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GMのチャプター11と今後の米国株について『経済学者フランク・ナイトの名著「リスク、不確実性および利潤」』を通じて考察す
http://www.asyura2.com/09/hasan63/msg/217.html
投稿者 Ddog 日時 2009 年 6 月 09 日 01:41:50: ZR5JcjFY1l.PQ
 

GMはチャプター11(連邦破産法第11条)の適用を申請し、創業100年目にして、破綻した。


政府の管理下におかれ事実上オバマCEOによる国有化みたいなものである。

GMのチャプター11申請は既定事実として、相場におりこまれ、チャプター11適用で悪材料で尽くしとなるところまで市場は織り込まれ済みであった。

さて、GMの今回の処置はどうであろうか?

「1997年世界を変えた金融危機」竹森俊平 著(朝日新書)
[[attached(1,center)]]
P82〜83
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名著として知られる『リスク、不確実性および利潤』を、フランク・ナイトはコーネル大学での博士論
文として完成させた。その論文を書き上げたのが1916年、公刊したのは1921年である。この本の中心テーマは、題名に含まれる三つのキーワードによってコンパクトに表現されている。ナイトがここで解明したかったのは、競争的な経済において、なぜ「利潤」が存在するかという点であった。

これは伝統的な経済学のテーマなので、まずそのことを少し説明しよう。今日の主流の経済学は、消費者や企業の行動を表現した上で、市場における両者の間の取引を通じて、どのような安定した経済状態(これを経済学では「均衡」と呼ぶ)が生まれるかを分析する。このような経済学の方法は19世紀に先駆的な業績が現れ、第2次大戦後に洗練された理論となった。

そもそも、市場という場所で対面する買い手一たとえば消費者)と、売り手(たとえば企業)の間には対立関係がある。企業は消費者にたくさん支払わせて、利潤を最大にしようとする。
消費者は企業に最小限を支払って、満足を最大にしようとする。この両者の利害の対立は、「価格メカニズム」によって調整される。価格がうまく調整されれば、最終的には(1)消費者はその価格を見て買いたいだけ買い(満足の最大化)、(2)企業はその価格を見て売りたいだけ売り(利潤の最大化、しかも(3)企業による商品の供給と、消費者による商品の需要とが一致する(需給均衡)。これが経済的な安定(均衡)である。

経済学はさらに議論を進める。もし、ある企業が生産コストを大幅に上回る価格で商品を売ろうとすれば、別の企業がそれより安く、つまり生産コストを上回る度合いが少ない価格でその商品を売り、最初の企業から市場を奪おうとする。こうして企業同士が熾烈な価格競争を行えば商品価格が下がり、最終的には賃金、地代、原料費、などを含めた生産コストを超過した企業の取り分である「利潤」は消滅する。

これは、現代の経済学が洗練された分析手法により表現する以前から存在した、18世紀の古典派経済学以来の伝統的な考えである。それでも「利潤」は存在するのか。ナイトは、この経済学史上の重要な問題に取り組んだわけである。
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P88〜92
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そもそも「企業家」とは何だろう。企業家の行動にはいろいろな側面がある。彼は、自分の持つ
資産を事業のためにつぎ込むこともあれば、自分の労働時間を惜しみなく事業に投入すること
もあるしかし、「企業家」という特別なタイプの人種のもっとも本質的な行動は何かといえ
ば、「新しいこと」への挑戦である。「新しいこと」、過去に類例がないことに企業家は挑戦す
る。「不確実性」と真正面から対決するのである。そして「不確実性」と対決する報酬として、
企業家は「利潤」を手に入れる。

結局のところ、「利潤」が社会にとってもつ意味はこれである。それは生産活動の上で避けられない。不確実性・を、企業が引き受けることに対する報酬なのである。確率の計算ができる「リスク」以外の不確実性に遭遇しないで済む安全な生産活動や事業はありえない。それゆえ、「利潤」を求めて「不確実性」を引き受けてくれる企業家がいることではじめて、生産活動と事業が可能になる。

平均的利潤はマイナス

しかし、「不確実性」の領域で企業家が取る行動は、必ず成功の当てがあるものではない。
そもそも必ず成功の当てがあるようなものは、「不確実性」とは言わない、したがって企業家
は成功することもあれば、失敗することもある。成功すれば企業家は利潤を得る。しかし失敗
した場合、利潤どころか損失がかさんで廃業を余儀なくされる。
失敗の可能性を含んだ企業家の行動を、経済学の立場からどう評価できるのだろうか。はたして、経済学は企業家が成功するチヤンスが、失敗するチャンスより高いと断言できるのだろうか。

そもそも「利潤」とは、「市場の評価による生産物の社会的価値(つまり収入)」が「生産コ
スト」を超える部分を指すから、「利潤」の発生とは「社会的な純価値」の創造を意味する。
だから、いまの質問をこう言い換えることもできる。経済学は、企業家が平均して社会的な純価値を創造すると断一言できるだろうか。これらの質問に対するナイトの答えは明快だが、シ
ート・アンサーと、ロング・アンサーのふたつがある。

まず、ショート・アンサーはこうだ。これは経済学に答えの出せる問題ではない。なぜかと言えば、「不確実性」の下での行動、つまり成功にしろ失敗にしろ客観的な確率分布が推測できない行動を取っている企業家が、成功する傾向があるか失敗する傾向があるか、客観的な答えを求めることは不可能だからだ。

しかし、そう言ったあとで、ナイトはロング・アンサーを付け加える。まことに驚くべき見解だ。これはあくまでも自分の直観だが、企業家は失敗する傾向がある。それゆえ平均的には利潤はマイナスで、企業家は社会的な純価値を創造するよりも破壊する傾向がある。なぜ、そのような直観を抱くのか。

理由はこうだ。一体、どんな人間が、客観的な確率の分からない「不確実性」に挑戦するかを考えてみたまえ。大抵の場合、ギャンブル好きか自惚れた人間だ。
そういう人間が、「企業買収」といった場合のように資産を競い合って買う機会を与えられたら、無闇に価格を吊り上げるだろう。そのために割に合わない買収価格を支払う羽目になって、後で損をするのである。

平均的利潤がマイナスという傾向が目立たないのは、「不確実性」を引き受けること以外に企業家が白分の資産や労働時間を投入するという副次的な行動を取っているからだ。その副次的行動に対する報酬があるために、「利潤」自体はマイナスでも全体としての企業家の手取りはプラスになる。

「勝者への祝い」
ここから先は、ナイト自身に語ってもらおう。
「企業家が全体として正の利潤を実現することができるかどうかという条件は、したがって、つぎ込むつもりである投資額にくらべて、ビジネスが成功するチャンスの見積もりが十分に低いかどうかである。もし、彼らがビジネスが成功するチャンスをあまりに高く評価しているなら、過剰な投資をつぎ込んで全体として損失を被る。また、ビジネスが成功するチャンスをちょうど正しく見込んでいるなら、利潤も損失も全体としては発生しないことになる。チャンスについての評価が、まったく偶然の要因で決まるものだとしたら、過大評価のケースと過小評価のケースとが相殺されて、全体として評価は正しいものとなり利潤は平均的にはゼロの水準におちつくことになる。
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長すぎる引用でした。

今回のチャプター11申請は、米国景気・米国株にとって、短期ポジティブ、長期ネガティブと捉えている。景気への悪影響が小さいということは、裏を返せばGMが再建するため、自動車業界が復活するためには甘過ぎる、つまり技術革新なくして、過大な生産能力の解消が不十分ということになるかもしれない。 オバマは自惚れた経営者であることに間違いはないだろう。


甘いリストラの結果、今後一段と価格競争が激化し、再び、追加資本導入や業界再編が必要となる公算が大きいと見ている。次ぎ失敗すると、今後こそ「清算」されてしまう。平たく言えば、危機の先送りである。

しかし、先送りが悪いこととは限らない。問題を先送りしている間に世界経済が回復すれば、問題が消えてなくなるか、可能性も無くはないからである。オバマは不確実性に掛けたのである。

金融危機、自動車危機がいったん後退したことで、当面、ビッグイベントはなくなった。今後の米国株はマクロの景気指標、ミクロの企業業績などに日々一喜一憂しながら、ファンダメンタルズに沿ったトレンドを辿ることとなろう。

米国株は約3週間の踊り場を抜け、再び上昇局面を迎えたのである。この先、サマーラリーとして7月まではなんとか安心感があるが、例年9月10月には一転して危機に陥る傾向にある。またその不安感が根強い。10月の決算発表では予想を下回る可能性が高いと見ている。ただし、10月の決算で株価が下落したとしても、10月末にはGDPのプラス成長転換が発表される可能性がある。年末から2010年初にかけて米国株価のピークかもしれません。
[[attached(2,center)]]NY市場日足 上昇波動にはなっています。
[[attached(3,center)]]NY市場週足 上昇波動にはなりつつあるが、厚い雲にぶつかる。
[[attached(4,center)]]NY市場月足 http://www.forexwatcher.com/charts.htm

その後は、中国も米国も日本も、財政政策という麻薬が切れ、再び激痛に襲われるのか、もう一本薬を打つのか予測がつきません。

なおこの記事はDdogの個人的見解ですので、責任は持ちませんので、宜しく。

【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/27694187.html
 

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