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新型インフルエンザについてのコロンビア大学などの予備的分析結果について(Sasayama's web
http://www.asyura2.com/09/buta01/msg/360.html
投稿者 kamenoko 日時 2009 年 5 月 04 日 14:00:44: pabqsWuV.mDlg
 

(回答先: H3N2合併結合変異ウイルスを生んだのはSmithfield社ではないのかとする推測ブログ(Sasayama's web 投稿者 kamenoko 日時 2009 年 5 月 04 日 13:56:55)

新型インフルエンザについてのコロンビア大学などの予備的分析結果について
(sasayama's weblog)

2009年5月3日

ロイターなど、今朝の一部新聞などに報道されている今回の新型インフルエンザウイルスについてのコロンビア大学研究チームなどの分析結果についてだか、新聞報道では、書き足りない点を、このブログ記事で補足説明しておくと−−−

下記のとおりである。

この研究分析結果は、「Eurosurveillance」のオンライン版に、4月30日付け(Volume 14, Issue 17, 30 April 2009 )で掲載されたものである 。

この記事
「The origin of the recent swine influenza A(H1N1) virus infecting humans」
(V Trifonov, H Khiabanian, B Greenbaum, R Rabadan )
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19193

がそうである。

内容は、下記のとおりである。

一昨日の私のブログ記事「今回のH1N1新型インフルエンザの遺伝子配列」に書いたとおり、すでに、今回の新型インフルエンザについては、NCBIのサイト
「Influenza Virus Resource」
で遺伝子配列が公開されている。

8つ(PB2 PB1 PA HA NP NA MP NS )のセグメントについて、全部のシーケンスが解析されているウイルスは、

Influenza A virus(A/California/04/2009(H1N1))

のみである。

この8つのセグメント一つ一つについて、その相同性(Pct identity)を検証したのが、今回のコロンビア大学のR Rabadan氏などの研究のようである。

では、その一つ一つについて、見てみよう。

@PB2(RNAポリメラーゼ β2サブユニット,RNA polymerase β2)
北米の豚インフルエンザに近い

APB1(RNAポリメラーゼ β1サブユニット、RNA polymerase β1)
北米の豚インフルエンザに近い

BPA (RNAポリメラーゼ αサブユニット、RNA polymerase α)
北米の豚インフルエンザに近い

CHA (ヘマグルチニン、haemaglutin)
北米の豚インフルエンザであるA(H1N1)とA(H3N2)に近い

DNP (核蛋白、nucleoprotein)
北米の豚インフルエンザに近い

ENA(ノイラミニダーゼ、neuraminidase)
ヨーロッパ/アジアのインフルエンザウイルスに近い。
1992年からみつかっているインフルエンザAウイルスに、最も近い。

FMP(マトリクス蛋白、matrix protein)(matrixprotein2(M2)とmatrixprotein1(M1))
ヨーロッパ/アジアのインフルエンザウイルスに近い。

GNS (非構造蛋白nonstructure gene)(nuclearexportprotein(NEP)とnonstructuralprotein1(NS1))
北米の豚インフルエンザに近い

なお、以上にある「北米の豚インフルエンザ」は、豚か、まれには七面鳥に見られるものである。

「北米の豚インフルエンザ」は、1998年に北米でみつかっている新しいH1N1であって、これは、H1N2とH3N2との二つのウイルスからなる合併結合変異ウイルス(reassortant virus)であり、
特記すべきは、その合併結合変異ウイルスを構成する片方のH3N2は、1998年に北米のテキサス、ミネソタ、アイオワで見つかっているもので、こちらのほうは、ヒトと豚と鳥の、三つの宿主から異なる核酸を得る、トリプルの合併結合変異ウイルス(Triple reassortant swine influenza viruses )である。

この経緯については、私のブログ記事「肝心のポイントがまだわかっていないメキシコ・カリフォルニアのH1N1豚インフルエンザ問題」に、やや先走りながら、すでに書いてあるのでご参照ください。

以上のことから、仮に結論付ければ

今回の新型インフルエンザウイルスは、少なくとも、二つの豚インフルエンザを祖先にもつものであり、

そのひとつは、1998年に北米で発見された、ヒトと豚と鳥のトリプルの合併結合変異ウイルス(Triple reassortant swine influenza viruses )である。

ということである。

ただ、今回の新型インフルエンザウイルスが豚から発見されていないということは、それが、サーベイランスの不十分さから起因するものであるのか、それとも、今回の新型インフルエンザウイルスが、ごく最近、合併結合変異によって新たにうまれたウイルスなのかどうか、そのいずれかによるものであると推定される。

以上

付記
1998年に北米で発見された、ヒトと豚と鳥の三つの宿主から異なる核酸を得る、トリプルのH3N2合併結合変異ウイルス(Triple reassortant swine influenza viruses )について

1998年の晩夏から初冬にかけて、北米のノースカロライナ、テキサス、ミネソタ、アイオワの4州にかけて、豚インフルエンザが発生したが、そのうちのノースカロライナのウイルス(A/Swine/North Carolina/35922/98)は、H3N2ヒト・インフルエンザとH1N1豚インフルエンザとの合併結合変異ウイルスであった。

その他の三州(テキサス、ミネソタ、アイオワ)のウイルスは、H3N2ヒト・インフルエンザと、クラシカルなH1N1豚インフルエンザと鳥インフルエンザとのトリプルの合併結合変異ウイルスであった。
( A/Swine/Texas/4199-2/98、A/Swine/Minnesota/9088-2/98、A/Swine/Iowa/8548-1/98)

4州のウイルスとも、HA (ヘマグルチニhaemaglutin)は、1995年から流行しているH3N2ヒト・インフルエンザ・ウイルスであった。

その後、2004年に、Ohio と Illinoisで、七面鳥飼育農家から発見されている。(A/turkey/Ohio/313053/04とA/turkey/Illinois/04)

@1998年のトリプルの合併結合変異ウイルス(ミネソタ、アイオワ、テキサス)について、8つ(PB2 PB1 PA HA NP NA MP NS )のセグメントについて相同性をみてみると

ヒトインフルエンザ由来セグメント
HA (ヘマグルチニhaemaglutin).
NA(ノイラミニダーゼneuraminidase).
PB1(RNAポリメラーゼ β1サブユニット、RNA polymerase β1)

クラシカルな豚インフルエンザ由来セグメント
NP (核蛋白、nucleoprotein).
MP(マトリクス蛋白、matrix protein).
NS (非構造蛋白nonstructure gene)

鳥インフルエンザ由来セグメント
PA (RNAポリメラーゼ αサブユニット、RNA polymerase α)
PB2(RNAポリメラーゼ β2サブユニット,RNA polymerase β2)

A1998年のダブルの合併結合変異ウイルス(ノースカロライナ)について、8つ(PB2 PB1 PA HA NP NA MP NS )のセグメントについて相同性をみてみると

ヒトインフルエンザ由来セグメント
HA,
NA,
PB1

クラシカルな豚インフルエンザ由来セグメント
NS,
NP,
M,
PB2,
PA

鳥インフルエンザ由来セグメント
なし

のようであった。

参考
「Evolution of Swine H3N2 Influenza Viruses in the United States」
「Swine flu genome sequences 」

http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=1012  

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