heiwa/visit/archive/news/20080416ddp012040013000c.html

平和をたずねて:南京−沈黙の深い淵から/5止 存在丸ごと愛するために

 南京大虐殺70周年の昨年12月、1人の元日本兵が市民団体「日中平和研究会」のメンバーと共に南京を訪ねた。18歳で海軍に志願し、揚子江遡行(そこう)部隊の駆逐艦「海風」に乗り組んでいた大阪市の三谷翔さん(88)だ。

 三谷さんは艦上から南京城内を砲撃はしたが、捕虜や住民の虐殺に直接かかわったわけではない。それでも上陸時に見た死体の山や、停泊中の甲板から連日眺めた多数の捕虜が機関銃で撃ち殺され、油をかけて焼き殺される光景を、ずっと心に抱えて生きてきた。

 「20人、30人とトラックで河岸に連れてこられ、ダダダダダーッと。それを見られるのは甲板にいるもんだけやから、機銃の音がしている時に非番のヤツらがオレにも見せろと何人も来ました。珍しいもん見たいから。気分転換や。死体の山見たのは入城式に出るため上陸した時や。後ろ手に縛られたり、数珠つなぎにされたりした人が折り重なってね。いたる所にあった。兵隊の格好したもんなんておらへん。種々雑多。何でか分からんけど冬なのに裸の死体もあったわなあ」

 70年ぶりに再訪した南京では、そんな目撃談を自分が子供時代に受けた皇民教育の実情とともに中国の学生らに語った。そして、それらを何の疑問も感じないで眺めていた自分を思うと、慚愧(ざんき)に堪えないと頭を下げた。

 「自分がしたわけじゃない言うても、南京戦に加わった『海風』自体が揚子江では日本帝国主義の象徴そのものだわ。その一員だったんや。自分の見た南京大虐殺はこうだと言わなきゃと思ったんよ。私は18歳で志願兵になったでしょ。進んで行ったわけよ。ほんとの軍国青年だったんよ。それは教育で作られた。そう伝えたかったんや」

 作家の石川達三が南京陥落後間もなく、現地で兵士らに取材して書いた小説がある。「中央公論」の昭和13(1938)年3月号に発表した「生きてゐる兵隊」だ。捕虜や民間人の殺害場面をリアルに描き、女性の強姦(ごうかん)殺人が日常化していることを強くにおわせた内容は軍の逆鱗(げきりん)に触れ、雑誌は店頭に並ぶ前に発禁に。石川は新聞紙法違反で禁固4カ月、執行猶予3年の判決を受けた。

 小説は敗戦後の昭和20年末に出版されたが、その序文で石川は《あるがまゝの戦争の姿を知らせることによつて、勝利に傲(おご)つた銃後の人々に大きな反省を求めようといふつもりであつた》と執筆の動機を明かしている。その目的は敗戦で失われたが、それでもあえて公刊する狙いを、石川は序文の末尾にこう記す。

 《戦場に於(お)ける人間の在り方、兵隊の人間として生きる姿に對(たい)し、この作品を透して一層の理解と愛情とを感じて貰(もら)ふことが出来れば幸である》

 元兵士たちから加害の実態を聞くのは、日本人としてつらい作業だ。同じ教育を受け、同じ状況に放り込まれれば、私も同じことをしただろうと思うからなおさらだ。

 人間は弱く、小さく、不完全な存在である。けれど、弱く、小さく、不完全であるが故にまた、愛(いと)おしい存在でもある。

 兵士たちが弱さ小ささ故に成してしまった悲しむべき行い。それを事実として認めない限り、彼らの存在を本当に愛することにはならないのではないか。そして互いの弱さ小ささを認め合うことからしか、本当の「平和」への対話は始まらないのではないか。

 三谷さんが南京の大学で証言を終えた時、食い入るように見つめていた学生たちが次々と握手を求めてきた。口々に「日本人は憎い人殺しだという認識が変わった」、「日本への偏見を改めさせてもらった」と言いながら。その情景を思い出し、三谷さんは感に堪えないという声を出した。

 「何というかなあ。平和いうものは、何といういいことやあ。入城式の時、鉄砲に弾込めて、光らんように黒メッキの銃剣つけてなあ。いつ何が出てきてもドンといけるよう、向こうが知らん間に殺してやろうと、そんな人間がなあ。南京の学校で、今度は私の4分の1ぐらいしか生きてない学生の皆さんと、さっきまで知らない者同士が……(ポンと両手をつないで)できるなんてなあ。……平和ってえ、いいもんやあ」【福岡賢正】=この項おわり<次回は23日に掲載予定>

毎日新聞 2008年4月16日 西部朝刊


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