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進化論と経済学(Open ブログ)
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投稿者 あ+ 日時 2009 年 3 月 18 日 16:58:38: 8WlTWJKy3iQ86
 

2009年03月17日

 進化論と経済学は、似ている。
 特に、「自然淘汰」「市場原理」という原理は、似ている。これらはともに、「優勝劣敗」という概念に基づく。
 ここで注意。両者は、その限界(欠点・失敗点)も似ているのだ。

 ──

 進化論と経済学は、似ている。
  ・ 進化論 …… 「自然淘汰」
  ・ 経済学 …… 「市場原理」

 これらはどちらも「優勝劣敗」という概念に基づく。
  ・ 進化論の「自然淘汰」 ……
     優者が生き残り、劣者が亡びる。すると、全体として進化。
  ・ 経済学の「市場原理」 ……
     優者が拡大し、劣者が退場。すると、全体として最適配分。

 この二つは、どちらもよく似ている。というか、原理はまったく同じだとも言える。(数学的には同じ原理が、二つの分野で表現された、と見なしていいだろう。)

 ──

 これらはどちらも、正しいと言える。ただし、注意。正しいと言える範囲は、限られているのだ。次のように。
  ・ 自然淘汰 …… 小進化のみ    (大進化には不足)
  ・ 市場原理 …… ミクロ経済のみ (マクロ経済には不足)

 このように、「範囲の制限」がある。ところが、そのことを理解できない人々がいる。
 「この概念はこの分野でのみ成立する」
 ということが理解できないで、
 「この概念はあらゆる分野で成立する」
 というふうに拡大解釈してしまう人々がいる。場面Aで成立したから、場面Bでも成立するはずだ、と思い込むわけだ。
 具体的には、次のとおり。
  ・ 古典派    …… ミクロ経済の概念を、マクロ経済に拡大解釈する
  ・ 自然淘汰論 …… 小進化の概念を、大進化に拡大解釈する
 このような拡大解釈(という勘違い)もまた、進化論と経済学で共通する。

 ──

 では、そのような勘違いの結果、どういうことが起こるか? その原理は、経済学では明らかになっているが、進化論では明らかになっていない。そこで、経済学の原理を示した上で、進化論に適用して説明しよう。

 (1) 経済学
 経済学では、この間違いは「合成の誤謬」という言葉で説明されている。( cf. Wikipedia )
 簡単に言うと、次の通り。
 「各人(各企業)が、自己の利益を増やそうとする。その際、全員がそういうことをすると、かえって各人(各企業)の利益は減ってしまう」
 つまり、単純な和が成立しない。プラスをたくさん足し算すると、マイナスになってしまうわけだ。
 具体的には、次の例(a)(b)がある。

 (a)「不況期に、各企業が自社の利益を増やす行動(人員削減)をする。すると、一つ一つの企業は、利益を増やせるはずだが、全員がそうするとかえって企業の利益は減ってしまう」(国全体で総需要が減るので、売上げが減るから。)

 (b)「不況期に、各人が家計を守るために、消費を減らして貯蓄を増やす。すると、かえって個人の貯蓄は減ってしまう」(国全体で総需要が減るので、所得が減るから。)
( ※ このことは、「貯蓄を増やそうとすると、かえって貯蓄が減ってしまう」ということなので、「貯蓄のパラドックス」とも言われている。)

 ──

 ともあれ、このように、「合成の誤謬」という概念が経済学では知られている。
 これは、次のように言い換えることもできる。
 「各人が利己的にふるまうと、かえって自分の利益を減らすことがある」

 このことは、
 「各人が利己的にふるまうと、全体の最適化がなされる」
 という市場原理に反する。つまりこれは、市場原理に対する反例となる。

 (b) 進化論
 進化論でも、このこと(合成の誤謬)は、同じ形で成立する。それが「ミツバチの利他的行動だ。

 ダーウィンは、ミツバチの妹育てという行動を見て、不思議に思った。
 「妹育てをしても、自分の子を残せない。だから、そんな形質をもつ個体は淘汰されてしまうはずだし、そんな形質が残るはずがない。なのに現実には、その形質が残る。これは、自然淘汰説に矛盾する。いったいどういうことか?」
 と。

 しかしこれも、「合成の誤謬」という概念を用いれば、はっきりとする。それが「利全主義」による説明だ。
 詳しくは「ミツバチの利他的行動 4」という項目で説明してある。ただ、ここで簡単に言えば、次の通り。
 「利己的な行動を取るミツバチは、スズメバチに襲われたとき、各人が勝手にバラバラな行動を取るので、そのミツバチ集団は全滅する。一方、利全的(=反利己的)な行動を取るミツバチは、スズメバチに襲われたとき、各人が協調して自己犠牲してスズメバチを撃退するので、そのミツバチ集団は生き残る」
 つまり、「スズメバチに襲われた」という状況では、「合成の誤謬」が成立する。利己主義はかえって個体にとって不利なのだ。ここでは「(個体の)自然淘汰」という発想が成立しなくなっている。ちょうど、市場原理が成立しなくなっているように。

( ※ ここで、スズメバチというのは、一応の例として示しているだけだ。現実には、他の天敵であることもある。)

 ──

 以上で、経済学と進化論を比較した。その二つのいずれも、次の点で共通する。
  (i) ある範囲内では、「優勝劣敗」という概念が成立する。
  (ii)それが成立しない場合も起こる。次のように。
      ・ 経済学 …… 不況
      ・ 進化論 …… 危機(スズメバチの襲来)
  (iii)このような状況では、利己主義はかえって不利だ。そのことは、「合成の誤謬」という概念で理解できる。
  (iv)このような状況で生き延びるには、利己主義を越えた原理(つまり利全主義)を取ればいい。
  (v) なのに、そのことを理解できない人々がいる。彼らはあくまで、利己主義にとらわれて、「優勝劣敗」という一つの原理だけにこだわる。そういう人々は、経済学では「古典派」と呼ばれ、進化論では「自然淘汰論者」と呼ばれる。

 ──

 結論。
 この世界は、「優勝劣敗」という単一の原理だけで片付くわけではない。そんなに単純なものではないのだ。場合によっては、その原理が成立しないことも起こる。その際、別の原理が働く。(合成の誤謬)
 しかしながら、そのことを理解できない人々がいる。(古典派,自然淘汰論者)
 これらの人々は、単に「優勝劣敗による競争原理で状況は改善する」とだけ主張する。その結果、「合成の誤謬」ゆえに、次の失敗に陥る。
  ・ 古典派経済学者 …… 競争原理で不況を脱しようとする → 失敗
  ・ 自然淘汰 論者 …… 競争原理で進化を説明しようとする → 失敗

 ここでは、同じ原理で失敗が起こる。進化論と経済学は、かくも似ているのだ。
 この両者は、長所でも短所でも、共通する点がある。その共通点を理解することで、双方の学問をともによく理解できるようになる。


 [ 付記 ]
 具体的な例を示そう。

 (1) 進化論
 「優勝劣敗で進化が起こる」
  → それで示せるのは、小進化だけ。大進化については示せない。
 ( ※ 何度も述べたとおり。別の箇所の話題。)

 (2) 経済学
 「優勝劣敗で経済が改善する」
  → それで解決するのは、好況だけ。不況は、それでは解決しない。
 こちらが本項の眼目だ。
 不況期には、「優勝劣敗で企業の質を改善しよう」という声が上がる。しかし、いくらそんな声にしたがっても、状況はかえって悪化する。

 たとえば、いったん景気が悪化したときに、「質の向上」をめざせば、企業はリストラを狙って、どんどん賃下げや人員解雇をする。正社員をクビにして、派遣社員を雇ったりする。その結果、国全体の総所得が減って、状況はかえって悪化する。(小泉政権時代にあったことだ。)
 ここでは、個別の企業がいくら努力しても、問題は解決しない。国全体の問題は、一つ一つの企業や一人一人の個人が努力しても、解決しない。ここでは国全体のマクロ政策が必要となる。そして、マクロ政策とは、「優勝劣敗」という原理とはまったく異なる政策である。

 だから、次のように対比できる。
  ・ 進化論 …… 小進化と大進化とは、異なる理論で扱う
  ・ 経済学 …… 好況期と不況期とは、異なる理論で扱う
 そのいずれも、局所的な改善と、大局的な改善とでは、事情が異なるのだから、その事情の違いを理解して、異なる理論で扱うことが大切だ。
 しかしながら現実には、進化論であれ、経済学であれ、局所理論を延長することで、大局的な問題を説明しようとする。そのせいで、とんだ間違いになってしまうのだ。
 進化論と経済学は、似ている。その成功も、その失敗も。
 
http://openblog.meblog.biz/article/1453084.html  

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