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国連を乗っ取る反米諸国(田中宇の国際ニュース解説)
http://www.asyura2.com/08/wara4/msg/256.html
投稿者 近藤勇 日時 2008 年 9 月 28 日 17:34:01: 4YWyPg6pohsqI
 

田中宇の国際ニュース解説 2008年9月28日 http://tanakanews.com/

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★国連を乗っ取る反米諸国
━━━━━━━━━━━━━

 9月16日、ニューヨークのウォール街で大手金融機関が連続破綻し、経済
に関するアメリカ中心体制の崩壊が始まった日、ウォール街から6キロほど離
れた国連本部では、政治に関するアメリカ中心体制の崩壊を宣言するかのよう
な、国連総会の新議長の演説が行われた。

 この日、国連では年次総会が開始され、ニカラグアのミゲル・デスコト・ブ
ロックマン元外相(Miguel d'Escoto Brockmann)が、総会議長に選任された。
ブロックマンは就任演説で「安保理事会の中には、戦争中毒の国(アメリカ)
がおり、世界の平和と安全を脅かしている」「(米軍のイラク)侵攻によって
120万人もの人々が殺された」と、アメリカを酷評した。
http://www.voanews.com/english/2008-09-17-voa7.cfm

 国連総会の議長任期は1年間で、ブロックマンはこの1年間で国連改革を進
め、「拒否権」など絶大な権力を持っている安保理の常任理事国(米英仏露中)
の権限を減少させ、代わりに全加盟国が出席する総会の権限を拡大することで、
国連を「民主化」したいと言っている。彼はまた、発展途上国に対して借金取
り的な財政緊縮政策を強要してきた、米欧が支配する組織であるIMF(トッ
プは必ず西欧人)と世界銀行(トップは必ず米国人)を改革したいとも表明した。
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUSN1630800820080917

 1960年代に非同盟諸国の運動が世界的に活発化して以来、国連では、発
展途上国が結束し、欧米(米英)による世界支配や、米ソ2極的な覇権体制を
非難する動きが続いてきたが、ほとんどの動きは、途上国側が分裂させられて
沈静化して終わっている。今さら、たまたま国連総会の議長に中南米の反米論
者が就任して1年ほど騒いだところで、具体的な変革など何も起きるはずがな
いと考えるのが常識かもしれない。

 しかし私が見るところ、ブロックマンの国連総会議長への就任の裏には、世
界的な策略がある。ベネズエラ、ブラジル、イラン、ロシア、そしておそらく
中国までが絡んだBRIC+反米諸国という「非米同盟」による、米英中心の
世界体制を変えようとする多極主義的な策略である。今この策略が加速してい
るのは、金融危機による米国の経済覇権崩壊との相乗効果を狙ったものだろう。

▼国連総会新議長の裏にベネズエラのチャベス

 ブロックマンの母国ニカラグアは、1910年代から事実上アメリカの植民
地だったが、1960年代にキューバ革命の影響を受け、米からの自立を目指
す左翼のサンディニスタ民族解放運動(FSLN)が始まった(サンディニス
タの語源となったサンディーノは1930年代の反米左翼運動家)。ブロック
マンはカトリック神父だったが、この左翼運動に参加し、79年にサンディニ
スタが右派のニカラグア政府を倒し、議長のダニエル・オルテガが大統領にな
ると、外務大臣に任命された。その後、サンディニスタは分裂したが、ブロッ
クマンはオルテガを支持し、冷戦終結の影響で左翼のオルテガが選挙に負けて
下野した90年まで、ブロックマンは外相を続けた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Miguel_d%27Escoto_Brockmann

 その後90年代のニカラグアは、米が推進する世界的な経済自由化の中で、
経済改革を進める右派政権が続いた。だが、911後、米が単独覇権主義を掲
げ、中東や中南米などの反米勢力に対する威嚇を強め、その挙げ句にイラクと
アフガンの軍事占領に失敗し、それでも米が軍事依存の強硬姿勢を貫いたため、
中南米では反米感情が高まり、ニカラグアでは2006年の選挙でオルテガが
再選され、16年ぶりに大統領に返り咲いた。

 オルテガが大統領に復活した裏には、ブッシュ政権の過剰な過激政策による
反米感情の高まり以外に、南米ベネズエラの反米的なチャベス大統領が、中南
米の全域に反米政権を増やして連携しようとする策略を02年ごろから展開し
ていたことがある。チャベスは、ベネズエラの豊富な石油収入の一部をオルテ
ガ陣営に流し込んだうえ、オルテガが勝ったらベネズエラはニカラグアに石油
をツケ払いで売ると約束した。チャベスは、同様のやり方で05年末のボリビ
アの大統領選挙にも関与し、反米的なエボ・モラレス大統領の当選に手を貸した。

 このほか、昨年秋に就任したアルゼンチンのキルチネル政権も反米的な色彩
があり、ブラジルのルーラ・ダシルバ大統領も、最近は米を突き放したような
発言が目立つ。アルゼンチンとブラジルは最近、両国間の貿易決済に米ドルを
使うことをやめると決めた。中南米全体の反米傾向の中、中南米諸国は、今回
の国連総会議長の選出にあたってニカラグアのブロックマンを結束して推挙し、
当選させた。
http://www.iht.com/articles/ap/2008/09/07/business/LA-Brazil-Argentina.php

▼中南米の反米感情を煽る米のボリビア潰し

 中南米全体を反米化しようとするベネズエラのチャベスの策略に対抗する策
略として、米政府は、ボリビアで盛んになっている分離独立運動を支援した。
ボリビアは、先住民(インディオ)が多いアンデス高地と、比較的裕福な白人
系が多い東部平地の2つの地域からなり、国家財政の多くは、東部の天然ガス
田からのガス産出で賄われている。東部では、自分たちの地域にあるガス田で
稼いだ金が、高地の先住民に奪われているという不満がある。史上初めての先
住民大統領であるモラレスが06年に就任し、ガス田からの国家収入を先住民
ら貧困層に再分配する戦略を開始したのを受け、東部の不満が拡大し、そこに
米国務省による扇動作戦が加わって、東南部の分離独立になった。
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/08/27/2003421484

 ボリビア政府は先日、駐ボリビア米大使のフィリップ・ゴールドバーグ
(Philip S. Goldberg)をスパイ容疑で追放した。ゴールドバーグは昨年に駐
ボリビア大使になる前は、コソボの米代表事務所の責任者で、コソボの軍事組
織KLAがセルビアから独立できるようにするための軍事諜報・行政技能など
の訓練を監督していた。この調教技術をそのまま使い、ゴールドバーグはボリ
ビア駐在のCIAを指揮して東部平地の右派勢力を調教し、モラレス政権の中
央政府からの分離独立運動をテコ入れしていたが、この策略がばれて追放された。
http://www.uruknet.de/?p=m47392&hd=&size=1&l=e

 バルカンから中南米に移転したゴールドバーグの策略は、国務省の諜報部門
を統括しているジョン・ネグロポンテが立案している。ネグロポンテは80年
代にニカラグアのサンディニスタ政権を潰すため、右派ゲリラ「コントラ」を
調教し、その際にイランに秘密裏に武器を売った資金を使ったため、86年の
「イラン・コントラ事件」で訴追され、パパブッシュに恩赦された経歴を持つ。
現ブッシュ政権でネグロポンテは、チェイニー副大統領の側近として政権中枢
に返り咲き、パレスチナで内戦を起こすと言ってハマスを強化してしまったり、
レバノンでのイスラエルとヒズボラの戦争を誘発したり、イラクで内戦を起こ
すと言ってイラン傘下のシーア派組織を強化したりと、チェイニー流の自滅的
やりすぎ戦略を展開している。
http://tanakanews.com/c0521venezuela.htm
http://tanakanews.com/070327GOP.htm

 中南米諸国は1950−80年代、米国による軍事諜報の策略を使った支配
を受け、暗い混乱の時代を過ごした。今また、米当局は、中東各地で展開され
たゲリラ支援策と、コソボで行われた分離独立扇動の策略と同種のものを、ボ
リビアでも開始している。これを見て、中南米諸国の政府は一気にアメリカに
対する警戒感を強め、先日チリのサンチアゴで開かれた中南米サミットでは、
全会一致でボリビアのモラレス政権を支持する決議を出した。露骨な米国非難
ではなく、米が敵視するモラレスを支持することで、やんわりと米に警告を発
した。
http://fairuse.100webcustomers.com/itsonlyfair/latimes0490.html
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2008/09/17/2003423442

 モラレスは今回、NYでの国連総会に出席し、改めて中南米諸国の指導者た
ちから支持された。中南米全体が、米国の外交戦略に対する警戒感を強める中
で、サンディニスタのブロックマンのような反米左翼人士が、中南米を代表す
る形で国連に送り込まれてきたのは不思議ではない。
http://therealnews.com/t/index.php?option=com_content&task=view&id=31&Itemid=74&jumival=2401

▼ボリビアの仕返しをコソボで果たす?

 ブロックマンが国連総会の議長に就任して最初の数日間に手がけたことの一
つに、セルビアが求めてきた、コソボ独立の合法性を国際司法裁判所で再検討
してほしいという要請を、総会で決議する決定を下したことがある。コソボは
今年2月に独立宣言し、欧米などが認めるまで、セルビアの一つの州だった。
セルビアは、セルビア国民の了承を経ず一方的にコソボが独立したのは違法だ
と主張している。同じスラブ人の国としてセルビアと仲が良いロシアもコソボ
独立に猛反対し、BRICの仲間である中国やインド、その他の途上国の多く
もコソボ独立に反対している。192の国連加盟国の中で、コソボ独立を支持
したのは、米と同一歩調をとらざるを得ない米欧日先進国など42カ国にすぎない。
http://timesofindia.indiatimes.com/India_to_support_Serbias_stand_on_Kosovo_in_UN/articleshow/3510467.cms

 国連総会で、セルビアの要請に基づき「コソボ独立の合法性を国際司法裁判
所で精査してもらった方が良いと思うか」と問えば、過半数が賛成して要請は
総会の意志決定として成立する。国際司法裁判所では、コソボ独立はセルビア
側の承認を受けていないので違法だとの結論が出る可能性が大きい。米国がロ
シアの影響圏にくさびを打ち込もうとして進めたコソボ独立は、国連によって
取り消されるかもしれない。これは「コソボ方式」でボリビアを分裂させよう
とする米政府に対する、中南米左翼とロシアの連携による仕返しでもある。
http://www.balkaninsight.com/en/main/news/13226/

 中南米の左翼は最近、ロシアとの連携を強めている。ニカラグアとベネズエ
ラとキューバは、グルジアから分離独立してロシアが国家承認した南オセチア
とアブハジアの独立を承認した。ベネズエラはロシアとカリブ海で合同軍事演
習を挙行し、冷戦終結以来約20年ぶりにロシアの軍艦や軍用機が、米国の裏
庭であるはずの西半球(南北米州)に立ち入った。ロシアの石油ガス会社であ
るガスプロムが、ベネズエラの海底油田開発事業に参画することも決まった。
http://wiredispatch.com/news/?id=328180
http://www.atimes.com/atimes/Central_Asia/JI25Ag01.html
http://ap.google.com/article/ALeqM5iHvE2zvwkZUbF3qqvLMu7g5-H2XQD93DVBAG0

 中南米諸国は80−90年代、財政難に苦しみ、米国の政府や金融界、IMF
などから金を借りる条件に、徹底的な民営化や市場原理主義を「ワシントン
・コンセンサス」「米英式モデル」として押しつけられ、苦労した。しかし今、
米の金融界は破綻し、米政府は市場原理主義とは正反対の金融大救済を進めて
いる。「もはや米国は、途上国・新興市場国に対して偉そうに市場原理主義を
押しつける権利はなくなった。今後の途上国は、自分たちの独自のやり方で経
済政策を進める」という趣旨の発言が、ブラジルやアルゼンチン、中国などの
政府関係者から発せられている。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=aCl7bFUJzWRk
http://www.brazzilmag.com/content/view/9933

 これからの米国の崩壊期、中南米は100年の念願だった米国からの自立を
実現できるチャンスである(同様のチャンスは日本にもあるが、自立したいと
思う覇気がなさそうな日本人は、これをチャンスと思わず、むしろますます耳
や目をふさいで自閉しそうだ)。米の金融破綻は、中南米にはあまり波及して
いない(日本にも)。中南米は、ロシアや中東、中国などの諸国との経済関係
を強め、経済的にも米から自立できる。ベネズエラのチャベスやボリビアのモ
ラルス、ニカラグアのオルテガらは、反米左翼的なポピュリズムを使って、中
南米を米国から自立させる大構想を進めている。チャベスは先日、北京を訪問
し、中国とともに世界の多極化を進めると宣言した。
http://www.plenglish.com/article.asp?ID=%7BBDFCFDE0-29A5-4F49-9613-A153EC0F7EF5%7D%29&language=EN

 米金融が崩壊したら、基軸通貨ドルが下落して国際決済もできず、中露や中
南米や産油国などの非米同盟も大損害を被り、米から自立して発展することは
できないと思う人が多いかもしれない。しかし、ドル以外の諸通貨を使う国際
決済は、やや不便だが可能だ。金融で大儲けできた米英式のレバレッジ金融シ
ステムは崩壊したのだから、欧米自身、預金を集めて融資する昔ながらの非効
率な銀行システムしか持っていない。金融経済をめぐる欧米の優位は失われて
いる。金融以外の分野となると、製造業や資源エネルギーの分野があるが、こ
れらはすでに欧米ではなく、中国や中東、ロシアなどに握られている。金融の
崩壊は、経済面での欧米優位の喪失と、BRIC+産油国という非米同盟の台
頭を意味する。

▼イランの優勢、イスラエルの不利

 話を国連に戻す。ニカラグアのブロックマンが国連総会議長になった後、国
連で新たに噴出しているテーマは、ほかにもある。「パレスチナ問題」「イス
ラエル非難」である。国連の安保理事会では9月26日、アラブ諸国の提案で、
イスラエルによるパレスチナ占領地での入植地拡大を非難する決議が採択され
た。シオニスト右派が強硬に進めている入植地拡大は、パレスチナ和平交渉の
進展を阻害しており、イスラエル政府自身、入植地の撤去を試みているが、撤
去を実行するイスラエルの軍や住宅省が右派に乗っ取られており進まない。

 シオニスト右派に味方するブッシュ政権のライス国務長官は「非難すべきは
(イスラエルではなく)、核兵器開発を強行し、イスラエルを抹消すべきだと
発言しているイランの方だ」と演説し、会場の失笑をかった。
http://afp.google.com/article/ALeqM5iLYIg4dugLw81PFfSCi2O5ie7HVQ

 イランのウラン濃縮は低濃度で、核兵器ではなく原子炉燃料用であることは、
IAEAが再三にわたって認めており、IAEAは今夏またイランを査察し、
問題は認められなかったという報告書を出している。中東で400発の核兵器
を隠し持っているのはイスラエルの方だ。イランのアハマディネジャド大統領
が以前「イスラエルを抹消すべきだ」と発言したというのは、2年前から一人
歩きしている誤報で、アハマディネジャドは「イスラエルはパレスチナ人の怒
りによって潰れるだろう」という、まっとうな予測をしただけである。
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/JI12Ak01.html
http://www.antiwar.com/orig/norouzi.php?articleid=11224

 ワシントンの米政界では、イラン敵視が依然として強いが、ニューヨークの
国連総会では、今や欧米日以外の国々の多くが、イランより米英イスラエルの
方が世界の平和と安定をぶち壊していると考える傾向を強めている。西欧の世
論も、米イスラエルの横暴への反感を強めているが、こんな状況になっても米
政府自身は、非現実的な単独覇権的な態度を変えず、ますます外交的信頼を喪
失している。これが金融崩壊・財政悪化による経済的信用の喪失と同時に起き
ていることがポイントだ。

 この状況下、今夏のグルジア戦争以来、米から敵視されているロシアは「本
当はイランは悪くないが、世界最強の米につき合ってイラン制裁に参加する」
という従来の方針をやめて「グルジアを扇動してロシアと戦争させるブッシュ
政権には協力しない」という姿勢に転じ、イラン制裁について協議する安保理
常任理事国+ドイツの「P5+1」の会議を欠席した。ロシアの姿勢に中国も
同調して欠席した。中露が欠席しても形だけ制裁案が決議されたものの、国連
のイラン制裁は事実上、破綻した。
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/3081271/Russia-forces-West-to-go-it-alone-against-Iran-nuclear-programme.html

 グルジア戦争後、反米のロシアと、米と対立したくない中国の間に亀裂が入
ったとの見方が欧米日にあったが、間違いだということが確定した。以前から
米英は、国連を動かして、反米的な国に核兵器疑惑や人権問題で過大な言いが
かりをつけて潰そうとする動きをしていたが、この米英の動きに対し、中露が
結束して反対する傾向は、昨年初めに安保理のミャンマー制裁案に対して中露
が合同で拒否権を発して以来、続いている。中露は隠然と結束しつつ、米英の
不正な世界支配を阻止する動きを強めている。
http://tanakanews.com/070118UN.htm
http://www.atimes.com/atimes/China/JI06Ad01.html

 今後、米経済が破綻し、経済面で米にへつらう必要がなくなると予測される
から、中露はしだいにはっきりと、米英覇権への拒否を強めるだろう。同時に
中露は、反米的な自立志向を強める中南米諸国や、イスラム世界からの支持を
強めて地域大国として台頭するイランとの連携を強めている。全体として、多
極的な世界への移行が加速する。イランやベネズエラは、1950−60年代
に国際社会を席巻した「非同盟諸国」の体制の復活を模索している。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=68734§ionid=3510304

 国連の人権理事会は9月24日、ある国が他の国を、国連の決定なしに制裁
することを禁止する決議を下した。これは、イランやキューバ、シリアなどに
対し、国連決議を経ない制裁を科している米国の行為を非難したものだ。国連
内で加盟国に対する強制執行権を持っているのは安保理事会だけで、人権理事
会が米国を非難しても、それは言葉だけである。しかし、米国による制裁は間
違ったことなのだという世界的な善悪観が、これで強まった。人権理事会では
イスラム諸国の力が強く、以前からイスラエル非難決議を何回も出している。
http://www.cubanews.ain.cu/2008/0924drechoshumanos.htm

▼はがされるシオニストの化けの皮

 イランのアハマディネジャドは今回の国連総会に出席し、米の覇権主義を非
難する演説をおこなった。演説後、ブロックマン総会議長はアハマディネジャ
ドを抱擁して絶賛を示した。これを見たイスラエル代表は「新総会議長はイス
ラエル嫌悪者だ」と非難したものの、イスラエルはイランとの戦いにおいて、
どんどん不利になっている。ブロックマン議長は、アハマディネジャドとチャ
ベスを中心に連携を強める中南米とイランの反米連合の一員である。この連合
に中露も加担し、国連でのイラン制裁は無効化された。

 今後、イスラエルとシオニストが世界の人々に信じ込ませてきた歴史的「事
実」に対する化けの皮も、しだいにはがれていくかもしれない。その一つは
「ホロコースト」についてだ。アハマディネジャドは先日の訪米時、CNNの
インタビューで、シオニストはホロコーストについての調査や議論を妨害して
いるが、これはきちんと調査されるべきだと、以前からの持論を述べている。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=70415§ionid=351020101

 もう一つは「ハザール」をめぐる話だ。ユダヤ人の大多数をしめる「アシュ
ケナジ(ドイツ系)」の人々は、8世紀ごろ今のロシア南部に存在していたハ
ザール王国がユダヤ教に改宗した時の国民の末裔であり、古代イスラエルとは
何の関係もない人々だという説がある。これに対し「すべてのユダヤ人は古代
イスラエルから追放された人々の末裔なので、イスラエルに戻る権利がある」
と主張するシオニストたちは「ハザール王国の話は、反ユダヤ勢力によるでっ
ち上げだ」と主張し、世界のマスコミや言論人の多くは、シオニストからヒス
テリックな攻撃を受けないよう、ハザールのことに触れないようにしてきた。

 しかし今回、ロシアのユダヤ人協会(プーチン派)が金を出し、ハザールの
首都があったとおぼしきカスピ海岸のボルガ川河口地域を念入りに発掘したと
ころ、ハザール王国の首都(イティル)の城塞の遺跡が出土した。城塞の三角
形の形などから、イティルである可能性が高いと結論づけられたと報じられている。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1023383.html

 ハザール王国の存在が確認されれば、イスラエル国民の大半を占めるアシュ
ケナジは、ダビデの子孫ではない可能性が高まり、イスラエルに住む歴史的正
当性を失いかねない。ロシアのユダヤ人会議はプーチンと親しい露財界人がト
ップで、シオニスト右派が牛耳る米国のユダヤ人会議と大喧嘩して対立してい
る。彼らがハザールの遺跡発掘に金を出したのは、シオニスト右派の策略を潰
すためだろう。

 遺跡が本当にハザールの首都なのか疑問は残るが、そもそもイスラエル建国
時にタイミング良く発見された「死海古文書」など、イスラエルで発掘されて
「建国の歴史的正当性」となった遺物の多くはニセモノかもしれず、遺物ので
っち上げを相互に使った政治的な戦いと見ることもできる(死海古文書は長く
非公開だったが、最近、写真だけ公開された)。イスラエルの歴史見直し論者
(リビジョニスト)の中には「旧約聖書の内容もほとんど作り話だから、聖書
を元にイスラエルの建国を正当化するのも見当違いだ」と言う人もいる。
http://www.rense.com/general81/iuvnt.htm

 ハザールの遺跡を発掘してシオニストの神話を崩壊させようとする試みは、
これまで主にアラブ側で行われてきた。だがアラブ人が主導して調査しても、
世界のマスコミに無視され、成功しなかった。やはり世界の重要案件は、最後
は「ネットワーク」を握るユダヤ人どうしの暗闘によって決まるようだ。似た
ような構図を持つ地球温暖化問題も、いずれ化けの皮がはがされるかもしれない。

 イスラエル政界では、パレスチナとの和平を推進できるかもしれないリブニ
外相が党内選挙に勝ち、首相になりそうだが、国際情勢はますますイスラエル
に不利になっている。半面、アハマディネジャドのイランはますます台頭して
いる。国連事務総長の潘基文は、国連総会に出席したアハマディネジャドと会
談し、イラクやコーカサスの安定化のためにイランが貢献していることを高く
評価した。すでに国連では、イランは自国周辺の国際情勢を安定させる「良い
国」として評価されている。
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/JI25Ak04.html

 コーカサス地域(グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン)では、周辺に
位置するロシア、トルコ、イランが協調し、新たな安定化策が模索されている。
これが成功すると、この地域への欧米の影響力が大幅に減る。米英がロシアや
イランを不安定化させるために行っていた策略も不可能になり、コーカサスは
安定する。これも画期的な動きだが、すでに今回の記事は非常に長くなってし
まったので、この件は改めて詳述したい。

 国連が反米諸国に乗っ取られ、国連を使って国際問題をでっち上げていた英
米の支配力が低下することは、国連が世界の諸問題を本当に解決できる機関に
変身できる可能性を秘めている。


この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/080928UN.htm

★音声訳
http://www.voice-news.net/
 

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