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『孤独な帝国アメリカ』ブレジンスキー著 バラク・オバマ次期大統領の戦略顧問は、イラク撤退後のアメリカ戦略をどうするか?
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投稿者 TORA 日時 2008 年 5 月 24 日 15:18:58: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
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『孤独な帝国アメリカ』 ズビグニュー・ブレジンスキー著 バラク・オバマ
次期大統領の戦略顧問は、イラク撤退後のアメリカ戦略をどうするか?

2008年5月24日 土曜日

Brzenzinski,Zbigniew


◆孤独な帝国アメリカ 世界の支配者か、リーダーか? ズビグニュー ・ブレジンスキー:著
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031604418&Action_id=121&Sza_id=A0

世界の中核

ヨーロッパとアメリカのぎくしゃくした関係

アメリカとEU全体は世界の政治的安定と経済的豊かさの中核をなしている。アメリカとヨー口ッパが協力して行動すれば、全能になりうる。だが、両者の意見はしばしば食い違う。二〇〇三年のイラク攻撃に際して声高な不一致が生ずる以前から、アメリカがよくもらしてきた不満は、集団防衡でヨーロッパが果たす役割が「不十分」だというものだった。

一方、ヨーロッパがアメリカに抱いていた最大の不満は、行動が独断的すぎるというものだった。したがって、大西洋をまたいだ同盟関係を評価するために出発点となる質問は次のようなものが妥当であろうーヨーロッパが〈十分に〉役割を果たし、アメリカが独断を慎むようになったらどうなるだろうか。

アメリカの不満は数字に示されている。EU加盟国のGDP(国内総生産)の合計はアメリカに匹敵する。現在十五の加盟国から成り、総人口は三億七千五百万だが(アメリカは二億八千万)、その防衛費の総額はアメリカの半分以下である一訳注二〇〇四年五月にEUは二十五カ国に拡大し、総人口は四億五千万となった一。そのうえ過去五十年にわたり、アメリカはソ連の脅威からヨーロッパを守るために軍隊を駐留してきた。

冷戦時代を通じてヨーロッパは実質的にはアメリカの保護下にあった。冷戦終了後も、バルカン半島での騒乱を鎮めるための軍事的努力で先頭に立ったのはアメリカ軍だった。ヨーロッパはまた、中東(その石油にアメリカ以上に依存している)と極東(貿易が着実に増加している)の安定のために、アメリカが政治面及び軍事面で果たしている役割から経済的恩恵を受けている。確かに平均的アメリカ人の目には、ヨーロッパがただ飯食らいのように見える。

しかし、ヨーロッパがそうでなくなったらどうなるだろう。それはアメリカにとってよいことなのだろうか。欧米の関係はより健全で緊密なものになるだろうか。この問いに答えるためには、ヨーロッパがその軍事予算を倍にしてアメリカと肩を並べるような軍事力をもとうとする政治決断は、どのような状況で起こりうるのかを考えてみる必要がある。

それには、ヨーロッパにあるさまざまな国のあいだで政治的結束が飛躍的に高まり、そして、アメリカのように防衛は自分たちでするという強い願望が全体に行き渡らなければならない。

ソ連の脅威が去り、ロシアの国力が並みのものになった今、そうした条件は、アメリカの安全保障政策がヨーロッパにとって重大な脅威となり、ヨーロッパの大衆が安全保障でアメリカに頼るのはやめたいと強く望んだときだけに満たされるだろう。EUの経済力はすでにアメリカに匹敵しており、両者がしばしば財政や貿易面で対立する中で、ヨーロッパが軍事的にも台頭してくるならば、アメリカの手ごわいライバルとなるだろう。

そして、アメリカの覇権に挑戦する存在となることは避けられない。ふたつの超大国が真に平等なパートナーシップを作りあげることは容易ではない。なぜなら、そのためにアメリカはその優位性を大幅に譲り、ヨーロッパは優位性を劇的に拡大させなければならないからだ。

NATOがアメリカ主導の同盟であることは終わりを告げる、あるいは同盟自体が終わるかもしれない。アメリカはこれまでフランスが大国であるかのようにふるまうことに当惑してきたが、空しい野望の一風変わった取るに足りない表明と片づけてきた。しかし、ヨーロッパがその防衛を「十分に」果たせるようになるとしたら、アメリカは覇権喪失のひどい苦痛を味わわされるだろう。

軍事的にひとり立ちし、アメリカと同じように包括的な地球規模の政治経済力をもったヨーロッパに対して、アメリカは訣別するか、それとも世界の政策決定の責任を全面的に分かち合うか、苦しい選択を迫られるだろう。アメリカの軍事力がユーラシア大陸西部から撤退することは、ユーラシアの主要国間で起こる新たな、予測しがたい紛争から手を引くことに等しい。

しかし、大西洋をはさんで釣り合いのとれたパートナーとして力を分かち合うことは簡単ではないし、痛みをともなうはずだ。競争力のある経済をもち、軍事面でもはやアメリカに依存しなくなり、政治的にも力をつけたヨーロッパは、アメリカの戦略上もっとも重要な地域である中東と中南米における優位性に挑戦してくると思われる。両者の競争は、地理的に近いばかりでなく、ヨーロッパがその石油に大きく依存していることから、まず中東で始まるだろう。

アラブ諸国がアメリカの政策に恨みを抱えていることから、ヨーロッパの提案は歓迎されるだろうし、その一方でイスラエルはそれまでアメリカの庇護のもとで享受していた特別な立場を失うことになる。ヨーロッパの次なる挑戦は中南米で見られるだろう。

スペイン、ポルトガル、フランスは古くから中南米社会と歴史的・文化的なつながりをもっている。中南米の民族主義は、自信をもったヨーロッパの政治的、経済的、文化的な絆の強化を進んで受けるだろう。そうなるとこの地域でアメリカがもっていた支配力は弱まることになる。こうして経済的に強大なうえに、大きな軍事力も備えるようになったヨーロッパは、アメリカの優位性を太平洋だけに封じ込めることができる。

アメリカとヨーロッパの深刻な競争は双方に被害をもたらすのはあきらかだ。ただ、現時点でヨーロッパは重大な脅威となる軍事力をもっほどには統一されていないし、そうする動機ももっていない。そうなるまではアメリカとヨーロッパの不和は大きな地政学上の争いにはならないだろう。

不平と不満があっても、牙がなければ噛みつきようがない。とはいえ、大西洋をはさむ欧米がイラクの件で対立した苦い経験を思えば、アメリカはヨーロッパの軍事面での役割が「不十分だ」と言い張るのはほどほどにしておくのが賢明だろう。ヨーロッパもアメリカに対する不満についてよく考える必要がある。

ヨーロッパのエリートたちが伝統的にもつ自分たちの文化に関するうぬぼれそれがヨーロッパで広く受け入れられているアメリカの大衆文化に対する反発となるかはともかくとして、アメリカに対するヨーロッパの批判は主として、アメリカが国際関係において単独行動を強めているという点にある。こうした批判は何も新しいものではない。

冷戦時代にアメリカはその単純な反共思想や、ソ連との妥協を頭から認めない態度、そして、すぐに戦争をちらつかせる姿勢をしばしば非難されてきた。二十年以上も前にドイツのヘルムート・シュミット首相はアメリカの人権政策を軽視して、共産諸国よる反体制派弾圧を容認しようとさえしたし、その後もフランスのヴァレリー・ジスカールデスタン大統領はレーガン政権の好戦的な態度をバカにし、彼の後継者であるフランソワ・ミッテランはブッシュ政権のドイツ統一の努力にそっけない態度をとった。

冷戦終結以来、アメリカは世界の陶器店にあばれこんだ一頭の牡牛だというヨーロッパの批判はますます広まり、手がこんできた。ソ連の脅威がなくなったために、こうした批判もさほど害はないが、一方でヨーロッパの経済統合が進んだことから、大西洋をはさんだ両者の経済的利害の衝突が目立ってきた。

アメリカ議会の不公平な法律や新たな農業助成金、鉄鋼輸入に対する課税などで、ヨーロッパは開かれた世界経済に対するアメリカの姿勢は不誠実だという見方を強めた。こうした見方は、長期にわたって人類の生活に影響を与える地球規模の問題について、その性格上できるだけ多くの国が参加する超国家的な行動基準をすみやかに作るべきであるのに、アメリカがあまりにも怠慢だとするヨーロッパに広まっている考えによって強められている。

ヨーロッパは、国連の地球温暖化防止京都会議で採択された〈気侯変動枠組み条約〉(京都議定書)をアメリカが突然、予想に反して拒絶したことにとりわけ激怒した。アメリカの決断は、地球温暖化という国際的に微妙で政治的にも火種となりやすい問題に対する有効な措置を放棄したものだとされた。

彼らはまた、アメリカが国際刑事裁判所を受け入れることを拒否したことについて、ユーゴスラヴィアでの一連の紛争に際して、国際的な戦争犯罪裁判をするべきだと強い圧力をかけたアメリカの姿勢はもとより、アメリカがしばしば訴えている人権問題への関与とも矛盾すると批判した。

アメリカの歴代政権がよりよい判断を無視してまでも、国内の圧力団体に屈して、イラン、イラク、リビア、キューバに対しておこなってきた経済制裁もまた、独善的な気まぐれの証拠だとみなされている。アメリカの単独行動主義と、ヨーロッパの関心事に対する冷淡な態度への批判はイラク戦争以前からあった。

普段は親米的なドイツでさえ、ときにはアメリカの行動が一方的で横暴だという広く流布した見解を肯定せざるをえなかった。こうした見方は、ジョージ・W・ブッシュ大統領が選ばれる前からあったのである。

日頃は穏健なフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク紙は、二〇〇〇年三月二日の『アメリカの拳』と題する記事で、アメリカは「ヨーロッパの政治的重要性」を受け入れていないときっぱり非難し、その理由を次のように記した。

「ふたつの大陸は異なった価値基準にもとづいた政治システムによって動いている。すなわち、グローバリゼーションの規則は覇権国が作ったもので、それによって高まる社会的な矛盾と、はなはだしい貧富の拡大に耐えることができるのはアメリカだけである。一方で、ヨーロッパでは、より強い管理と規制、対立する利害の調整と権力の制限を求めるのが政治であるとの合意がある。ヨーロッパの政治はパートナー同士の思いやりと相互支援にもとづいている」。

一週間後にはドイツのリベラルな大手週刊誌、ディー.ツァイトが、アメリカは「ジャングルの捷」を好み、「新たな敵を探すことに夢中になっている」と非難した。アメリカに対するこうした批判的な見方は、ヨーロッパの人々がよく指摘したがるアメリカの利己的な傲慢さとは対照的な、より大きな世界の感受性から生じているかというとそうでもない。

軍事的に弱く、政治的には統一されていないヨーロッパは、アメリカを非難することで、大西洋をはさむふたつの勢力の力の差を埋めようとしている。アメリカを道義的、法的に守勢に立たせる一方、正しいのは自分たちだとみずからを元気づけて、より対等な立場を手にしようとしているのである。

だが、そうした見せかけには限界がある。ヨーロッパがアメリカ以上に理解していることは、両者の深刻な不和は、まとまりつつあるヨーロッパにとって致命的なものになるということだ。ヨーロッパはふたたび内なる競争と外なる脅威にさらされるだけでなく、ヨーロッパの構造全体があやうくなるかもしれない。

ドイツの力に対する昔からある恐怖と、歴史に根ざした国家間の憎悪がすぐさま再燃するだろう。アメリカの存在がなければ、ヨーロッパはふたたび元のヨーロッパに戻るだろうが、それは彼らが描いていた未来の姿とは違うはずだ。

そこまで深く分析すれば、戦略的な考えをもっヨーロッパの人々はーアメリカがサダム.フセインを権力の座から追い落とすという独断的な決断によって表面化した論争にもかかわらずアメリカの単独行動主義は部分的には同国が安全保障上の比類ない役割を果たすための機能であり、それは経済、政治、法律、道徳、安全保障上の動機が簡単には区別できない世界で、アメリカが〈実行できる者〉であるために、他の国が支払わねばならない対価であるとしぶしぶながらも認めるはずだ。

アメリカのこうした態度は、自分が世界の自由の旗手だという歴史的認識から生じている。もしも、アメリカが国際ルールを実直に尊重し、選挙民の主要部分の特別な経済的利益を守るために力を行使することをできるかぎり避け、みずからの主権を制限することに従順で、進んで自国の軍隊を国際司法権の支配下に置くとしたならば、アメリカは世界の無秩序化を防ぐ最後の砦にはなれないだろう。

要するにヨーロッパは、アメリカがそのリーダーシップを、集団的合意の最低基準に合わせようという柔軟さを示したら、どんな結果になるかをじっくりと考えてみるべきだろう。

しかしながら、ワシントンをパリとベルリンと対立させることになった二〇〇三年の論争からは、さらに不吉な教訓を導き出せる。あの論争を、大西洋同盟が脆弱になる可能性があるという警告ととらえるべきだ。相手に対する思いやりを欠いた非難合戦になれば、ヨーロッパに独立した軍事力を本気でもとうとする反米的動機を与えることになる。

ヨーロッパがみずからを明白に〈アメリカの対抗勢力〉と認めて、つまり、事実上の反米となって政治的統合を求めることになれば、ヨー口ッパは大西洋同盟を反古にするだろう。だが、当面は両者に夢も悪夢も訪れないだろう。

どちらも相手の希望を満たさないが、その反面、相手のもっとも怖れることを正しいと言い張ることもないと思われる。少なくとも今後十年、あるいはそれ以上の期間、ヨーロッパは十分な政治的統合をなしえないだろうし、地球規模の軍事力をもつための財政負担を引き受ける動機ももっていない。

ヨーロッパはその政治統合がうまく進んだとしても、歩みはきわめて遅く、しぶしぶながらのものであるという基本的な理由から、アメリカの優位性を脅かすことはないはずだ。

EUの加盟国がまもなく二十七カ国に拡大することも、すでに極度に官僚的な複雑きわまりない構造をもつ、あたかもコングロマリット(複合企業)を連想させるヨーロッパの統合をさらに複雑にするだろう。

コングロマリットは歴史的展望をもたず、確実な利益にしか関心をもたない。EUの非人間的な官僚機構は、政治任務の遂行に必要な市民の感情を喚起することができない。

あるフランスの評論家は痛烈に指摘した。「いまだに償われていないヨーロッパの原罪は、役所の中で生まれたことであり、役所の中で成功したことだ。共通の運命をそのような土台の上に築くことはできない。それではせいぜい経済成長率とミルクの割り当て制度に精を出すのがおちだ」。

ヨーロッパの最優先の関心は世界の安定であり、それがなければヨーロッパの機構は崩壊する。したがってEUは、あたかも多国籍企業が重要な利益を守るために自前の武装警備員を雇うのと同じ理由で、最終的には政治力と軍事力をもつことになるだろう。

だが、その場合でも、しばらくのあいだ、ヨーロッパの軍事的努力は、アメリカの軍事力と競うのではなく、主としてその補完的な存在にとどまるだろう。さらに言えば、ヨーロッパが軍事面でいかなる勇気を見せようとも、それが国を超えた狂信的愛欧主義によるものにはなりそうもないことは、幸いである。

かりにヨーロッパが政治的、軍事的に強大になったとしても、統合による複雑な性格から生じる限界や、政治的独自性が希薄になることから、国際舞台での行動は自制されたものになるはずだ。明日のヨーロッパは、伝道者の情熱や独善的な熱狂を吹き込まれることなく、世界が最終的に必要としている多国間協調主義の好例となり、その推進力ともなりうる。

イラク戦争をめぐって大西洋をはさんで不一致が生じたが、基本的に多国間協調主義のヨーロッパと単独行動主義のアメリカが、世界にとって理想的な政略結婚であるという事実が覆いかくされることはない。別々に行動した場合、アメリカは圧倒的な力をもつとはいえ全能ではない。

ヨーロッパは豊かだが力はない。一緒に行動することでアメリカとヨーロッパは事実上、世界の全能者になれる。両者にはこのことがわかっている。アメリカは最近はテロにかかりきりで、同盟国にいらだっているとしても、世界の安全保障に唯一無二の役割をもち、歴史的な使命感を抱いている、しぶしぶながらも、地域の、そして世界の協議体制の拡大を受け入れるだろう。

アメリカもヨーロッパも相手抜きではうまくやっていけない。力を合わせることによって、両者は世界の安定の中核になれるのである。その中核が活力をもてるかどうかは、アメリカとヨーロッパを対立させている問題を超える、適切な協議事項を用意できるかにかかっている。そうした協議事項は二〇〇三年春の苦々しい対立にもかかわらず存在する。

もっとも急ぐべきなのは、中東を安定させるための両者の協調である。第二章でも述べたように、共同の戦略的企てがなければ、アメリカもヨーロッパも中東にもつ安全保障上の利益をそこなう。双方の努力が、両者の関係に共通の地政学的目標を与える助けになるのである。(P123〜P131)


(私のコメント)
1991年のソ連崩壊によって、アメリカは唯一の超大国となって歴史上最強の帝国となった。地球上の7割を占める海洋はアメリカ一ヶ国が支配しているといってよいだろう。11隻の原子力空母と80隻の原子力潜水艦に立ち向かえる国はない。かつてはソ連がゴルシコフが大海軍を建設に取り掛かったが経済破綻を招いて崩壊した。

しかしこのようなスーパーパワーもテロ攻撃には役に立たず、9・11テロ攻撃でニューヨークは大きな被害を負った。姿の見える敵に対しては大きな力を発揮する大軍事力も、姿の見えない敵に対しては力の発揮のしようがない。このためにアメリカは国家安全保障省を設立してテロ攻撃に備える事になった。

敵の姿が見えないと言うことは、自分以外のすべてを敵とみなさなければならないと言うことであり、アメリカのこのような態度は従来からの同盟国であったNATO諸国とも関係に亀裂が生ずるようになってしまった。NATOはアフガニスタン戦争には協力しているが、イラク戦争には限られた国の協力しかえられていない。

9・11テロのアメリカがなぜイラク侵攻に踏み切ったのかは理由が二転三転してはっきりしないからですが、同盟国もアメリカのご乱心に疑心暗鬼となり真意を測りかねているような状況になってしまった。イラク戦争の協力していた多国籍軍も次々撤退していってイギリスも撤退を始めた。

イラク国内のテロも完全に制圧することは不可能であり、テロを制圧するには数十万の大軍を駐留させるか、完全に撤退するかの方法しかない。そもそも軍事組織がテロを制圧するのはお門違いなのですが、テロを制圧するのは市民の間に入っていける警察組織であり、軍隊のすべき事ではない。

アメリカはサダム・フセインの逮捕で済ませればよかったのでしょうが、従来からの軍事組織や警察組織まで解体してしまった。戦後の日本においても軍を解散させて憲法まで改正させた。そのために60年以上経った現在までも日本には軍隊は存在せず憲法も占領時代のままだ。イラクと違う事はアメリカ軍に対するテロ攻撃が無いことですが、日本人はイラク国民より腰抜けなのだろう。

アメリカが圧倒的な経済力と軍事力を持っている限り、逆らってみたところで敵わないから日本人はゲリラ的な抵抗運動はしないのでしょうが、ヨーロッパはドイツが統一できた事でEUを結成して、少なくともアメリカを上回る経済力と規模を得る事に成功した。ブレジンスキーもそれを認めているがEUの将来には懐疑的だ。

従来のアメリカならばEUをひねり潰すぐらい簡単な事でしょうが、現在のアメリカにはその力はないようだ。ドルとユーロの覇権争いもアメリカにとっては致命傷になりかねないのですが、田中宇氏によればアメリカは一極覇権主義から多極覇権主義へ切り替えているように見ている。EUもその一極でありロシアや日本もその一極になるのだろうか。

アメリカがいかに超大国だからといって、アメリカ一国で世界の警察官となるのは荷が重過ぎる。強大な軍事力もイラク戦争を見れば分かるようにアメリカの軍事力は歪なものであり、イラクのような2200万足らずの小国も完全制圧する事は不可能だ。

歴史を見ても、ローマ帝国もモンゴル帝国も10万程度の強力な軍事組織を持ち、辺境には少数の駐屯部隊を置いて、属国は反乱を起こせば強力な軍隊によって徹底的な鎮圧することによって広大な帝国を支配してきた。だから多極主義とはいっても軍事的な覇権は手放すつもりはないだろう。

アメリカから見れば、各国の軍隊は地域の治安を維持する程度のものであり、アメリカを脅かすような軍隊は許すつもりはないだろう。しかしイラクに直接アメリカ軍が介入して治安維持もままならない姿を見るとアメリカ一国による世界覇権も崩れ去ったかのように見える。大英帝国もボーア戦争で戦力の限界を見せつけられた事が帝国の転機となった。

ブレジンスキー氏はアメリカの戦略家ですが、『孤独な帝国アメリカ』という本を読んでもアメリカの驕りのようなものを所々で感ずる。あるいは強がりなのかもしれない。ブレジンスキー氏はイラク戦争にも反対の立場でしたが、アメリカの軍事力の限界を知っていたからかもしれない。

EUから見れば中東は地続きの隣接地域ですが、アメリカから見れば地球の裏側だ。そこにしか十分な石油がないとすればアメリカとEUにとっての避ける事ができない支配権を争う場になるだろう。アメリカはイスラエルと同盟を組んで勢力の拡大を目指してアラブ諸国から反発を受けている。それを力で抑え込んでいますが、イラクで失敗すればアメリカはイスラエルと共に運命を共にしかねない。

ブレジンスキー氏はバラク・オバマ次期大統領の有力な戦略顧問ですが、イラクからアメリカ軍が撤退した後の構想はどのように描いているのだろうか? 『孤独な帝国アメリカ』は2003年の本だから読んでもわからない。しかしアメリカと言えどもEU諸国や日本の協力なしには現在の地位を保つ事は不可能だ。
 

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