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金融安定化のために時価会計は原則的に廃止すべきだ(森永卓郎)
http://www.asyura2.com/09/hasan63/msg/239.html
投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 6 月 11 日 21:35:32: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090609/158860/

2009年 6月9日

 米国の株価が、着実な上昇を見せている。そのベースとなったのが主要銀行の黒字決算である。

 シティグループが発表した今年1〜3月期の決算では、最終利益が約16億ドルの黒字となり、6四半期ぶりの黒字決算となった。シティグループだけでなく、米国の銀行は軒並み黒字決算を発表している。バンク・オブ・アメリカの1〜3月期の決算は、純利益が42億ドルとなり、前年同期比の3.5倍にもなる絶好調ぶりだった。

 こうした数字を見て、サブプライム・ローン問題のこげつきに端を発した金融危機からようやく米国の銀行が立ち直ってきたように感じる方も多いだろう。

 だが、今回の銀行の好決算だけを見て、金融危機が去ったと考えるのは早計である。なぜなら、こうした数字は時価会計基準の緩和によってもたらされたものだからだ。いわば、数字のマジックなのである。

米国政府が自国の銀行を守るために時価会計緩和を実施

 米国、日本ともに、銀行には時価会計が導入されている。時価会計においては、証券化商品などの金融資産を売買目的で保有する場合には、その全額を時価で評価しなければならないことになっている。そうした証券化商品には、今回の金融危機の原因の一つとなったインチキ金融商品も含まれている。

 ところが、市場での取引が活発に行われていない場合、市場価格がつかないため、例外として銀行独自の評価が認められる。インチキ金融商品は相対で取引されるために、市場価格がつかない。だから、この例外措置に該当するわけだ。

 もっとも、それだけだと、銀行の胸先三寸で適当に評価が決められてしまう。それを防ぐために、この例外措置を利用するには、これまでは「取引枯渇」ということを証明しなければならなかった。

 ところが今回、米国財務会計基準審議会は、この例外措置の適用を大幅に認める緩和策を打ち出した。そして、1〜3月期の決算から適用することにしたわけだ。早い話が、銀行が勝手に評価を決めてもよくなったわけである。となると、損を出さなくてもよいために、銀行の決算は自動的によくなる。

 いうまでもなく、緩和策の目的は米国銀行の救済である。証券化商品の価格下落によって、米国の銀行は膨大な評価損を計上しなければならなくなっていたのだ。

 わたしは、この緩和策が適切なものなのかどうか、正直いって判断することは難しい。だが、米国のやり方が、あまりにもご都合主義であることだけは間違いない。

時価会計導入で日本の企業はハゲタカの食い物にされた

 時価会計については、米国の年次改革要望書にもとづいて、日本でも2001年3月決算から導入されている。導入を求めていた米国の理屈はこうだ。

「米国の企業が投資をしようとしても、日本企業の実態は不透明でよく分からない。これでは怖くて投資できないから、時価会計の導入で市場の透明性を高めろ」

 こうして、米国の強い要望のもとで、米国と同じルールを取り入れたのである。

 その結果、何が起こったか。株式市場が低迷して、企業の株価が下落していくと、当の企業は何も失策を犯していないのに損失を出さなくてはならなくなったのだ。

 そうして、2003年の金融危機が発生する。竹中金融行政の下で、日本のメガバンクの経営が追い詰められ、「不良債権処理」を加速せざるをえなくなった。多くの日本の企業が、投機資本の餌食となったのがこのときのことである。

 つまり、米国の要望で実施した時価会計によって、日本の企業が米国のハゲタカの餌食になったわけだ。

 ところがである。米国は、今回の金融危機で自分のところの株価が下がったら、時価会計の基準を緩和するというわけだ。これほど人をばかにした話があるだろうか。日本には時価会計を強要して金融危機の際にさんざん好き勝手なことをしておいて、自分の国が困ると基準を緩和している。これは、誰がどう見ても米国の身勝手としかいいようがない。

 日本は今のところ、米国に追随してはいない。つまり、日本が時価会計の基準緩和を行っていないために、日本の銀行では奇妙なことが起きている。

 三菱UFJファイナンシャルグループのように米国会計基準を採用している金融機関は、今回の米国の緩和策の恩恵を受けて、評価損を出さずに済んでいる。だが、それ以外の金融機関は、日本の会計基準を採用しているために、緩和策を受けられないというおかしな現象が生じているのだ。これほど理不尽な話はない。

 もういいかげん時価会計という制度自体を見直すときに来ているのではないか。

金融庁は公的資金注入ではない金融安定化を目指すべき

 なりふり構わず銀行を守りにいく米国に対して、日本の金融庁はひたすら銀行を攻めている。

 金融庁はメガバンクを中心に4月から銀行の集中検査に入っている。2003年の竹中金融行政の時代の再現となり、銀行内はまるで戦場のような騒ぎとなっているという。

 竹中金融行政時代、金融庁の役人が銀行に乗り込んでくるや、権力をふりかざしてやりたい放題にやっていったことは記憶に新しい。もちろん、公的資金という名の税金を投入するのだから統制は当然ではある。当時の銀行にも問題はあった。だが、極端なことをいえば、箸の上げおろしにさえ文句をつけるような細かい点にまでケチをつけていたのは、今でも語りぐさになっている。その横暴ぶりは、「日の丸を背負ったヤクザ」とまで呼ばれていたほどだ。

 ではなぜ、今になって金融庁が集中検査のような動きを見せているかといえば、その理由は昨年12月に復活させた金融機能強化法にある。公的資金注入のための時限立法の期限が切れていたのだが、制度を変えることによって復活させ、公的資金の注入をできるようにしたわけだ。

 それを受けて、政府は12兆円の公的資金枠を設定し、銀行に公的資金の申請を求めた。だが、いまのところ申請をしたのは、地銀3行のみ。メガバンクは申請をしていない。

 それはそうだろう。銀行にはかつての「竹中の悪夢」がこびりついているからだ。あんな厳しい監視体制のもとでビジネスをするのは二度とゴメンだ、というのが銀行側の本音だろう。

 一方、金融庁は公的資金注入に追い込む意図はないとしているが、その本音は「せっかく法律を復活させたんだから、注入させろ」というところだろう。

 それにしても金融庁は何を考えているのか。今求められているのは、何よりも金融の安定ではないか。わざわざ官製金融不安をつくり出してどうするのか。

 わたしはこう思う。金融安定化を願うならば、もう時価会計はやめて、基本的に簿価に戻すべきだ。売買目的の株式や金融商品は時価会計でもいいが、一般の株式については、時価会計をする必要はまったくない。少なくとも、売るつもりのない長期保有、満期保有の株に損失を計上しても意味はないだろう。

 事実上、時価会計が破綻したことは、今回の米国の緩和策ではっきりとした。「過ちを改むるに憚ることなかれ」という。つまらないことにこだわらず、間違いだったとわかったら直せばいい。それが進歩というものではないか。

 

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