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ウォール街は資産を証券化するのではなく、発生するかもしれない支払い義務を証券化していた
http://www.asyura2.com/09/hasan64/msg/566.html
投稿者 taked4700 日時 2009 年 9 月 17 日 13:46:26: 9XFNe/BiX575U
 

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003001&sid=aPTk0LT6Pp5A&refer=commentary

【コラム】ウォール街の金融モデルはただの「折り紙」−モイニハン

  9月15日(ブルームバーグ):ウォール街のビジネスモデルの単純さはしばしば、新発明商品の複雑さの影に隔れている。この新発明は「金融工学」などと呼ばれている。

  よくよく見ると、この構造は金融「折り紙」以上のものではない。日本の折り紙は1枚の紙を折ることで複雑な形を作り上げる。

  1990年のノーベル経済学賞受賞者、故マートン・ミラー氏によれば、ウォール街の新発明の原動力は明白だ。「有効な新手法開発に向けた今までの主たる衝動は、規制と税金がその発生源だった」という。これが金融折り紙を奨励する要因だとすれば、規制当局や議会の負けは最初から分かっているようなものだ。オバマ米大統領は14日、1年前のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破たんのような大惨事の再発を阻止する賢明な措置を約束したが、大統領にも勝ち目はないだろう。

  ウォール街は株式、債券、デリバティブ(金融派生商品)という3枚の紙のうち1枚以上を使って、リスクを、取りたくない人から取りたい人へと移転する。

  株式と債券は、起業家から、事業の将来性に賭けたい人間へとリスクを移転する。デリバティブ(金融派生商品)は金融損失に対するある種の保険の役割を果たす。

  これらの商品の変種は、一見して私たちが考えるほどには複雑でない。金融機関は3枚の基本折り紙を折り重ねて複雑な商品を設計しているだけだ。ある時は規制を逃れるために、またある時は投資家のニーズを満たすため、そして常に、自分たちができる限り大きな利益を上げるために。

             ハイブリッド

  例えば、株式か債券のどちらか片方を保有すると、賭けに勝つか負けるかのどちらかになってしまう。そこでウォール街は、転換社債や転換権付き優先株などというハイブリッド(混成)商品を考え出す。これらは企業の利益に対する権利と、資産に対する権利を組み合わせた商品だ。これらの商品は保険的な性格もあり、発行体と投資家はそれぞれの証券に内在するリスクを分け合うことになる。

  賢い商品だが、それほど目新しくはない。今日のデリバティブはさらに古い起源を持つ3つの商品の変種だ。アリストテレスが書いたものに登場する「オプション」、少なくとも同じくらい古い「先物」、穴居時代にさかのぼる「スワップ」の3つだ。

  デリバティブとは、将来に特定の事象が発生した場合に特定の取引の履行を義務付ける保険契約のようなものだ。

  これらの道具を使って、投資家は投資、売買、投機、賭け、ギャンブルと、ありとあらゆることができるが、商品自体は何枚かの紙にすぎない。ある作品は見た目が美しく、ある作品は複雑なデザインだというだけだ。

             自らも折り直し

  ウォール街の金融折り紙は商品だけではない。ニューヨーク証券取引所が会員資格の制限を緩和したことを受け、ウォール街の大手各社は非公開のパートナーシップ(共同経営会社)から公開企業の株式会社へと自らを折り直し始めた。

  この流れは1980年代に、ウォール街がリスクの仲介者から取り手に変身したことで加速した。各社は顧客の注文を成立させるために自らが相手方となって取引するようになった。株式公開で手に入れた他人(株主)の金が、このような取引の原資になった。ただ、収入額を基に報酬を算出する仕組みは温存された。

  ウォール街は次に、業界全体の折り直しを始めた。それぞれ専門分野に特化した各社が割拠する状態から、1カ所ですべてのサービスを提供するワンストップショッピングのモデルへと移行した。

  このような縦割り構造は、ウォール街であらゆる種類の利益相反が起こり得る前提となった。長年の間に各社は何度か利益相反を繰り返したが、最も顕著な例は1990年代終わりのインターネットブーム期の株式調査と投資銀行の関係だ。アナリストは投資銀行事業での業務受託を助けるため顧客企業の株式を推奨した。

            住宅ローンの折り紙

  ウォール街は住宅ローンにも折り紙技術を持ち込んだ。貸し出しと資金調達、債権管理をばらばらにし、別々の会社がそれぞれを行えるようにした。それまでは何十年も、銀行や貯蓄貸付組合(S&L)がこれらすべてを行い、ローンが返済されるまで貸出債権を抱えていた。

  この金融折り紙は、以前なら決して貸さなかったような相手への融資を促す結果を生んだ。住宅ローンのリスクと言えばかつては繰上げ返済だったが、こうした境界線上のローンで恐れるべきリスクは「無返済」だ。これらの証券は、金利と元本の支払いによる収入とともに、デフォルト(債務不履行)による損失も投資家に分配した。

           究極の折り紙

  究極の折り紙作品はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)ではなく、ウォール街によるその使い方だった。ウォール街は本質的に保険料収入であるものをパッケージ化し、その現金収入をあたかも資産からの収入であるかのようにして販売した。これは折り紙として、1回余計に折り過ぎだ。ウォール街は資産を証券化するのではなく、発生するかもしれない支払い義務を証券化していたのだった。

  ミラー氏は明瞭に見抜いていた。「政府は事実上、金融商品開発に対して、新種の種子や肥料の開発に対するのと同じように補助金を出している。重大な違いは、金融商品開発への政府の貢献は通常、意図せぬものだという点だ」と。

  新商品について投資家が取れる最善の策は、商品を構成する各パーツについて別々の勘定書きを要求することだ。セールス担当者の報酬も明記してもらおう。金融市場を取り締まろうとするオバマ政権と米議会の取り組みは、新しい金融折り紙を生むことはあっても、折り紙をなくすことはないのだから。(ブレンダン・モイニハン)

(ブレンダン・モイニハン氏は、ブルームバーグ・ニュースのエディターです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時 : 2009/09/16 00:19 JST  

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