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ドル体制は、(1)責任所在の明確性、(2)意思決定過程のストレートさ、(3)ならびにその迅速性によって、いまだに一日の長
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/263.html
投稿者 TORA 日時 2009 年 3 月 31 日 16:02:19: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu188.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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ドル体制は、(1)責任所在の明確性、(2)意思決定過程のストレートさ、
(3)ならびにその迅速性によって、いまだに一日の長がある。

2009年3月31日 火曜日

◆ドル体制が続く本当の理由 3月31日 谷口智彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/790

(前略)
なぜ、ドル取引の決済はこのようにニューヨークを舞台としてしか生じないのか。理由は2つ。第1に、主要通貨取引別に帳簿を一括管理しておきたい銀行の事務手続き上の要請。その結果、ドル取引はニューヨーク、ユーロならフランクフルト、円は東京でだけ、決済される。

 第2の事情は、ドルを発行できる主体はニューヨーク(連銀)に、円、ユーロはそれぞれ東京とフランクフルトの中央銀行にしかないことからくる。すなわち資金のアベイラビリティーに問題が生じ、ために決済が滞ると恐れられるような場合、迅速な流動性の供給ができるのは、当該通貨の発行主体であるところの中央銀行のみである。

 流動性こそは決済の泉であるから、その泉に水を枯らさぬよう努める中央銀行がいるところへ、決済ビジネスは集中する。ここは、古典的手形交換を思えばよい。手形の買い入れや売却という操作をすることで銀行間取引に流動性を保ち、決済の円滑を図るのが中央銀行古来の業務だった。

 決済は電子書式のやり取りで実施される。しかしこれは時として読み取れないなどエラーを生じ、人間が手で補正、入力しなければならない場合が皆無とはいえない。

 これを文字通りrepairと呼ぶ。repair業務のためだけに、交代勤務制を敷いて24時間人間を貼り付けているのがCITIBANKであり、JPである。再言すると、事務管理の集中メリット、流動性の出し手の存在に加え、米国マネーセンターバンクが業として手数料稼ぎのため行う24時間対応決済サービスが全体として一体のインフラをなし、ドルを決済通貨=基軸通貨としてきた。

 このことは、シティやJP、ワコビアなど大手銀行を簡単に潰せない理由を説明するものだ。そこからの延長で言うと、決済システムの安全を保つ透明かつ実効的な金融行政をもっていることも、ドルの地位を保つうえで欠くべからざる基礎条件だと言えるわけである。(中略)

4. OFACを嫌う取引、ユーロへ→決済通貨=基軸通貨への道?

 イランなどはかくしてニューヨークから弾かれるので、ドル決済が全くできなくなってしまった。かつてドルは石油を買うことのできる唯一の通貨(筆者は「石油本位制」と呼んだことあり)であって、ワシントンはその地位を脅かすものを極度に警戒したものだ。皮肉なことに、米国はOFACが正面の敵と睨むイランをドル圏から追放した帰結として、石油大国イランに非ドル決済の習慣を許容し、いわば蟻の一穴をもたらしてしまったかもしれない。

 日本とイラン間の石油取引に関わる決済は、本ペーパーが多くを依拠した某邦銀関係者の説明によれば、1年前まではもっぱらユーロ、この1年間は日本円によってのみ行われているという。

 もしもドル決済を逃れ、ユーロに代替機能を求める需要が高まっているのだとすると、何にその兆候を読み取ることができるだろうか。上述の説明から察せられるとおり、それは非居住者ユーロ預金の規模である。これが増えているとしたら、ユーロを決済通貨とする決済需要が増加していることを推察することができる。

図2は、そこを見ようとしたもの。グラフで注目すべきは破線の2種類で、これが非居住者の動態を示す。折れ線は伸び率である。すなわちここから読み取れるとおり、非居住者ユーロ預金の残高の伸び率が、前年比純減、マイナスとなったことは2001-2002年、2004年前後のごく僅かしかその例を見ない。非居住者銀行(小さな点の破線)の場合、最近では前年比25%増という勢いを示している。

 これは明らかに、ユーロ決済需要の増大を映し出すものにほかならない。ECBが明らかにした別のデータ(ユーロシステム全体の連結貸借対照表)によれば、非居住者ユーロ預金(Liabilities to non-euro area residents in euro)の残高は2008年10月31日時点で、3033億8100万ユーロ(当日レートで邦貨換算約38兆9000億円)。これはユーロ連結負債残高全体の14.93%に達する。

 日本の場合、日銀発表によれば2008年9月末で非居住者円預金は残高1兆955億円。預金全体の、僅かに0.2%を占めるに過ぎない。このことは、ユーロが決済通貨として無視できぬ勢力を獲得しつつある事実を側面から照射するとともに、いっこう使われようとしない日本円の地位を物語るものだろう。

5. ドル対ユーロ

 以上、本稿は決済通貨としてのドルの地位に焦点を絞り、考察してきた。ここで再び約言しておくと、決済サービスには集中のメリット、規模の経済が働くので、一種の大装置産業となり、そのような産業の常として高い参入障壁をもつものだ。

 長年使われてきたドルは決済サービスにおいて最も充実をみている。この地位は、一朝一夕において変わるものではない。ここらが、評論家が「基軸通貨には強い慣性の法則が働く」と言うとき、意味しているものである。

 しかし、今回決済通貨としてのドルに関心を絞ったのは、基軸通貨とは何かにつき厳密な定義を踏まえた議論がなされることが、日本においていかにも少ないからである。

 戦後の米国は、ドイツや日本に対し、軍事的庇護と経済的従属を取引する関係を取り結んだ。ニクソン・ショックに先立つ期間、ドイツは米国から執拗なマルク切り上げの圧力を受け、いやなら米軍を引き上げるという恫喝さえ忍んだ事実がある。

 このあたり、「軍事力において比類ない国こそが、基軸通貨をもつ」のだとする人口に膾炙(かいしゃ)した見解を裏打ちするかのようだ。

 しかし、この点は、東西冷戦が過去のものとなり、体制においてまったく性格を異にする中国や、かつての敵国ロシアが同じ資格でひとつの国際マーケットに登場して以来、すなわち軍事的睨みが日本やドイツのようにはきかない主体が有力になって以来、議論として有効性を大きく減じている。もともと軍事的アセットを貼り付けていない、貼り付けてほしいと思わない国に対して、軍事的庇護は取引材料にならないからである。

 すなわちドルとは今や、九分九厘経済的現象なのかもしれず、そうとするならば、経済的現実の違いによってその地位が左右されるのを当然視しなくてはならないのかもしれない。

 このように考えた場合、最も憂慮すべきは次のグラフが示すような足元の現実である。すなわち公的資金が銀行セクターに向け大量投与されつつある現在、米国の中央銀行は猛烈な勢いで資産・負債残高を膨らませつつあるし、またそうせざるを得ない。

図3に見るとおり、米国中央銀行(ニューヨーク連銀)はここへ来て一気に2倍に資産を膨らませた。一定トレンドをなかなか越えようとしなかった連銀資産は、突如として直角に近い増勢を示し、短期間に2倍以上膨張したのである。

 2倍に膨らんだ資産の裏には、同じだけ膨張した債務がある。中央銀行における債務とは、つまるところ通貨(預金通貨と紙幣)である。すなわち上図から読み取るべきは、米国においてドル発行残高が急速に増えつつある事実にほかならない。

 日銀の場合、「失われた10年」の間にやはりバランスシートを顕著に膨らませた。

図4に見るとおり、日銀はバブル崩壊後の火消しに従事するあいだ、資産・負債を3倍以上に膨張させた。Fedも、恐らく同じことを(あるいは一層大規模に)せざるを得まい。
?ドルの発行残高を、3倍以上にせざるを得ないと言っても同じことである。これは、理論的には1ドル30円という事態もあり得ることを予感させる。

 中長期的に価値の下落が予測されるとき、ユーロには、(1)決済サービス提供通貨として実力をつけつつあるうえ、(2)通貨がもつもう1つの機能、価値保蔵手段としてもドルに対する比較優位が感じられるようになり、ドルにとってかわる必要条件がより多く整うと言うことができる。

ただし、十分条件とは言えない。理由はいつにかかって、ユーロにおける意思決定構造の錯雑である。

 ユーロはいまだ外延的拡大の途上にあり、自国通貨をユーロとペッグさせている国を掲げた表1は、一見いかにもユーロの影響力、支配力の強さを示しているようではあるが、実はぶら下がり予備軍として、ユーロの意思決定を一層混迷させる勢力と見ることもできる。

 通貨はヨーロッパ人が考えるほど、ポストモダンの、すなわち国境を意識しないような体制になじむものではない。

 単独国家主権下の管理が可能なドル体制は、(1)責任所在の明確性、(2)意思決定過程のストレートさ、(3)ならびにその迅速性によって、いまだに一日の長がある。

 これと決済サービスにおける「慣性の法則」が強く働くことによって、ドル体制は一部論者が予期ないし期待するほど早く崩れるとは思われない。


(私のコメント)
昨日は新基軸通貨について書きましたが、ドルはアメリカ国内の通貨であると同時に国際決済通貨であることでドル基軸通貨体制が作られている。国家において石油は必要不可欠な物資であり、石油をドル決済と決めれば世界各国はドルをいやがおうにもドルで決済しなければならない。中東の産油国が世界に対してドル以外に様々な通貨で石油を売っていたら決済機能が麻痺してしまう。

しかしイランはドル決済体制からはじき出されてしまったので、日本に対しては円で石油が決済されている。ドルで決済するにはニューヨークで一元的に決済されるように、円で決済するには東京で一元的に決済される。ユーロにおいてはフランクフルトで決済されている。これらは実態的には電子マネーであり一元管理しないと収拾がつかなくなる。

一番昔は金や銀を運んで支払っていたのでしょうが、それでは重たくて遠くには運べない。その為に紙幣や手形などの証文で決済する制度が出来ましたが、通貨は単一でなければならない。マルコポーロが旅行が出来たのもモンゴル帝国が紙幣を流通させていたからであり、金や銀では持ち運ぶだけで大変だから遠隔地との通商は不可能になってしまう。

北朝鮮も、このようなドル決済体制から弾き出されて貿易が困難になり困窮に拍車がかかりましたが、国際決済通貨としてのドルは当分は健在だろう。しかしアメリカ本国の金融状態は破局寸前であり、FRBは資産を倍近くに膨らませている。そしてドルが大暴落して1ドルが50円とか40円になったりしたら決済通貨としても信用が無くなり、ドル決済体制にも影響が出る。シティバンクなどの大手銀行が倒産すれば事実上ドル体勢は決済する機関がなくなり終わる事になる。

このようにアメリカのドル任せで世界の為替などを決済していたらアメリカの政策に振り回されるのであり、世界銀行が世界基軸通貨を作って決済するような方法で行かないと、基軸通貨国家の交代の度に大混乱する事になる。アメリカ自身にとっても国内通貨と国際通貨としてのドルを分離した方が都合がいい時も出てくるだろう。

だからドルの基軸通貨体制が終わればユーロがそれに代わると言うのも同じ事であり、地域通貨と国際決済通貨とを分けた方がいいのかもしれない。IMFのSDRがありますが、事実上はアメリカのドルが基軸通貨となりSDRは補助的なものでしかない。ドルにはアメリカという軍事大国のバックがあり、ドルの体制を崩そうとする国があればアメリカによる制裁が行われる。

イランや北朝鮮がアメリカに反抗していますが、SDRではこのような制裁が出来ない。国際政治の場でも国際連合はアメリカなしには機能は難しく、国連軍という枠組みも意見が対立すれば機能しない。日本にとってもドル基軸通貨体制が維持された方が都合がいいし、麻生内閣もドル支持で動いている。しかしG20ではどのような方向が打ち出されるか分からない。


◆首相、途上国向けにIMF資金融通枠拡大提案へ G20 3月30日 朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0330/TKY200903300391.html?ref=rss

麻生首相は4月2日にロンドンで開かれる金融サミット(G20)で、世界的な金融危機で逼迫(ひっぱく)している流動性を確保し、途上国などを支援するため、国際通貨基金(IMF)で資金を融通する仕組みである「特別引き出し権(SDR)」の拡大を提案する。

 SDRはドルなどの外貨不足に陥った国に対し、外貨を潤沢にもつ別の国が「外貨を受け取る権利」を融通する制度。首相の提案は、ドル不足に陥る危険性のある途上国支援が念頭にある。賛同を得られるかどうかは、IMFでの発言権が大きい米国の対応が焦点となる。

 IMF加盟国に配分されているSDRの総額は約214億SDR(約300億ドル)。IMF加盟国間では、97年に総額を倍増することで合意したが、米国で批准が済んでいないため、発効していない。麻生首相はG20でSDRの具体額には言及しない見通し。ただ、政府関係者によると、米国側にはすでにG20でSDR拡充を提案する意向は伝え、前向きな感触を得ているという。

 米国の動向が焦点となるのは、米国がIMFの融資額などを決める際の投票権のシェアで16・7%を占めているためだ。SDRをめぐっては、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が今月、ドル急落への懸念から世界の基軸通貨としての米ドルに限界がきているとして、SDR拡充をうたう論文を同銀のホームページに掲載。「ドル限界論」と受け止められ、波紋を広げたこともある。

 このため、麻生首相はSDR拡充提案について、「目的はあくまで途上国支援。中国の主張とは全く異なる」(首相周辺)と強調する考えだ。首相は国会答弁などで「米ドルは基軸通貨として世界のマーケットに供給され続けなければならない」と指摘し、2月の日米首脳会談でもドルの信認維持が重要との認識で一致。ドルを基軸通貨とする考えは崩しておらず、SDR拡充は流動性の逼迫に備えた補助手段と見ている。

 IMFによるSDRを活用した融資は80〜90年代の中南米諸国などに例がある。(五十嵐誠、稲垣直人)

(私のコメント)
通貨とは何なのかは経済学上の大問題なのですが、「株式日記」では通貨とは生産力であり労働力であり経済力の事であると書いてきましたが、政治的に安定して経済システムが信頼されていなければならない。だから世界的な国際通貨は今の所はアメリカのドルに依存しなければならず、世界中のあらゆる国が世界通貨を信任しなければ世界通貨は出来ない。

アメリカのドルはアメリカの国力の象徴でもあり、経済力や軍事力がドルの価値を保ってきた。しかしアメリカ経済が衰退してくればドルにとって代わろうとユーロが拡大してきましたが、中国の元もその野心を隠してはいない。しかし当面はドルを買い支えて行くのでしょうが、G20では中国はロシアや他の新興国とでアメリカを揺さぶるだろう。

為替相場から見てもドルと円とは連動して動くようになり一体化が進んでいる。いわば隠れたG2体制なのですが、アメリカは中国にG2体制を持ちかけている。アメリカとしては日米中の三国で協調できれば世界の体制は維持できると見ているのでしょうが、中国としてはそうは問屋がおろさないだろう。ドイツはアメリカと手を切ってユーロを作りましたが、日本はますますドル体制に依存を高めている。


 

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