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トップが数値目標を掲げてイケイケドンドン式に推し進める経営は、1、2年はいいが、その後に必ずリバウンドがきます福井威夫。
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/392.html
投稿者 TORA 日時 2009 年 4 月 17 日 15:25:31: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu190.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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トップが数値目標を掲げてイケイケドンドン式に推し進める経営は、
1、2年の短期的な対応としてはいいが、その後に必ずリバウンドがきます。

2009年4月17日 金曜日

◆ホンダはいかに黒字を死守したか:福井威夫 4月17日 取材・構成 片山修
http://news.goo.ne.jp/article/php/business/php-20090415-01.html

トップが数値目標を掲げる経営は破綻する

片山 ホンダは今期の業績見通しを下方修正したものの、営業利益は1400億円で黒字を確保しました。この環境下で黒字とは驚きですが、いったいどのような舵取りをされたのですか。

福井 正直いって、ここまでひどい状況になるとは想定していませんでした。ただ、一昨年の夏に米国でサブプライムローン問題が顕在化したとき、芝刈機などの汎用製品の売れ行きがだいぶ落ち込んだんですね。汎用エンジンの売り上げは住宅市場と連動していますから、住宅販売が鈍化するとすぐに影響が出ます。私は、本社にタスクフォースをつくって市場の動向を詳しく調べさせました。その結果、自動車市場にも影響が及ぶかもしれないとにらみ、昨年の初めごろから在庫を絞りはじめたんです。

片山 ところが、2008年の3月から5月にかけて、ガソリンの高騰から小型車の人気に火が付き、在庫が切れて供給が追いつかなくなりましたよね。

福井 ええ。ちょうどガソリンの高騰によって新車の販売が伸び悩んでいた時期でしたから、慌てて生産対応をし、追いつくことができたのが、2008年夏ごろですよ。

片山 いったんブレーキをかけたけれど、またアクセルを踏んだわけですね。

福井 そう。とはいえ、タスクフォースが上げてくるデータを見ると、悲観シナリオが実現しそうな感触があったので、在庫はもちたくないな……と。そこで、9月末に再びギアチェンジをして「在庫をもつな」とすべての現場にお願いをしたんです。

当時、鈴鹿も埼玉の工場もフル生産を続けていましたから、ブレーキをかけるのは大変でしたが、着実な対応をとったことで深手を負わずに済みました。その後、10月になってドーンと需要減がきた。文字どおり底が抜けたような落ち込み方でした。

片山 他社は、ヤードに在庫の山ができていたことに経営が気づかなかったことが対応の遅れにつながったといわれています。ホンダはいち早く気づいた。明暗を分けた理由は何でしょうか。

福井 空気の変化にいちばん敏感なのは現場です。現場の人間が何を感じているかを、つねに知っておくことが重要なんですね。現場が正しい情報を上げてくる。経営は素直に耳を傾ける。そのコミュニケーションがうまくいっていたということではないでしょうか。

むろん、上から号令をかけてイケイケドンドンで行く時期もありますし、2年、3年前ならばそのほうがむしろよかったのかもしれません。しかし、ある時期を境にして、現場は「こんなに売れるのはおかしい」と感じていました。その情報をきちんとキャッチできるか否かなんですね。

通常のオペレーションで上がってくる生産販売情報は平均値ですから、パッと見ただけでは実態がつかみにくい。ですから、タスクフォースをつくって実態を調べ、現場の感じている空気をつかみました。販売台数や利益よりも、とにかく在庫を減らせといったのは正解だったと思います。

片山 その意味で、福井さんは「経営が数値目標を掲げて号令をかける米国型の“コミットメント経営”は破綻した」とおっしゃっています。

思うに、“コミットメント経営”を排除していたことが、ホンダの黒字につながったのではないでしょうか。日本の企業は、今後、経営モデルそのものを変えていく必要があるのではないでしょうか。

福井 トップが数値目標を掲げてイケイケドンドン式に推し進める経営は、1、2年の短期的な対応としてはいいのかもしれません。しかし、その後に必ずリバウンドがきます。

私は、もっと本質的な部分を地道に強化していくことが大事だと思うのです。2008年、「第10次中期計画」(2008〜2011年)を発表したときに、以前から取り組んでいる「源流強化」という言葉を使って、あらためて本質的な部分の強化を訴えたのはそのためです。販売台数や利益についても、数字はあくまでイメージであって、コミットメントではない。

片山 ただ、現場においては、目標管理は必要だと思いますがね。

福井 むろん、営業の最前線などでは、数値目標は非常に重要です。しかし、トップがコミットメントにしてはいけない。組織というものは、トップが数値目標を掲げた途端、それを達成するためだけに突き進むようになってしまうものなんです。短期的には効果があるかもしれませんが、続くわけがない。息が切れて落ちていきます。数字をクリアすることに集中してしまうと、結局、お客さまの信頼を損なうことになってしまいます。

数字はあくまで結果です。重要なのは、お客さまの満足度をいかに上げるかであり、それこそが「源流強化」だと思うのです。これは経営の原点・源流であると同時に、人間の原理原則だと思います。

片山 それから、新社長に就任する伊東孝紳さんは、開発部門の本田技術研究所社長を兼任することが決まっています。兼任を選択された理由は、何でしょうか。

福井 いまこの時期に何がいちばん重要かといえば、スピードなんですね。意思決定のスピード、商品のアウトプットまでのスピード、あるいは状況に応じたフレキシブルな生産シフトなどです。

ご存じのとおり、いまは車が売れず工場は生産余力がある状態です。研究所が一緒になって余力を持て余していてはダメです。売れないときこそ次の商品開発を急がなくてはなりません。研究所の社長を兼務することによって、トップの意思がスパッと現場に通りますから、非常にスピーディかつ的確に物事が進みます。また、研究所員のモチベーションアップにつながります。

片山 福井さんご自身、現場と本社のあいだに距離を感じていたということでしょうか。

福井 そうですね。よく大企業病などといわれますが、業績が好調なときほど現場と本社の距離は開くものです。歴代社長は皆さんそうですが、研究所の社長経験がありながら、本社の社長に就任するや、現場に意思が伝わりにくいといって苦心する。私もそうでした。

片山 2008年12月5日、F1からの撤退の決断は速かったですね。

福井 F1撤退を決断してから現場の空気がガラリと変わりました。あれがきっかけとなって、現場と本社にさらなる一体感が生まれたんです。

来期は正念場ですが、そこでF1撤退の効果がどう出るか。数百億円のF1費用が来期はゼロになりますから、その削減効果が出るはずです。

それに、F1関係に投じていた栃研(本田技術研究所四輪開発センター栃木研究所)の約400人が商品開発の戦力として加わります。そのうちの数十人は、「KERS(カーズ)」というF1マシンのエネルギー回収システムを開発した専門技術者です。この技術はそのままハイブリッド車の商品開発や、新たに立ち上げるバッテリー事業に生かせます。彼らを即戦力として投入できますから、文字どおりスピード感のある商品開発が期待できます。(中略)

「ハイブリッド」という高付加価値戦略

片山 新型ハイブリッド車「インサイト」が189万円という低価格でインパクトを与え、発売直後から月間目標の3倍以上の受注台数を記録しました。3月9日現在、累計受注台数は1万8000台ですね。ピックアップトラックの開発をやめた背景には、ハイブリッド車の開発構想があったのではないですか。

福井 そのとおりです。小型で燃費のいい車を考えるとき、これからは環境対応車が主軸になっていくだろうと考えていました。実際、トヨタの「プリウス」が非常によく売れていましたしね。お客さまは環境型の新しい車に乗るという新鮮なイメージで買われたと思うのです。だから、高めの価格設定であったにもかかわらず、納車まで半年も待つほどの人気が出た。ただ、イメージで売れる時代は長くは続きません。そこで、低価格で競争力のあるハイブリッド車というコンセプトで開発を進めたわけです。

片山 「インサイト」は低価格ハイブリッド車の流れをつくった点で、そうとうのインパクトを与えているのではないでしょうか。

福井 自慢話で恐縮ですが、インサイトは低価格でありながら、室内空間、荷室が広く、また運転してたいへん楽しい車に仕上がりました。その点でいえば、189万円という値段は割安感があるかもしれません。

あのサイズの車は、ハイブリッド車でなければこの値段ではたぶん、売れません。ハイブリッドという新しいシステムを用いて付加価値を高めているところに、この車の魅力がある。逆にいえば、同じ量の資源、部材を使ってつくりながら、より高い値段で売れる車がハイブリッド車なんですね。

片山 「インサイト」はハイブリッド専用車ですが、既存車種のハイブリッド化もニーズとして大きいのではないでしょうか。

福井 燃料電池車、電気自動車が実用化されるまでは、現実的に、既存商品をハイブリッド化して、バリエーションを増やしていく必要があります。ご承知のとおり、ホンダは、すでに「シビックハイブリッド」を商品化していますが、今後は「フィット」のハイブリッド化を決めています。また、中・大型車のハイブリッド化についても考えています。

一時、次世代ディーゼルエンジンをやろうと思っていたのですが、技術的な課題やマーケット事情を考えるとすぐには難しい。その点においても、ハイブリッドは現実的な選択肢だと思っています。

片山 ビジネスモデルとしては、ハイブリッド専用車のほうが優れてますよね。

福井 いや、そうでもないんです。ハイブリッド専用車でないことのメリットは、現地生産の容易さです。ベース車を現地生産していれば、ハイブリッドシステムのモジュールを持って行きさえすれば組み立てられるんですね。「フィット」は、海外で現地生産していますから、部品を持って行くだけで生産できます。

片山 一方、ホンダは、独自に燃料電池車の開発を進めてきました。2020年ごろに実用化されるという声もありますが、見通しについてはいかがですか。

福井 「FCXクラリティ」は、すでに実用レベルに近いところまできています。米国ではすでに一般のお客さまに販売しましたし、国内においても環境省、帝都自動車交通がそれぞれ1台、ホンダも広報車や宣伝用にもっています。したがって、2020年ごろの実用化というご指摘は、かなり現実的な話ではないでしょうか。

技術的な課題はほぼ見通しがついていますから、今後はコストダウンが課題になってきます。その見通しさえつけば、実用化も一気に射程に入ってくる。むろん、スタンドなどインフラ整備の問題もありますが、それよりむしろ、水素をつくる段階でいかにCO2の排出量を減らせるかのほうが大きな課題といえます。

いずれにしても、私は、自動車における環境技術の究極は燃料電池車であると確信しています。この技術さえ極めておけば、バッテリー式の電気自動車にせよプラグインハイブリッド車にせよ、技術的な対応はすぐにできます。ですから、燃料電池車をできるだけ早く実用化しなければいけないと考えています。

環境技術は日進月歩の勢いで進んでいますから、少しでも油断したらたちまち抜かれてしまいます。なかでも、ドイツの自動車メーカーは技術も優れているし、競争力もある。スピーディに開発を進めなければなりません。(後略)


(私のコメント)
ホンダのハイブリッドカーのインサイトは都内でもちらほら見かけるようになりましたが、リーマンショックで車がぱったりと売れなくなった年度においても黒字を維持しています。自動車会社は在庫の調整が経営を左右しますが、輸出自動車用埠頭には船積みを待つ自動車の在庫の山が出来ている。

「株式日記」ではリーマンショックが表面化する前からサブプライムローンが問題になっていると書いてきましたが、大会社を経営をしているような人は「株式日記」も見るヒマはないのでしょう。去年の3月のベアスターンズの破綻で軌道修正すべきだったのでしょうが、本格的な金融危機が襲ってくるまで自動車会社は在庫調整に動けなかったのでしょう。

派遣切りなどに見られるように、去年の秋から生産調整が本格化してトヨタなど派遣切りで批判を受けましたが、実際に輸出がストップするまで生産調整を事前にすることは難しいようだ。ガソリン価格が1バレル147ドルにまで上がって大型車が売れなくなりGMなどのビックスリーは倒産の危機に直面している。

自動車メーカーはモデルチェンジを繰り返しながらも、技術的には変わり映えの無い車を作り続けてきた。だから中国やインドでも国産の自動車が作られるようになり、自動車は価格競争の商品になってしまったのだろうか? しかし車がガソリンで走る時代は先が見え始めている。そしていずれは電気モーターで走るようになるだろう。

日本の自動車メーカーも次世代車の開発には取り組んではいますが、商品化しているのはトヨタのハイブリッドカーのプリウスぐらいで、相変わらずガソリンやジーゼル車ばかりだ。次世代車が燃料電池車になるか水素自動車になるか電気自動車になるかハイブリッドカーなのかは試行錯誤が続いていますが、当面はホンダの福井社長が言うようにハイブリッドカーになるだろう。

私は電気自動車になるだろうと考えましたが、自動車用リチウムイオン電池の量産化が難しいらしい。燃料電池と同じように次世代電池も技術とコストの壁があり、とても一気に普及するような目処は立っていない。三菱自動車の電気自動車も今年は2000台しか生産が出来ないのも電池の生産がネックになっているからだ。

ニッサンやマツダがハイブリッドカーで参入が遅れてしまったのも技術的な動向を掴むことが難しいからであり、経営者の判断の差がここに来て現れてきている。技術のニッサンといいながらゴーン社長はコストを切ってきただけだ。自動車にもエコロジーの波が来ており燃費のいい車が求められている。

しかしガソリン車やジーゼル車では燃費に限界があり、ハイブリッドカーを改良して行くしか燃費を良くする道は無い。電池の改良が進めばプラグインハイブリッドカーも出来るし、小型車なら電気自動車も実用化される。だからハイブリッドカーが飛ぶように売れているのですが、ホンダは燃料電池車に力を入れてきた。福井社長の話では燃料電池の技術があれば電気自動車にもプラグイン車にも技術は転用できると言う事です。

これからの自動車メーカーは大変動の時代を迎えて来た。ビックスリーも倒産して再編成が行なわれるでしょう。日本の自動車メーカーも技術動向を見誤ればニッサンやマツダのように次世代車の流れに乗り遅れていく。福井社長の話ではハイブリッドカーは儲かるらしい。同じ規模の車でもよりハイブリッドカー高く売れるのだからホンダとしても稼ぎ頭になろうとしている。

本田のフィットもハイブリッド化されるようですが、ハイブリッドのモジュールを組み込むだけだからコストは安く付く。今売れているのはプリウスやインサイトと言った専用車ですが、既存の車にも組み込まれて行くようだ。ハイブリッドならガソリンが安くなればガソリンで走るし、高くなれば電気で走る事が出来る。

ただしハイブリッドカーは複雑だから作るのが難しい。電気のエンジニアを確保する事も大変だし、コントロールプログラムも数千人のプラグラマーが必要だ。ニッサンもマツダも外資系企業になりトップダウンの経営が裏目に出てしまった。もはやトヨタやホンダに追いつくのは不可能だろう。

福井社長が述べているように、トップが数値目標を掲げてイケイケドンドンという経営は短期ではいいがいずれ無理が出る。時代の流れに乗っていくには現場の状況が逐一把握できるように日本的な経営をしている企業が発展して行く。アメリカがやってきたような成果主義では現場の状況の情報を現場が抱え込んでしまう為にニッサンやマツダのようになってしまう。

富士通にしても成果主義を取り入れて経営がおかしくなってしまった。技術的な動向は現場の人間が一番良く知っているが、数値目標を掲げた成果主義では結果的に情報がトップに伝わらなくなってしまう。派遣社員を使えば人件費は安く付くが技術の伝承が上手く行かずに積み重ねが出来なくなる。結局はアメリカの真似をした企業は市場原理主義とともに市場から排除されていく事になった。


 

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