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酔いから醒めない(ダイヤモンド オンライン)
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投稿者 あ+ 日時 2009 年 2 月 11 日 17:58:49: 8WlTWJKy3iQ86
 

事態の深刻さを理解できない米国民がオバマ改革の成功を阻む

 最近の米国の情勢を見ていると、米国の有力商社に勤務していた友人の言葉を思い出す。

「米国は、いまだ“バブルの酔い”から醒めていない。米国が本当に思い知るまで、まともな状態に戻らない」

 彼の言葉は、米国経済が抱える問題の一面を的確に表している。

 彼が指摘したのは、多額の公的資金の注入を要請するため、自家用ジェット機でワシントンに行った自動車大手ビッグスリーの首脳陣の態度だ。米国に多額の損失を発生させ、政府の支援がなければ資金繰りさえ立たない企業の首脳陣が、自家用ジェットで議会へ公的資金の要請に行くスタンスは、どう考えてもおかしい。

 それは、バブルに慣れきった米国企業の経営者が、いまだ“バブルの酔い”から醒めていないことを物語っている。
醒めぬ“バブルの酔い”を助長する
ブッシュ前大統領の“負の遺産”

 もう1つ、米国経済が抱える問題は、ブッシュ政権の“負の遺産”だ。具体的には、ブッシュ政権の「パッチワーク=つぎはぎ」の場当たり的政策を意味する。この「つぎはぎの政策」は、いずれかの段階で整理して、説得力を持つ一貫した政策に整理することが必要になる。

 ブッシュ政権は、金融機関が抱える不良資産を買い取るために金融安定化法案を作り、7000億ドルの資金枠を用意した。ところが、実際には、大手金融機関の経営悪化の速度は予想をはるかに上回り、資本注入を行わなければ、すぐにでも破綻する状況に追い込まれた。

 その結果、資金枠は金融機関の資本注入に使われた。さらに、経営危機に瀕したGM、クライスラーなど自動車メーカーへの資金注入にも使うことを余儀なくされた。まさに“パッチワーク”だ。

 オバマ新大統領は、これらの問題を解決して米国経済の建て直しを行なわなければならないが、それは口で言うほど容易なことではない。少しずつ、経済を“バブルの酔い”から醒まし、政策を整理して、人々が納得するような体系にまとめ直さなければならない。そのためには、「時間がかかる」ことだけは間違いない。
金注入を要請するため、自家用ジェット機で議会に乗り込む経営者の態度は、一般納税者から見れば到底理解できない。「何故、貴重な税金で、自家用ジェット機を使うような企業経営者を救済しなければならないのか?」との批判が出るのは当然だ。

 そうした企業経営者に全米から批判が寄せられ、結果的に、ビッグスリーの首脳陣は、自家用ジェット機を諦めることになった。

 だが、「それで米国の酔いは醒めたか」と思いきや、実は必ずしもそうではなかった。
公的資金注入を受けながら
過大な賞与を支払う金融機関

 たとえば、100億ドルの公的資金の注入を受けたかつての投資銀行の1つは、総額40億ドルのボーナスを支払った。単純に考えると、当該金融機関を救済するための公的資金の約4割を、経営者や従業員にボーナスとして支給したことになる。

 ボーナスをもらった方の言い分としては、「会社のために働いたのだから、ボーナスをもらうのは当然」というものだろう。

 しかし、冷静に考えると、公的資金の注入がなければ、当該投資銀行はすでに存続していなかった可能性が高い。多額の公的資金は、経営者たちにボーナスを払うために注入されたわけではない。その金融機関を救済するために注入されたのである。

 これもまた、一般常識からすれば、おかしな行為だ。いまだ“酔い”から醒めていない象徴的な事例といえる。

 このような現状を見てもわかるとおり、“バブルの酔い”から醒めていない経営者を覚醒しない限り、多額の公的資金を使って、企業の再生を行なうことに、国民の賛同は到底得られない。特に、金融というビジネスが身近でない多くの国民は、「今まで多額の所得をもらい、勝手に失敗して危機に瀕している金融機関を救済することはおかしい」と思うはずだ。

 そういう感情を解きほぐせないと、「メイン・ストリートとウォール・ストリートの対立」は一層深まる。対立のあるところで、国民の気持ちは1つにはなれないのだ。

それでは、このような諸問題が発生している背景には、何があるのだろうか? 米国在住の金融専門家の1人は、「今回の危機は、起きたタイミングが最悪だった」と指摘する。それは、テキサスを地盤として、それほど金融に精通していなかったブッシュ大統領の任期切れ直前に、“100年に一度の危機”が発生したことを意味する。 

 金融市場の事情に疎いブッシュ大統領は、任期切れを意識したこともあり、思い切った政策を打ちだすことができなかった。金融安定化法案にしても、事態の深刻化を後追いする格好で突貫工事で作り上げたものだ。

 しかも、金融機関の不良資産の買い取りに使われるはずだった7000億ドルの資金枠は、大手金融機関への資本注入に使われ、さらにはGMなどの救済にも流用された。

 その結果、本来の目的だった「金融機関からの不良資産買い取り」を実施する前に、すでに資金枠の半分を使ってしまった。そのため、ブッシュ政権下では、金融機関から不良債権を分離する作業まで手をつけることはできなかったのである。

 それ以外にも、多くのパッチワークの残骸が残っている。その1つが、GMなど大手自動車メーカーの救済問題だ。すでにGMは6兆円近い債務超過の状態に陥っている。しかも、世界的な自動車需要の極端な落ち込みが、それに追い討ちをかけている。

 その厳しさは、世界最高峰の自動車メーカーであるトヨタ自動車でさえ、大幅な減益に陥っていることを見ても明らかだ。こうした状況下、具体的な打開策がないまま、本当にGMを蘇生することができるのだろうか? 疑問符をつける専門家は多い。

 また、今は注目を集めてはいないものの、問題を抱えた大手金融機関や一般企業は、それこそ枚挙に暇がないほどあるという。それを見ると、解決策の“先送り”は、必ずしもわが国特有の行動ではないことがわかる。

そんななか、金融危機退治への期待を一身に背負ったオバマ新大統領は、今後、難しい舵取りを余儀なくされる可能性が高い。

 ブッシュ政権のパッチワークを整理する目的もあり、オバマ大統領は、近日中に新しい金融再生策を打ち出す予定だ。その背景には、大手金融機関の「経営陣の酔い」を覚醒する狙いもある。資金注入を受ける金融機関の経営者に対しては、報酬額に上限を設定する予定だという。

 そうすることで、公的資金が経営者のボーナスなどに流用されることを避けるわけだが、逆に言えば、そんな手段を取らなければ、経営者の目を覚ますことができないとは、寂しい話ではある。米国の“酔い”は、依然、深刻なのである。

政策発動が遅れるほどに
問題解決への負担は倍加!

 だが、酔いを醒まして政策の再構築を行なわないと、国民が納得してオバマ大統領の政策を支持する基盤を作ることは難しい。圧倒的な支持で就任したとはいえ、すでに「閣僚指名者の納税問題」などが持ち上がっており、オバマ新政権に必ずしも順風が吹いているわけではないのだ。

 そのような状況が続くと、法案の議会通過が難しくなり、同政権の政策運営の余地はごく限られることになる。経済政策案の成立に手間取っていると、米国が現在直面している問題を解決するための手立てが遅れる。

 そして、政策発動が遅れれば遅れるほど、問題は雪だるま式に大きくなり、解決するためのエネルギーも倍加することになるからだ。それは、バブルの後始末に悩んだ1990年台のわが国の例を見ても、明らかである。

 足元の状況を見ていると、米国には事態の深刻さを本当の意味で理解できていない人たちがいる。そうした人々が現実を十分に理解して、“100年に一度の危機”を解決するために力を合わせるまでには、まだ時間がかかりそうだ。

 その間、米国をはじめとする世界経済は、さらに失速する可能性が高い。もしそうなるとすれば、むしろ“米国には頼れない”という意識改革をした方がよいだろう。

 そのような見通しも手伝ってか、現在、経済専門家の間では、「最初に景気回復する地域は、中国やインドなどを中心とする東アジア諸国」との見方が有力になっている。それが実現することを期待したい

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