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毎月15万円、無条件で国が差し上げます〜『ベーシック・インカム入門』(日経ビジネスオンライン)
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/369.html
投稿者 そのまんま西 日時 2009 年 4 月 14 日 00:11:07: sypgvaaYz82Hc
 

毎月15万円、無条件で国が差し上げます〜『ベーシック・インカム入門』
(日経ビジネスオンライン)山森 亮著(評者:夜野 環)
光文社新書、840円(税別)
夜野 環 【プロフィール】
本 ベーシック・インカム 社会保障 労働


 ──20XX年、国論を二分する激論を経て、ついに日本でも「ベーシック・インカム法」が可決された。1年後に施行される同法によって、すべての国民は無条件に、毎月15万円の基本所得を交付されることになる。

 街角の声を拾ってみよう。

「ただでさえニートとかいって働かない人がいるのに、怠け者を増やすだけなんじゃないの?」(40代コンビニ店員)

「給付が始まったら、会社辞めてもう一回プロのミュージシャンを目指すつもりです」(20代会社員)

「仕事は続けますよ。給料うんぬんっていうんじゃなくて、仕事を通じて自分が成長するのが楽しいから」(30代会社員)

「生活保護をもらってたんですけど、ベーシック・インカムに一本化されるということで、額は少し下がりました。でも、誰もがもらうということで、罪悪感っていうんですか、自分は社会のお荷物だ、っていう自責の念は少し薄れるような気がします」(20代シングルマザー)

「もらう以上に税金を払ってますから、正直、あまりメリットはないですね。社員の勤労意欲が下がらないか、そっちの方が心配です」(50代会社社長)

 なお、ベーシック・インカムを導入した国家は、日本がX番目となる──。

 以上はもちろんフィクションだが、本書が伝えるところによると、「無条件給付の基本所得」を意味する「ベーシック・インカム」という考え方は、いまや社会思想家や経済学者が夢想する机上の空論から、社会保障制度の一選択肢として、真剣に導入が検討されている「政策」になりつつあるという。

 具体的には、毎月どうにか暮らせるだけのお金(ここでは仮に15万円とした)が、国民全員に、国から給付される制度である。

 現在の日本でも基礎年金、雇用保険、生活保護といった生活保障の考え方は導入されているが、これらを、資力調査や掛け金支払い期間の長短などの条件を付けず、個人に対する一律の給付で置き換えるわけだ。


仕事が「お金のため」でなくなるとき

 そう聞いて、手放しで喜ぶ人は、どれくらいいるだろう。
 ちょっと考えるだけで、いろいろ問題含みであることに気が付く。

 著者は言う。

〈この「無条件給付」という特徴が、現行の所得保障制度とベーシック・インカムとの違いのうち最も特筆すべき点なのだが、この点について疑問を抱く人が多いだろう〉

 そうなのだ。生活に不自由しない大金持ちや資産家にも支払われるというのは、どうも納得しにくい。また、基本所得が保障されることで、仕事を辞める人やニート生活を継続する人が増えるのではないか、という懸念も出てくる。それでもなお、この制度を議論する意義はある、と著者は考えている。

〈ベーシック・インカムとは、今ある所得保障の仕組みを根本的に別のものに組み換えよう、というものである。それは同時に労働、家族関係などに対する国家の関わり方をも変化させる〉

〈私自身がこの考え方に惹かれているのも(中略)お金の問題であると同時にお金の問題にとどまらないからである。現代の私たちが持つ生きづらさや閉塞感は、生きるためにはお金が必要であり、そのお金を得るために社会が私たちに要求することの理不尽さから来ている〉

 反感を持つにせよ、賛同するにせよ、ベーシック・インカムについて考えることで、私たちが暗黙のうちに前提にしてしまい、普段見えなくなっている「制度」が、あぶり出されてくる──まずはそのことが大事だ、というのが、本書全体を通じた著者のメッセージである。


〈(略)この考え方について議論することに今ここでの解放感があるとすれば、それは将来に起こりうることへの希望だけではなく、この新しい所得保障について語ることが、今は社会から否定されている生き方の肯定につながる部分があるからだろう〉

 評者がまっさきに思ったのは、お金を得るための「賃労働」と、社会参加や自己実現の方法としての「仕事」の分離が起きるだろうな、ということだった。冒頭の架空ニュースで言えば、会社を辞めてミュージシャンを目指すことがそれに当たる。

 裏返せば、ベーシック・インカムが導入された途端に社員が大量に辞めてしまう会社というのはどうだろう。その会社が掲げるミッションに、少なくとも社員をつなぎとめるだけの社会的意義がなかったということではないだろうか。あるいは、稼いだ利益が納得のいく形で社員に還元されていなかったのかもしれない。

 逆に、典型的な「賃金から切り離された労働」である家事労働を考えてみよう。

 夫がフルタイムで働き、妻が家事と子育てをする。日本では(共働きと並んで)標準的な家族のありかただが、そこから「夫」が欠け落ちただけで、「妻」は「シングルマザー」となる。こなしている労働の量と質は変わらないのに、片方は専業主婦、片方は収入を絶たれた「社会のお荷物」になる。これは合理的なことだろうか。

 仕事が「お金のため」でなくなることで、「必要だけどきつい仕事」の賃金は上がるだろう。生活(賃金)のために不本意ながら3K仕事に就く、という構図がなくなるからだ。つまり、「きつい」「汚い」「危険」に加えて「給料が安い」仕事は成立しなくなる。


「毎月15万円」で、どんな社会が見えますか?

 ところで、ベーシック・インカムは本当に実現するのだろうか。

 本書によれば、南アフリカ共和国で政府レベルの導入が検討されているほか、アイルランド政府が『ベーシック・インカム白書』を発行しているという。ブラジルでは「市民ベーシック・インカム法」が2004年に可決されている(もっともこれは、いわゆる公的扶助的な制度としてしか機能していないとのことだが)。今後、ベーシック・インカムを検討する国家は増えこそすれ減ることはないだろう。

 一方で、〈日本では、経済学者の間でもベーシック・インカムはそれほど知られていない〉と、専門家の間での認知度すら低いのが現状だ。架空ニュースが現実になる日は、まだまだ先のことになりそうだ。

 しかし、実現の可能性云々は別にして、本書で著者が目論むように、「ベーシック・インカムを考えること」で見えてくるものがある。

 「国民全員に毎月15万円(もちろん自分にも)」という、ベーシック・インカムが実現した社会を想像してみよう。

 自分はそのとき働き続けるだろうか。妻や子供が経済的に自立したとき、家族はどうなるだろうか。現場の労働者に生活が維持できるぎりぎりの賃金しか支払わないことで成り立っていた我が社のビジネス・モデルは安泰だろうか。

 本書を「経済学トリビア本」や「現代用語の基礎教養本」としてではなく、自らの身に迫りうるひとつの「可能性」として考えられるかどうかで、本書の価値は大きく変わってくるだろう。

(文/夜野 環、企画・編集/須藤 輝&連結社)


http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090410/191610/  

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