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【ウォール街の強欲達は政府支援を見込んでのマネーゲームだった】アメリカは新しいロシアなのか? フィナンシャル・タイムズ
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/464.html
投稿者 官からアメリカ人へ 日時 2009 年 4 月 28 日 18:43:18: Dx5sTVjBq/alo
 

アメリカは新しいロシアなのか? ――フィナンシャル・タイムズ
2009年4月28日(火)08:00

(フィナンシャル・タイムズ 2009年4月14日初出 翻訳gooニュース) マーティン・ウルフ

アメリカは、ロシアなのか? なんとも挑発的な、もしくは突拍子もない問いかけではある。しかしこう問いかけているのは、国際通貨基金(IMF)の元チーフ・エコノミストで今はマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の教授の、サイモン・ジョンソンなのだ。米誌「アトランティック・マンスリー」5月号でジョンソン教授は、「金融寡占勢力」がアメリカの政策決定にいかに大きな影響力をもつか指摘し、新興国のビジネス・エリートが政治に及ぼす影響力と比較してみせた。アメリカと新興経済をそうやって比較することに、そもそも意味などあるのだろうか? 答えは「イエス」だ。ただし、ある程度まで。

「米国を襲った経済・金融危機は実に深く唐突なもので、その深さと唐突感は、最近の新興経済市場で節目節目に起きた現象と、実によく似ている。ショッキングなほどだ」 ジョンソン教授はこう主張する。どこが似ているのかは明らかだ。巨額外貨の流入に、野放図な信用の拡大。過剰なレバレッジ。資産価値、特に不動産価値のバブル。そしてやがて遂には、資産価値が急落し、金融破綻が起きるという展開……。

「けれども」とジョンソン教授は言う。「もっと深い意味で、もっと気になる不穏な共通点がある。ビジネス・エリートにとっての損得が(アメリカにおいては金融関係者の関心が)、危機を生み出すにあたって中心的な役割を演じた点が、共通しているのだ。おかげでそのエリートたちは、政府支援があるという暗黙の了解をもとに、次々とリスクの高い賭けを繰り広げ、ついには避けがたく当然のように訪れた破綻に突入していったのだ」と。しかも「金融セクターが作り出して独占した巨万の富によって、銀行はとてつもない政治的な影響力をもつようになった」のだと。

にもかかわらず今となっては金融セクターの重みそのものが、危機の解決を妨げているとジョンソン教授。銀行は「自分たちがどれだけの損失を抱え込んだか、全容を認めようとしない。認めてしまえば、自分たちの経営破綻が明らかになってしまうからだ」と。「この態度は実に問題だ。不健全な銀行は(準備金を蓄えるために)貸し付けをしないか、必死になって高リスクなローンや投資で一発逆転をねらう。ハイリスクな投資はハイリターンが可能性としてはあり得るが、おそらく
は何のリターンもないだろう。どちらにしても、こうした銀行の行動は経済にますます悪影響を及ぼすし、それに伴い銀行そのもの資産も価値下落を続けるという、非常に破壊的な悪循環が展開してしまうのだ」。

この分析に理はあるだろうか? 私はこのほどずっとこれを考えていた。今まで3カ月間、私はニューヨークと、今や国際金融の中心地になったワシントンを訪れていたのだが、まさにニューヨークとワシントンがあるからこそ、教授の分析は重要なのだと言える。

金融セクターの重要性がとてつもなく拡大するのを、私たちは目の当たりにしてきた。それは疑いようもない。米金融セクターは2002年の時点で、米国内企業利益の実に41%を生み出していた。2008年には、アメリカの民間債務額は国内総生産(GDP)の295%という記録的な水準に到達(1976年には112%だった)。2008年の金融部門の債務額はGDP比121%だった。また金融部門の給与平均は、1948年〜1982年には全産業平均に近かったものが、2007年時点では全産業平均の181%にも達していたのだ。

ニューヨーク大学スターン・ビジネススクールのトマス・フィリポンとバージニア大学のアリール・レシェフ両氏は最近の研究で、1909年から1933年にかけても金融業界はやはり、高度なスキルを必要とする高給取りの業界だったと結論している。業界の地位はそれから1980年までやや衰退するが、1980年から再び高スキルで高給な業界に返り咲いたというのだ。フィリポン、レシェフ両氏によると、金融セクターがこうして復活したのは何よりも「創造と革新を解き放ち、有能な労働者の需要を拡大した」規制緩和を実施したからだという。

金融セクターが自ら作り出し自らの栄養とするものは「信用」だが、規制緩和の拡大も信用の成長を生み出す。信用が収入に変身するからこそ、金融システムの収益性は実は幻想かもしれないのだ。同様に、少なくとも米国内では、金融セクターの拡張路線はこれから反転することだろう。信用拡大とレバレッジはこれまで、金融セクターの活動の多くが実はたいした利益を生んでいない、あるいは全く利益を生んでいない事実を覆い隠していた。しかしこれからは、利益にならない金融活動はなくなるし、債務の一部は清算しなくてはならない。ウォール街の黄金時代は終わった。規制時代の再来は、この大転換の原因と結果なのだ。

しかしジョンソン教授はもっと強い指摘をしている。強力な金融機関が損失を認めない限り、危機脱出は不可能だとジョンソン教授は主張する(しかも巨大な「両替商」たちの力の虜になっている政府の支援と協力を背景に、巨大な金融機関は損失を認めようとしないのだ)。さらに言えば、米国は自国通貨建てで借り入れができるという特権をもつだけに、新興国に比べれば自分たちの欠点をぬりつぶすこともできるし、危機を「長期的な経済停滞」だと言いくるめることもできる。だからこそ私たちはこれまで、今ある金融システムをできる限り救済しようという目的を根底に秘めた、一連の「救済策」や「救済のための合意」を目にしてきた。政策決定者たちはこれまで一貫して、有権者に許されるギリギリの線を模索しながら、ともかくも現行の金融システムを最大限まで救うことに汲々としてきたのだ。

現時点までの対策を批判する意見に私は賛成だ。フィナンシャル・タイムズのエコノミスト・フォーラムでは、ガイトナー米財務長官の「官民投資パートナーシップ」に批判的な意見が出されたが、私も同意する。この「官民投資パートナーシップ」がうまくいったとして、それは納税者の資産をきわめて不透明な形で銀行に与える仕組みに過ぎない。けれども実際には、マイケル・ポメルレアノが言うように、ぽっかり空いた資本不足の穴を市場は無視しているのであって、ガイトナー長官のプランもその穴を埋めることにはならないだろう。もっと言えば、いま行われている銀行の「ストレステスト(健全性審査)」をもってしても、資本不足の穴を埋めるようなアクションにつながらないのではないかと私は思う。

しかしだからといって、こうした弱点を抱えているからといって、アメリカはロシアになるのだろうか? 否だ。多くの新興国では悪質な腐敗が堂々と横行しているが、米国では、影響力というのはロビー活動で獲得するだけでなく、体系的な信念の集積からも得られるものだからだ(もちろんロビー活動が不要だと言っているのではない)。ウォール街にとって良いことは、世界にとっても良いことだと、そういう信念があったのだ。だからこそ米国は超党派で、米金融システムの規制緩和プログラムを作り上げた。このプログラムの出来が実にまずかったことと、影響は米国にとどまらず世界中に及んだこと、この二つの弊害は、金融業界のロビー活動だけでなく米国における超党派な信念の集積によってもたらされたものだった。

さらに言えば、ウォール街をできる限り現状のままで存続させる必要があると思うのは主に、そうならかった状態を恐れるからだ。巨大で複雑な金融機関は破綻するには大きすぎる、という考え方は、もしかしたら間違っているかもしれない。しかし賢い政策決定者たちが「では実際に破綻させてみよう」とは思わないその理由は、よく理解できる。と同時に政治家たちは、巨額の公的資金注入に世論が強く反発しないか懸念している。そのため米国は日本と同じく、エリートは金融破綻を恐れるが国民は税金による銀行救済を唾棄するという対立項の中に囚われてしまっているのだ。これはジョンソン教授が話す「静かなクーデター」よりもはるかに複雑な現象だ。

しかし大胆な再編はもちろん必要だ。債務を成長の原動力にした近年の経済モデルへの復帰は、現実的でもなければ望ましくもないからだ。そのために、まず二つのことを実現しなくてはならない。第一に、金融セクターの中核にいる金融機関は支払い能力と信用を回復しなくてはならない。第二に、利益を追求する民間企業が「破綻するには大きすぎる」などという規模で存続することは認められない。それこそが資本主義ではなく、社会主義だ。政治の右も左も、この点については同意しているし、それは正しい見解だ。「倒産」がそもそも除外されている解決法など、あり得ない。実行力のある解決策には常に、倒産が可能性として含まれていなくてはならないのだ(そしてそれ故に、保証のない債権者が損をする可能性も、常になくてはならない)。そこが変わらなくては、今回の危機がどう解決したとしても、次の危機発生の前触れになるしかない。


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フィナンシャル・タイムズの本サイトFT.comの英文記事はこちら(登録が必要な場合もあります)。

(翻訳・加藤祐子)

http://news.goo.ne.jp/article/ft/business/ft-20090427-01.html  

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