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石油1バレルで、新たに石油200〜300バレルを獲得できるという、驚異的な拡大再生産能力である。その理由は自噴するからだ
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/156.html
投稿者 TORA 日時 2009 年 10 月 22 日 15:56:35: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu202.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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石油1バレルで、新たに石油200〜300バレルを獲得できるという、驚異的
な拡大再生産能力である。その理由は、高い圧力で自噴するからである。

2009年10月22日 木曜日

◆石油がエネルギー・チャンピオンになった理由 10月22日 石井 彰
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091001/206036/

 既に述べたように欧州、特に英国では、18世紀までに森林資源はほとんど枯渇してしまい、木炭価格は高騰した。特に高熱を必要とする製鉄業や窯業は、熱源を薪炭から、それまで存在は知られていたが、汚いので敬遠されていた石炭に切り替えざるを得なくなった。

 欧州で石造りの家が多くなり、サッカー、ゴルフなどのフィールド・スポーツが興隆したのは、この時代に森林資源が枯渇し、草地が大きく広がったためである。17世紀に英国で発明された、石炭を乾留(かんりゅう)して炭素純度を高めて、より低エントロピー化したコークスは、当然石炭より高価であったが、18世紀初めには製鉄工程の一部に利用され始めた。さらに18世紀後半に反射炉が発明されてから、石炭/コークスのみで鋼鉄の大量製造ができるようになった。

産業革命の核心は「石炭→鋼鉄・蒸気機関→石炭」
 一方で、18世紀のニューコメンやワットの蒸気機関の発明により、石炭は単なる熱源としてだけでなく、強力な動力源として利用され始めた。ワットの蒸気機関は40〜50馬力もあり、往復のピストン運動を利用しやすい回転運動にすることができたので、機械動力として瞬く間に普及した。

 この結果、英国の石炭生産量は、18世紀初頭の300万トン/年から、18世紀末には1000万トン/年に、19世紀半ばには1億トン/年と爆発的に伸び、19世紀末の年間石炭消費量は、薪炭換算で英国全土の森林をわずか4カ月で食いつぶす量に達した。

 薪炭や風水車等と比べた場合、エネルギー源としての石炭の最大の特徴は何だろうか? それは掘り出した石炭を使用して、その何十倍もの石炭を素早く拡大再生産できることである。これは石炭炊きの蒸気機関による動力機械を使用して、採掘、排水、排気を行うことによって、地下深い石炭層の石炭生産の効率を大きく上げることができたことを指す。

 それ以前は、牛馬や水車によって、これらの作業が行われていたが、効率が悪くて深い石炭層の採掘はできなかった。さらに、薪炭に比べると重量当たり3〜4倍の熱量があり、運搬や使い勝手がずっと良かった。これが、石炭のエネルギー源としての低エントロピー性の大きな意味である。

 この石炭→鋼鉄・蒸気機関→石炭という加速度的な相乗効果こそが、産業革命の核心である。そして、生産された豊富な鉄鋼を使用した蒸気機関と機械から、機械繊維産業が勃興していく。

 さらに、1807年の米国のフルトンによる蒸気船の実用化、1830年に英国のスティブンソンの蒸気機関鉄道の実用化へ発展し、新大陸やアジアとの間の、豪州の歴史家ブレイニーの言うところの「距離の暴虐」が雲散霧消し、英国の工業製品を売りさばく世界市場が出現して、英国は世界の工場となっていく。(中略)

「石油の一滴、血の一滴」
 一方で、この石油は、第一世界大戦直前に軍艦の燃料に使用され始め、急速に軍需物資の色彩を強めていく。石炭燃料の軍艦に比べて、石油燃料の軍艦は燃料庫を大幅縮小できて、武器や戦闘員の積載量を増加させ、かつ航続距離を数倍に伸ばし、燃料積み込み時間も大幅短縮したので、軍事的に圧倒的に有利であった。

 当時の英国海軍大臣チャーチルの英断で、当時世界一を誇った英国海軍が一斉に石油動力に転換していった。当然、各国海軍も対抗上右へ倣えとなり、一般商船も次第に石油に転換していった。

 同じ時期に、ガソリン燃料の内燃機関は航空機の登場と急速な発展につながり、爆撃機とそれを阻止する戦闘機が開発された。その結果、第1次世界大戦時のフランスの宰相クレマンソーをして、「石油の一滴、血の一滴」との名言を吐かせることになった。

 その後、トラックや戦車の発展によって、石油はさらに軍需物資としての重要性を増した。しかし、第2次世界大戦前の段階では、中東での石油発見はまだ本格化していなかったため、石油生産の7割は米国が占めていた。輸出可能な産油国も10指に満たず、その国際貿易は米英蘭のメジャー石油会社、いわゆる7シスターズの国際闇カルテルに完全支配されていた。そのため、1941年に中国占領と仏印進駐への懲罰として、米国の石油禁輸措置とABCD包囲網にさらされた日本は、軍艦・軍用機用の石油を確保できなくなり、自暴自棄的な真珠湾奇襲と石油確保のためのスマトラ島奇襲で太平洋戦争を開始した。

 第2次世界大戦後は、中東で次々に最大規模の油田が発見されたことに伴い、石油は軍需用の希少資源から豊富低廉な民需用資源に代わり、その結果、発電、工場の熱・動力源、民生用自動車の燃料として爆発的に利用されるようになり、石油時代が到来した。

あまりにも優れたエネルギー源「石油」
 石油があまりにも優れたエネルギー源であったために、1950年代から70年代にかけて石炭を急速に主役から駆逐してしまった。結果、世界のエネルギー源の中で石油のシェアが、6割近くと高くなりすぎた。

 これによって、中東産油国が強気になって発生したのが、1970年代の一連の石油危機である。石油危機とは、要するに石油価格の大幅値上げである。このため石油消費国が、今度はこぞって産業・発電用エネルギー源を天然ガスと原子力に切り替えていったのである。この結果、現在では世界のエネルギー消費の中での石油のシェアは約4割まで落ち、今や発電には石油がほとんど使用されなくなったが、依然としてNO.1チャンピオンのエネルギー源である。

 そもそも、石油はなぜエネルギー源のチャンピオンなのだろうか?

エネルギーを解説した本やサイトは、掃いて捨てるほどあるが、この点を的確に説明しているものは意外に少ない。

 その理由は、まず産出された石油の持つエネルギー量と石油を産出するのに必要なエネルギー量の比率(産出/投入比)が、200〜300倍と桁はずれに効率が良いことだ。

 つまり、石油1バレルで、新たに石油200〜300バレルを獲得できるという、驚異的な拡大再生産能力である。その理由は、石油が通常高い圧力で自噴するからである。

 さらに、同じ体積・重量で石炭のほぼ2倍の熱量があり、同じ体積で水素の3000倍、天然ガスの1000倍の熱量がある(1気圧下)からである。しかも、常温常圧下で液体であり、揮発性も高くないので、どんな容器でも貯蔵、輸送が可能であり、消費現場でも出力調整が極めて容易である。

 環境負荷的にも、石炭に比べると、産出現場でも消費現場でも汚染物質排出ははるかに少なく、またCO2排出量も2〜3割程度少ない。この結果、石油製品の販売価格、すなわち使用価値に比べて生産・精製・運搬の平均コストが1/5程度と極めて小さく、結果として世界全体の石油産業で、ほぼ日本や中国のGDPに匹敵するほどの「レント」、すなわち粗利益を生み出す。

 このほとんどは、産油国と消費国の石油税やガソリン税などの税収となる。これほど莫大な富を生み出す産業は他にない。このように石油は、圧倒的に優れた低エントロピー・エネルギー源である。

 これらの点のほとんどで、石炭、天然ガス、原子力はずっと劣る。特に石炭は、資源量の豊富さを別にすると、石油より優れた点が全くなく、特に燃焼時の汚染物質の排出が大問題であった。

 かつて、欧州などを砂漠化の危機から救った石炭は、煙の中に黒い微粒子と亜硫酸ガスを大量に含んでいたので、大量に使用した場合に湿度が高くなると、微粒子を核にして容易にスモッグが発生した。

 例えば、1952年のロンドンでは、この石炭起源のスモッグによって、喘息など呼吸器疾患が深刻になり、1日で4000人が死亡する大スモッグ事件が発生している。かつて、「霧のロンドン」という、一見ロマンティックなキャッチフレーズがあったが、実はスモッグのことであって、ロマンティックどころではなく、生命の危険さえあったのだ。現在のロンドンでは、石炭が石油と天然ガスによって大半駆逐されたため、霧はめったに発生しなくなった。今、中国でかつての英国と全く同じプロセスが進んでいる。

 だから、第2次大戦後に石炭から石油にチャンピオン・エネルギー源が短期間でシフトしたのである。(後略)

(私のコメント)
「株式日記」では石油に代わるエネルギー源はないと書いてきましたが、天然ガスや原子力エネルギーは石油よりも効率で劣る。だから石油の枯渇は文明の興亡にも影響が及ぶものであり、石油の帝国であるアメリカの運命は石油を確保できるかにかかっている。第二次世界大戦もドイツや日本は石油をもっていなかったから負けたのであり、米英が強かったから勝ったわけではない。

大英帝国が世界の覇権国となったのも石炭エネルギーがもたらしたものであり、英国は石炭と鉄鉱石が豊富だった。石炭と蒸気機関は鉄道を動かし繊維産業に革命をもたらした。日本が明治維新が迎えられたのも石炭が日本にもあったからであり、蒸気機関車が日本全国を走り始めた事が原動力になっている。

しかし石油が大量に発見されてガソリンエンジンが実用化されることで、ガソリンエンジンの自動車の時代が来て、石油を産しない英国は衰退してアメリカが英国に代わって世界の覇権国となった。アメリカには国内に巨大油田が存在して、中東はまだ本格的な石油を産出していなかった。そのアメリカから日本は石油や屑鉄などを輸入していたのですが、それが止められてしまえば日本は一巻の終わりだ。

石油は軍需物資として必要不可欠なものであり、石油が無ければ戦車も飛行機も動かない。アメリカの軍事超大国化は石油によって支えられている。石油は石井氏の記事にも書いてあるように石油1バレルで、新たに石油200〜300バレルを獲得できるという、驚異的な拡大再生産能力である。つまり地中から黄金が湧き出てくるようなものであり、石油が無ければアメリカはただの農業大国に過ぎなかっただろう。

石井氏はさらに石油枯渇論も触れていますが、「株式日記」では2004年ごろに世界のオイルピークが来たと書いてきました。ほとんどアメリカのイラク侵攻と時期が一緒なのは文明論の皮肉ですが、アメリカはイラクの石油目当てで戦争を仕掛けたのだ。日本の戦後の繁栄も中東からの安い石油が入ってきたからであり、もし中東から石油が来なくなれば日本は江戸時代に戻る事になる。

石油は探せば油田はまだまだ見つかるのでしょうが、小さな油田であり汲み出すのに高いコストがかかる油田ばかりだ。100億バレルを越すような巨大油田は60年代以降は発見されず、ブラジルで発見された海底油田は6000メートルも掘らなければならない。そうなると1バレル100ドル以上しないと採算に合わないだろう。それに対して中国やインドなどが自動車大国となれば石油の価格は高騰する一方だろう。

古代文明にしてもエネルギーになった木を切りつくしたから滅んだのであり、現代文明も石油を掘りつくせば18世紀頃の石炭の時代まで文明は後退するだろう。後世の歴史家から見ればあれほど繁栄したアメリカがどうして急に衰退したかが研究のテーマになるのでしょうが、グローバル経済も石油が支えているのであり、中国で生産された格安商品は石油で動く船で運ばれている。

文明史的に見ればアメリカ的なモータリゼーションは今がピークであり、自動車にのってハイウェイ沿いのショッピングセンターに買い物に行くというライフスタイルは衰退していくだろう。現在の日本では東海高速道路が片道寸断されただけでも大騒ぎになるほど自動車に依存した生活ですが、2,30年も経てば石油の枯渇が急速に進んで物流にも大きな変化が出る。

ヨーロッパで地球温暖化で騒ぎ出したのも、石油の枯渇が予測されているからだろう。鳩山首相が25%CO2削減と言うのも、石油が手に入らなくなれば望まなくともCO2の発生は少なくなるだろう。問題なのは石油に代わるエネルギー源が未だに発見されていない事であり、水素エネルギーも石油に比べると効率が悪くて石油が無いと水素が作れないのが現実だ。


◆今は400年ぶりの文明の大転換期であり、化石燃料文明から太陽エネルギー文明への転換である。アメリカから日本への覇権の移行期にあたる。 2009年5月9日 株式日記
http://www.asyura.com/09/eg02/msg/112.html

古代から中世にかけてはアジアや中東が一番繁栄した時代ですが、薪などが燃料になっていた。だから古代文明は赤道に近い大河の岸辺に出来たのであり、太陽と水が豊富な場所に文明は発生した。太陽と水が豊富なら薪も豊富に取れるから燃料も恵まれていた。ヨーロッパは寒村があるだけで中東のような豊かさは無かった。

ヨーロッパが本格的に豊かになったのは、大航海時代から石炭と蒸気機関が出来た産業革命以来であり、帆船から蒸気船によって海を支配してアジアからヨーロッパに覇権が移ってしまった。アジアには石炭はあったが蒸気機関を作る事が出来ず、産業も交通も遅れをとっていった。アジアで唯一近代化に成功したのは日本ですが自力で蒸気機関を作る事が出来たからだ。

さらに石油の大量発見によって、燃料と交通手段が飛躍的に進歩して、石油の豊富なアメリカが自動車や船や飛行機の活用によって世界的な大帝国となり、20世紀はアメリカの世紀と呼ばれるだろう。アメリカの最盛期は1971年の頃でありオイルショックやニクソンショックがその転機になった。そして2008年までは金融や情報産業で国力を維持してきた。

アメリカのイラク侵攻は石油を獲得する為の戦争ですが、それは最後の悪あがきであり国家の衰退を早めるだけになりそうだ。大銀行の倒産やアメリカを象徴するような自動車会社の倒産は「アメリカの時代の終わり」を象徴するものであり、欧米先進国による化石燃料による文明の黄昏だ。

(私のコメント)
これからの文明がどうなるかですが、限られた石油をいかに効率的に使うかが国家の興亡の切り札になるだろう。それを占う意味では自動車がこれからどんな風に変化するかを見なければならない。現在行なわれている東京モーターショーでは電気自動車やハイブリッドカーが花盛りですが、石油から電気への流れは文明の流れでもある。

アメリカでは国家安全保障戦略の一環として軍隊も脱石油を模索している。ジープなどの軍用車両もハイブリッド化が研究されている。ちょうど蒸気機関の時代から石油機関へ変化のような時代が今起きているのですが、戦車ですら一部電動化されてハイブリッド戦車が作られるだろう。建設機械もハイブリッド化がされてきている。

 

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